死海文書

1947年以降、死海の北西(ヨルダン川西岸地区)にある遺跡ヒルベト・クムラン (Khirbet Qumran) 周辺で発見された972の写本群の総称。主にヘブライ語聖書(旧約聖書)と聖書関連の文書からなっている。。主にヘブライ語聖書(旧約聖書)と聖書関連の文書からなっている。

死海文書はヘブライ語聖書の最古の写本を含んでいて、宗教的にも歴史的にも大きな意味を持ち、第二神殿時代後期のユダヤ教の実情をうかがわせるものでもある。文書は大部分がヘブライ語で書かれており、二割ほどのアラム語文書と、ごくわずかなギリシア語文書およびアラム語の方言であるナバテア語の文書を含んでいる。多くは羊皮紙であるが、一部パピルスもある。文書の成立は内容および書体の分析と放射性炭素年代測定、質量分析法などから紀元前250年ごろから紀元70年の間と考えられている。

死海文書の内容は大きく分けて三つに分類することができる。第一は「ヘブライ語聖書(旧約聖書)正典本文」(全体の四割)、第二は「旧約聖書外典」と「偽典」とよばれる文書群(エノク書、ヨベル書、トビト記、シラ書などでユダヤ教の聖書正典としては受け入れられなかったもの、全体の三割)、第三に「宗団文書」と呼ばれるもので、クムラン教団の規則や儀式書、『戦いの書』と呼ばれる書など(全体の三割)である。

写本の構成

ヘブライ語聖書(旧約聖書:エステル記とネヘミヤ記以外のすべてが含まれている。)

創世記(15本)
出エジプト記(17本)
レビ記(13本)
民数記(8本)
申命記(29本)
ヨシュア記(2本)
士師記(3本)
サムエル記(4本)
列王記(3本)
イザヤ書(21本)
エレミヤ書(6本)
エゼキエル書(6本)
十二の小預言書(8本)
詩篇(36本)
箴言(2本)
ヨブ記(4本)
雅歌(4本)
ルツ記(4本)
哀歌(4本)
コヘレトの言葉(3本)
ダニエル書(8本)
エズラ記(1本)
歴代誌(1本)
これらの中には一つの巻物に複数の書をまとめたものも含まれている。

旧約聖書外典・偽典

トビト記
シラ書
エレミヤの手紙バルク書6章)
詩篇第151編
第一エノク書
ヨベル書
十二族長の遺訓
外典創世記(創世記の内容をもとにした外典文書)

教団文書

ハバクク書註解 (1QpHab)
ナホム書註解 (4Q169)
詩篇37の註解 (4Q171, 173)
詩華集 (4Q174)
証言 (4Q175)
メルキゼテク・テキスト (11QMelch)
創世記註解 (4Q252)
ダマスコ文書(ツァドクの断片)
共同体の規則(宗規要覧)
感謝の詩篇(ホダヨート)
神殿の巻物 (11QTemple)
戦いの書(1QM、ミルハマー)
新しいエルサレムに関するテキスト

その他

銅の巻物 (3Q15) … 第3洞窟で発見された二枚の丸まった銅板。銅板に刻まれた文字は、死海文書の中で唯一職業的書記の手によらないもので、各地の宝物の隠し場所が書かれている。

新たな発見

ヘブライ語聖書にも見つけられていたもの

1.ダビデの最後の言葉(=サム下23:1-7, 11QPsa)
2.Catena (11QPsa および 11QPsb)

初期の聖書に見つけられていた外典文章

3.シラ書51:13-30 (11QPsa)
4.詩篇151篇A (11QPsa)
5.詩篇151篇B (11QPsa)
6.詩篇154篇 (Apocryphal Psalm and Prayer および 11QPsa)
7.詩篇155篇 (11QPsa)

以前には知られていなかった文章

8.Apostrophe to Zion (11QPsa および 11QPsb)
9.Eschatological Hymn (4QPsf)
10.Apostrophe to Judah (4QPsf)
11.Hymn to the Creator (11QPsa)
12.plea for Deliverance (11QPsa および 11QPsb)
13.David's Compositions (11QPsa)
14.First Song (or Incantation) against Demons (11QapocrPs)
15.Second Song (or Incantation) against Demons (11QapocrPs)
16.Third Song (or Incantation) against Demons (11QapocrPs)

以前には知られていなかった、詩篇を含む作品

17.Apocryphal Psalm and Prayer (4Q448)
18.Apocryphon (or Prophecy) of Joshua (4Q522)



最終更新:2018年01月06日 20:11