グラ・カバル

ぐら・かばる

グラ・バルカス帝国の現皇帝グラルークスの息子であり、第一皇位継承権を持つ皇太子。
本名は「カバル・エルーエ・ルキ・フォアデム・ハローバ・エリドル・フォン・グランデリア
書籍版では「カバル」「グラカバル」と記載され、Web版の様に中点を挿む表記は無い。第6巻の巻頭口絵に登場しており、長身でがっしりした体格の『美丈夫』という言葉そのままの青年として描かれている。

物覚えが良く、豊富な知識を有しており、建築工学をかじっている事が明かされている。
国民からの人気も絶大であり、中には泣き出す者がいる程となっている。この人気が皇室に対する支持によるものか、本人の人柄によるものかは不明だが、敵国の子供達とも気軽に触れ合うフランクさを併せ持っている事から、後者と思われる。
反面、思い込みが激しく、書籍で覚えた事や報告書の内容を絶対視して全く疑う事が無い。更に、「帝国がこの世界に転移したのは、この世界を支配する為に神によって導かれた」と本気で信じており、父亡き後は自身が世界の帝王となる事を疑っていない*1。こうした思い込みから理想と現実の区別がつかない点を、ルークスは危惧している*2
その上、一度決めたら聞かない頑固さがあり、皇族らしからぬ軽率な行動が目立つ。

初登場は、帝都ラグナ
将兵の士気向上と帝国の威光を現地へ示す為、最前線への視察に赴こうとしており、ルークスへとその旨を直談判した*3。しかし、現場への理解のある彼は「皇族が出向くとその為の準備で余計な仕事が増え、邪魔にしかならない」と諫めている。それでも尚食い下がった為、渋々ながらもレイフォル出張所へ行く事を許可したが、それでは納得せず最前線基地であるバルクルス基地への視察を皇太子権限によって押し切っている。

その後はルークスの危惧した通り、皇太子の視察がある事を知った前線ではその準備の為に混乱が広がった。更に、第一次バルクルス基地攻撃によって甚大な被害が生じてしまい、基地の責任者であるガオグゲルは攻撃が来ない事を祈る有様となっていた*4*5
この際、内庁幹部から「バルクルス基地が正体不明の攻撃を受けた」事を聞かされ、視察を思い留まるよう説得されるも、自国の技術や軍の実力を絶対のものと思い込み「危険な最前線基地で皇族が兵を励ます事が重要」であると一蹴する。
本来であれば、こうした行為は帝王府権限で止める事が出来たのだが、この裏では軍需産業系企業カルスライン社エルチルゴと癒着している帝王府副長官オルダイカがそうした情報を全て握り潰していた為*6、最終的にカバルの視察強行を止める事が出来なかった。

そして、レイフォル地区へ降り立ったカバルはアルーを通り*7*8、最後は飛行機でバルクルス基地へ到着。出迎えからその高い規律に誇らしさを感じるが、この時点で既に第二次バルクルス基地攻撃が始まっていた。

基地の通信要員が警戒飛行中の小隊との連絡が突如として途絶し、無線が電波妨害によって使用不能となった事にすぐに気付く。直ちにアンタレス戦闘機12機が緊急発進を行うも*9*10、直後にミサイルによって撃墜され、それまで戦死者を書類上の数字としてしか見ていなかったカバルに大きな衝撃を与えている。
すぐに迎撃態勢に入る将兵を尻目に、ガオグゲルと護衛要員と共に地下司令部へと避難するが、爆撃の終了と同時に「基地の様子を見ておきたい」と地上に出る。ガオグゲル以下が必死に止めたものの、此処で持ち前の頑固さを発揮してそのまま押し切って地上へと出た。
直後、ワイバーンによる攻撃と第一空挺団の空挺降下が始まり、急いで地下司令部へと戻る。しかし、味方の予想を上回る速度で地下施設を次々と制圧されてしまい、ガオグゲルの命令で付けられた二名の護衛と共に地下道を通って脱出した。
ところが脱出直後、運悪くマギカライヒ共同体軍の竜騎士に発見されてしまう*11。護衛諸共ワイバーンの導力火炎弾を受け、彼一人が生き残ったが大火傷を負い、意識不明のまま捕虜にされた。

