イエスの系図

イエスの系図とエッサイの木

イザヤ書11章には、ダビデ王の父であるエッサイの子であるダビデの子孫にキリスト(インマヌエル)が現れることが、次のように比喩的に書かれている。

イザヤ11:1-5
エッサイの株からひとつの芽が萌えいで
その根からひとつの若枝が育ち
その上に主の霊がとどまる。
知恵と識別の霊
思慮と勇気の霊
主を知り、畏れ敬う霊。
彼は主を畏れ敬う霊に満たされる。
目に見えるところによって裁きを行わず
耳にするところによって弁護することはない。
弱い人のために正当な裁きを行い
この地の貧しい人を公平に弁護する。
その口の鞭をもって地を打ち
唇の勢いをもって逆らう者を死に至らせる。
正義をその腰の帯とし
真実をその身に帯びる。

このことから、中世ヨーロッパでは、イエスの系図をエッサイの木に重ね合わせて描写することが慣習となった。

Miniature, Jacques de Besançon, Paris, c.1485. Showing 43 generations. Below, the birth and childhood of Mary

創世記から列王記までの系図

アダム~ノアまでの系図は創世記5章にある。
セム~アブラハムまでの系図は創世記11:10-32にある。
イサク~ヤコブの系図は創世記25:19-26にある。
ヤコブ(イスラエル)~ユダの系図は創世記35:22-26にある。
ユダ~ヘツロンの系図は創世記46:12にある。
ペレツ~ダビデの系図はルツ記4:18-22にある。
ダビデ~ソロモンの系図はサムエル記下5:14-16にある。
レハベアム以降の王は列王記に順次記載されている。
アダムからアブラハム(19代) アダム-セト-エノシュ-ケナン-マハラルエル-イエレド-エノク-メトシェラ-レメク-ノア-セム-アルパクシャド-シェラ-エベル-ペレグ-レウ-セルグ-ナホル-テラ
アブラハムからダビデ(14代) アブラム(アブラアム)-イサク-ヤコブ(イスラエル)-ユダ-ペレツ-ヘツロン-ラム-アミナダブ-ナフション-サルマ-ボアズ-オベド-エッサイ-ダビデ
ダビデからバビロン移住(17代) ソロモン-レハブアム-アビヤ-アサ-ヨシャファト-ヨラム-アハズヤ-ヨアシュ-アマツヤ-アザルヤ(ウジヤ)-ヨタム-アハズ-ヒゼキヤ-マナセ-アモン-ヨシヤ-ヨヤキム

歴代誌の系図

アダム~イスラエルまでの系図は歴代誌上1:1-34にある。
イスラエル~ユダ~ヘツロン~ダビデまでの系図は歴代誌上2:1-15にある。
ダビデ王以降の系図は歴代誌上3章にある。(ウジヤの名は歴代誌下26章)
アダムからアブラハム(19代) アダム-セト-エノシュ-ケナン-マハラルエル-イエレド-エノク-メトシェラ-レメク-ノア-セム-アルパクシャド-シェラ-エベル-ペレグ-レウ-セルグ-ナホル-テラ
アブラハムからダビデ(14代) アブラハム-イサク-イスラエル-ユダ-ペレツ-ヘツロン-ラム-アミナダブ-ナフション-サルマ-ボアズ-オベド-エッサイ-ダビデ
ダビデからバビロン移住(18代) ソロモン-レハブアム-アビヤ-アサ-ヨシャファト-ヨラム-アハズヤ-ヨアシュ-アマツヤ-ウジヤ(アザルヤ)-ヨタム-アハズ-ヒゼキヤ-マナセ-アモン-ヨシヤ-ヨヤキム-エコンヤ
バビロン移住から(11代) ペダヤ-ゼルバベル-ハナンヤ-ペラトヤorエシャヤ-レファヤ-アルナン-オバドヤ-シャカンヤ-ネアルヤ-エルヨエナイ-七人
新約聖書と異なり、ゼルバベルの父はペダヤである。シェアルティエル(新約聖書でのシャルティエル)はエコンヤの長男として記述されるが、ゼルバベルの父ではない。

マタイ福音書の系図

これはマタイ1:1-17にある。
アブラハムからダビデ(14代) アブラハム-イサク-ヤコブ-ユダ-ペレツ-ヘツロン-アラム-アミナダブ-ナフション-サルモン-ボアズ-オベド-エッサイ-ダビデ
ダビデからバビロン移住(14代) ソロモン-レハブアム-アビヤ-アサ-ヨシャファト-ヨラム-ウジヤ-ヨタム-アハズ-ヒゼキヤ-マナセ-アモス-ヨシヤ-エコンヤ
バビロン移住からキリスト(13代) シャルティエル-ゼルバベル-アビウオ-エリアキム-アゾル-サドク-アキム-エリウド-エレアザル-マタン-ヤコブ-ヨセフ-イエス
ヨラムとウジヤの間にある「アハズヤ-ヨアシュ-アマツヤ」が削除されている。
また、バビロン移住は前587年であり、そこからイエス誕生の前4年頃までをわずか13代で説明するのはかなり難しい。

ルカ福音書の系図

これはルカ3:23-38にある。
アダムからアブラハム(20代) アダム-セト-エノシュ-ケナン-マハラルエル-イエレド-エノク-メトシェラ-レメク-ノア-セム-アルパクシャド-カイナム-シェラ-エベル-ペレグ-レウ-セルグ-ナホル-テラ
アブラハムからダビデ(15代) アブラハム-イサク-ヤコブ-ユダ-ペレツ-ヘツロン-アルニ-アドミン-アミナダブ-ナフション-サラ-ボアズ-オベド-エッサイ-ダビデ
ダビデからバビロン移住(20代) ナタン-マタタ-メンナ-メレア-エリアキム-ヨナム-ヨセフ-ユダ-シメオン-レビ-マタト-ヨリム-エリエゼル-ヨシュア-エル-エルマダム-コサム-アヒ-メルキ-ネリ
バビロン移住からキリスト(22代) シャルティエル-ゼルバベル-レサ-ヨハナン-ヨダ-ヨセク-セメイン-マタティア-マハト-ナガイ-エスリ-ナウム-アモス-マタティア-ヨセフ-ヤナイ-メルキ-レビ-マタト-エリ-ヨセフ-イエス
アルパクシャドの子カイナムは七十人訳聖書には現れるが、マソラ本文には現れない。
また、歴代誌やマタイ福音書と異なり、ソロモンを経由せず、ソロモンの弟ナタンの系図となっているが、なぜかマタイ福音書と同じくシャルティエルとゼルバベルを経由する。

最終更新:2018年02月03日 09:00