第一章 変動為替レートを支持する議論
1世界経済の統合は不完全
①GNPに対する貿易シェアはWW1以前のほうがむしろ高い
②WW1前はコモディティ中心で、価格が変動する。→それに対し、1980年代は工業製品中心、価格が動きにくい
③各国の消費支出は国内偏重、現地通貨建てでの物価の変わりにくさ
2輸出と輸入の差は国の貯蓄と投資の差額で為替レートと貿易収支は関係がないという考え
アメリカの貿易赤字を減らすには外国(黒字国)の内需拡大では全く追いつかない。
相対価格を下げるしかない。
賃金や相対価格を下げるのは時間がかかる。
なので、「通貨の切り下げ」の方が早い。
よって、国際不均衡があるならば為替レートによる調整を行うべきだ、という考えが成り立つ。

第2章 為替レートと現実の経済の切り離し。
P29 為替レートの変動がどれだけ影響を及ぼしたではなく、いかに影響をあたえなていないか。
P31外国に製品を売る企業が輸入国に対する値付けをかえようとしない。
サンクコストモデル(オプション)の説明
P38不確実性のおかげで市場ポジションからの撤退に身長になる

第3章 金融市場と国際金融システム
P63 金利平価説と実際の為替レートは全く合っていない
P67 1985年初期の議論
ドルが下がるにしてもゆっくり下がる
→貿易赤字も下がる
→経常収支ももっとゆっくり下がる
貿易収支の改善と(債務累積による)金利支払の上昇との追いかけっこ
P68 もし貿易赤字の減り方がおそすぎたら債務の爆発的な増加が起こる
投機だと気づいたらドルが急速に下がる

P78
Dt = Bt + (1 + i)Dt−1 (3.1)
債務のふえ方を考えるときには、もちろんいつも収入との比で見てやるのがだいじです――名目債
務がふえても、実質成長やインフレのせいで名目収入がそれ以上にふえていれば、特に問題はあり
ません。ですから、債務も貿易赤字も対 GNP 比で見てやりましょう。そしてこの比率を示すのに
は小文字を使うことにします。さらに、r を国内の品物で見た実質金利、g を経済の実質成長率だ
とします。すると、ちょいと計算してやると、債務の対 GNP 比の成長は、だいたいこんな式にし
たがうことになります。
dt = bt + (1 + r − g)dt−1 (3.2)
これを変形して、あとあとの計算に便利な形にします。
dt − dt−1 = bt + (r − g)dt−1 (3.3)
式 3.3がなにを意味するかというと、もし r > g で、その国が純対外債務と貿易赤字のあるポジションから出発するなら、貿易赤字が一定の場合には債務・GNP 比率は無制限にあがるし、その上が
り方はどんどん加速する。

貿易赤字が減るには、為替レートが下がることです。ここでなにをするかというと、為替レート
が、債務国とその他世界との実質金利差と同じ率で下がると仮定したときに、対外債務がどういう
方向に向かうかをつきとめてやるんです。r
∗ を外国の実質金利だとして、Et を時間 t における実
質為替レートの対数だとします。すると、われわれの使う為替レートのルールはこうなります。
Et−1 − Et = r
∗ − r (3.4)
注意してほしいんですが、これは経済学者の予測ではありません。市場が実質的に行っている予測
なんです。そしてわたしたちは、それがまともかテストしているわけです。
貿易赤字は、実質為替レートに依存します。その関係を線形で近似できると仮定すると、こうな
ります。
bt = a(Et − E¯) (3.5)
ここで E は貿易収支が均衡する実質レートで、a は実質為替レートが 1%変わったときに、貿易赤
字が対 GNP 比で見てどう変わるかという数字です。
これで、市場の期待がどこまであり得そうなものかを手軽にテストするのに必要な要素は、すべ
てそろいました。式 3.3を変形すると、こうなります。
dt − dt−1 = a(Et − E¯) + (r − g)dt−1 (3.6)
一階差分して次のようになります。
(dt+1 − dt) − (dt − dt−1) = a(Et+1 − Et) + (r − g)(dt − dt−1) (3.7)
最後に、為替レートの下がり方についての実質的な予測を代入してやると、こうなります。
(dt+1 − dt) − (dt − dt−1) = a(r
∗ − r) + (r − g)(dt − dt−1) (3.8)
この差分方程式は、いまわたしたちが、対外債務の累積に関する市場の実質的な予測とよんでいる
ものが含まれています


市場の予想のもっともらしさについて、いちばん根本的な要件は、それが対外債務の爆発的な増加を意味していないということです。ここで dt − dt−1 を、インフレと債務について補正した経常赤字にあたるものと考えるとわかりやすくなります。もし債務が爆発的にふえなければ、この調整経常収支は、いずれゼロに下がらなくてはなりません。
しかし、式 A.8 からすぐにわかるのは、dt − dt−1 が減るには右辺の初期値がマイナスでなくて
はならない、ということです。もし正なら、調整経常収支はふえて、その後もふえ続けます(右辺
自体もその調整赤字の分だけふえるからです)。したがって、市場の期待があり得るためには、最
低でも次の基準が満たされていなくてはなりません。
(r − r∗)/(r − g)> dt − dt−1
a
(3.9)
でも、これがどういうことか考えてみてください。左辺は、実質金利差を、金利と成長率の差で
割ったものです。右辺は、いまの債務水準で、調整経常収支をバランスさせるのに必要となる、為
替レートの減少率と考えられます。これをとりあえず、長期的に維持可能な水準からの為替レート
の逸脱、と呼んでみましょうか――ただし、為替レートが債務の GNP 比を一定にする水準からた
まに逸脱しても、本質的にはなにもおかしくないし、問題でもない、ということはお忘れなく。
しかしこの不等式が語っているのは、長期的に維持可能な水準を上回る為替レートが「まとも」
なのは、それが対外債務の爆発的な増大を防げるほどはやい為替レートの低下が起きても、投資家
たちにじゅうぶんおつりがくるような大きな金利差があるときだけだ、ということなんです。
市場の予想のもっともらしさについて、いちばん根本的な要件は、それが対外債務の爆発的な増
加を意味していないということです。

ほんの僅かな金利差が、米国を維持していた(?)



要約者感想 第一章、第二章の説明は理解できるが、最後の金利平価説と対外債務の説明は弱いと思う。次回要約する、米国経常収支赤字の維持可能性 尾田 要約の方が妥当性があると個人的には考えている