選択ルール:名声

Renown(DMG p.22)
名声は特定の派閥や組織の中で冒険者の地位を追跡するために使われる選択ルールである。名声は0から開始される数値であり、そこからキャラクターが特定の派閥内で好意や評判を獲得するに従って上昇する。組織内での地位と称号や、リソースへの利用などを含め、利益をキャラクターの名声と結びつけることができる。
プレイヤーは彼あるいは彼女のキャラクターがメンバーである組織毎に別々に名声を管理する。たとえば、ある1人の冒険者が、そのキャンペーンの進行を通してそれぞれの組織とどのように関わったかに基づいて、1つの派閥で5の名声を持ち、別の派閥で20の名声を持つということもありうる。


名声の獲得

キャラクターは、組織が興味ある任務や探索行を完遂するか、あるいは直接的にその組織と関わることによって名声を獲得する。君はキャラクターがこれらの任務や探索行を完遂する際に君の判断で名声を与える。一般的には経験点を与えるのと同じタイミングで与える。
組織が興味あることを推進することで、組織内でのキャラクターの名声は1上昇する。その組織によって特に指示された任務の完遂、あるいは組織に直接的に利益をもたらす行為は、キャラクターの名声を2上昇させる。
たとえば、高貴なる“篭手の騎士団”との繋がりを持つキャラクターがブルー・ドラゴンの専制から町を解放するという任務を完遂したとする。この組織は悪をなす者に罰を与えることを好むため、君はこの騎士団におけるそれぞれのキャラクターの名声を1上昇させて良い。反対に言えば、もしドラゴンの殺害が騎士団の上級メンバーによって冒険者たちに与えられた任務であったなら、この任務の完遂は各キャラクターの名声を2上昇させ、その冒険者たちは有益な仲間であることを示すことになる。
その一方で、あるパーティのローグがドラゴンの宝物庫から希少な毒の入った箱を盗み出し、ゼンタリムの秘密のエージェントである故買商にそれを売却したとする。君はそのローグのゼンタリムにおける名声を2上昇させても良い。なぜなら、たとえその任務がゼンタリムのエージェントによって指示されたものでなかったとしても、この行動は直接的にこのグループのパワーと富を向上させるものであるためである。


名声の利益

組織内での名声の向上の利益には地位と権力、組織のメンバーからの友好的な態度、その他の役得がありうる。

地位

キャラクターは彼らの名声が上昇するに従って昇進することができる。君は「表:派閥の地位の例」に示されているように、地位の向上について必要条件(ただしこれだけが必要な前提条件というわけではない)となる名声の基準値を定めておくことができる。たとえば、キャラクターは“領主同盟”内で1の名声を獲得した後、その組織に参加し、クロークの称号を得るだろう。組織内でのキャラクターの名声が上昇するに従い、彼あるいは彼女は地位をより高める資格を得るだろう。
君は地位の前提条件を加えることができる。たとえば、“領主同盟”に加わっているキャラクターは、スティングブレードになる前に最低でも5レベルに、ウォーデュークになるためには最低でも10レベル、ライオンクラウンになるためには最低でも15レベルになっていなければならないかもしれない。
君は君のゲームで用いるこうした名声の基準値を任意の数値に決めることができ、君のキャンペーンにおけるその組織の適切な地位と称号を定めることができる。

組織のメンバーの態度

キャラクターが組織内で名声を高めるに従い、その組織のメンバーがそのキャラクターの事を耳にしている可能性が高まっていく。君は組織のメンバーのキャラクターに対する初期態度が中立的になるのか、友好的になるのかの基準値を定めておくことができる。たとえば、“エメラルド団”―自然の秩序を保存することに献身している派閥―のメンバーは、その組織内で最低でも3の名声を獲得していないキャラクターに対してはあまり友好的ではないかもしれず、キャラクターが“エメラルド団”の中で10の名声を得たときにだけ初期状態で友好的になるのかもしれない。これらの基準値はその組織の大部分のメンバーの初期態度に対して適用されるだけであり、そうした態度は自動的なものではない。NPCの派閥メンバーがそのキャラクターの名声に関わりなく―もしかするとその名声ゆえに―、ある冒険者を嫌っているということもありうる。

役得

組織内での地位の獲得は、君によって定められた特定の利益をもたらす。低い地位のキャラクターは信頼できるコネと冒険への先導、安全なねぐら、あるいは冒険用装備を値引きで提供してくれる商人などを利用できるかもしれない。中程度の地位のキャラクターは、従者(第4章の「ノンプレイヤー・キャラクターの作成」参照)、ポーションと巻物、援助を求める能力、あるいは危険な任務における支援などを得られるかもしれない。高い地位のキャラクターは、小規模な軍隊の招集、希少な魔法のアイテムの管理、協力的な呪文の使い手を利用すること、あるいは低い地位のメンバーに特殊な任務を使命することなどができるかもしれない。

休息時間の活動

君は冒険と冒険の合い間に、組織内での関係構築や名声獲得のために休息時間を使うことを許可しても良い。休息時間の活動に関するより詳細な情報は、第6章「冒険の合い間」を参照。


名声の喪失

組織のメンバーとの不和というだけでは、組織内で名声を喪失する原因とはならない。しかしながら、組織やそのメンバーに対する重大な裏切り行為は、組織内での名声と地位の喪失を引き起こし得る。喪失の程度は違反に基づいて決定され、また君の判断に委ねられている。ある組織内でのキャラクターの名声が0よりも下回るという事はない。


敬虔

若干の変更によって、名声システムはあるキャラクターの神々との繋がりの度合いを測るのにも使うことができる。神々が世界において積極的な役割を果たしているキャンペーンにおいて素晴らしい選択ルールとなる。
この手法を用いるに際し、君はキャンペーンにおける特定の神的存在ごとに名声を記録する。各キャラクターは君が作り出した目的、教義、そして禁忌を持つ神格かパンテオンをパトロンとして選ぶ選択肢を持つ。彼あるいは彼女が獲得するあらゆる名声は敬虔と呼ばれる。彼あるいは彼女の神々を崇拝し、神々の命令を実行し、禁忌を尊重することで、キャラクターは敬虔を獲得する。神々に敵対する、神々を辱める、神々の寺院を冒涜する、神々の目的を阻止するといった行為を働くことでキャラクターは敬虔を喪失する。
神々は、自らの献身を証明した者に恩恵を与える。獲得した敬虔による地位毎に、キャラクターは1日1回の神の恩寵を祈ることができる。この恩寵は通常はブレスなどのクレリック呪文の形を取る。この恩寵はしばしば聖なる後援者の証として表れるものである;たとえば、トールに献身するキャラクターは雷の轟きを伴う呪文を受け取るであろう。
また高レベルの敬虔は、祝福や魅惑といった形で、キャラクターにもっと持続的な利益をも与え得る(このような超常的な贈り物については、第7章「宝物」参照)。


表:派閥の地位の例
名声 ハーパー 篭手の騎士団 エメラルド団 領主同盟 ゼンタリム
1 ウォッチャー チェヴォール スプリングウォーデン クローク ファング
3 ハープシャドウ マーキオン サマーストライダー レッドナイフ ウルフ
10 ブライトキャンドル ホワイトホーク オータムリーヴァー スティングブレード ヴァイパー
25 ワイズ・アウル ヴィンディケイター ウィンターストーカー ウォーデューク アルドラゴン
50 ハイ・ハーパー ライチャス・ハンド マスター・オヴ・ザ・ウィンド ライオンクラウン ドレッド・ロード
最終更新:2017年03月06日 17:39