マーカス内戦(マーカス語:
MARKASEN AVDZIRG)はシンテーア暦1740年から47年までのおよそ7年間の間に行われた内戦。または代理戦争。ヤラック・ティラルドー率いる
リヴァダー社側(通称
リヴァダー派)と、オーリル・ゴスデ率いる
アイローム社側(通称
アイローム派)との間に起こった企業対立、または暴動、あるいは内戦、紛争、戦争である。
内戦勃発までの経緯
好景気と巨大軍需産業の台頭
マーカス連邦のアンドロイド産業は1683年の
ジエール・サーヴァリア戦争、1684年の
グロスクロイツ・ベリオン戦争への軍事支援として始まって以降、それをきっかけに急速に銀河中で勢いを増し
サーヴァリア企業連合、
ヴァルエルク共和国を中心に兵士型アンドロイドの製造・輸出で空前の好景気を迎えた。そんな中、マーカス連邦内で特に抜きんでていた二大大企業が、
アイローム社(マーカス語:
ALTIEGSCIRZ A'IRAUM)と
リヴァダー社(マーカス語:
ALTIEGSCIRZ-DLIVADIR)で、これらの二社は規模も互角だったためライバル企業となっていた。マーカスの軍需産業は経済戦争時代の大戦景気で得た莫大な利益によって発展し、マーカス政府はアンドロイドを含むロボティクス産業に補助金を出した。そのため、1690年代からマーカス内戦頃まではマーカス連邦はアンドロイド工学技術分野において銀河を牽引していた。
企業政党の成立
1690年代、マーカス政府では政府高官の脱税や大統領の女性問題などが原因で政府に対する求心力が急激に低下していた。国民は政府よりももっともらしいスローガンを国民に掲げている二大企業を頼ろうとした。企業政党容認派の急進派政党「国民の歯車」が急激に勢力を伸ばし、次の1692年の選挙において「国民の歯車」は与党になり、最終的に連邦国民議会は憲法改正によって企業政党を容認することとなった。このタイミングで連邦国民議会は国家の制御能力を喪失し、アイローム社の企業政党であるアイローム党とリヴァダー社の企業政党であるリヴァダー党、そして多数の企業政党が乱立することとなった。
その後、「国民の歯車」はいくつかの政策に失敗し、与党はリヴァダー党とアイローム党の二つが政権ごとに入れ替わる時代を迎えた。世紀末の1699年、リヴァダー社とアイローム社の宇宙船交通事業の路線が競合し、これがきっかけで企業対立が起こり始める。
高度ロボティクス時代
1726年、アイローム社のエルミア人技師
ゼラエ・ストラメウトが
エゴイズム思考AIを発明。従来のアンドロイドは柔軟な思考能力は持つもののエゴを持たず、クリエイティビティがなかったが、エゴイズム思考AIはそのような欠点を改善し、限りなく「人間らしく」することができるようなプログラムであった。この発明はアンドロイド技術の長年のブレイクスルーとなり、たちまち国際ムーブメントとなった。
このようなきっかけから、銀河のあらゆる国と地域でアンドロイドは軍事用のみならず、家庭用、業務用などに広く利用されるようになった。それに比例するようにアイローム社、リヴァダー社ともに今まで以上にさらに増収することに成功し、銀河レベルの巨大企業に発展していくこととなった。
また、この頃から両巨大企業のアンドロイド設計思想が定まるようになってくる。ゼラエ・ストラメウトによってエゴイズム思考AIに注力しているアイローム社は「
人間の友達になれるアンドロイド」という思想の下、「人間らしい」アンドロイドの開発を、遅れてエゴイズム思考AIを開発したリヴァダー社は、より機能と有用性を重視した「
人間の道具になれるアンドロイド」という思想の下、「優れた能力を持つ」アンドロイドの開発を以降進めて行くこととなる。
企業間の対立
しかし、1728年に起こったアクースアイローム支社がツーンカのアンドロイド市場に登場した際の不祥事、1730年の複数のアンドロイド知性によるアイドル化のためにアクースアイローム支社が300体以上を消去したことなどが大きな国際問題になり、これによってアクースアイローム支社の社長が逮捕、国際裁判にかけられ終身刑となった。これがきっかけで
エルミア共和国と
アクース連合が明白に対立することとなり、エルミアが連合総会の壇上でアクースに対して公然の批判をして国交断絶を宣言し退場。そのうえ報復措置としてエルミアはベリオン・ドルムント・グロスクロイツらによる周辺国の経済制裁を実施した。しかし、その裏で影響力を持ち始めたアクースリヴァダー幹部とベリオン・グロスクロイツ両政府要人らは1732年に合意を形成し、リヴァダー社に対してのみ禁輸を撤回した。このことが同年にディガイナのラジオ放送で取り上げられ、
ニーネン=シャプチ政府やその他のアイローム支持国が国際問題を提起。対立構造が国際的な状態であらわになった。
内戦前夜
この後1733年にアクースでは
アクース内戦が勃発し、両陣営についた各国にアンドロイドを提供していたアイローム、リヴァダー両社の社党によってマーカス連邦国民議会は紛糾し、最終的には両党痛み分けとしてマーカス政府そのものは中立を宣言することとなった。(173X年第三次レーウス連合が結成した。)
1735年、アクース内戦が終結し、資本家連合の勝利となった。しかし、その直後の戦勝パレードでアクース連邦首相のエルゲン・ナジュアが暗殺され、間もなくしてセツ・エメルダによってアクース連合が建国される。このため、銀河の世論はアイローム社を応援するようになり、リヴァダー社のいくつかの航宙路線が事業撤退。
1737年、アイローム社に追い風が吹くような形で
ロフィルナ連邦共同体がアイロームアンドロイドの輸入を開始。以前はリヴァダーアンドロイドを輸入していたが、それが取って代わられる形での導入となった。
1739年にアイローム党がアンドロイド市民権法案を提出した。リヴァダー社側は国内シェアをアイローム社に奪われる恐れがあったことから断固として反対を押し通した。世論は半々の意見となり、話題を呼んだ。同年年末には与党であったアイローム党側の強制採決によりマーカス連邦でアンドロイドに市民権が与えられる事となり、リヴァダー社党が抗議したが結果としてリヴァダー社アンドロイドにも人権が認められる内容だったため、認めざるを得ない状態となった。
このことはディガイナのラジオ放送でも取り上げられ、銀河規模のニュースとなった。
1740年、リヴァダー社のアンドロイドが誤ってアイローム社アンドロイドを殺害(ただし故意説など諸説あり)。これに対しアイローム社は報復措置としてリヴァダー社に対する不買運動、株の買い占め、自社宇宙港への乗り入れ禁止などを通達。リヴァダー社とアイローム社は完全に対立することとなった。
マーカス政府が二社に支配されていたせいで制御をすることができず、内戦に突入する事態は避けられないものとなっていった。
また、この時、アポラ星系国際連盟に貸し付けた国債が回収不能になっていたために、マーカス連邦政府での赤字が広がり、さらにこの不安からマーカス連邦の国債の価値が暴落。国営航宙産業や一部の軍需産業の民営化を行うなどしたが、歯止めがかからず、緊急事態宣言を発令する。
内戦の経過
最初の衝突
1740年14月8日(アルアック・メルダー監禁発砲事件)
交戦戦力 |
アイローム社 |
リヴァダー社 |
損害 |
死者1名 負傷者1名 |
