● 判定について ●
シナリオ中、キャラクターの行動は行動判定によって成否を決定される。
判定には呪力(成功要素)と難易度が用いられる。
呪力(成功要素)とは、その行動に際しプラスに働く要素の事を指す。
難易度とは、その行動の実現可能性の程度を示す数値を指す。
本作における判定とは、使用する呪力を決定し、そこから導き出される達成値と難易度を比較する行為を指す。
● 判定の仕組みについて ●
SDが指定した、ないしPLが宣言した行動について判定を行う場合、まずSDは難易度を宣言しなくてはならない。
難易度は整数で宣言すること。
次に、SDは判定に対し提出可能な呪力の最大数を宣言すること。これにより判定が達成不可能になってもよい。
一般的には、難易度は呪力提出上限の二倍以下に設定するとよい。
判定提出時の書式は「判定内容:難易度:提出上限」である。
例えば「施錠されたドアを開ける:難易度2:上限1」「ゴーレムを倒す:8:4」など。
次にプレイヤーはキャラクターの行動を宣言する。
キャラクターが所有する〈呪力〉から行動を有利に運ぶと考えたものをピックアップし、それをどのように使うかを添えて、問題に対するキャラクターの行動として表現すること。
この際、呪力トークンを消費して〈呪力〉を新規に習得して使用してもよい。
宣言する〈呪力〉の個数はSDが設定した呪力最大数を越えてはならない。
SDは宣言の内容をチェックし、ルール上問題がないこと、論理的な破綻がないこと、設定的に問題がないことを確認した呪力だけを抽出して、有効とする。
有効とされた呪力それぞれについて、プレイヤーは「六面ダイスを一つ振り、出た目を達成値とする」か「達成値二点を得る」かを選ぶ。
【絶技】のコストを支払い追加の達成値を得るかどうかも、このタイミングで決定する。
最後に、難易度と達成値を比較し、結果を算出する。
コラム:数値的な難易度と程度的な難易度
判定の難しさの表現は難易度の数値以外にも行える。
呪力提出上限を可能な限り小さくすることだ。
これは特に「無駄な行動が許されない状況」にフィットする考えである。
状況に合わない呪力でもひとまず宣言する、というような行為をさせずに済む。
また提出上限を目標達成不能な値に設定することも出来る。
この場合は後述の前提変換や分割、協力判定を促すことになる。
● ダイスについて ●
達成値算出の際にダイスを振ることを選択した場合、出目に「1」が出た時点で判定は失敗となる。
複数個振った場合も、一つでも「1」が出た時点で判定は自動失敗となる。
ダイスから得られる達成値は固定値二点に対し期待値でも三点半、最大で六点と、非常に高く見積もられている。
その分ダイスロールには常に失敗の確率がつきまとうことに留意されたし。
コラム:自動失敗の確率
サイコロ一個 |
16.7% |
サイコロ二個 |
30% |
サイコロ三個 |
50% |
となっている。ダイスは振ればいいというものではない。
● 結果について ●
達成値が算出された後、これと難易度を比較する。
達成値 |
結果 |
難易度を超えた |
成功 |
難易度未満 |
中間判定 |
難易度の半分未満 |
失敗 |
またダイスの出目に一つでも「1」があった場合、無条件で判定は失敗となる。
結果確定後、SDはPLの宣言を状況に反映し、どう推移したのかを描写すること。
中間判定とは、成功ではないが失敗でもない結果である。
状況は悪化しないが進行しない、「特に何も起きなかった」という判定になる。
通常、判定の結果達成値が成功に満たない場合、中間判定となる。
つまり失敗とは「状況を大きく悪化させるような結果」、TRPGではファンブルと呼ばれる状態を指す。
ダイスを降って1が出た場合はこの「失敗」が発生する。
コラム:宣言の妥当性
「施錠された部屋に入る:難易度2:上限1」この目標を達成する方法は様々ある。
【解錠】の呪術や〈ピッキング〉の呪力で鍵を開けることも出来る。
【炸撃】の爆発でドアを吹き飛ばすことも出来る。
これらは「部屋に入る」という目標から見れば同一の結果をもたらす。
が、一方これらは同じ状況を作り出すわけではない。
ドアを爆破して部屋に入ったならば内部の人間は気付くだろうし、近くの物は傷つくだろう。
〈ピッキング〉で開けるには多少の時間がかかるに違いない。
判定は達成できれば良いというものではなく、手段は状況に合わせて選ぶべきである。
● 一時呪力について ●
特定の期間のみ保持され、条件達成後消滅する呪力を一時呪力と呼ぶ。
これはキャラクターが外的要因で獲得する呪力である。
置かれた状況、借り受けた道具、因縁、金で雇った助っ人、などが該当する。
一時呪力は最低では一判定の間のみ、最長でも一セッションの間のみ保持される。
可能な限り簡潔な一文で表現すること。一方、通常の呪力よりは長文になるだろう。
また、一キャラにつき二つまでしか保持できない。
PLはSDに対して一時呪力の取得を申請してもよい。この際、理由を述べること。
SDはそれが物語的に妥当であると判断した場合、これを認めてもよい。
また、取得に際し判定を設けても良い。
一時呪力の取得に呪力トークンは消費しない。
一時呪力は使用に際し呪力提出上限に含めなくてもよいものとする。
● 前提変換について ●
提示された判定について、解決手段を工夫することで難易度の前提が変化する場合がある。
原作におけるシナモリアキラVSキロン戦に例えるならば、以下のようになる。
「事実上無敵の敵を打倒する」という難易度の高い判定があり、現状では達成値が足りない。
これを「無敵の仕様の隙を突いて自滅させる」という形に前提変換を行うことで、判定を達成可能な域に落とし込むことが出来る。