彼の火傷は第二文明圏の医療技術では治療不可能であり、服装から要人と判断された事で、日本国まで護送された。そこでグラ・バルカス帝国の皇太子である事が判明し、あまりにも巨大過ぎる外交カードに日本政府を苦悩させる事となった。

火傷の治療後、日本政府関係者の案内で大阪東京を案内され、インフラや歴史、軍事技術等、日本の真の実力を思い知らされる。このまま戦争を続ければ帝国の大打撃は免れない事を悟り、日本政府との交渉を決断。技術力の絶望的なまでの差に苦悩し、経験した事のない重圧を感じるが、「此処(日本)にいるのは天啓だ!神がグラ・バルカス帝国を救えと我をここに残したのだ!」と持ち前の思い込みを発揮しつつ、帝国が生き延びる為の行動を起こす事を決意する。しかし、何も出来ない内に日本懲罰に出撃したグラ・バルカス帝国連合艦隊帝国史上空前の大敗北を喫した事を知り、「帝国は日本には勝てない」と再認識。日本の外交担当者に接触を求める。

そして交渉に臨むと、まず「日本を帝国の宣戦布告の対象から外す」と提案し、一蹴される。次いで、「世界を日グ両国で山分けしよう(意訳)」と提案する。それも「日本は覇権国家ではない」と断られると、大いに驚く事となった*12*13。その後も不可侵条約を持ち掛けるも保留とされ、交渉は失敗に終わった。ただし、交渉自体を継続的に行う事については同意を得る事に成功し、国民を守る為に頭をフル回転させている。
関連項目
人物グラ・バルカス帝国グラルークススーパー小豆入りバー

