キリスト教の行事

教派によるが、主イエスの降誕、復活、そして聖霊の降臨の3つを最大の祭りとして祝う。

主の降誕の祝い

アドベント(待降節)

主の降誕を待ち、クリスマスを準備する期間であり、典礼暦の始まりである。主の降誕の4つ前の日曜日からクリスマスの前晩のミサの直前まで。

クリスマス(降誕祭)


主の降誕を祝う祭日。カトリックとプロテスタントでは12月25日であるが、正教会ではユリウス暦の12月25日(現行グレゴリオ暦では1月6日頃)としている。12月25日の生誕祭は、遅くとも345年には西方教会で始まった。聖書にはキリストの誕生日に関する記載はなく、ミトラ教の冬至の祭を転用したものではないかと言われている。

クリスマスツリーの先端には大きな星が飾られる事が多いが、これはベツレヘムの星を模したものである。

サンタ・クロースは4世紀頃の東ローマ帝国・小アジアのミラの司教(主教)、教父聖ニコラオス(ニコラウス)の伝説が起源である。以下のような伝説が知られている。
「ある時ニコラウスは、貧しさのあまり三人の娘を身売りしなければならなくなる家族の存在を知った。ニコラウスは真夜中にその家を訪れ、窓から金貨を投げ入れた。このとき暖炉には靴下が下げられていており、金貨はその靴下の中に入ったという。この金貨のおかげで家族は娘の身売りを避けられた」という逸話が残されている。この逸話が由来となり、「夜中に家に入って、靴下の中にプレゼントを入れる」という、今日におけるサンタクロースの伝承が生まれている。また、ニコラウスの遺骸はイタリア南部の都市であるバーリに移されたとも言われている。
そのほか、無実の罪に問われた死刑囚を救った聖伝も伝えられている。

サンタクロースのソリをトナカイが引いている物語が書かれるようになったのは近代である。クレメント・クラーク・ムーアが1822年に自分の子供たちのために作った『聖ニコラスの訪問』の中で、8頭のトナカイがソリを引いて空を飛ぶ事が書かれており、発売された表紙には、8頭立てのソリに乗ったサンタクロースが描かれている。

主の復活の祝い

レント(四旬節)

復活祭を準備する時期である。カトリック教会などの西方教会において、復活祭の46日前(四旬とは40日のことであるが、日曜日を除いて40日を数えるので46日前からとなる)の水曜日(灰の水曜日)から復活祭の前日(聖土曜日)までの期間のこと。

イースター(復活祭)


復活祭は、イエスが過ぎ越しの祭りの時期に処刑されたことから、基本的に「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に祝われるため、年によって日付が変わる移動祝日である。日付は変わるものの、必ず日曜日に祝われる。

卵を飾る習わしは、キリスト教および復活祭よりもかなり古くから存在する。卵とウサギは、古来より豊壌のシンボルであり、豊穣の象徴として、キリスト教以前の土着宗教の春の祭りで用いられていた。植物が再び芽吹く春は再生の季節として、豊穣の女神の復活祭が行われていた。この女神がバビロンの女神イシュタルで、「イースター」の名はここに由来している。後に、春に復活したイエスの祝いと習合して、卵を贈る習慣が引き継がれた。ヒヨコが殻から出てくるのを、イエス・キリストの墓を打ち破ってよみがえらったことに例えたとも言われているが、これは後付けの理由である。

聖霊の降臨の祝い

ペンテコステ(聖霊降臨祭、五旬節)

イエスの復活・昇天後、集まって祈っていた120人の信徒たちの上に、神からの聖霊が降ったという出来事のこと、およびその出来事を記念するキリスト教の祝祭日。キリスト教の聖霊降臨の日は、「復活祭から(その日を第一日と)数えて50日後」に祝われる移動祝日(年によって日付が変わる祝日)である。日付は毎年異なるが、イースターが日曜日なので、ペンテコステも日曜日である。西方では五月初旬から六月上旬の日曜日、東方では五月初旬から六月下旬の日曜日に行われる。

各国によって聖霊降臨の日の祝い方はさまざまである。たとえばイタリアでは炎のような舌を象徴して式中にバラの花びらをまく。フランスでは激しい風のような音がしたことをあらわして式中にトランペットがふかれる。ドイツでは牝牛に花冠をつけ引き回す。
最終更新:2017年10月13日 23:51