死者2名 負傷者4名 |
首都アルアック・メルダーにおいてリヴァダーアンドロイドがアイローム社製のアンドロイドを拉致監禁する事件が発生した。背景にはアイローム党が与党となったことでリヴァダー派の支持者が少数派と見なされ、抑圧に対する反動があった。リヴァダーアンドロイドは警察に投降しようとした動作を見せたときに、突如として銃声が響き渡った。この発砲で警官のアイロームアンドロイド1名が死亡。その直後、突入した特殊部隊が立てこもっていたリヴァダーアンドロイドを射殺した。なお、その後の調査では、警官を撃った犯人は不明とされ、確かなことは「監禁をした犯人のリヴァダーアンドロイドが警官のアイロームアンドロイドを射殺したわけではない」ということだった。
この様子はマーカス全国に放送で伝わり、やがて銀河中に報道された。両社の対立はさらに深刻なものとなり、特にアイローム支持者の怒りを買い、その翌日の14月9日からアイロームアンドロイドの一部の過激派が各地のリヴァダー社の本社、支社、工場にデモ行進を行った。
1740年14月19日(エールナラー濃硫酸散布事件)
交戦戦力 |
アイローム社 |
リヴァダー社 |
損害 |
死者3名 負傷者139名 |
負傷者2名 |
ノートック4のリヴァダー社のエールナラー工場の前ではそれまでと同様にアイロームアンドロイドのアイローム支持過激派によるデモ行進が行われていた。14月19の白昼、デモ行進の真っ只中に、リヴァダー側は鎮圧部隊として武装した新型アンドロイド
DLIV-4000-DIVELKLOOZ(通称:ディヴァルクルース型)を投入。鎮圧のため霧状の濃硫酸を大量に散布し、デモ隊のアイロームアンドロイドは無抵抗のまま3名が死亡。また93名が内部金属骨格の融解による重傷を負った。またそのうち66名は痛覚センサの破損により後遺症を負った。
アイロームアンドロイドは
人間に限りなく近づけるため、アクティブ状態(生命的活動が有効な間)では痛覚センサを無効化することはできず、アクティブ状態とリンクして動作している設計となっていた。国内外の専門家は後遺症に苦しむアイロームアンドロイドの現状を知ると、「人間に似せすぎるのもどうかと思う」という意見が相次いだ。これを受けて、15月6日には
エルミア共和国の呼びかけによって大宇宙連合会議国際技術倫理シンポジウムの臨時集会が開かれた。
事件後の裁判では、両社による裁判員の買収合戦となったがアイローム社幹部が買収を出し渋ったため多くの裁判員がリヴァダー社側に有利な判決を下すこととなった。当初はマーカスの国内世論やディガイナのラジオ放送はアイローム社の体制を批判していたが、アイローム社代表取締役オーリル・ゴズデは声明文で「
そもそも裁判をお金で解決することは法の正義に基づいたものなのでしょうか。私はアイローム社の代表取締役としてアイロームとリヴァダー、どちらかの正義のために裁かれることを望んでいなかった。しかしこれだ。連邦は今に崩壊しようとしている」と述べた。それを受けて、国内外の世論はリヴァダー社を「卑怯者」とこき下ろした。この事件を通じて、マーカス連邦内での実質的な司法機能は麻痺することとなった。
1740年15月2日(エーリアヴァークト衝突)
交戦戦力 |
アイローム社 |
リヴァダー社 |
損害 |
死者20名 負傷者18名 |
死者39名 負傷者56名 |
連邦議会上ではアイローム党党首がリヴァダー党を公然と非難し、自社の担当者を送りつけることを宣言した。これに対してリヴァダー党党首は猛反発。地元メディアやディガイナのラジオ放送によって連日この様子は報道された。最終的に議論に決着がつくことはなく、最終的に採択を強行したアイローム側によって政府の決定を待たずして自社の警備アンドロイドをリヴァダー社本社とマーカス宙域内4つの大規模製造所に派遣した。
アイローム党の強行採択に危機感を抱いたリヴァダー党は「自社の特許技術等に対する特許権の侵害である」と主張した上でリヴァダー社のアンドロイド査察を開始。同日、アイローム社のエールナラー工場のある惑星ノートック4の都市エーリアヴァークトにおいてアイロームアンドロイドのアイローム社員が査察に訪れたリヴァダーアンドロイドのリヴァダー社社員を工場出入り口付近で封鎖し数百人規模の衝突が発生。アイローム側に20名、リヴァダー側に39名の死傷者を出す事件となった。
1740年15月13日(アイローム社議会退出・政府機能の崩壊の開始)
この衝突を受けて議会は10日にわたって紛糾した。両社の対立はますます深刻なものとなり、アイローム社は一方的なリヴァダー社の行為と態度に対して憤慨し、アイローム社党党首が「貴様らのような心を持たぬただの殺戮の道具など滅んでしまえばいい!」と言い放ち議会から退出。これに続いてアイローム党の議員が続々と連邦議会から去る事態となった。
リヴァダー社はこれを政府掌握のチャンスと見たが、与党のアイローム党によって連邦院国民最高議会はアイロームアンドロイドの警備で強固に防衛されていたため、野党の第一党であるリヴァダー党は連邦議会を占拠することとなった。マーカス連邦政府は国民最高議会と連邦議会を対立する二社によって占拠されたために、政府としての機能をほぼ完全に失った。
この様子はディガイナのラジオ放送によって報道され、事態を把握した
大宇宙連合会議国家承認委員会は16日、マーカス連邦を「
無政府状態」と認めた。大宇宙連合会議の加盟国各国の外務省は相次いでマーカス連邦への渡航を禁止、自粛するように呼びかけた。
1740年15月21日(リヴァダー本社前爆破事件)
交戦戦力 |
アイローム社 |
リヴァダー社 |
損害 |
|
負傷者1名 |
マーカス連邦全土で断続的に両社のアンドロイドによる衝突事件が発生し、各地で治安が悪化。
一部の地域では、市長によって、あるいは警官や消防官らが独自に組織した自警団などによって両社のアンドロイドの立ち入りを禁じ、治安を維持しようとしていた。
そのような中で首都星ノートック2のリヴァダー本社前で突然爆発が起こった。当初はアイローム社側によるリヴァダー社への爆破テロであるとされた。リヴァダー社はアイローム社による組織的な犯行であると断定し第三国を通じて激しく抗議した。これに対してアイローム社は大宇宙連合会議安全保障理事会に対して、独自の調査報告書を提出し、「弊社がそのような行為に及んだことは断じてありません」と強く否定した。もちろん、リヴァダー社はこれを国際世論に同情を誘うための隠蔽工作であるとして、大宇宙連合会議安全保障理事会に対してこの事件における調査団の派遣を要請した。
なお、戦後の大宇宙連合会議による調査によれば「リヴァダー本社前爆破事件の犯人はアイローム社によるものではなく、リヴァダー社に何らかの怨嗟を持った個人による犯行である」とした。
1740年16月7日(アイローム告発動画)
銀河はマーカスでの混乱について慎重な姿勢を示していた。
無政府状態になりおよそ2週間が経過した1740年16月7日、アイローム社代表取締役オーリル・ゴスデが「心ないリヴァダー社のアンドロイドによる殺戮に対し我々は徹底して抗い、アンドロイドが道具であった時代を終結させねばならない!」という告発動画を