このように、プレイヤーは問題解決の手法を工夫することで問題そのものの難易度を下げる事ができる。
SDはその際、その方法に則った難易度を再度宣言しなくてはならない。
これを前提変換と呼ぶ。
前提変換の宣言タイミングは、判定の難易度が提示された後、自身が判定を行うまで、とする。
また、前提変換は判定一つにつきプレイヤーごとに一回のみとする。これはゲームの円滑な進行を妨げないための措置である。
● 分割判定について ●
提示された判定について、問題を分割して個別に対処することで難易度の前提が変化する場合がある。
原作におけるシナモリアキラVSキロン戦に例えるならば、以下のようになる。
「事実上無敵の敵を打倒する」という難易度の高い判定があり、現状では達成値が足りない。
これを「英雄性を貶めて能力を引き下げ」「無敵の仕様の隙を突いて自滅させる」という形に分割することで、個々の判定を達成可能な域に落とし込むことが出来る。
このように、プレイヤーは問題のいくらかを先送りにし、解決可能な問題から対処することで実質的な難易度を下げる事が出来る。
これを分割判定と呼ぶ。分割判定は前提変換の一種である。
分割判定の際、判定は分割した回数だけ行われる。そのため判定と判定の間ではSDによる結果の反映が行われる。
一つ目の判定結果が状況に反映されたことで、二つ目の判定の難易度が上昇する場合もある。
(敵がPCの実力を認め本気を出す、不審な音に気付いて警戒される、など)
● 協力判定について ●
提示された判定について、プレイヤーは複数人で協力して対処することで達成値を合計できる場合がある。
これを協力判定と呼ぶ。
この際、単独では意味をなさなかった呪力が他人の呪力との組み合わせで効果を発揮することがある。
この場合、組み合わせる宣言があればその呪力は有効化される。
協力判定はPLの提案により発生し、SDの承認を受けて実行される。
判定参加者全員で呪力を提出し、達成値を算出。その合計が難易度を上回れば判定成功となる。
この際、提出可能な呪力最大数は個別に課すこと。同値であることが望ましいが、必須ではない。
● 判定への質問と議論について ●
判定に挑む際、プレイヤーはプレイヤー間で議論を行い、状況についての詳しい質問を行うことができる。
SDはPLの質問に対し、キャラクターが得うる情報のみを伝えること。
キャラクターが知らないPL知識や憶測に基づいた質問には解答するべきではない。
また、判定解決に際してのプレイヤーの議論は基本的に認めるべきである。
ただし議論及び質疑応答は短時間で済ませること。長時間に及ぶ場合、SDは予告を入れた後に議論を打ち切ってよい。
目安はその卓のゲームスピードや難易度にもよるが、簡単な状況ならば十五分、難しい状況ならば三十分ほどを目安にするとよい。
質問数で言えば(適切に情報を開示しているものとして)三つから五つほどが目安となる。
参加者のチャット速度や意見の提出間隔なども問題となるため、この問題にはルール上時間制限を定めないこととする。
SDは参加者の様子を見て猶予時間を調整されたし。
コラム:巧遅か拙速か
プレイヤーは難しい局面に際し、当然よりよい作戦を考えようとする。
その場合、議論の時間は長くなる。これは好ましくない。
しかしPLが団結して目標に向かっている状態は、セッションとしては良い傾向だ。
第二原則に照らすにしても、ゲームの進行を損ねてはいるものの、ここで議論を中断となるとPLのストレスになることは明白である。
このときSDは、議論を中断させるべきか継続させるべきか。
まずは物語の状況を確認する。その判定が急を要するものか否か。
是であれば議論は中断させるべきで、否なら継続させるべきだ。
非常に重要な、キャラクターの今後を決定づけるような状況でも、議論は継続させたほうが良い。
そうでなければ、基本的には中断の方向で舵を取るべきだ。
議論を継続できる条件は、簡単に揃わない事が多い。
判断材料としては、その卓の様子や傾向を見ることになる。
まず、参加者がロールプレイを楽しんでいる場合。
この場合はプレイを停滞させるよりは、多少粗雑でも行動させた方が良い場合が多い。
ロールプレイの熱気が冷めてしまうと、途端にシナリオがつまらなくなるはずだ。
PLによる議論はロールプレイからかけ離れた行為であり、継続させると没入感が削がれる。
次に、議論の苦手なPLがいる場合、そしてそのPLを置き去りに議論が進んでいる場合。
この場合も議論を中断させる方がよい。PL全員が楽しめていない状態は可能な限り速やかに解決されるべき状態だ。
また、オフラインセッションなど、それまで提示した情報に再アクセスしづらい場合も、議論を長引かせるべきではない。
参加者の記憶を頼りにゲームが進む場合、長い議論はそれを上書きしてしまう可能性がある。
一方、ロールプレイの上手いプレイヤーが多い場合は議論を継続させても良い場合が多い。
時間を置いてもスムーズにロールプレイを再開できる状態ならば問題ない。
情報の参照が容易な状況であればなおよい。
全員が議論に積極的な場合、ロールプレイに積極的でない卓の場合も、議論を継続させるべきだ。
その場合PLは状況によりよく対処することを楽しんでいる筈だからだ。
PLの楽しみを奪わないような選択をすれば間違いはないが、それを徹底するのは難しい。
だがSDだからといって失敗が許されないわけではない。延々と悩む必要はない。
失敗したならば素直に失敗を認め、状態の回復に努めればよいのだ。
SD自身が状況判断に迷っては本末転倒である。
最終更新:2017年08月16日 16:36