彼女はアライさんではない・前編

52 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 0512-lIef)[sage] 投稿日:2017/10/09(月) 09:34:34.57 ID:aUT5QCvf0 [1/8]
アライさんと人間その他フレンズの共存は不可能である。

それは紛れもない事実であり、故にアライさんは駆除対象の害獣である。

そう、アライさんとの共存は不可能である。

だが、アライさんがアライさんでなくなれば共存は可能なのではないか?

頭の片隅に常にある疑問である。

……ちょっと待ってほしい。

諸君らは私の抱く疑問からコイツアラ信じゃね?と思っただろう。

しかし、私は断じてアラ信などではない。

この疑問が私の頭から離れないのは純粋な興味である。

一口には言えないがアライさんが生存不適格な生命である原因はいくつかある。

その原因を取り除いてやれば、アライさんとて社会で生きて行くことが可能なのではないか?

というわけで、私はアライさん駆除業者と連絡を取り合い、妊娠中のアライさんを手に入れることが出来た。

素敵快適インターネット、万歳。


53 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 0512-lIef)[sage] 投稿日:2017/10/09(月) 09:35:47.16 ID:aUT5QCvf0 [2/8]
さて、早速だが何故妊娠アライさんなのかと言う諸君らの疑問に答えねばなるまい。

答えはひとつ、生まれて間もないアライさんがこれから行う実験に必要だったからだ。。

今までの研究でアライさんは他のフレンズのように社会で生きていくことは不可能であると証明されている。

しかしながら、その研究は全てアライさんをアライさんのままで進めてきたものである。

つまり、アライさんをアライさん足らしめる様々な要因を排除すればもしかしたら社会で生きて行ける個体が誕生するのではないか?

故に妊娠アライさんを手に入れたのである。

産まれたその瞬間から、アライさんであることを否定させるために。

アライさん「あ゛ぁ゛っ、の゛ぁあああっっ!!!のだあああぁああ!!!」バタバタバタ

実に気持ち悪い動きだ、今すぐ殺処分したいところだがここは我慢である。

というわけで、この吸音スポンジを口に詰め込むこととする。

アライさん「ふぐぅぅうううっ!ぐぅぅううううっ!!!」 ジタバタバタ

多少不快感は減ったが、私の我慢はもっても精々三日が限界だろう。

早いところアライちゃんを産み落としてほしいものだ。

アライさん「お、のっ、のだぁぁぁぁあああああっ!!」ビシャシャ ビシャッ

良かった、私の我慢が限界を迎える前に産んでくれたようだ。

アライちゃん1「のぁぁ~」プルプル

アライちゃん2「なのぁ~」プルプル

二匹生まれたようだ。


54 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 0512-lIef)[sage] 投稿日:2017/10/09(月) 09:39:15.96 ID:aUT5QCvf0 [3/8]
先に生まれた方を持ち上げると、おもむろにその耳を思い切り引きちぎる。

アライちゃん1「ぴぎぃいいいいいい~~~~~~!?アライしゃんのおみみがいちゃいのぁ~~~!!」ビェェェン

なんということだ、産まれた直後にして既に自らがアライさんだと自覚しているのか。

早くも実験の破綻の予兆を感じながらも私は血だらけの耳の跡に向かって囁いた。

――――お前はアライさんではない。

アライちゃん1「なにいってるのぁ~!アライしゃんはアライしゃんなのぁ~~!!」ビェェェン

――――違う、お前はアライさんじゃない。

そう言い聞かせながら今度は痛みで身をよじるせいで不愉快にぶんぶんと揺れている尻尾を鷲掴む。

アライちゃん1「ぴぎっ!?アライしゃんのしっぽをつかまないでほしぃのぁ!」

――――お前はアライさんじゃない。だから毛だらけの尻尾も耳も必要ない。

生まれて間もないアライちゃんの身体は成体に比べて脆く、強めにひっぱってやれば尻尾は容易に引きちぎれる。

アライちゃん1「ぴぎゃぁぁぁああああぁぁぁあああぁぁあああ~~~~~~~~~!!!!」ブチブチィッ

ああ、不愉快な悲鳴だ。

首も引きちぎってやりたいところだが、それでは何の意味もない。

殺意を押し殺し、耳のあったところにゆっくりとした口調でまた囁く。

――――お前は、アライさんじゃ、ない。

アライちゃん1「いちゃぁああいっ、いちゃいのらぁああああああ~~~!!」ビェェェ

のぁ、のや、のら、のだ、鬱陶しい語尾である。

先人たちには本当に頭が下がる。

これ程までに鬱陶しいアライさんの生態を調べるべくこの湧き上がる殺意をじっと押し込めていたのだろうから。

そして、先人に出来たことが私に出来ないことはないだろう。

あらかじめ用意しておいた裁縫セットに手を伸ばす。

取り出したるは実に一般的な縫い針、糸は通し済みだ。

これをどうするか?


