アラジビの拳 その1

3: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:12:30 ID:yCXmhm9Y00
アライさんで学ぶ拷問・処刑の者です。
別口でちまちま書いていたのが、軌道に乗りそうなのであげます。

アラジビの拳 その1



4: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:13:27 ID:yCXmhm9Y00
とある町。早朝、一人黙々と正拳突きを続ける男の姿があった。
何時間鍛錬を続けているのであろうか、全身は玉のような汗が吹き、足元には水溜まりがつくられている。

しばらく正拳を突き続けた後、全身を拭き清め着替えてから、男は町の一角へと足を進める。

少し古い建物であるが、造りはしっかりとした店。
店の名は「食獲者」、知る人ぞ知るアラジビ料理の老舗である。


5: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:15:00 ID:yCXmhm9Y00
カランカラン
「今日は、少し遅かったな。鍛錬に熱が入ってたのと違うか?」

男は黙ったまま、カウンターの奥の隅の席に座る。
「アラフライ定食、一つ」、この日初めて男が口を開く。

「おう、いつものだな」
店主は慣れた調子で答えると、調理用のボールに小麦粉、卵、出汁を手早く溶き、油を入れた鍋に火をかける。

「ったく、こんな朝早くに店開けてもお前さんくらいしか来ねーんだけどな。アラジビ以外にも旨い飯なんぞ、幾らでもあるだろうに」
事実、早朝の店内には男と店主しかいない。店主が男にブツクサ言い、男がそれを黙ったまま聞いているのも毎日のことであった。


6: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:16:15 ID:yCXmhm9Y00
「よし、と。今日のアライちゃんは山奥で捕獲された奴だから、風味が一味違うぜ」
調理の準備を終え、奥の食糧貯蔵庫から鉄かごを取り出す。
中には生後3-4カ月程のアライグマのフレンズ(通称アライさん)が一匹。この位の幼獣はアライちゃんと一般に呼ばれる。

「むにゃむにゃ。うゅ?何か明るいのぁ、もう朝なのら?」

「よし、お前腹空いてるだろ。朝飯にするぞ」

「やったのらぁ!あらいしゃん、きのうからおみずしかのんでらいから、おなかがくーくーなのらぁ!はやくたべたいのら」

調理用のアライさんは、しっかりと糞抜きして、消化管の中も空っぽにするのが美味しいアラジビの基本中の基本である。


7: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:17:29 ID:yCXmhm9Y00
「それじゃ、下ごしらえをするぞ。この中に入りな」

アライちゃんを出すと、そのままボールの中に入れる。

「このドロドロしたの、おいしそーなのりゃ。たべぅのらぁ。」ペロペロペロペロ

溶き汁を一心不乱に舐めるアライちゃん。全身は頭の先から、爪先、尻尾に至るまで溶き汁まみれである。

8: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:18:41 ID:yCXmhm9Y00
「うぅ~、これあんまりおいしくないのらぁ。もっともっとおいしいのがほしいのらぁ」
「よしよし、じゃあ次はこっちに移ってな。美味しいのが出来るからよ」

べとつくアライちゃんを、今度はバットに移し、パン粉をまぶしていく。

「のぁー。あらいしゃん、こなだらけなのりゃ。うぇっ、ぺっ、ぺっ。これもあんまりおいしくないのりゃ。はやくおいしいごはんたべたいのりゃー」

下ごしらえが完了した。店主は熱々の油が入った鍋に溶き汁を垂らす。しゅわー
心地よい音がして、小麦色の天かすが浮かんだ。準備万端。


9: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:20:38 ID:yCXmhm9Y00
「よし、それじゃいくぞ」
「ごはん♪ごはん♪」シッポフリフリ

菜箸でアライちゃんを、むんずと掴み、おもむろに鍋に投入する。


じゅわわー ぱちぱち
「あぢゅいのだあああああああああっ!?あづいぃぃぃぃぃぃぃっ!やめでぇっ!ひとしゃん、やめでぇっ!」ジタバタジタバタ
「おら!暴れるんじゃあねえ!油が跳ねるだろうが!」


