プロテスタント

プロテスタント(英語: Protestantism、Protestant)は、宗教改革運動を始めとして、カトリック教会(または西方教会)から分離し、特に(広義の)福音主義を理念とするキリスト教諸教派を指す。

プロテスタントという総称は、その担い手達がローマ・カトリック教会に抗議(ラテン語: prōtestārī, プローテスターリー)したことに由来する。

有名な派閥にルター派(ルーテル教会)がある。

歴史

1517年以降、マルティン・ルターらによりカトリック教会の改革を求める宗教改革運動が起こされた。
1524年、ドイツ農民の不満を背景に、急進派トマス・ミュンツァー率いる武装農民が蜂起し、これに対してルター派の諸侯らが激しく衝突、多くの犠牲が生じたいわゆるドイツ農民戦争が勃発した。1529年にルター派の諸侯や都市が神聖ローマ帝国皇帝カール5世に対して宗教改革を求める「抗議書(Protestatio, プロテスタティオ)」を送った。そのためこの派は「抗議者(Protestant, プロテスタント)」と呼ばれるようになった。
ルターらは洗礼と聖餐以外の教会の諸秘跡を排し、聖書に立ち返る福音主義を唱え始め、また西方教会では、それまでほとんどラテン語でのみ行われていた典礼や聖書をドイツ語化するなど、著しい改革を行った。このため次第にルター派は北ドイツからドイツ全体へ広まり、その信者は増加していった。ルターは信仰義認という教理を提唱した者としてよく知られている。ルター派の特に信仰義認は、カトリック教会のトリエント公会議などにより排斥された。その結果として別個の教派を築くこととなった。

福音派とリベラル派

福音派

福音派(ふくいんは、英: Evangelical)は、キリスト教のプロテスタントを神学や信仰の姿勢によって比較分類する際に用いられる用語である。語源はギリシア語の「εὐαγγέλιον, euangelion: 福音)」である。
福音派自身による簡潔な定義は、「福音に献身する者」である。
福音派とは、「聖書は神の霊感によって書かれ、誤り無い神のことばであるという、聖書の十全霊感(聖書信仰)を信じるすべての教会」である。この聖書信仰は「福音派全体の恵みの絆」と呼ばれる。

自由主義神学(リベラル派)

自由主義神学(Liberal Christianity)は、キリスト教のプロテスタントの神学的立場の一つ。その発生以来、プロテスタント教会の主流エキュメニカル派の多くが採用する立場。
科学的な見方(進化論等)を許容し、聖書に記されている神話的要素(天地創造、ノアの箱舟、バベルの塔、ヨシュア記等)を必ずしも科学的・歴史的事実とは主張せず、宗教的に有益な寓話(若しくは神話・説話・物語等々)とみなす。

エキュメリズム(エキュメニカル派)

エキュメニズム(Ecumenism)とは、キリスト教の教派を超えた結束を目指す主義、キリスト教の教会一致促進運動のことである。 世界教会主義ともいう。
転じて、キリスト教相互のみならず、より幅広くキリスト教を含む諸宗教間の対話と協力を目指す運動のことを指す場合もある。
このようなエキュメニズムの理念と福音派は調和せず、自由主義神学がエキュメニカル派に採用されるのは当然と言える。
最終更新:2020年09月26日 19:20