55 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 0512-lIef)[sage] 投稿日:2017/10/09(月) 09:41:57.98 ID:aUT5QCvf0 [4/8]
決まっている、放っておいたら何度でも生えてくると言う耳と尻尾が二度と生えてこないように……

アライちゃん1「ぴぎぃいいいいっ!!?いちゃいとこがもっといちゃいのぁあああああ~~~!!!」ビクビクビクッ

傷口をきつく縫い合わせるのだ。

五月蝿く泣きわめくコバエにもう一度囁く。

――――お前はアライさんじゃない、だから耳も尻尾もない。

アライちゃん1「ちがうのぁ!アライしゃっ、かっ、は……」ブルブルブル

こうも毎回否定するのではらちが明かない。

なので、いちいちうるさい喉笛を窒息しない程度に締め上げて声が出ないようにさせた。

その上で改めて告げる。

――――お前はアライさんじゃない。

何か言いたげなその目を私からこのコバエの母親、いやコイツはもうアライさんじゃないから母親ではない。

只のアライさんとその子どものアライちゃんにコバエの視線を向けさせ、私は囁く。

――――あいつらはアライさんだ。

言いながら金属バットに手を伸ばす。

しっかりとした金属の感触を確かめながらそれを大きく振り上げる。

アライさん「もぉー!んもぉーー!!」バタバタバタ

アライちゃん2「おかーしゃんがいじわゆすゆのや~~!!おっぱいのませてくれないのや~~~!!」ビェェェン

暴れないように縛り上げているから乳をやれないのであって意地悪をしているわけではない。

一目見ればわかることなのだが、アライちゃんにはそんなことすら理解できない。

なのに、コイツらは悪知恵だけは働き、多くの農家や漁師、そして一般家庭に多大な被害を与えるのだ。

やはり、ああやはりアライさんはこの世から一匹残らず駆逐しなくてはならない。

駆除、駆逐、殲滅。

アライさんは殺す。

手の中で暴れるコバエに告げる。

――――お前はアライさんじゃない。

だから、お前は殺さない。


56 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 0512-lIef)[sage] 投稿日:2017/10/09(月) 09:45:02.02 ID:aUT5QCvf0 [5/8]
次に、アライさんとアライちゃんに告げる。

――――お前らはアライさんだ。

だから、お前らは殺す。

アライさん「んもごぉっ、んもぉおおーーー!!!」ジタバタバタ

アライちゃん2「おかーしゃんはいじわゆするからもういやないのや!ヒトしゃん、すきすきなのや~!おいしーものくれたやもっとすきすきなのぁ~!」ヨチヨチヨチ

何コイツ、プチッとやりたい。

……いかんいかん、もう少しだけ我慢しなくては。

コバエにこれから行うことを説明する。

――――私は、アライさんは殺す。

アライちゃん2「ヒトしゃ~ん…… のぁ?」スリスリスリ

気持ち悪い笑顔を振りまきながらすり寄ってくるアライちゃんの頭上に足を掲げる。

――――アライさんは、殺す。

やっと、やっとこの不快害獣を殺せる。

万感の思いを込めてアライちゃんの頭部目掛け踵を力強く落とす。

アライちゃん2「ぷぎっ」グチャ

アライさん「!!?」ビクゥッ

アライちゃん2「――――」ドタッバタッジタタバタッビグンビグンッビグンビグンッ

まったく、生まれて間もない個体でもこのゴキガイジムーブが出来るのか。

生まれたときからアライさんはどうしようもないほどにアライさんなのだろう。

アライさん「ぶぐぁああああっ!ああああああっ!!!」ダァンッ

何と、縛られて碌に動けないはずのアライさんが立ち上がっている。

出産するのに足の動きを制限するのはまずいと判断し、脚まで縛らなかったのが原因だろう。

アライさん「もぁ~」ダッ

黙って突っ込んでくればいいのにわざわざこれからいくぞと掛け声なんぞ出さずとも……


57 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 0512-lIef)[sage] 投稿日:2017/10/09(月) 09:48:13.96 ID:aUT5QCvf0 [6/8]
アライさん「もぁっ!?」ドタッ

