機装兵 ジータ(オリジンジータ)
[解説]
アイオライト・プロダクションが開発した第六世代機兵。
この機体本来の機種名はジータであるが、幾多のジータ系機体が開発される後の時代においては、「原初のジータ」の意を込めて「オリジンジータ」と呼ばれた。
この機体本来の機種名はジータであるが、幾多のジータ系機体が開発される後の時代においては、「原初のジータ」の意を込めて「オリジンジータ」と呼ばれた。
この機装兵ジータは、操手にして機装兵技師でもあるカトル・ビーダーフェルトが基礎設計を行った、新機軸の可変機装兵である。
紙飛行機の様な、翼の生えた魔導板の様な浮揚形態に変形するこの機装兵は、対地効果(地面効果とも言う)によって大きな揚力を得て長時間の浮遊を可能にし、単独での長距離の高速移動を可能にした機体だ。
紙飛行機の様な、翼の生えた魔導板の様な浮揚形態に変形するこの機装兵は、対地効果(地面効果とも言う)によって大きな揚力を得て長時間の浮遊を可能にし、単独での長距離の高速移動を可能にした機体だ。
対地効果を応用するこの浮揚形態は、ノヴレスMk-Ⅱでの浮揚装甲における実験結果のデータを元に、更に改良を加えて設計されている。
この件に関しては、第六世代装兵の項目に詳しく記載している。
フラタニティ・フレームによる高速変形は、実際の戦闘時においても瞬時の変形を可能とし、なんら敵に隙を与えなかったと言う。
この件に関しては、第六世代装兵の項目に詳しく記載している。
フラタニティ・フレームによる高速変形は、実際の戦闘時においても瞬時の変形を可能とし、なんら敵に隙を与えなかったと言う。
ところでジータには、カトルが当初意図しなかった実験的な機構が、開発元であるアイオライト・プロダクション技術陣の手によって追加されている。
それがオラクル機関だ。
このシステムは機装兵の魔導炉に組み込まれる形で用いられる。
そして操手の意思を魔力収縮筋を流れるエーテルに乗せる事で、それに乗り手の意思を反映させ、機兵の機体の反応速度やコントロール精度を向上させるものである。
それがオラクル機関だ。
このシステムは機装兵の魔導炉に組み込まれる形で用いられる。
そして操手の意思を魔力収縮筋を流れるエーテルに乗せる事で、それに乗り手の意思を反映させ、機兵の機体の反応速度やコントロール精度を向上させるものである。
幻装兵は科学技術を多用しているため、現代でそのまま再現するには問題があるのだ。
かつての科学技術を魔導工学で置換し再現する試みは、ジータが開発された時期のみならず、今現在(聖華暦830年代)においてもよく行われている。
かつての科学技術を魔導工学で置換し再現する試みは、ジータが開発された時期のみならず、今現在(聖華暦830年代)においてもよく行われている。
この機構を発動させるには、操手が聖痕を持っていなければならない。
上記された戦闘記録において、アプ・リィ中尉がジータに搭乗しているが、これは単に輸送のためであった。
単に起動して動かすだけであれば、聖痕を持っていない操手であっても、オラクル機関搭載型の機体を操縦する事は可能である。
上記された戦闘記録において、アプ・リィ中尉がジータに搭乗しているが、これは単に輸送のためであった。
単に起動して動かすだけであれば、聖痕を持っていない操手であっても、オラクル機関搭載型の機体を操縦する事は可能である。
本来この機体はカトルの専用機である。
アイオライト・プロダクション技術陣はカトルが聖痕持ちのウォルである事を知っていた。
彼らはあまり良い表現とは言い難いが「良い実験材料」だと判断し、ジータへこのシステムを組み込んだのだろう。
アイオライト・プロダクション技術陣はカトルが聖痕持ちのウォルである事を知っていた。
彼らはあまり良い表現とは言い難いが「良い実験材料」だと判断し、ジータへこのシステムを組み込んだのだろう。
[武装・特殊装備]
[電磁魔導砲エクレシオン]
ウォルであるカトルが使用する事を前提とした武装。雷の魔素で弾体を形成し、それを射出する。
所謂法撃型の魔導砲に分類される武器であるが、下手な法撃型魔装兵の装備する魔導砲よりも威力は桁外れに高い。
このため後世の一時期、ジータを魔装兵に分類すべきではないのか、と有識者から意見が出たが、あくまでジータ本体が機装兵としての造りをしている事などから、聖華暦830年現在ではジータは機装兵として扱われている。
