寺生まれのフレンズその3

425 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (HappyBirthday! 0612-2dC4)[sage] 投稿日:2017/11/20(月) 21:35:49.90 ID:ymAs+/Rz0HAPPY
俺は弁当とついでに夕飯も作ってからバイトに出た
その日、バイト先から帰ってくるとなんと作ったはずの夕飯がきれいさっぱりなくなっていた
でも、鍵はかかっていたし誰かが入ってくるわけもないしきっと作ったつもりになっていたんだろうと思った

いや、待て待て、おかしいぞ?
よく考えろ・・・夕飯をつくってないならこの汚れた皿はなんなんだ?
もしかしてと思って冷蔵庫を開けるとそこにはグチャグチャに食い荒らされた食材が散乱していた。
それだけじゃない、食材から垂れたであろう汁が家の奥に続いてる
俺は汁の跡を追いかけてみた
辿りついた先にはこの前出したばかりのコタツ。汁の跡は更にその中に続いていた・・・
いやな予感がする・・・おかしい、布団を整えてから家を出たはずなのにグチャグチャになっている・・・
俺は恐怖に震えながらもそっとコタツの中をのぞいてみた・・・

「ぴぃぃぃぃっ!」「みちゅかったのりゃあ!?」「おかーしゃんのうしょちゅきぃっ!?」

そこには、なんとあの害獣アライさんの子供が三匹もいたのだ!!

「でもアライしゃんはかわいいからヒトしゃんはメロメロになるのりゃ!」「のーさつするのりゃ!」「あいのどれいにするのやぁ!!」

      • とりあえずこの害獣共を始末するべく何か武器になるものを取ってこよう
そう思ってコタツに突っ込んでいた頭を抜いた時だった。

ガンッ、という強い衝撃が後頭部に来た。すぐに強烈な痛みも来た。

「ふはははーっ!人間はやっぱりバカなのだ!!」

クラクラする頭を押さえながら振り向くとそこには灰皿を手にしたアライさんがいた
灰皿をよく見ると赤くなっている。どうやら頭から血が出てるらしい・・・

「チビたちをオトリにすれば人間なんてチビたちのかわいさでスキだらけなのだ!」不愉快な声でより頭がズキズキする。

「でも、アライさんの姿を見られたからには生きては帰さないのだ!他の人間を呼ばれたら厄介なのだ!!」

くそっ、害獣風情がいい気になるなよ・・・
俺は痛む頭を押さえながらアライさんに躍りかかった

「かかったなアホがなのだ!」

その瞬間、足元に何かがぶつかり転んでしまった

「よくやったのだ!」「ふはははーっ!お母さんは賢いのだ!!」

なんと、アライさんすらも囮で、俺はアライちゃんが成長したアライしゃんのタックルを受けてこけたのだ。
やばい、早く立たなきゃと思っても一発目の攻撃が効いているのか上手く体に力が入らない・・・

「死ねぇなのだ!」ああ、俺はアライさんごときに殺されてしまうのか・・・

「そこまでだ」聞いたことのある声、寺生まれで霊感の強いTさんだ

アライさん親子によって今にも殴り殺されそうな俺の前に来ると、その右腕の拳を握りしめて

「破ぁ!!」と叫ぶ、すると全身全霊の正拳突きが鋭く唸り、アライさんの醜い顔面に深々と突き刺さる!

ある程度親をボコボコにすると、Tさんの回転拳舞によって周りには血が迸り、アッー!と言う間にアライさん親子は全滅した。

「ありがとうございます。でも何でここに?」そう尋ねるとTさんは俺を指差し「とりあえずお前病院な、送ってってやるよ」

病院の帰り道で聞いた話によると知り合いからみかんを大量にもらったので俺におすそ分けしようとして来てくれたらしい。

「すっかり日も上がっちまったな、さて、俺はこれからバイトだがお前は休めよな」

そう言って一睡もしてないのに爽やかに笑ってみせるTさんを見て
寺生まれはすっごーい、俺はいろんな意味でそう思った。


あと、コタツでみかんはうめぇ、改めてそう思った。










最終更新:2018年04月06日 02:12