他の神話との関係

ここでは、他の宗教との比較で述べなかった一般的な神話について挙げる。

集合的無意識


例えば、神話や宗教、芸術には、時代や地域を超えた共通のテーマ、イメージがよく確認されている。
C.G.ユングは、このイメージを元型(アーキタイプ)として、集合的無意識の要素、シンボルとした。人々の心の中にずっと存在していると考えられるイメージのパターンのことである。

ユングと集団的無意識

ユングが、集合的無意識や、その要素である元型について主張し始めた根拠は以下にある。
  • 精神病患者の妄想などに、古来からある神話や宗教のイメージと類似性がある
  • 深い夢をみると同様な類似性を発見できる
  • 世界各地に存在する神話に類似性がみられる

これは、ある患者がユングに「太陽からペニスが垂れ下がっている。それが動くと風がおきる」と語ったことがきっかけとなって生まれた仮説である。これを聞き、ユングはそれに驚愕した。というのは、性欲理論ではペニスを男根、太陽を経口と分析できるが、しかしミトラ文書(古代アーリヤ人の宗教記述、一般人が読む事は絶対に無い)とまったく同じ内容を述べていたからである。ミトラ文書には「太陽から地へ向かう管の振動が風を引き起こす」と記されていた。これがユングが集団的無意識について考えるに至ったきっかけである。

特にユングが集団的無意識について確信を持ったのは、自身の書いていた絵が仏教の「マンダラ」に大きな共通点があったためである。西洋のユングはマンダラの存在を知らなかった。しかし、ユングは自身を向き合う中で描いていた絵が、東洋の宗教で用いられる絵に共通点があるという体験をした。

元型(アーキタイプ)

例えば、ヨーロッパの神殿の女神とアジアの寺院の菩薩像は、洋の東西をの交流がない時代の建立にもかかわらず、ともに、母性の象徴となっている。
また、太陽を崇めたり、海を神格化したりすることも世界中で行われている。
ふっくらした女性の土偶も世界各地にみられるがこれも、母親の元型の現われと言える。
つまり、人間の精神は深いところでつながっているのである。
地域や時代を超えて変わらない精神が、人類には存在しているのである。これを元型(アーキタイプ)と呼ぶ。集合的無意識の作用点である。

ユングは以下の例を元型として挙げた。
  • 自我(エゴ)- 意識の中心であり、個人の意識的行動や認識の主体である。意識のなかの唯一の元型。
  • 影(シャッテン)- 意識に比較的に近い層で作用し、自我を補完する作用を持つ元型。肯定的な影と否定的な影があり、否定的な場合は、自我が受け入れたくないような側面を代表することがある。
  • アニムスとアニマ - アニムスは、女性の心のなかにある理性的要素の元型で、選択的特徴を持ち、男性のイメージでしばしば認識される。他方、アニマは、男性の心のなかにある生命的要素の元型で、受容的特徴を持ち、女性のイメージでしばしば認識される。ラテン語では、同じ語幹から派生した名詞の男性形と女性形、つまり、animus と anima が、前者は「理性としての魂」、後者は「生命としての魂」の意味があり、この区別を巧みに利用して、ユングはこの二つの元型の名称を決めた。(アニマとアニムスは総称して、「シュツギー」とも言われる)。
  • 太母と老賢者 - 太母(グレートマザー)は、自己元型の主要な半面で、すべてを受容し包容する大地の母としての生命的原理を表し、他方、老賢者は太母と対比的で、同様に自己元型の主要な半面で、理性的な智慧の原理を表す。
  • 自己(ゼルプスト)- 心全体の中心であり、心の発達や変容作用の根源的な原点となる元型。宗教的には「神の刻印」とも見做される。

C.G.ユングは、現実の世界を「花」に例えて、
我々が見ているのは、花であり、それは過ぎ去る。しかし、根は変わらない。
と言っている。

ブーバー・キキ効果


1989年に心理学者ヴォルフガング・ケーラーが最初に報告して以来、広く知られてきた現象である。
「ブーバ/キキ効果」とは、言語音と図形の視覚的印象との連想について一般的に見られる関係をいう。具体的には、丸い曲線とギザギザの直線とからなる2つの図形を被験者に見せ、どちらか一方の名がブーバで、他方の名がキキであるか聞くと、98%ほどの大多数の人は「曲線図形がブーバで、ギザギザ図形がキキだ」と答える、というものだ。
どのような音からどのような概念を連想するか(音象徴)に関しては、文化・言語の枠を超えた法則はないとされている。しかしこの効果は、少なくとも図形の印象に関してはある程度、そのような関係があることを示している。「フワフワ」「ギザギザ」という擬態語も(厳密にどの音を選ぶべきかは言語の枠組みに束縛されるが)基本的にはこの関係に基づいていると考えられよう。
集合的無意識を証明する現象とみなす声もある。なお、大脳皮質角回に損傷のある人や自閉症の人では、上のような顕著な結果は得られず、ラマチャンドランらは、これらの人が不得意とする隠喩の解釈と関係があるのではないかと考えている。

時代別の分類

旧約聖書時代以前

旧約聖書

新約聖書




種類別の分類

世界の神話の概要としては、以下に分類される。

ヨーロッパ

ケルト神話
  • アーサー王伝説
  • スコットランド神話
  • ガリア人の神話?
  • ウェールズ神話
  • アイルランド神話
スカンジナビア神話
  • ゲルマン神話→北欧神話
  • フィンランド神話
  • サーミ人の神話?
地中海神話
  • キリスト教
  • ギリシャ神話→ローマ神話、エトルリア神話
  • イリュリア人の神話
スラブ神話
  • ロシア神話
  • ポーランドの神話?

アジア・オセアニア

シベリア神話
北西アジア神話
東アジア神話
インド神話
東南アジア神話
オセアニア神話

中東

ペルシャ神話
メソポタミア神話
アラビア/セム神話

アフリカ

北アフリカ神話
東アフリカ神話
南アフリカ神話
中央アフリカ神話
西アフリカ神話

南アメリカ

アルゼンチン神話
アンデス神話
アマゾン神話
ユト・アステカ神話
カリブ神話

北アメリカ

メソアメリカ神話
East-Atlantic神話
Pacific-West神話
Plateau-Basin神話
Great-Plain神話
Algonquian神話
Subarctic神話
北極神話



最終更新:2017年06月03日 22:08