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過去のコメント
  • 懲罰艦隊全滅の間接的原因として、あの皇子が出て行かなかったらという歴史のIFはいわれるだろうな。 - 名無しさん (2020-11-28 10:10:40)
    • 確実に言われるけど、最終的な結果は大差無い。敗戦の時期が半年か一年遅れ、戦死者が十万ほど減る程度では。 - 名無しさん (2020-11-28 11:14:40)
  • この後どうなってもグ帝は日本に屈伏するしか無く、カバルに出来るのは、そうするよう祖国を説得することだけ。それが解った時、彼は受け入れられるかな。 - 名無しさん (2020-11-28 16:47:58)
    • 本人が血反吐を吐く思いで受け入れたとしても、多分スタートでさえないでしょう。国に帰れば「馬鹿やって捕らえられたお前を助けようとして、俺たちの家族は死んだんだ!」と罵倒されても仕方ない立場でしょうから。 - 名無しさん (2020-11-29 11:41:25)
      • 自分の行動が原因で出た懲罰部隊の戦死者の事に気が付いていないんじゃない。数十万人のオーダーだぞ。 - 名無しさん (2020-11-29 12:02:00)
        • カバルが何もしなくても、洋上決戦の勃発は避けられなかった。グ帝側の惨敗も、数十万の戦死者も避けられなかった。 - 名無しさん (2020-11-29 13:14:02)
          • ええ、結果は同じだったと思います。でもその上で多くを失って何一つ得られない、全面降伏して世界中から恨まれるとなったとき、スケープゴートを求めるのは人の性じゃないかなと。 - 名無しさん (2020-11-29 14:08:56)
            • 確かにスケープゴートされて廃嫡される未来が見えてしまうのは、ジッゴジトクそのモノでしょうな。カバル君には同情すら与えられないのが可哀そうかもしれない所。 - 名無しさん (2021-06-25 08:56:09)
  • 第一皇位継承者カバルが、危険な最前線へ出てしまうのを許してしまう。捕まったカバルを取り戻すため、軍事的に無茶な懲罰艦隊を繰り出す。カバルがというよりグ帝の「皇族が偉大・大事」の思考がおかしいんじゃないか。 - 名無しさん (2020-11-29 23:23:51)
    • やる気のある無能とかいう最悪のパターン。 - 名無しさん (2021-01-09 02:22:10)
  • やる気のある無能とかいう最悪のパターン。 - 名無しさん (2021-01-09 02:22:37)
    • 環境破壊大臣 小泉進次郎のことか? - 名無しさん (2021-06-21 19:40:06)
  • こいつおそらく『この世に、他国を支配したがらない国など存在しない』と信じていたんだろうな。自覚していたか否かは関係なく。 - 名無しさん (2021-02-01 16:55:06)
    • ダラスもそうだけどこいつも、日本が望んでいるのは『支配』ではなく『平和』と『共存』であることに気付いていない。理解できていない。 - 名無しさん (2021-02-12 18:50:18)
      • 少なくともカバルにしろダラスにしろ平和を忌避し戦争したがりというわけでは無いんですよね。世界平和のためには強大な覇権国(=グラバルガス帝国)が世界を統一するほうが良くてそのためには戦争もやむ無しって感じですね。 - 名無しさん (2021-09-01 01:51:53)
  • それにしても全く相手の事を考えず自分達の価値観を一方的に押し付けるとは…。聡明で意外と人が出来ているだけにすごくもったいない人だな…。 - 名無しさん (2021-04-30 09:32:52)
    • それはちょっと違うな。彼は、自分たちの価値観を押し付けようとしたわけではない。日本人の価値観を知らなかっただけだ。おそらく、自分たちのそれと異なる価値観を知らなかっただけだ。 - 名無しさん (2021-06-12 19:02:30)
  • 日本でのこいつの生活費は後でグ帝にまとめて請求するんだろうな - 名無しさん (2021-06-11 21:53:54)
  • さて、レイフォル方面崩壊の報に接した後、殿下はどう動かれますかね。レイフォルからの撤退はもはやグ帝側の譲歩どころか、安全に退去させていただくという特大の借りになりかねない状況ですが、対価に何を提示できるのやら。 - 名無しさん (2021-06-23 01:24:35)
  • しかしナントカと天才は紙一重って言葉がすごく合いそうな気がする人w 根はグ帝でちょくちょく出るような悪人ではない、むしろ善人なんだろうけど。 - 名無しさん (2021-06-24 12:33:48)
    • 天才ではないと思う。愛すべきバカ。 - 名無しさん (2021-06-24 18:14:11)
      • 今後の進展次第では、ただのバカ、無能の働き者と言われるでしょうな。 - 名無しさん (2021-06-25 08:57:00)
        • 現状ではまさにそんな感じ。 - 名無しさん (2021-06-26 12:03:57)
    • 行動力のある有害、環境破壊大臣の小泉進次郎みたいな? - 名無しさん (2021-06-26 21:03:47)
      • つまりセクシーなのかw - 名無しさん (2021-06-28 21:49:55)
  • 今さらだけど「グラ・~」って称号は英語のグレートとかフランス語のグランなどの「偉大な」って意味なんだろう。カバル殿下の場合、偉大なるおバカというのがしっくりくる。 - 名無しさん (2021-07-31 18:20:36)
    • とすると、グラバルカス帝国は、大バルカス帝国みたいな意味かな? - 名無しさん (2021-09-01 06:48:32)
  • この人自国は強者って価値観を変えれてないんだよなぁ…この人が講和の際に言った"規模が上なら上位国家"って考えをそのまま適用するなら転移で島国となったグ帝より大陸国家なミ帝の方が格上になるんだよなぁ…まぁミレケネス将軍が捕虜になりそうだしその辺を補佐するような形になるのかな? - 名無しさん (2021-11-27 07:40:09)
    • 自分のそれとはことなる価値観を理解できるようになれば、化ける可能性はあるけどな。 - 名無しさん (2021-11-27 16:51:33)
    • 大陸を独占するオーストラリアと島国の大英帝国のどっちが格上かと言うと… ミ帝も列強ではあるが大陸にある一国家だし - 名無しさん (2021-11-30 14:10:54)
  • 彼が捕らえられても日本国で無事生きている、というのは、パガンダで皇族ハイラスが処刑された事と対照的になっているのでは? とすると、彼によって日本とグ帝との交渉に良い進展がある展開になる、のかもしれない。 - 名無しさん (2021-11-30 11:16:51)
  • ダラス達の同化政策論は戦後、軍事裁判級の大問題になりかねませんが、またしても皮肉なことにこの人はグ帝上層部でおそらく唯一、完全無関係を主張できそうなんですよね。日本にいて、本国の情報や意思決定に関与できるはずないので。 - 名無しさん (2021-12-11 09:55:31)
  • 彼は、国外では「無害」。グ帝内ではその行動に非難が出そう。という、奇妙なポジションになっているね。本国に送り返されるより、日本の虜囚(?)でいた方がずっと安全? - 名無しさん (2021-12-11 10:45:29)
  • 圧倒的人気 イケメン30%良い人30%アホの子可愛い30% 合計90%  不支持 馬鹿皇太子10% こんな感じw? - 名無しさん (2021-12-23 11:53:53)
  • 日本から屈辱的な条件を提示され、それを受け入れるしか無いと知った時、彼はどうするだろう。耐えられるだろうか? - 名無しさん (2021-12-26 20:28:37)
  • カバルが日本の常識や価値観を理解していなかったのは確かなのに、なぜそれを書いてはいけないのか。 - 名無しさん (2022-05-06 16:31:13)
  • 二次で性転換 性格はあい変わらず... - 名無しさん (2022-05-08 16:41:38)
  • 何だかんだいってても自ら捕虜になり他文明を見たことが後に賢帝になる要因フラグ・・・ラノベならそんな感じでいいんじゃね - 名無しさん (2022-05-08 22:20:46)
  • 「日本は覇権国家ではない」この世界では異質とも言える考えだから理解できなくてもある意味仕方がないんだけどね - 名無しさん (2022-05-14 21:13:45)
    • 現実世界でも理解できてない外国の政治家が現在進行形で大迷惑かけているけどね。誰とは書かないけど分かるでしょ。 - 名無しさん (2022-05-15 00:53:07)

