知識の目撃者


Keiは、Hiroの後任者として決算システムの担当者に着任した。着任後、税制改正によりTaxクラス内の税制計算の式を修正することとなったが、当該クラス内に、全く使用されていない数値を計算するメソッドを見つけた。当該メソッドについて、前任者のHiroに問い合わせをしたが、彼は海外に赴任しており、なかなか捕まらなかった。Keiは、メソッドの存在理由について自身で調査しようとしたが、Taxクラスのプログラムのコメントや設計書、仕様書など関係のありそうなドキュメントを調査したが、当該メソッドの存在理由については、どこにも記載されていなかった。

資料に残っていない問題について、どのように適切に対応すべきか?

Hiroの同僚Joeと上司Yoshiakiは、決算システムの開発当初から社内システム部のメンバーであり、当時の事情についてある程度知っている。
特にYoshiakiは決算システムのPMとして、決算システムの大まかな構造について相当程度知っていた。
YoshiakiもJoeもKeiに対し協力的で、気軽に質問ができる雰囲気である。

事情を知っていそうな第三者に質問してみよう

Keiは、当該メソッドの必要性についてYoshiakiに質問した。
Yoshiakiは、そのメソッドについてレビュー会議で指摘されていたことを覚えていたので、設計時のミスで残存しているもので削除すべきものであったことが分かった。Keiは、不必要なメソッドを改修のタイミングに合わせて削除することができた。

このパターンは、業務知識の拡散が必要である。連絡先の確保により前任者に質問できる場合は、このパターンを実行する必要はない。後任者がこのパターンを実行しやすいように第三者は、後任者が質問しやすい環境を作ることも大切である。第三者による発展途上の後任者の後見人は、そういった環境を作るのに非常に有効なパターンである。旧メンバーでの同窓会によって、第三者の多くが知識の目撃者になり、このパターンによって得られる知識の幅が広がると考えられる。また、目撃情報だけでは心もとないので、周辺の発掘も合わせて行い、確証を得ることが大事である。

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最終更新:2016年12月08日 17:57
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