ディガイナのラジオ放送に投稿。これまでに起こったエールナラー濃硫酸散布事件などの被害者の写真などを載せた動画がディガイナのラジオ放送を通じて銀河中に拡散された。これは(表向きにはそうしている国家も含んで)人道を重んじる国家、特にヴァルエルクには強烈な影響を及ぼした。
1740年16月15日(エールナラー虐殺事件と戦争宣言)
交戦戦力 |
アイローム社 |
リヴァダー社 |
損害 |
死者132名 |
死者31名 |
アイローム告発動画の直後、5日間昼夜を問わずしてアイローム社の工場各地でリヴァダー支持者による威嚇行為、挑発行為が徹底して行われていた。これに対してアイローム社の最高軍需顧問はアイロームアンドロイドの警備員に「非暴力的な手段での鎮圧」を命じたが、エールナラー工場の警備員らが独断で機銃掃討による虐殺を実行。ヒューマノイドも含めた53名全員が死亡。しかしアイローム社最高軍需顧問はこの虐殺を黙認した。数時間後、1000人規模の武装したリヴァダーアンドロイドと戦闘になり、双方合わせて163名が死亡。
アイローム社はこの事件に対して直ちに声明を発表し、「リヴァダー社による組織的な犯行が行われた。これは戦争行為であり、決して許しがたい」として戦争状態への突入を宣言。その数分後にリヴァダー社側も「アイローム社による光線銃を用いた組織的な攻撃を受け、弊社幹部理事会は知的財産権ならびに特許権侵害、および弊社の利益または信頼をいたずらに失墜、および著しく害したと認め、弊社はこれに対して大宇宙の技術経済両面における権益と信頼性の保護のためアイローム社に対し戦争状態への突入を宣言するものとする」との文書を発表。
エールナラー周辺を中心にアイローム軍、リヴァダー軍の軍用アンドロイドが組織的な戦闘を開始。マーカス内戦が勃発する。
開戦
惑星ノートック4のリヴァダー社の本社工場のある都市エールナラーを中心として広がった両企業の組織的な戦闘はノートック星系全体に波及し、ノートック4のみならずノートック2にまで拡大。ノートック星系ではアイローム社に比べてリヴァダー社の方が広く地域を支配した。一方、マーカス星系ではアイローム社が領域の大半を支配。プレフィス星系とコートン星系はリヴァダー社が全域を支配し、ゼストラ星系とティラルド星系をアイローム社が支配した。それぞれの星系内にあった敵対企業の建造物の打ち壊しが広がった。それぞれの企業から取り残された社員は、自分が敵対企業の人間であることをひた隠しにして生活した。ある者は内通を企み、ある者は逃亡を試みたがそれが成功することはほぼなく、時には一方的に一般市民に暴力を振るわれることさえあった。
リヴァダー社 |
アイローム社 |
完全支配 ・コートン星系 優勢 ・ノートック星系 |
完全支配 ・ゼストラ星系 ・ティラルド星系 ・プレフィス星系 優勢 ・マーカス星系 |
1740年16月20日(ロフィルナの介入)
マーカス内戦勃発から5日後の16月20日、
ロフィルナ連邦共同体がアイローム社を支持しマーカス内戦への介入を発表。ロフィルナは「
機械であろうと、亜人であろうと、知性ある者を差別し道具として扱うことが許されるのであれば、力こそが正義となり、いつの日か我々も同じ立場に追い詰められることになるであろう」との声明を発し、参戦を正当化した。
ロフィルナ政府はロフィルナ連邦宇宙軍外惑星艦隊海兵隊の派兵を行い、1741年1月10日未明にマーカス宙域に到着。アイローム社軍と合流した。
実際の問題としては、ロフィルナは1737年を境にアンドロイドの輸入をリヴァダー社からアイローム社へと転換しており、さらにアンドロイドの輸入はそれ以前よりも活発に行われていたこともあり、内戦勃発によるロフィルナ国内の経済的打撃のために介入せざるを得なかったとされる。さらに、水面下ではロフィルナ連邦共同体は事実上
ニーネン=シャプチや
アクース連合などの限られた国にしか国交を認めない鎖国体制下にあったが、大宇宙連合会議への加盟(開国)に向けての準備が行われていた。そのため、マーカス内戦へのロフィルナ政府の介入は開国に向けて、影響力を獲得する狙いがあったと見られている。
この発表は国際社会を驚かせた。多くのメディアや専門家たちは最初に介入してくるであろう国家はヴァルエルク共和国であり、少なくともロフィルナは中立なのではないかと予想していたためである。なお、ロフィルナ国内ではこれによりネッツェレール政権に対する支持率が低下するなど混乱が生じた。
1741年1月17日(ヴァルエルク介入決定)
アイロームの告発動画に特に強烈な影響を受け、国民感情が完全にアイローム社に傾いた
ヴァルエルク共和国はもとよりアイローム社のアンドロイドの人権を認める方針に賛同していたこともあり、正式に介入した。
また、その直後にロフィルナ政府がヴァルエルクと一時的に協力する意向を述べた。両国は数十年に及んで険悪な関係にあったにも関わらず、ヴァルエルク政府もこれに承認し国際社会を驚かせた。
1741年2月3日(サーヴァリア介入決定)
サーヴァリア企業連合の
ツァヴァラガ・ラーギット財閥はリヴァダー社とのシェアの競合を避けるため、1700年頃から調整を続け、協力関係にあった。1733年に勃発した
アクース内戦では資本家の利益を保護するためにサーヴァリア政府とリヴァダー社は共にエルゲン・ナジュア首相率いるアクース資本家連合を支援した。この頃になると、サーヴァリア企業連合の全ての財閥が連携してリヴァダー社と提携するようになり、
ツァブリェッド・ティラルドー国際財団を設立するなど、団結を高めていった。
ヴァルエルクがアイローム社側についたことによって敵対関係にあった
サーヴァリア企業連合はリヴァダー社との企業間協定に基づき、参戦を発表。
1741年2月11日(エーリアヴァークトの戦い)
交戦戦力 |
アイローム社 |
リヴァダー社 サーヴァリア |
損害 |
死者191名 |
死者163名 |
サーヴァリアの介入によってリヴァダー軍は勢いを増し、リヴァダー派はノートック4での支配権を強めていった。アイローム社のエールナラー工場がある都市エーリアヴァークトでは2週間にわたる激戦が繰り広げられていた。サーヴァリア企業軍のダゲヴィトヴァ・スライテド上級軍事顧問はリヴァダー社製DLIV-4000-DIVELKLOOZ軍用アンドロイドを率いてアイローム本社に強襲降下を敢行し制圧する。
しかし、リヴァダー軍はヴァルエルク軍による撤退戦で大きく損耗したにも関わらず、エールナラー工場は既に放棄されており、制圧したアイローム本社も機能が移転されており、いわゆる「もぬけの殻」であった。また、ヴァルエルク軍の撤退をも許したため、リヴァダー派は貴重な戦力を消耗してしまった。実のところ、アイローム社の本社機能は惑星ティラルド4に移転していたのである。
1741年2月12日(リヴァダー社企業スパイ情報漏洩事件)
翌日、リヴァダー社もまた本社の機能をコートン星系辺縁に移転しているという情報をアイローム社の諜報課が入手する。入手に成功したのは、リヴァダー社の諜報課のヒューマノイド社員がレーウス国際宇宙港で手荷物を取り違え、機密文書の入ったブリーフケースを遺失してしまったからであった。その後、たまたまそのブリーフケースを入手したヴァルエルク共和国のスパイが情報を共有したためにそのような情報を入手できたのである。なお、その後このような大失態を犯したリヴァダー社のヒューマノイド社員は自身の失態を恥じて自殺した。リヴァダー社はこの事件を受けて密かに諜報部の人員を全てアンドロイドに置き換えた。
