サザリン市周辺の廃墟

数え切れないほどの文明が、アメディオ・ジャングルの奥深くで勃興しては滅亡してきた。彼らが存在したことを示す証拠はこれらの廃墟だけである。

チェキテワン

Chekitewan
古代と恐怖とが見守る、この真夜中のような黒い岩でできた大きく急勾配なピラミッドには、植物の侵食が一切見られない。6つの大きな段で構成されており、何百もの浅い、人間サイズの窪みがこの構造物を穴だらけにしている――それぞれには萎びた人型生物の死体がもたせかけられている。1年の大部分の間、チェキテワンはただ神秘的で避けられている場所であり、獣も、ジャングルの原住民も、そして探検家もあえてそこに挑戦したりはしない。月食の夜になると、オーマン人の神テツカトリポカがその用心深い目をこの世界に向け、これらの死体はその剥き出しの墓場から立ち上がって歩きまわると言う。こうした呪われた夜の間ずっと、このアンデッドたちは彼らの黒い廃墟に引きずって連れ帰る犠牲者を探しており、彼らの死者の火の松明は、時にはるか北にあるサザリン市の掌握している荘園でも見ることができる。これらの誘拐された者は失われた異教の神への生贄にされるという数多くの噂がある一方、オーマン人の末裔たちは―魔除けの印を切った後で――これらの歩く死者たちが古代の英雄であり、彼らが流した血によって、かの恐るべきジグラトの中に長く幽閉されているある種の永劫の悪の不死の飢餓を一時的に満たしているのだと主張する。

エヴァーマイア(終わりなき沼地)

Evermire
エメラルド川の東にある広大で人跡未踏の沼沢地には、木製の脚柱に乗った村がある。この小さな開拓者の町の建物は、さまざまな高さで水の上に浮くように設置されている。水面上わずか1インチ程度の波止場から、裕福な者の家屋の数階建ての建物並みの高さまであり、すべてが縄橋子と狭い渡り板とで結ばれている。小動物の巣がある他は全く何もなく、これらの建築物は風化したままであるが、まだ使用に耐える状態のままであり、住民たちがなぜここを放棄したのかという事を示す手がかりはどこにもない。不思議な事はまだあり、町の中央に立っている古代の木にはエルフ語がびっしり書き込まれており、それらを翻訳しても、何度も何度も“エヴァーマイア(終わりなき沼地)”という言葉が繰り返されている他は訳の分からない戯言にしかならない。沼地の奥まで踏み入れたサザリン市の人間はほんの僅かしかおらず、また、この地域にエルフの居住地があったという公式記録も存在しない。

メガラーヴ

Megalarve
係争中の鱗ある者たちの都市、リザードフォークの部族とブリーワグの部族の両方が、この略奪された木造の都市の正当な所有者であると主張している。たくさんの意外なほど複雑な建造物が地面を覆っている一方で、都市のほとんどの部分が古代のデクロの木の枝々に覆われた足場の上に建っており、橋や朽ちたロープによる複雑なネットワークで結び付けられている。この都市を争っている爬虫類部族は、どちらも現在はここには住んでおらず、両者の戦士たちは10年来のゲリラ戦を戦っており、どちらも発見した侵入者を追い払おうとしている。

マッシュワン

Mashwan
古代オーマン語で“記憶”という意味のマッシュワンは忘れ去られた場所である。この広いジャングル開墾地の中には、12本の石のオベリスクがあり、それに囲まれるようにして地面に寝かせられた、信じられないほど入り組んだ彫刻が施された石の円盤がある。これを調査した者は、この円盤上の正確な区分けとルーンとは、ある種の時計かカレンダーとして機能するものであるという仮説を立てているが、この円陣の近くにいた者は皆気絶してしまい、直前の数時間の記憶を失ってしまうので、正確なことは誰にも分からない

長き影の尖塔

Spire of Long Shadows
ひところは、ここは半神カイウースのパワーの中心地であった。廃墟と化した都市クルスマーが、このそびえ立つ、崩れた石のジグラトを取り囲んでおり、葉のない木か、秘術的な象形文字を様式化したかのような見事な姿を見せている。邪悪な神に捧げられた大広間がこのモノリス(一枚岩の石塔)の地下に存在しており、その邪悪な蟲の神は打ち破られたにも関わらず、彼の暗く恐ろしいパワーを示す証拠が今なお、その滅びた玉座の下に渦巻いていることは疑いないという風説が流れている。


最終更新:2017年03月08日 22:41