ウォルであるカトルが使用する事を前提とした武装。雷の魔素で弾体を形成し、それを射出する。
所謂法撃型の魔導砲に分類される武器であるが、下手な法撃型魔装兵の装備する魔導砲よりも威力は桁外れに高い。
このため後世の一時期、ジータを魔装兵に分類すべきではないのか、と有識者から意見が出たが、あくまでジータ本体が機装兵としての造りをしている事などから、聖華暦830年現在ではジータは機装兵として扱われている。
ちなみに威力こそ桁外れであるが、それこそ消費する魔力も桁が外れて膨大であり、カトルの様なウォルでない者がこの武装を運用した場合、1射ちしただけで魔力切れを起こす事必定である。
上記された戦闘記録においてアプ・リィ中尉が輸送のためジータに搭乗、結果的にカトルを救援したが、この時アプ・リィ中尉は当然ながら本武装を使用せずに、通常型魔導砲を用いている。
上記された戦闘記録においてアプ・リィ中尉が輸送のためジータに搭乗、結果的にカトルを救援したが、この時アプ・リィ中尉は当然ながら本武装を使用せずに、通常型魔導砲を用いている。
この魔導砲は雷の魔石そのもので作られたバレルを使用しており、これには鈍角ながら刃付けがされている。
このためある程度白兵武器として用いる事が可能だが、この場合対象を切ると言うよりは、叩き割る形になる。
このためある程度白兵武器として用いる事が可能だが、この場合対象を切ると言うよりは、叩き割る形になる。
世間一般で言うならば変則的な使い方だが、刃を形成している魔石へ瞬間的に大量のエーテルを送り込む事によって、剣そのものが自壊するも異様なまでに強力な破壊効果を得る事が出来る。
これを利用し、敵機に刃を捩じ込んだ状態で刃を炸裂させる事で、まさしく必殺の一撃となるのだ。
本機はこの戦法を前提に作られてる為、使い捨てに出来る剣を大量に背負う形となったのである。
これを利用し、敵機に刃を捩じ込んだ状態で刃を炸裂させる事で、まさしく必殺の一撃となるのだ。
本機はこの戦法を前提に作られてる為、使い捨てに出来る剣を大量に背負う形となったのである。
[魔剣・レヴィオンの雷]
機装兵ジータが背負う6本の魔剣のうち、半数は雷の魔石で作られており、名を「レヴィオンの雷」と言う。
本機において想定される用い方は「トロイメライの焔」と同様、敵機に刃を捩じ込んだ状態で刃を炸裂させ、必殺の一撃を送り込むと言う物である。
そのためこの機体は、多数の魔剣を装備しているのだ。
機装兵ジータが背負う6本の魔剣のうち、半数は雷の魔石で作られており、名を「レヴィオンの雷」と言う。
本機において想定される用い方は「トロイメライの焔」と同様、敵機に刃を捩じ込んだ状態で刃を炸裂させ、必殺の一撃を送り込むと言う物である。
そのためこの機体は、多数の魔剣を装備しているのだ。
[変形プロセスについて]
本機の全身に見られる丸く突き出たリベットは、浮揚装甲を固定する為のボルトである。
装甲を浮かせて移動し異なる地点で再固定する事で可変機能を獲得した本機だが、最初期の浮揚装甲を利用した可変装兵であるが故、装甲のポジション移動後にパーツ位置を強固に固定するボルトが、各所に存在する。
装甲を浮かせて移動し異なる地点で再固定する事で可変機能を獲得した本機だが、最初期の浮揚装甲を利用した可変装兵であるが故、装甲のポジション移動後にパーツ位置を強固に固定するボルトが、各所に存在する。
浮揚形態への変形プロセスは、まず肩部装甲が倒れ、脚部がコンパクトに折り畳まれ、膝装甲がスライド移動する。
シールドが頭部を防護するように被さり、右腕に魔導砲が担架される。
そして全身のボルトが各パーツの位置を固定し、浮揚形態が完成する。
この形態は、広い面積と超低空による対地効果(地面効果)をもって、高い浮揚効果を発揮。
更には魔石製の翼を利用する事で安定した高速航行を可能としたのである。
シールドが頭部を防護するように被さり、右腕に魔導砲が担架される。
そして全身のボルトが各パーツの位置を固定し、浮揚形態が完成する。
この形態は、広い面積と超低空による対地効果(地面効果)をもって、高い浮揚効果を発揮。
更には魔石製の翼を利用する事で安定した高速航行を可能としたのである。