リヴァダー社 |
アイローム社 |
完全支配 ・コートン星系(本社) 優勢 ・ノートック星系 |
完全支配 ・プレフィス星系(本社) ・ゼストラ星系 ・ティラルド星系 優勢 ・マーカス星系 |
戦闘の激化
ヴァルエルク、サーヴァリア、ロフィルナの三国による介入によりマーカス内戦は組織的な対立の様相を呈し始めた。とりわけ、リヴァダー社とアイローム社の両方が支配を主張したマーカス星系やノートック星系での戦闘が激化の一途を辿ることとなる。
緒戦は物量に勝るリヴァダー派の優勢となったが、アイローム派陣営の介入国が増えるにつれて長期戦となりリヴァダー社CEOヤラック・ティラルドーは焦りを感じ始めていた。
1741年3月2日(クレデリア介入決定)
1731年4月1日(エルミア介入決定)
エルミア共和国首相は4月1日、非人道的アンドロイド利用を行う諸国家に対して「
機械化奴隷時代の幕開けを未然に阻止することは大宇宙連合会議事務局の主任国であるエルミアの使命であり、エルミア国民の願いである」と非難した上で、マーカス内戦への介入を決定した。
この背景にはヴァルエルク共和国政府による何らかの工作があったとして
ディガイナのラジオ放送が取り上げている。また戦後にはエルミア共和国が
ベリオン共和国からの武器援助を得ていたことを大宇宙連合総会の壇上で
ドルムント共和国首相の
エドガー・フィッツジェラルドによって指摘され、国際問題になった。
1741年4月17日(アンヴァウカートの戦い)
交戦戦力 |
アイローム社 ロフィルナ |
リヴァダー社 |
損害 |
死者6100名 |
死者5800名 |
ノートック2ではレフィリィ・ドール=パッションベルム将軍のロフィルナ連邦宇宙軍の第三猟兵軍団が主要都市アンヴァウカートにて補給中であった。これは3月頃から断続的に発生した小規模な戦闘での弾薬と人員の補充のためであった。リヴァダー派のルラネイリー・モールナー将軍は偵察アンドロイドからこの情報を入手し奇襲を計画する。モールナー将軍は民間アンドロイドに偽装させた数十名の軍用アンドロイドをアンヴァウカート市内に送り込み、民間のアイロームアンドロイドと小競り合いを起こさせた。パッションベルムの第三猟兵軍団はこれに気を取られ、リヴァダーアンドロイド兵の市街地への侵入を許した。
アンヴァウカートの戦いでは家屋やビル一つを巡って奪い合う激戦となり、アイローム派は約3万3000名、リヴァダー派は約2万名の損害とその他大勢の民間の死傷者を出した。この戦いではアイローム派とリヴァダー派は次々と援軍に駆けつけ、当初ヒューマノイド兵士を投入する予定は両軍ともなかったにも関わらず、大勢のヒューマノイド兵士が投入され多くの死傷者を出した。この戦闘を通してリヴァダー派はこれまでヒューマノイドの貴重な人命を守るためにアンドロイド兵を前線に送り込んでいたが、アンドロイド兵の経済的損失を恐れるあまりヒューマノイド兵を投入しなければならない矛盾に直面するようになった。
逐次投入された兵力のため、一進一退の攻防となり、アンヴァウカートの戦いは2ヶ月にも及んだ。6月2日にパッションベルム将軍は同じくノートック2にいる第二猟兵軍団のマフェン・ヴィル・フリュクレップス将軍に援軍を要請したが、ついに援軍が来ることはなく、6月5日に全軍撤退命令を発し都市アンヴァウカートはリヴァダー派の手に落ちることとなった。このことがきっかけでパッションベルム将軍は内戦を通じてフリュクレップス将軍に対して反抗的な態度を取るようになり、お互いに対立した。
1741年5月2日(プリートの戦い)
マーカス2はリヴァダー派の重要拠点であるものの、マーカス2の要衝であった港湾都市テルティックにはアイローム本社第3軍集団が支配していた。ジーロス・ウォルレイド最高軍事顧問は旗下の諜報部隊がこのテルティックを橋頭堡としてヴァルエルク軍の援軍による戦力を集結させているとの情報を入手すると、ここへの集結を許す前に陥落させる必要があると考えた。マーカス星系方面軍を率いるミーゼナー・ローナー・カークト将軍は試験中の新型軍用アンドロイド「DLIV-RTSR-NKK2000」の投入を決定。テルティック侵攻の足がかりとなるプリートへDLIV-RTSR-NKK2000で構成された第4試験軍団を進軍させた。DLIV-RTSR-NKK2000のために専用で開発された主武装SAG-2000連装光線ライフルの弾幕によって著しい突破能力を得た。
第4試験軍団率いるカークト将軍は4月15日に根拠地のウェンダムを出発し、18日から19日にかけて断続的に発生したアイローム派武装民兵のプリート前衛部隊によるゲリラ攻撃を撃退した。プリートではヴァルエルク軍第7軍の熾烈な抵抗を受けたが、ヴァルエルク軍の機兵師団を撃破すると戦局は好転しアイローム軍守備隊を壊滅させた。
カークト将軍はこの功績で二等企業英雄勲章を授与された。リヴァダー本社コートン4軍務工廠はDLIV-RTSR-NKK2000の大量生産を開始し、1742年頃にはリヴァダー軍の主力軍用アンドロイドとなる。アイローム派諸国はこのアンドロイドの登場に対して大きな衝撃を受けた。
1741年5月10日(テルティックの戦い・アバントロン空戦)
プリートまで到達したリヴァダー派のカークト将軍率いるマーカス星系方面軍第1軍はテルティックを陥落させるべく、プリートの戦いに勝利した後にも関わらず準備不足状態で強行軍を続けていた。しかし、これを待ち受けていたのはテルティックへの幹線道路である496号線を防衛するアイローム本社軍の熟練のアンドロイドパイロットが揃った第12選抜機兵師団であった。カークト将軍は第4試験軍団に正面突撃を命じ、側面からは重浮揚砲による飽和攻撃を加えた。第12選抜機兵師団は2日にわたってこの熾烈な攻撃を受け後退した。
カークト将軍はこの戦いでテルティック攻略を確信した。テルティックまであと4kmの防衛戦を易々と突破できたことと、敵の援軍が2日に及ぶ戦闘ですら投入されなかったことから、敵は準備不足であると結論づけたからである。また、5月11日にはリヴァダー軍のルラネイリー・モールナー将軍の第6軍がテルティック湾沖に到着し、強襲上陸の準備を完了した。
万全な状態と判断したカークト将軍は5月12日にテルティック攻略のためのジール・ガーラン作戦の実行を命じる。リヴァダー軍は陸路である496号線からカークト将軍率いる第1軍が、テルティック湾沿岸部からはモールナー将軍率いる第6軍が侵攻した。
これに対してアイローム派は第10軍と第8軍から一部を引き抜いたテルティック守備隊のエイガナ・ヴァルダ・ジット・アルニーラー将軍はスクコス=ラットモレフラレン将軍率いるヴァルエルク軍第8軍の到着を待っていた。アルニーラー将軍は両方向からの侵攻に対処するため、機兵部隊をテルティックの市街地の至る所に配備し撤退戦を仕掛けつつビルの各所に対装甲装備をした歩兵を配備した。
モールナー将軍の強襲上陸が辛うじて成功すると、496号線の第1軍がアイローム軍機兵部隊の防御戦を突破。昼夜4日間に及ぶ戦闘でテルティック守備隊はほぼ壊滅状態となり、後退を余儀なくされた。これに遅れてダゲヴィトヴァ・スライテド将軍のサーヴァリア軍3個歩兵師団が到着し、テルティック守備隊の退路を断つ形で浮揚砲陣地を構築した。これでテルティック守備隊は包囲され孤立状態となった。アルニーラー将軍はアイローム派各軍に救援要請をするも返答はなかった。