軽く身を捻るだけで簡単に避けられるタックルにもかかわらず、どうしてなのだという表情で倒れ込むアライさん。

本当にアライさんは阿呆である。

阿呆のくせに、生きることにはずる賢い。

生きている資格などないくせに、生きようとする力は生半可なものではない。

だから、駆除するのに多大な労力が必要となる。

本当に、本当に心の底からムカついて、イラついてくる。

起き上がろうとジタバタと足掻くアライさんに近づきつつコバエにもう一度よく言って聞かせる。

――――アライさんは、殺す。

もう片方の手に持っていた金属バットがようやくその務めを果たす。

高々と掲げたそれをアライさんの頭目掛け全力で振り落とす。

アライさん「おぼっ」ゴスッ

頭蓋骨の感触だろうか、金属バットを通じてビリビリとしびれが来る。

成体のアライさんの骨は頑丈で、やはり一撃で仕留めることは難しいようだ。

――――アライさんは、殺す。

アライさん「あびょっ」メリィ

声を出しながらだとより力を発揮できるらしい。

――――アライさんは殺す。

アライさん「おげぇっ」バキャッ

叫びながらアライさんの頭を何度も何度も叩く。

赤い血が飛び散る。

どうしてこんな害獣の血でさえ赤いのだろう。

赤くさえなければ、より気持ち悪い生物と言うことで駆除の推進も楽になるだろうに。

他の生き物と同じ赤い血を流していて申し訳ないとは思わないのか、アライさんは。


58 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 0512-lIef)[sage] 投稿日:2017/10/09(月) 09:50:40.97 ID:aUT5QCvf0 [7/8]
―――――アライさんは、殺す!

アライさん「―――――」ドタッバタッジタタバタッビグンビグンッビグンビグンッ

む、ゴキガイジムーブをするということはもう死んだということか。

しまった、どうせならもっと惨たらしい殺し方をしてコバエにより強いトラウマを受け付けるべきだった。

まだ手の中で暴れているようだし…… ん?

生温かい水気を感じる。

アライちゃん1「もぁぁ…………」ショワァアア

恐怖のあまりコバエが失禁していたようだ。

あの程度の虐殺でも植え付けたトラウマはなかなかのもののようだ。

激しい動悸を見せるコバエに改めて確認する。

――――アライさんは殺す。で、お前はなんだ?

ところが、コバエはあろうことか何も答えようとしない。

……おっと、そういえばさっきから声が出ないように首を軽く締めていたんだった。

声が出せないように押し潰していた喉から手を放してやる。

アライちゃん1「か、ひゅっ、はひゅー、ひゅー」ケホッ ケホッ

ようやくまともな息ができるようになったコバエにもう一度聞く。

――――お前は、なんだ?

アライちゃん1「あ、ありゃいしゃんはぁ、あ、ありゃいしゃんじゃ、ないのぁ……」プルプル

――――今、なんて言った?

アライちゃん1「ありゃいしゃんは、ありゃいしゃんじゃないって、いったのぁ……」ゼーハー

馬鹿なことを言うコバエの身体を強めに握ってやる。

すると、肋骨が軋みを上げている感触が伝わってきた。

アライちゃん1「あぎゃぁあああああっ!!がっ、のぁあああああああっっ!!!」ギリギリギリ


59 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 0512-lIef)[sage] 投稿日:2017/10/09(月) 09:54:25.03 ID:aUT5QCvf0 [8/8]
……それにしても不思議である。

他のどんな生き物でもこのような悲痛な叫びを上げれば、それを聞いた者は異常者でもない限り普通はかわいそうだと思うだろう。

だと言うのに、アライさんがどのような悲鳴を上げていようとそれをかわいそうと思う者は皆無なのだ。

アラ信のような気狂い共が可愛そうだと言うぐらいで。

かく言う私もかわいそうとは思わない一人である。

寧ろ、この悲鳴が心地良い。

しかし、実験中なのでこのまま殺すわけにはいかない。

手の力を少し緩めてコバエにまた聞く。

――――お前は、なんだ?

アライちゃん1「あ、ああ…… ありゃいしゃぁあぁあああああぁぁあぁああああっ!!!」ギリギリギリ

ここまで痛めつけているのにまだ理解できていないのか。

やはりアライさんと言うのはどうしようもない生き物である。

でも、ここは我慢である。

――――もう一度だけ聞く。お前はなんだ?

アライちゃん1「うぁ、ぁ…ありゃ、うぅぅ…… あたしは、ありゃいしゃんじゃ、ないの…ぁ……」ガクッ

しまった、やり過ぎたか。





最終更新:2018年04月06日 22:17