ヨセフス『ユダヤ古代誌』

ユダヤ古代誌(ギリシア語: Ἰουδαϊκὴ ἀρχαιολογία, Ioudaikē archaiologia; ラテン語: Antiquitates Judaicae)とは、ユダヤ人の歴史家であるフラウィウス・ヨセフスによって書かれた、天地創造からユダヤ戦争の直前までが記述されている全20巻のユダヤ史書である。フラウィウス・ドミティアヌスの治世下のおよそ西暦94年もしくは95年に書かれ、ヨセフスの後援者である非ユダヤ人のためにギリシア語で書かれている。

始めの10巻はヘブライ語聖書のモーセ五書から歴史書の範囲が、後の10巻は聖書の範囲を超えてユダヤ戦争直前までのユダヤ人の歴史が綴られる。その全20巻という構成とユダヤ古代誌というタイトルは、ディオニュシオスのローマ古代誌に倣ったとされる。ヨセフスのもう一つの著作であるユダヤ戦記とともに、ユダヤ古代誌は初期のキリスト教や1世紀のユダヤ教の理解を望む歴史家に対して価値ある背景を提供しており、ヨーロッパのキリスト教徒や知識人階級によって聖書に次いで多く読まれてきた書物である。

後世

第1巻:天地創造~イサクの死〔創世記〕
第2巻:イサクの死~エジプト脱出〔創世記~出エジプト〕
第3巻:エジプト脱出~この世代の拒否〔出エジプト~民数記〕
第4巻:この世代の拒否~モーセの死〔民数記~申命記〕
第5巻:モーセの死~エリの死〔ヨシュア記~サムエル記上〕
第6巻:エリの死~サウルの死〔サムエル記上~サムエル記下〕
第7巻:サウルの死~ダビデの死〔サムエル記下〕
第8巻:ダビデの死~アハブの死〔サムエル記下~列王記上〕
第9巻:アハブの死~十部族の捕囚(バビロン捕囚)〔列王記下〕
第10巻:十部族の捕囚(バビロン捕囚)~キュロス王の第一年〔歴代誌下〕
第11巻:キュロス王の第一年~アレキサンダー大王の死〔エズラ記~マカバイ記〕
第12巻:アレキサンダー大王の死~ユダ・マカバイの死〔マカバイ記〕
第13巻:ユダ・マカバイの死~アレクサンドラ女王の死
第14巻:アレクサンドラ女王の死~(ハスモン朝の)アンティゴノスの死
第15巻:(ハスモン朝の)アンティゴノスの死~ヘロデ神殿の完成
第16巻:ヘロデ神殿の完成~(ヘロデ大王の子)アレキサンダーとアリストブロスの死
第17巻:(ヘロデ大王の子)アレキサンダーとアリストブロスの死~(ヘロデ大王の子)アルケラオスの追放
第18巻:(ヘロデ大王の子)アルケラオスの追放~バビロンからのユダヤ人の出発
第19巻:バビロンからのユダヤ人の出発~ローマ総督ファドゥス
第20巻:ローマ総督ファドゥス~総督フロルス


最終更新:2017年07月25日 20:24