一方その頃、テルティック近郊の地域アバントロン上空では
ジエール帝国連邦のアルフォイ・ショパーセル・プラゴード将軍の航空隊がヴァルエルク軍戦闘機隊と空戦を繰り広げていた。ジエール軍戦闘機隊は全て無人機で構成されているため、人員の損耗を恐れずインファイトな攻撃を多数仕掛けた。これが有利に働き、ヴァルエルク軍戦闘機隊は航空劣勢を強いられた。ヴァルエルク軍空挺降下でテルティックへの救援を予定していたヴァルエルク軍第8軍は制空権が充分に確保されていない状態での出撃は危険と判断し、航空基地での足止めを食らっていた。
5月18日の夜、ファルバリス・フリートン将軍率いるロフィルナ軍海兵隊がテルティック湾に上陸。包囲状態を維持していたリヴァダー軍はロフィルナ海兵隊の接近に気づくのが遅れ、気づいた時には既に上陸寸前の状態であった。リヴァダー軍は慌ててモールナー将軍の3個師団を迎撃に当たらせたがロフィルナ海兵隊の上陸は予想よりも早く、部隊を集結させている間にテルティック湾沿岸部を制圧された。フリートン将軍の海兵隊はその後素早く496号線方面へと移動し弱点攻撃を仕掛け市街地に到達。これに動揺したカークト将軍は機兵部隊をテルティックの大通りに差し向けたがロフィルナ海兵隊の側面攻撃によって19機を喪失。包囲網が突破されテルティック守備隊は救出された。テルティック守備隊と協同しつつサーヴァリア軍2個師団とリヴァダー社アンドロイド2万5000体を逆包囲し捕虜にした。
結果的にフリートン将軍のロフィルナ海兵隊による上陸作戦によってテルティックは再びアイローム派が支配的な状況となった。
アイローム派国際司令部のクフェイター・エールナー将軍は今後次々と到着する予定のアイローム派の援軍を察知してリヴァダー派が戦線を縮小し、最終的にはテルティックを放棄すると確信していた。しかし、予想とは裏腹にリヴァダー軍のカークト将軍は反攻作戦を企てていた。
1741年6月6日(テルティック反攻作戦)
大打撃を受けたリヴァダー軍のカークト将軍はテルティック上空へジエール空軍による爆撃を要請。しかしジエールのプラゴード将軍は「リヴァダー軍はまだ充分な撤退を完了させておらず、このままでは友軍にも被害が及ぶ」と判断し拒否し続けていたが、カークト将軍は「アンドロイドなどまた作ればよろしい。 しかし状況を作ることができるのは今しかないのだ」と説得され、プラゴード将軍は渋々これを受け入れた。
6月6日、ジエール軍戦闘機隊による夜間急襲により短時間でテルティック上空の制空権を喪失。翌日の夜明けまで絨毯爆撃が行われテルティック守備隊のみならず逃げ遅れた民衆が多数死傷した。
6月7日早朝、ジエール軍に援護されつつジエール軍精鋭部隊が降下。後退中のテルティック守備隊の将兵たちは不意を突かれ、動揺。ロフィルナ海兵隊も後退を開始するとテルティック守備隊は総崩れとなった。また追い打ちをかけるようにファルトクノア軍第619航宙技術実証研究大隊が降下を開始。後方をかき回されて潰走状態となったアイローム派は撤退。その後、合流するために陸路で合流を目指していたヴァルエルク軍第8軍と合流するもテルティックの再度奪還を諦めた。
この戦闘によってアイローム派のマーカス星系での支配権は弱まっていき7月初頭にはマーカス2を放棄。8月にはマーカス4のアイローム派軍が撤兵し8月中旬にはマーカス星系全土の制宙権を喪失した。
リヴァダー社 |
アイローム社 |
完全支配 ・コートン星系(本社) ・マーカス星系 優勢 ・ノートック星系 |
完全支配 ・プレフィス星系(本社) ・ゼストラ星系 ・ティラルド星系
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1741年7月20日(ノートック星系アイローム軍傷病兵員輸送船襲撃事件)
ノートック星系第8惑星(凍結メタン惑星)の近傍の宙域で傷病兵を乗せたリヴァダー社の兵員輸送船をアイローム軍の巡洋艦ヴィーダルグリースが襲撃し撃沈させた。この兵員輸送船はマーカス2での戦闘(主にテルティックの戦い)で生じた負傷者を後送するために惑星ノートック2へ航行する任務の最中だった。この襲撃では巡洋艦ヴィーダルグリースが襲撃後救出できるほどの時間的余裕があったにも関わらず救出せず、さらには対空砲によって追い討ちをかけ、宇宙空間に投げ出された兵員輸送船の乗員は全員が死亡した。
この一件でリヴァダー派は大きなショックを受けると共に、アイローム派に対する敵意をさらに増すこととなった。
1741年9月18日(ノートックの艦隊戦)
リヴァダー派はノートック星系に駐屯する艦隊を全て引き揚げさせ、近傍の星系に撤退させた。リヴァダー派のジーロス・ウォルレイド最高司令官はノートック星系アイローム軍傷病兵員輸送船襲撃事件の報復としてアイローム派艦隊をおびき出し奇襲攻撃による艦隊の各個撃破を目論んでいたのである。アイローム派はこの艦隊撤収にいち早く気づき、哨戒艦や偵察艦隊を数度派遣した。リヴァダー派はこの作戦のためにノートック4宇宙港に長距離ワームホール探知レーダー設備を設置したため、これを検知することに成功していた。
2ヶ月後の9月11日。リヴァダー派の想定していた規模よりもずっと大きいアイローム派艦隊がノートック星系に侵入。パエラム・アルリアン・ネルヘル中将のアイローム軍第2艦隊である。第2艦隊はアイローム派の主力艦隊の一つであった。ジーロス・ウォルレイド最高司令官は直ちに打撃艦隊を招集し、9月16日にはリヴァダー軍第2艦隊、リヴァダー軍第3艦隊、メールナー・ムーサ・ティラルドー中将のティラルドー分艦隊、ナーリン・ヴェダック中将のヴェダック分艦隊を近傍の星系に集めた。
9月18日。リヴァダー派の打撃艦隊が次々にゴースト空間からネルヘル中将のアイローム軍第2艦隊の周囲10kmの位置に出現。アイローム軍第2艦隊はパニックに陥り、宇宙戦艦4隻を喪失。しかしながら、ネルヘル中将が乗艦していた旗艦ゼストロートは事前の取り決め通りエネルギー信号弾を発射した。これを検知したエルミア軍のアクラエル・フェンター・スレモン大将とヴァルエルク軍のペスケコス=ゾンニス大将はエルミア軍とヴァルエルク軍の軍艦で構成されたアイローム国際艦隊を出動。襲撃を受けたアイローム軍第2艦隊の救援のためミースターフェル・ワープを実行。1時間後、ゴースト空間から次々と出現し、プレフィス星系に到着。リヴァダー派の打撃艦隊を後方から襲撃した。アイローム派はこの大規模艦隊戦を予期していたのである。クフェイター・エールナー元帥はプレフィス星系のリヴァダー派艦隊の撤退を罠であると予想し、軍幹部の数名のみの密談でプレフィス星系に侵入したネルヘル中将の艦隊が攻撃を受けた場合はエルミア軍とヴァルエルク軍のアイローム国際艦隊による逆包囲作戦を計画していたのである。
ノートックの艦隊戦は両軍の大艦隊による艦隊決戦となり、最終的にリヴァダー派15隻、アイローム派23隻の艦艇が喪失。また、エルミア艦隊の旗艦エル・スモラクが轟沈し乗艦していたアクラエル・フェンター・スレモン大将が戦死した。エルミア軍の宙軍指揮官の損失は大きく、エルミア共和国国内ではアイローム社とヴァルエルク共和国への批判が集中。結果として、アイローム派の足並みが乱れる大きな原因を作った。また、囮役の艦隊を率いていたネルヘルはアイローム派国内外からバッシングを受けた。