この時、垂直尾翼の役割を果たす分厚い二対の剣は、安定性の向上の他、主翼になる剣が戦闘中に損失した場合の予備の翼の役割も果たす。
理論上では剣を2本温存すれば、可変状態での低空滑走は可能ではある。
だがもちろんの事、浮揚を補助する魔石の量が減るので航行速度は落ちる事になる。
理論上では剣を2本温存すれば、可変状態での低空滑走は可能ではある。
だがもちろんの事、浮揚を補助する魔石の量が減るので航行速度は落ちる事になる。
[ショートストーリー]
カトルは窮地に陥っていた。
彼の乗機ノヴレスMk-Ⅱは、ジェライ・アルダ・メサが駆る試作型機装兵カーディナルに背後から組みつかれ、独立して稼働する肩部スパイクにより盾ごと左腕を引き千切られていたのだ。
彼の乗機ノヴレスMk-Ⅱは、ジェライ・アルダ・メサが駆る試作型機装兵カーディナルに背後から組みつかれ、独立して稼働する肩部スパイクにより盾ごと左腕を引き千切られていたのだ。
「くっ……!!」
『カトルうううぅぅぅ!!これで終わりにする!!』
「くそっ!」
『何!?』
『カトルうううぅぅぅ!!これで終わりにする!!』
「くそっ!」
『何!?』
ノヴレスMk-Ⅱの各関節が嫌な音を立て軋む。
対抗不能だ。
カトルは已む無く前面装甲を破棄、機体を捨て脱出する。
一瞬驚いたジェライだったが、ほくそ笑んでノヴレスMk-Ⅱの機体を放り出すと、カーディナルに魔導砲を構えさせた。
対抗不能だ。
カトルは已む無く前面装甲を破棄、機体を捨て脱出する。
一瞬驚いたジェライだったが、ほくそ笑んでノヴレスMk-Ⅱの機体を放り出すと、カーディナルに魔導砲を構えさせた。
そして砲声が響く。
『ジェライ!』
『何!?うぉあっ!?』
『何!?うぉあっ!?』
ジェライの同僚の、マリナ・ファレオが警告の声を上げた。
しかしそれは間に合わず、ジェライ機の右腕肘関節に着弾の火花が走り、魔導砲ごとカーディナルの右腕は吹き飛ぶ。
間接貫き……。
ごく一部の操手のみが会得していると言う、魔導砲で機装兵に対抗するほぼ唯一の手段である。
しかしそれは間に合わず、ジェライ機の右腕肘関節に着弾の火花が走り、魔導砲ごとカーディナルの右腕は吹き飛ぶ。
間接貫き……。
ごく一部の操手のみが会得していると言う、魔導砲で機装兵に対抗するほぼ唯一の手段である。
思わずカトルは息を飲み、砲撃の来たそちらを見遣った。
その方角、まだかなりの距離があるが、そちらの地表すれすれに土煙を立てて浮遊走行してこちらへ向かっている、大型の魔導板とも思しき機体が見えた。
だがそれの上には、何も乗っていない。
魔導板であるならば、機装兵の1機なりと乗せていてしかるべきなのだが。
その方角、まだかなりの距離があるが、そちらの地表すれすれに土煙を立てて浮遊走行してこちらへ向かっている、大型の魔導板とも思しき機体が見えた。
だがそれの上には、何も乗っていない。
魔導板であるならば、機装兵の1機なりと乗せていてしかるべきなのだが。
カトルは、その機体をジ-タと呼んだ。
それは彼が考案して基礎設計を行った、浮揚形態への可変機構を搭載した新型機装兵である。
しかし彼は実戦任務に忙殺され、実際の開発がどこまで進んでいるかなどは、知る事ができなかったのだ。
その機体が、彼の窮地を救った。
カトルは、運命とでも言おうか、何か因縁めいた物を感じずにはいられなかった。
それは彼が考案して基礎設計を行った、浮揚形態への可変機構を搭載した新型機装兵である。
しかし彼は実戦任務に忙殺され、実際の開発がどこまで進んでいるかなどは、知る事ができなかったのだ。
その機体が、彼の窮地を救った。
カトルは、運命とでも言おうか、何か因縁めいた物を感じずにはいられなかった。
ちなみにアプ・リィ中尉はベテランでこそあるが、間接貫きなどできる射撃技量は持っていない。
先ほどの射撃は、カトルが危ないと見たアプ・リィ中尉が、せめて牽制にでもなればと撃ってみただけだったそうだ。
カトルは自分が本当に運よく助かっただけである事を知り、背筋に冷たいものが流れたのだった。
先ほどの射撃は、カトルが危ないと見たアプ・リィ中尉が、せめて牽制にでもなればと撃ってみただけだったそうだ。
カトルは自分が本当に運よく助かっただけである事を知り、背筋に冷たいものが流れたのだった。