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〔最終更新日:2024年04月21日〕

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*1 尤も、グラ・バルカス人の大部分が広大な領域を帝国が支配する事になると信じており、特別彼のみが異常な訳ではない

*2 Web版「駆け抜ける衝撃 1」でもルークス側の視点で「出来の悪い皇太子」と記載されている。書籍版では、皇太子権限の廃止も検討している。

*3 その動機は、ゴシップ雑誌の批判である事が発端と書籍版で判明

*4 カバルに何かあれば、外務省と軍部の関係者の首が飛び、進言した幹部は社会的に抹殺される恐れがある

*5 現有戦力では再度の攻撃を受けた場合に防ぎ切れない為、増援を要請する旨を上層部へ連絡していたが、相手にされなかった。

*6 カバルに何かあれば、日本との戦争が激化して更なる兵器生産が行われる為

*7 この時、現地の子供と触れ合うフランクさを見せている。

*8 この時、お付きの制止を聞かずにスーパーあずきスティックを食べようとして歯を折ってしまい、駄菓子を兵器として認識させる原因となった。

*9 カバルへ余計な恐怖心を与えない為、緊急光信号を使用するよう配慮された

*10 カバルは、この緊急発進をデモンストレーションと勘違いしていた

*11 空挺降下したマギカライヒ兵の一人が偶然カバルのいる方向に流されなければ、この時発見された可能性は低い。

*12 グラ・バルカス帝国は、日本にとって植民地主義が時代遅れである事を認識しておらず、カバルもこの提案を蹴られると思ってはいなかった。

*13 この時カバルは、「今は貴国に技術的優位性があるかもしれないが、その差もいずれは縮小していくぞ」と発言しており、将来的には祖国が日本を追い越せると信じ込んでいる節がある。