外部からの介入
1741年16月2日(ニーネン=シャプチの介入)
ニーネン=シャプチは18世紀初頭から史上最大の開拓事業であるシャグマ=ラゴン星系開拓事業を継続していた。しかし開拓事業は深刻な人手不足により招民院拉致政策や開拓者志願制度など政策による整備が行われ、エフューラフトの総力を挙げてシャグマ=ラゴン星系に開拓者を送り込んでいた。そんな中、
ラトゥシダーチ=オルサウ星衛主席は1729年にアイローム社との専属契約を決定。植民は第一回の300台から徐々に増え、1740年時点までに合計約2万6500台のアイロームアンドロイドがシャグマ=ラゴン星系の開拓に携わった。彼らニーネン系アイロームアンドロイドは「エフューラフトの未来を担う次世代のエシュト」として国内で注目され、同じくして発言権の高まりを見せた。1740年に発生したマーカス内戦は当然彼らにとって大きな関心事となった。ニーネン系アイロームアンドロイドはニーネン=シャプチの国民性である個性主義に支持され、「リヴァダー派の排斥と故郷の安寧」を主張しはじめていた。
1740年の半ば、ニーネン系アイロームアンドロイドによる「
ナイユスパ=サブラート運動」が起こるとラヴェルト宙圏情勢を軽視する姿勢や国際情勢を無視した開拓事業をニーネン政府への抗議運動が惑星シャグマ=ラゴンを中心に広がった。また、熱心な活動家の一部はロフィルナ国籍を取得して戦地に赴くといったことまでした。そうなるといよいよニーネン政府はこれを無視できなくなっていった。このようにして、開拓地の人民の不満や流出はニーネン政府にとって最大の懸念材料であったことが参戦への大きな原動力となった。
他方、外交面においては同じアイローム派である
ヴァルエルク共和国への接近が功を奏し友好関係にあった。ヴァルエルクからの参戦要請を先延ばしにしてきてはいたものの、アイローム派が劣勢になり始めている現状からこれ以上の回答保留はヴァルエルクとの外交関係を悪化させる可能性があったことが挙げられる(ロフィルナからの外交的アクションについては検討中)。また、技術面ではレーザー兵器、FTL航法、アンドロイド製造などの関連技術などでも大きく遅れを取っていたことから、ラヴェルト・ゲルデン方面への進出によってこのような技術の獲得も重要視された。
そして1741年16月2日、
ライ=ダ=ファウ=ダガイユル星衛主席は参戦を表明。アイローム派に対する軍事力支援としておよそ1万3000名によるトルナーチェ遠征軍を派兵することを決定した。国内では武力介入規模が限定的かつ少数であることについての批判があった。
1741年16月7日(アポラ星系国際連盟の介入)
アポラ星系国際連盟は大宇宙連合会議に加盟し、ほかの星間国家との技術格差を痛感した1705年以降アンドロイドをマーカス連邦から膨大な借金を背負うまで輸入し続けた。この膨大なアンドロイドの輸入を行っている間に世論は分断され、アンドロイドの明白に過剰な輸入によるアンドロイド失業者の蔓延、それらに起因するアンドロイドの人権問題なども発生していた。1739年には過剰輸入によって生じた借金の返済ができない状態に陥り、マーカス連邦に債権を返済できず、不良債権問題を生み出した。これは事実上マーカス内戦の引き金を引いたに等しかった。その後も世論は荒れに荒れ、当時のカパート星連本部長はリヴァダー派とアイローム派にどっちつかずのダブルスタンダードな政策をとっていたが、女性問題が発覚してしまい自身の支持を失うことを恐れたカパートはそれまでの中立静観の方針を急転換しアイローム派として星連軍を正式に派遣することを決定した。これは事実上民衆の意見に寄り添った形になるが、対照的に企業から大きな反発を受けさらなる世論の分断を招いた。これは結果としてのちのアポラ動乱の引き金となる。
リヴァダー快進撃
リヴァダー派のジーロス・ウォルレイドはプレフィスの艦隊戦を成功と捉えていた。それは、アイローム派の主力艦隊のみならず、ヴァルエルク軍とエルミア軍の艦隊にも損害を与えることができたからである。リヴァダー派中央司令部は1741年11月にゼストラ星系とノートック星系の同時攻略を目標とした「
クリード作戦」を実行した。
一方のアイローム派はジリ貧の状態が続き苦境に立たされていた。クフェイター・エールナーは開戦前の時点でこの内戦はアイローム派のワンサイドゲームだと楽観していたが、この時点で予想に反して国際世論がリヴァダー派に傾いていることやアイローム側につくと予想していた
ニーネン=シャプチや
アポラ星系国際連盟が介入を渋って今まで派兵しなかったことを内心苦々しく思っていた。主力艦隊の損失こそあったものの、地上戦兵力ではアイローム派の方より質も量も上回っているとし、守勢に徹すれば反撃の機会を得るための時間は十分にあると結論づけた。
1742年1月10日(ヴァルダン作戦)
ゼストラ星系の工業惑星ネルゼン・パスヴィスはアイローム派の占領下であり、リヴァダー派はアイローム派のアンドロイド生産拠点を攻略しアイローム派の戦争継続能力を低下させるため、工業惑星ネルゼン・パスヴィスへの地上軍降下を決定した。ジーロス・ウォルレイド最高軍事顧問は1月初頭、ネルゼン・パスヴィス攻略のためゼストラ方面軍を新編し、フレイヴ・ディーマル・スティーラス提督を方面軍司令官としその他3名を加えた。
1月10日、ヴァルダン作戦の実行が決定された。作戦目標は「2月下旬までに工業惑星ネルゼン・パスヴィスの攻略」である。内容としては、ゼストラ星系を攻略すべくフレイヴ・ディーマル・スティーラス提督率いるリヴァダー軍ゼストラ方面艦隊をマーカス2宇宙港から出撃させ、ネルゼン・パスヴィス攻略のための地上軍であるリヴァダー軍第1軍を輸送船団でゼストラ方面艦隊に船団護衛される形でゼストラ星系に侵入した後、アイローム派との艦隊戦では囮の輸送船を陣形の前に押し出しつつ、輸送船に砲火を集中させるアイローム派艦隊の陣形を半包囲し、艦隊戦に勝利した後、素早くネルゼン・パスヴィスへの降下を行うというものであった。
1742年2月2日(ゼストラ8宙域の艦隊戦)
ゼストラ星系への侵攻を予測していたアイローム派のパエラム・アルリアン・ネルヘル将軍はアイローム軍第1艦隊とアイローム軍第2艦隊の一部を引き抜いて第9艦隊を編成し防衛に当たらせ、ニーネン軍のニャルカ=ダン=サナル=トルナーチェ提督のトルナーチェ艦隊も合流するためプレフィス星系を発つ準備を進めていた。
1742年2月2日未明、ネルゼン・パスヴィス宇宙港観測レーダー基地がミースターフェル・ワープアウト信号を感知。ネルヘル将軍はニーネン軍トルナーチェ艦隊に出撃要請を発信し、目標地点へアイローム軍第9艦隊を急行させた。その20分後、巨大氷惑星ゼストラ8周辺の宙域にリヴァダー軍ゼストラ方面艦隊がワープアウト。観測レーダーの出現予測位置に誤差がありアイローム派は初動に遅れるものの12分でワープアウト地点に到着し、戦闘が始まった。パエラム・アルリアン・ネルヘル提督はアイローム軍第9艦隊に突出した敵輸送船団への攻撃を命じ、リヴァダー派の上陸作戦を頓挫させるようと図ったが、ゼストラ方面艦隊はアイローム軍第9艦隊の戦艦に攻撃を集中させ、輸送船団攻撃を諦めた第9艦隊の反撃のために艦隊同士の砲撃戦に発展した。ここで増援のニーネン軍トルナーチェ艦隊がゼストラ方面艦隊下方にワープアウト。
