教会法

教会法(ラテン語: ius ecclesiasticum、英: Ecclesiastical law、独: Kirchenrecht)は、広義においては、国家のような世俗的権力が定めた教会に関する法と教会が定めた法を包括した概念であるが、狭義においては、キリスト教会が定めた法のことをいい、世俗法(ius civile)と対比される概念である。最狭義においては、カトリック教会が定めた法のことをいい、カノン法(羅: ius canonicum、英: Canon law、独: Kanonisches Recht)ともいう。

カノン法

カトリック教会は、カノン法の制定・執行を、一般世俗の権力から独立して、教会内部で行っている。カトリック教会は、キリストによって造られたものであり、ローマ教皇は、キリストの代理者であって、信者の代表ではないので、その統治構造ないし構成は民主主義とは無縁である。ローマ教皇は、立法権を有するが、司法権も有しており、カトリック教会の統治構造には国家法における三権分立のような制度もない。カノン法は、国家法におけるような強制力を背景とするものではなく、信者の自発的な同意を背景とするものであり、教会は権力を行使せず、権威によって統治をするのである。

カノン法の内容は、カトリック教会の任務に対応しておおよそ三つに分けることができる。
  • 人々の聖化に関するもの
  • 教義を正しく伝えることに関するもの
  • 教会の構成員を治めることに関するもの
人々の聖化に関するものについては、七つの秘跡、すなわち、洗礼、堅信、聖体、ゆるし、病者の塗油、叙階、婚姻についての規定がある。教義を正しく伝えることに関するものについては、聖書と聖伝の解釈についての規定である。教会の構成員を治めることに関するものについては、信者としての権利義務、教会の構成及び統治体制、制裁、裁判制度についての規定であり、主に教会法典で定められており、国家の法とその内容が類似する部分も多い。
最終更新:2017年04月02日 13:35