アライさんとフェネックの子育てごっこ2

173 名前:アライさんとフェネックの子育てごっこ[sage] 投稿日:2017/06/15(木) 02:49:04.02 ID:BLM8TdKy0 [9/16]

 【2日目】

アライさん 「フェネックー! たいへんなのだ、一大事なのだっ」
フェネック 「どうしたのー?」
アライさん 「ちびが、消えてしまったのだ!」

  ◇  ◇  ◇

アライさん 「いなくなったのだー! ちょっと目をはなした隙に…」
フェネック 「おー。それはほんと一大事だよ」

   ちなみにアライさんは『ちょっと』のつもりだが、ちびを放置してキレイな色をした虫を追いかけて
   遊んでいたので、ガッツリ15分ほど目を離している。

アライさん 「チビのやつ、歩けるようになったのか……」 わなわな
フェネック 「(それはないと思うけどー)」
アライさん 「歩き回って、もし崖から落ちたり、セルリアンに食べられれたりしたら大変なのだ…ッ」
フェネック 「落ち着こうよアライさんー」


フェネック 「私はこの大きい耳で音を拾うからさ、アライさんはにおいを追って? 2人で見つけよう」
アライさん 「わ、分かったのだ。フェネックはいつも冷静で頼りになるのだ」

フェネック 「……んー」
アライさん 「くんくん……」

    ラッキービースト【カイシュウチュウ……カイシュウチュウ……】
    ミニアライ 「のだ♪ のだ♪」

フェネック 「……こっちの方から、声がするねー」
アライさん 「ちびのおしっこのにおいもするのだ…」

  ◇  ◇  ◇



174 名前:アライさんとフェネックの子育てごっこ[sage] 投稿日:2017/06/15(木) 02:51:17.86 ID:BLM8TdKy0 [10/16]

アライさん 「ボスっ」
   30mほど離れた獣道で、ラッキービーストが、ミニアライさんを耳と耳の間にはさんで運搬していた。

   サンドスターの反応失敗現象により、不完全なフレンズが生まれてしまうこういったケースは、実は意外と少なくない。
   そして“失敗フレンズ”は、まず生きる機能をもたず、苦しんで生き絶える。ときとして、誰にも知られることなく。
   パークの生態系と景観維持等のため、他のフレンズやお客様の目に振れないうちに速やかに“回収”し、しかるべき処分をする──
   それもまた、パークの運営管理側にとっては怠ることが許されない仕事の一つでもあった。


   ミニアライさんは、ボスの頭の上で、楽しそうに『のだのだ』と歌っている。
   自分では歩けない代わりに乗り物を手に入れた気分なのか、いままでで一番愉快げである。
   そして漏らしている。 

アライさん 「あー! ボスがチビを連れて行こうとしてるのだぁー!」

   全速力で駆け寄るアライさん。

アライさん 「ちび! いまアライさんが助けるのだー! がおー!なのだ」 ガバッ
ボス 【アワワワワ……】

アライさん 「この赤ちゃん泥棒! ボスにもひどいヤツがいるのだ! チビの分のじゃぱりまんは用意しないくせに! アライさんの猛攻撃を食らうのだ!」 ガジガジ
ボス 【フレンズ ニヨル、暴行、発生───閾値超過 アラート、アラート! 非常事態! 警告信号発令! 同エリア ノ オ客様ニ タダチニ避難誘導───自己防衛ノタメ、一時退避シマス】

   てこてこと逃げ帰るラッキーさん。

フェネック 「すごいよアライさーん。いままでで一番強かったよ」
アライさん 「ふっはっはー! わるものを追い払ってやったのだ!」
フェネック 「これぞ母の愛だねえ。……勘違いなんだけどね」

ミニアライ 「のだ……」ショボン…



175 名前:アライさんとフェネックの子育てごっこ[sage] 投稿日:2017/06/15(木) 02:53:29.88 ID:BLM8TdKy0 [11/16]

アライさん 「そうだちびっ 勝ち誇ってる場合じゃなかったのだ! 怖い思いさせてすまなかったのだー!」
ミニアライ 「のだ……のだ……」 ←ボス乗り遊びをジャマされて悲しい
アライさん 「もうだいじょうぶだぞっ、ちび。こわいボスは、いなくなったのだ!」

   よいしょと持ち上げるアライさん。

ミニアライ 「……」
アライさん 「まだこわいのか? ダイジョウブなのだ、 もう二度とちびがドロボーされないように、
  今日からアライさんが、寝ないで見張っててやるのだ」
フェネック 「うーん」「でも、アライさんどうせ寝ちゃうからー」
アライさん 「寝ないのだっ!」
フェネック 「……私、穴を掘るのは得意だからさ」

   ざくりざくりと地面を掘って『ちびのための巣』を作ってみせる。

フェネック 「こんな風に、ボスが入れないくらい狭い穴に隠しておこっか。
    それで、穴の前で2人で眠ろうよ。それなら大丈夫だよ」
アライさん 「ふぇ、フェネック、すごいのだ~! アライさんはかんげきしたのだ」
ミニアライ 「のだ のだ」 ←脳もミニサイズなのでもう先程の悲しみを忘れた。


  ◇  ◇  ◇




最終更新:2018年04月03日 00:01