10: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:22:40 ID:yCXmhm9Y00
「あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!びどじゃん、うぞづいだのだぁ!あらいじゃんに、おいじいごはんぐれるっで、いっだのだぁぁ!」
「あらいしゃんにひどいごどじないでぇぇ!」バダバタバダバタ

「俺は何も嘘ついちゃいねーよ。『おまえで』旨い飯を作ってるんじゃねーか」


11: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:23:59 ID:yCXmhm9Y00
既に煮えたぎる油で全身を熱せられ、手足をうまく動かせないアライちゃん。
それでも、力を振り絞り菜箸を掴みよじ登り、必死の抵抗をする。

「ぁ、あらいじゃんは!い、いぎのごるのりゃぁ!い、いっばいおいじいおやじゃいだべで、おおぎぐなうのだあ!」グググ

「それで、人の作った野菜畑や果樹園を荒らす、ってか。オラッ、テメエが美味しく食われちまいな!」
アライちゃんを掴み直すと、そのまま鍋深くに沈める店主。

「やめっ、ごぼぼ!ごぼごぼ」ブクブク


12: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:25:25 ID:yCXmhm9Y00
しばらく、手足や尻尾を動かしていたアライちゃんであったが、徐々に抵抗を失う。
そして、全身に付いた溶き汁とパン粉がきつね色に変わる頃には全く動かなくなり、ぷかーっと浮かんだ。

充分に火の通りを確認した店主は、揚げられたアライちゃんを取り出し、まな板でザクザクと切っていく。
添え物の千切りキャベツ、ごはん、味噌汁をつければ完成である。

「お待ち!アラフライ定食!」


それまで身動ぎ一つしなかった男が、両手を合わせ一言。

「いただきます」


13: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:26:22 ID:yCXmhm9Y00
苦しみ抜いたアライちゃんは、苦悶の表情のまま固まっている。
慣れていない人であれば食欲を失うであろうソレを、男は躊躇いもなく口に運んでいく。

サクサク ポリポリ
サクサク ポリポリ

揚げ物は、揚げたてが命。
充分に揚げられたアライちゃんは、骨も軟骨も爪も全身無駄無く食べられる。

サクサク ポリポリ
サクサク ポリポリ


14: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:27:21 ID:yCXmhm9Y00
男は食事中も一言も言葉を発しない。店主もそれを知っているので男に声はかけず、煙草を燻らせ新聞を眺めている。

10分ほど経って、男が再び両手を合わせて一言。
「ごちそうさま」

「おう、いつも気持ちいい食いっぷりだな。アラフライ定食、二千円な」
男は黙ったまま会計を済ませると店をあとにした。


15: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:28:23 ID:yCXmhm9Y00


増えすぎたアライさんによる農業、畜産業への被害甚大化、狩猟従事者の高齢化によるアライさん猟の規模縮小。
これらを受け、国は公式のアライさん狩猟協会を発足させ、アライさんの捕獲狩猟に対し褒賞金を出す為の特別法を改正した。

こうして、生まれたのが、通称アライさんハンターである。


16: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:29:24 ID:yCXmhm9Y00
個体差はあるが、通常アライさんは知能では人間に劣るものの、筋力や俊敏性は人間を上回る。
人間が武器無しにアライさんと近接戦闘を一対一で戦うのは無謀と言える。
故に、アライさんハンター達は遠距離から攻撃出来る銃やボウガンで武装し、各種罠を敷設し、集団でアライさん猟を行うのが普通である。



普通ではない、一人の男を除いて。


17: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/21(月) 03:32:41 ID:yCXmhm9Y00

導入編なので今回は短めですいません。


アラ虐RPGで「アライさんの死体」が100個貯まりました。


18: 19vndrf8Aw★ :2019/01/21(月) 22:16:09 ID:???00
乙です!続きが楽しみです
アライちゃんには言葉の暴力を浴びせるのもいいですよね


19: 名無しさん (ワッチョイ 1d9a-8794) :2019/01/22(火) 01:30:30 ID:yCXmhm9Y00
特に高尚なテーマとかは無いんです。
アラ虐RPGが楽しくて、ゲーム内でアライさんをワンパンばかりしてました。
あー、これで一本SS書けないかなーと思い、始めました。
拷問・処刑シリーズの方が一回きりだから、作りやすいんですよね





最終更新:2019年04月09日 00:34