偽りの舞台、偽りの居場所、偽りの役目に……偽りの時代。
マスターには最低限必要な居場所が備えられていたのだ。幼い子供ならば当然。
だけど、不自然にも彼女には『父親』がいない。
『父親』がどうして居ないのか、この冬木においてはどういう設定かも彼女は分からなかった。
『母親』は居た。でも、彼女は知っている。
その『母親』は不自然なほど優しかった。だから思い出したのだろう。本物の母親がどのような存在か。
………殺された『親友』も居なかった。これも当然。彼は死んでしまった。
――――さくたろうは、死んでしまいました――――
「………真里亞。今日も仕事で帰りが遅いの」
「うん、わかった。真里亞、お家で待ってるよ。外に出ないで良い子にしてる!」
申し訳なさそうな母親だ。
折角の休日にも関わらず娘一人置いて仕事など。
世間で言うシングルマザーの身分だ。娘の為に稼がなければ、家計だって火の車。
母親を見届けた後、質素な家に残された少女は『貝殻』のある居間へと移動するのだった。
『貝殻』が話しかける。
「今日も家にいるのか」
「うー! 王様がいるから真里亞はさみしくないよ。それに、外に出ちゃったらママの迷惑になっちゃう」
「マリア。私の名前は『深き海とそびえる山を統べる偉大なる王』だ」
「うー……長くて覚えられない。うー」
「街に出てはならないなら、今日は特別にダレスの屋敷へ連れて行ってやろう」
「え? どうやって? 魔法で瞬間移動するの!?」
興奮する少女に対して『貝殻』は一つの世界を産み出した。
夜空の広がる上空に美しい浜辺。
沖に見える城は海底まで続くガラスの柱によって支えられていた。
まるで、シンデレラのような馬車が出現し、少女は『貝殻』と共に乗り込んだ。
馬車が海中へ飛び込めば気泡に包まれ、少女が呼吸で困る事は無い。
他にも海に住む生物たちが少女を歓迎してくれた。
夢のような時間が終われば、少女と『貝殻』は元いた少女の家に帰っている。
「すごいすごい! とっても楽しかった!! ありがと、王様!」
「マリア。私の名前は『深き海とそびえる山を統べる偉大なる王』だ」
柔らかに訂正する『貝殻』だったが、少女は確かに喜んでいる。
なので必要以上に少女を正そうとはしなかった。
少女は『貝殻』を純粋に高価なものだと理解している。否、最早金額的なレベルではない。何にも変えられない存在だと知っている。
少女は『聖杯戦争』に恐怖していなかった。
むしろマスターとして選ばれたのに歓喜しているほどだった。
彼女は魔女に成る事を夢見ていたからこそ、魔術師の儀式に巻き込まれたのを純粋に嬉しかったのである。
「……聖杯で、さくたろは生き返るんだよね」
少女は、かつて殺された友を蘇らせる事を望んでいた。
「勿論だ。聖杯はあらゆる願いを叶える。死者を蘇らせる奇跡ですら叶うだろう」
「本当に本当!? ベアトリーチェでも無理だったのに……」
「不可能な事は無い。だからこそ魔術師は儀式を行い、聖杯を得ようとするのだ」
魔術師にも不可能な事も、聖杯ならば叶う。
その儀式、聖杯戦争。
少女は酷く納得が出来た。そして、その聖杯を得るチャンスに恵まれたのだと。
「大丈夫。もう真里亞は失敗しない。ママの言う事をちゃんと聞く。そうすれば、さくたろが殺される事も無い……」
まるで洗脳のような教えを呟く少女は、令呪の宿った胸に手を当てていた。
【クラス】ライダー
【真名】SCP-120-JP@SCP Foundation
【属性】混沌・善
【パラメーター】
<通常時>
筋力:- 耐久:B+ 敏捷:- 魔力:C 幸運:A 宝具:B
<本体出現後>
筋力:A 耐久:B+ 敏捷:D 魔力:C 幸運:A 宝具:B
【クラススキル】
騎乗:A+
乗り物を乗りこなす能力。
A+ランクでは竜種を除くすべての乗り物を乗りこなすことが出来る。
対魔力:-
魔術に対する抵抗力。
一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。
『深き海とそびえる山を統べる偉大なる王』を得た事により対魔力が失われている。
【固有スキル】
カリスマ:C+
軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。
団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。
ライダーのカリスマは海洋生物もしくは海に通ずる存在のみ発揮する。
芸術審美:A
芸術品・美術品に対する理解、あるいは執着心。
ライダーは本能的に高価なものを見分け、攻撃する習性を持つ。
使い魔(海):B
海中からライダーの家来を召喚する。
海洋の馬が引く馬車も呼び出せ、これにマスターを乗せる事が可能。
【宝具】
『深き海とそびえる山を統べる偉大なる王』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1人
ライダーの能力及び彼自身の貝殻。普段は貝殻に本体を潜めており、ステータスや魔力を隠蔽。
本体を出現させることで、ステータスが暴露される。
この宝具によりライダーは『魔力放出(水)』を常時保っており、これによる魔力消費が発生しない。
水系及び火系の攻撃を無力化、海水を自在に操作するなど海の権威を得る。
この宝具を得る代償として『対魔力』を失う。
『真夏に見た世界で一番の宝石』
ランク:A 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大補足:1000人
固有結界。誰かと真夏のどこかで見た美しくも儚い情景。
海岸の向こう側、沖の方にはガラスの城があり、海中にはライダーの知る生物たちが居る。
【人物背景】
全長およそ15cmのクモガイ。その中に居る、巨大な生物。
彼曰く『深き海とそびえる山を統べる偉大なる王』。
自らを高価なものだと認める人間とした対話をしようともしない。
【捕捉】
クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0に従い、
SCP FoundationにおいてZeroWinchester氏が創作されたSCP-120-JPのキャラクターを二次使用させて頂きました。
また、宝具及び能力の一部としてはZeroWinchester氏が制作されたtaleを二次使用させて頂きました。
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-120-jp(SCP-120-JPのページ)
ttp://ja.scp-wiki.net/aile-sunday(tale)
【マスター】
右代宮真里亞@うみねこのなく頃に
【マスターとしての願い】
さくたろうを生き返らせたい。
【能力・技能】
魔術の知識が豊富だが、魔法が使える訳ではない。
【人物背景】
大富豪右代宮家の一員。
小学四年生の九歳の少女。年齢の割には幼い面があり「うーうー」という口癖がある。
親友の「さくたろう」というぬいぐるみを母親に殺された挙句「さくたろう」の存在を否定される。
【捕捉】
母親と二人暮らし。令呪は胸にある。
【把握媒体】
SCP-120-JP:捕捉にある翻訳ページの内容のみで把握可能です。
真里亞:物語においてep1~4まで把握すれば十分です。どちらかといえばep4よりの真里亞です。
様々な媒体がありますが、漫画での把握がオススメです。
最終更新:2016年09月04日 02:21