※注意:以下に記載されている記事は読者個々人による独自の考察によるものであり、公式の情報ではありません。
なお、この問題について
リンク先のコメント(09月21日8時1分)の方の計算によると、新惑星での打ち上げ能力はH-2A/Bで低軌道に対して1.7t程度となるとの事。これは地球での打ち上げ重量である15t~19t(低軌道)と比較して
10分の1前後の大幅な減少である。
これに対する裏付けとして、ペイロード1.7tをH-2Bで打ち上げたと仮定した時のΔVの計算を以下に示す。
①新惑星での第一宇宙速度
新惑星の半径は、外周(10万Km)÷π÷2より、15,195km。重力加速度は地球と変わらず9.8m/s^2である。
これを第一宇宙速度を求める式、v=√g×R(g:重力加速度、R=惑星の半径)に代入すると
v=√15,915×10^3×9.8より、12,488m/s。
以上より第一宇宙速度はおよそ12.5km/sとなる(地球の第一宇宙速度は7.9km/s)。
②H-ⅡBで低軌道に投入可能なペイロード
全質量:202 +(76.5×4)+ 20 + 3.2 + 1.7 = 532.9(t)
SRB燃焼終了時質量:142.2 + 42.2 + 20 + 3.2 + 1.7 = 209.8(t)
ΔV = 9.8m/s^2 * 307.3 * ln(532.9 / 209.8) = 2807.3(m/s)
SRB分離後質量:142.2 + 20 + 3.2 + 1.7 = 167.1
MECO時質量:24.2 + 20 + 3.2 + 1.7 = 49.1
ΔV = 9.8m/s^2 * 440 * ln(167.1 / 49.1) = 5281(m/s)
1段目/フェアリング分離後質量:20 + 1.7 = 21.7
SECO時質量:3.4 + 1.7 = 5.1
ΔV = 9.8m/s^2 * 448 * ln(21.7 / 5.1) = 6357.6(m/s)
2807.3 + 5281 + 6357.6 = 14445.9(m/s)
なぜ第一宇宙速度の12.5km/sに対して約14.5km/sも?、と思われるでしょうが、ロケットによる打ち上げでは惑星の重力に逆らって飛ばねばならないため,衛星軌道上に到達するまでに速度ロスが発生する。これを重力損失と呼ぶ。
重力損失は,惑星の重力加速度と垂直方向への加速時間で決まるため,それらの要素が地球と変わらない異世界でも地球上での打ち上げと同じ計算方法で求めることが可能である。
今回の計算では重力損失を2.0km/sとして計算した(これは地球でも同様である)。
作中で言及されている強化型H-2Bについて
- 強化型H-2Bで情報収集衛星2機が打ち上がっている事から、打ち上げ能力は低軌道で4t程度と推測される。
- 上記の能力は第1・2段の燃料搭載量を1.5倍程にすれば達成可能なことから、大規模な改造が施されたことがうかがい知れる(独自計算のため、参考程度にご覧下さい)。