輸送船のシールドが強固であったことから想定以上の損害を与えることができず(更にはその輸送船は囮であり、地上軍兵力が搭載されておらず)、その間敵艦隊からの集中砲火を浴びてアイローム軍第1艦隊の戦艦ウォーガーと戦艦ヴァクトフランタルが轟沈。ネルヘル将軍は窮地に立たされた。ニーネン軍のトルナーチェ提督はネルヘル将軍に撤退を進言するも聞き入れられず、戦闘が続行された。その後、ゼストラ方面艦隊の巡洋艦2隻を撃沈する大戦果を挙げるも、アイローム軍第9艦隊の旗艦の僚艦であった戦艦ジークフェスが爆沈、ニーネン軍トルナーチェ艦隊もスヤータウ級シュトム艦タヒテンパーシとユーネン級シュトム艦ユーネンを失う結果となった。最終的にはエルメト・ワープとBMLワープ緊急離脱でアイローム派艦隊は離脱した。
ネルヘル提督はこの戦闘で精神的なショックを受け撤退したプレフィス3宇宙港のドッグで自殺を企てるが、その時たまたま作戦の相談をするためにネルヘルを探していたトルナーチェに発見され阻止される。その後この二人は生涯を通じて交友することとなる。
この大規模艦隊戦でリヴァダー派、アイローム派双方の主力艦隊に深刻な損害をもたらし、アイローム派はゼストラ星系の制宙権を失った。その後、ゼストラ星系ではリヴァダー派がネルゼン・パスヴィス宇宙港を占拠し、ゼストラ方面艦隊の主力艦の修理のために停泊させていた。この間、ナーリン・ヴェダック将軍がゼストラ方面軍に加わり、旗下のヴェダック分艦隊の艦艇がゼストラ方面艦隊に加わった。このことで、アイローム派も迂闊に奪還作戦のための艦隊戦を仕掛けられなくなり、ネルゼン・パスヴィスは孤立状態にあった。
アイローム本社軍参謀本部はこの敗北で奪還作戦を立案したが、クフェイター・エールナー元帥は「艦隊戦を仕掛けられるほどの主力艦隊の不足」を訴えて立案を取り下げるよう命じた。
1742年3月18日(ルランメルダーの戦い)
3月18日、リヴァダー派はネルゼン・パスヴィスの郊外ルランメルダーに短時間の飽和爆撃を与え、対空兵器を沈黙させた上で第1軍第102師団と第101師団の降下ポッドを送り込んだ。しかし、現地守備隊のエルミア軍指揮官ストリフェ・マルリューは事前に対空兵器を隠しておいたため、次々に降下ポッドが撃墜された。リヴァダー派降下師団は3割を撃墜され、指揮官のペイラ・ゴラー・プレリットは作戦を断念しようと思いとどまったが下士官の「降下したからには作戦を遂行するしかありません」という言葉に激励され、作戦を続行した。
地上ではストリフェ・マルリュー将軍のエルミア宙軍第15陸戦隊とヴァルエルク側はカグレドス=フーバーペイ将軍のヴァルエルク宙軍第4艦隊第1遠征軍からなるエルミア・ヴァルエルク連合軍がルランメルダーを防衛していた。
地上に送り込まれたリヴァダー軍第101師団と第102師団はルランメルダーの市街地でゲリラ戦をするルランメルダー守備隊の攻撃に手を焼いていたが、続くネルゼン方面艦隊の航空支援で第88機兵師団の援護で最大の難所だったスミート通りの敵浮揚砲陣地を爆破すると、前線の背後から突破することに成功した。
リヴァダー派はネルゼン方面艦隊からの増援で艦載機が制空権を握り、次々と支援物資の輸送を行っていたため、エルミア軍航空隊が出撃。航空戦が繰り広げられた。エルミア軍航空隊はリヴァダー社が開発したパイロット・アンドロイドの腕前には敵わず敗北し、ルランメルダー上空の制空権を喪失。空軍指揮の重鎮であったエルミア宙軍(空軍)指揮官アクラエル・フェンター・スレモン将軍の死が嘆かれた。
ヴァルエルク軍は伝統的に負傷または死亡した兵士を戦場に置き去りにすることを何よりも嫌う。この場合でも例外ではなく、ペイラ・ゴラー・プレリット将軍は負傷した兵士を救出するためスミート通りに部隊を突入させた。しかしエルミア軍はこのヴァルエルク軍の救出への援護をせず、独断で撤退した。そのため、ヴァルエルク軍兵士は次々と撃たれ、突入した第23師団が降伏した。そのため、後続の歩兵師団が負傷した兵士の後送を諦め、撤退することとなった。このことでヴァルエルク軍はエルミア軍との対立を深めた。
最終的にはスミート通りを橋頭堡に次々とリヴァダーアンドロイド歩兵師団がルランメルダーに降下。後退せざるを得なくなったエルミア・ヴァルエルク連合軍はルランメルダーを放棄した。
1742年4月1日(ジェラウォードの戦い)
ロフィルナ・ニーネン連合軍はジェラウォード郊外に要塞を建築し防衛していたものの、リヴァダー派の攻撃に対し予定していた反撃をしなかったため包囲される。しかし複数の重火器を囮に将兵を脱出させたため、人員の損耗は抑えられた。
1742年7月8日(シェイアーミルトの戦い)
劣勢に立たされたエルミア・ヴァルエルク連合軍。ロフィルナの増援で一時は盛り返すものの、消耗を恐れたロフィルナが独断撤退で戦線が崩壊する。クレデリア軍魔法少女部隊が次々と戦線を突破するが、撤退命令でやむなく守勢に立たされることとなった。
1742年XX月XX日(アポラ動乱の発生)
アイローム派陣営を宣言し介入及び派兵を行っていたアポラ星系国際連盟の国内でカパート連盟本部長や政府高官を乗っていた航空機が墜落する星連空軍AXP-243墜落事故が発生。
ジルク・カヴァリーダ社のリヴァダー・アンドロイドが防犯プロトコルを利用してアイローム・アンドロイドを次々に襲撃。瞬く間にアポラ全土に拡大し、アポラ動乱が発生する。アポラ星系国際連盟は内部情勢の混乱のため事実上の戦闘の続行が不可能を宣言。アポラの連盟軍は撤退を余儀なくされた。
アイローム派の反撃
1742年8月6日(パルダーガーネルの戦い)
ロフィルナ軍海兵隊はジエール軍の戦線を突破し、クレデリア魔法少女部隊による浸透戦術の機会を与えるなどして勝利に貢献した。
1742年9月19日(スヴォーリーの戦い)
リヴァダー派が重要拠点スヴォーリー地方を放棄。逆転勝利する。
1742年11月6日(デイナーの戦い)
アイローム派軍は強行軍を開始して、さらにデイナーまで進軍するが、その途中のサーヴァリア下級企業兵のゲリラ戦術で消耗。突出しすぎたエルミア軍をニーネン・ヴァルエルク連合軍が救出しようとするも、ヴァルエルク軍が無断後退したためにニーネン軍が側面攻撃を受け消耗。エルミア軍がニーネン軍との合流に成功したため反転したヴァルエルク軍が前線を突破し、アイローム派による攻勢により勝利。
電撃攻勢
リヴァダー派のグロスクロイツ軍団が大規模な攻勢を展開。宇宙軍からは大量の軽巡洋艦クラス、地上軍からは大量の装甲・歩兵部隊を大量投入した。これにより戦線を支えられなくなったアイローム派はプレフィス5を放棄。プレフィス5の撤退戦で包囲されたヴァルエルク軍6師団をロフィルナ海兵隊の強襲作戦で救出するも、そのほとんどが降伏せざるを得なくなった。
1743年2月6日(D8-8小惑星帯の艦隊戦)
1743年4月21日(ジェダフ2-1の艦隊戦)
1743年9月2日(デイ・クリード作戦)
1743年14月12日(ピークトリーの戦い)
1744年1月3日(エヴェルトロンの戦い)
1744年3月10日(メル・クルースの戦い)
1744年5月7日(ナークティンクの戦い)
1744年7月6日(クファーズ市街地の戦い)
第三勢力と混乱する情勢
(ファルトクノアが中小企業を扇動してテーマカラー緑の新しい陣営が勃興する)
戦線の膠着
アイローム陣営が押され続ける中、アイロームはティラルド8において地下に巨大な拠点、「エイワルヴァーク(AIWELVARK)要塞」を築いた。これ以外にも各地に防戦に向けて徹底された地下要塞が各地に設けられ、マーカス内戦は各地の戦線が膠着した(未確定)
士気と戦線の崩壊
(半機械の拉致された子供兵の投入)
(バラバラになったアンドロイドのパーツをつなぎ合わせたキメラみたいなやつの登場)
(不明な勢力によるハッキングとジャミングによる相互陣営の疲弊)
悲嘆の行脚
情勢に絶望したアイロームとリヴァダーの将校が、マーカス国内の非戦闘員である一般民衆にZHL兵器を運ばせた。この運ぶ様子を戦後に「悲嘆の行脚」と呼ばれる。この時列に並んでいた人々が口ずさんでいた音楽はのちに反戦歌として銀河中で大ヒットする。将校たちはZHL兵器とともにこれらの民衆を生き埋めにした。戦後このZHL兵器によってコートン星系の一部地域では死者が出たり、立ち入り禁止区域ができたりした。
「運命の6時間」
ハイヴァンストラース停戦会議
アイローム派、リヴァダー派双方は長い内戦の末に極度に疲弊しており、これ以上の紛争継続が実質的に不可能に近い状況にまで追い込まれていた。そんな中、
調停者国家連合の代表国
プルスティアによって停戦協定の提案がなされた。アイローム社代表取締役のオーリル・ゴズデとリヴァダー社CEOヤラック・ティラルドーはこれに合意し、マーカス4の
ハイヴァンストラースで停戦会議が開かれた。
一方でこの停戦交渉の裏では両社がマーカス連邦の首都アルアック・メルダーの東西で睨み合いを続けており、アイローム社もリヴァダー社も最後の戦力を以て大攻勢を仕掛けるべく作戦立案を行っていた。
しかし、停戦交渉は決裂し、オーリル・ゴズデの不適切な発言がヤラック・ティラルドーを怒らせ、交渉の席で殴り合いの喧嘩に発展。両社の護衛アンドロイドが喧嘩を止めようとお互いの敵に銃口を向けたがプルスティアの外交官がこれを制止し、取り巻きの全員が喧嘩の行く末を見守った。
アルアック・メルダーの戦い
交渉決裂の知らせを聞いたアイローム社のクフェイター・エールナー将軍がアイローム派のヴァルエルク、エルミア、ロフィルナ、ニーネンと共にアルアック・メルダーの大攻勢を開始。アイローム派の攻撃を受けてリヴァダー派のジーロス・ウォルレイド将軍もすぐに反撃を命じ、サーヴァリア軍、ジエール軍もこれに続いた。
ニマエラの旅
ゼラエ博士の娘ニマエラ・ストラメウトはゼラエ・ストラメウト博士の旧友でありかつてのマーカス連邦総統であったゼクルース・ウォーラー・ニッテンに会い戦争を終結させるべく彼が隠居しているリーエス連邦へエルミア政府専用宇宙船で向かっていた。
アポラ動乱の終結
一方、アポラで発生していたアンドロイド動乱では日食作戦が行われると同時に、アポラス・サヴェリネムスによる演説が行われた。この演説はアポラ動乱の重要なターニングポイントとなり、終結のきっかけとなった。
リヴァダー本社襲撃
619部隊は内戦をさらに泥沼化させる狙いから、アイローム社とリヴァダー社の本社を襲撃した。
リヴァダー本社への襲撃では強化アンドロイドDLIV-SMET-05GZ WUDLENDZIRGが619部隊を迎え撃ったが撃退された。襲撃時にはリヴァダー本社にはCEOのヤラック・ティラルドーがいたが、身の危険を感じてジエール帝国連邦の秘密政治組織イェーネンイェーの手を借りて脱出に成功。ヤラック・ティラルドーはリヴァダー派が敗戦したのだと勘違いしジエールに亡命した。
アイローム本社襲撃
また619部隊はアイローム本社にも襲撃をかけた。リヴァダー社CEOヤラック・ティラルドーとは異なり、代表取締役オーリル・ゴズデはたまたま外出中だったため本社にはおらず、ほぼ無人の状態でアイローム本社が制圧された。
本社に残っていたゼラエ・ストラメウト博士はこの時、終わらない内戦に絶望し全てのアンドロイドを強制操作して全滅させようとアイローム本社の秘密ラボで裏切り計画の実行に着手していた。しかし、619部隊がアイローム本社を襲撃し制圧を終えたところで秘密ラボの存在に気づき、ゼラエ・ストラメウトが619部隊に発見された。博士は強制操作プロトコルを起動しようとするも、この企みがアイローム派の特殊部隊に発見されたものだと勘違いし、極秘に開発していたアンドロイドDLIV-BBBX-4040 GULGEURZ4体に攻撃命令を下した。619部隊は窮地に陥ったが、619部隊をエルミアの特殊部隊エルラー・プリモントが救出し、ゼラエ博士を射殺した。
終戦
ニッテンの出現
元マーカス連邦総統のニッテンはリーエス連邦から軍艦30隻を借りてノートック星系に到着。リーエスの艦隊は各拠点に対し「攻撃すれば反撃を行う」としながらノートック1宇宙港に入港した。そこにはニッテンの姿があった。
戦後
マーカス内戦ではアイローム派が勝利した。そのため、国際情勢は「アンドロイドの感情を認め、人権を与える」という雰囲気に包まれ、旧リヴァダー派諸国は白い目で見られるようになってしまった。のちの時代にこの内戦は短期的にはアイローム社側の勝利になったが、長期的に見ればこの後に旧アイローム社側で様々な問題が発生したため両陣営の痛み分けと言われる。
また、戦後のマーカス連邦では国内のあらゆるリヴァダーアンドロイドの思考AIチップをアイローム社製のエゴイズム思考AIに取り替える措置を行った。一部のリヴァダーアンドロイドは思考AIチップを強制的に取り替えられたことや、新しい倫理観によるこれまでの記憶への罪悪感によって、「AI不和合性症候群」という精神疾患を発症するアンドロイドが相次ぎ、リヴァダーアンドロイドの自殺が社会問題となった。
一方、ゼラエ・ストラメウト博士の娘ニマエラ・ストラメウトはマーカス連邦内の研究機関のアンドロイド工学技術開発者となり、「アンドロイドとしての自分らしさ」の機能を搭載したアイデンティティ思考AIの開発に着手していた。ところが、戦後の不安定な情勢下でマーカス政府を含む複数の国家からの圧力を受け、開発を断念。大宇宙連合会議や国際技術倫理シンポジウムにて訴え続けたがニマエラの主張は聞き入れられることはなく、エルミア共和国政府に「開発を援助して欲しい」という手紙を送ったが、政府は沈黙を続けた。しかし1753年にシャ=スナー=トレーミャナルチの仲介によってニーネン=シャプチ政府の下で(ケモ耳をつけることを条件に)開発を続行できることとなり、1757年にアイデンティティ思考AIを完成させた。なお、当時の国際情勢はこのAIチップに対して懐疑的だったため、普及は遅れることとなった。
各国への影響
マーカス連邦
まずマーカス連邦政府は戦後に抜本的な改革が行われた。具体的には以下の事項すべてが永久禁止事項入りした。
導入された新兵器とその後
関連項目
メモ
第四勢力にはもしかするとベリオンに支援をもらってた?
※ベリオンはアイローム側にヴァルエルク、リヴァダー側にグロスクロイツがいたので参戦できなかったのでもしかすると…?
最終更新:2023年02月06日 02:32