Unearthed Arcana:罠の再検討(2017/2/27)

Unearthed Arcana: Traps Revisited
『Dungeon Master’s Guide』にある罠に関するルールはゲーム卓において罠を取り扱うために必要とされる基本的な情報を提供している。ここにある記事はDMGルールに基づいて組み立てられており、君自身で罠を作り出すためのより細かい手引きを提供する。
機械式の罠であるとか魔法式の罠であるとかいう点に焦点を当てるのではなく、ここのルールでは罠を2つの分類に分けている:単純な罠と複雑な罠である。


単純な罠

Simple Traps
単純な罠は起動し、それから無害になる。ゴブリンの巣穴の入り口に掘られた隠された落とし穴、錠前から撃ち出される毒針、そして侵入者が感圧板の上に足を踏み込んだときに発射するよう仕掛けられたクロスボウがすべて単純な罠である。

単純な罠の説明

Describing a Simple Trap
単純な罠には機能するために3つの要素を必要とする:起動条件、いったん起動された際にそれらが有する効果、そしてそれらを克服するための措置である。加えて、罠にはレベルが与えられており、それが有する脅威についての全般的な説明がある。

レベルと脅威

罠のレベルは、それの相対的な強さの見当を君に与えるためのレベル帯で表現される(レベル1~4、5~10、11~16、そして17~20)。それから並、危険、致命的な脅威として分類される。この罠の分類はその罠がそのレベル帯の他のものと比較してどれくらい強力であるかを示している。

起動条件

単純な罠は何がその罠を起動させるかを説明する起動条件を有する。起動条件の説明にはそれを起動させるための場所とアクションが含まれる。

効果

罠の効果はそれが起動したときに何が起こるかを説明している。罠はダーツを発射したり、毒ガスの雲を放出したり、隠された部分が開いたりといった事がありうる。この効果は罠の目標がだれなのか指定しており、その攻撃ボーナスやセーヴィング・スロー難易度、そして命中したりセーヴィング・スローに失敗したりしたときに何が起こるかが指定されている。

対応策

罠はさまざまな方法で克服することができる。罠のこの項目では、それを探知したり解除したりすることができる判定や呪文について説明している。また、もしあるのであれば、それを解除しようとして失敗したときに何が起こるかが説明されている。

単純な罠の取り扱い

Running a Simple Trap
ゲーム・プレイで単純な罠を取り扱う際、キャラクターの受動〈知覚〉値をメモしておくことから始まる。ほとんどの罠は【判断力】〈知覚〉判定によって、それらの起動条件や、それらの存在に事前に気付くための他の要素を探知することができる。もし君が判定について尋ねるのをやめたなら、プレイヤーたちは隠された危険に疑いを抱くかもしれない。
罠が起動するとき、その説明に指定されているようにその効果が適用される。罠が起動する前にプレイヤーたちの意図するアクションについて確認しておくことで、それらについて議論したり単に熟慮したりして方策を立てさせるのではなく、プレイヤーたちが何をしたいのかに基づいて行動させるようにするのである。
もしプレイヤーたちが罠を発見したなら、それを克服するための彼らのアイデアについて裁定を下すために制約はかけないようにすること。罠の説明は完全に定義されているものではなく、対応策に関する思考の開始点に過ぎない。
プレイヤーはその罠を克服するためにどうしたいかを具体的に述べるべきである。単に判定を行ないたいと述べるだけでは不十分である。プレイヤーには彼らのキャラクターがどの位置にいるのか、罠を克服するためにどんなことをしたいのかを尋ねること。プレイヤーは単に「僕は盗賊道具を使ってそれを解除します」と述べることはできない。それはあいまいにすぎる。そうではなく、プレイヤーはこんな風に説明すべきである。「僕は盗賊道具を使って錠前を調査して内部にある毒針を無力化してみようとするよ。」最も望ましくないのは、罠が起動したときにキャラクターがどこにいたのか混乱を招くことである。
基本的に、単純な罠の克服ではなんら経験点の報酬は与えられない。もしキャラクターが罠を発見し、それを回避したり解除したりしたなら、ダンジョンの危険を与える要素を回避したということ自体が彼らの報酬である。もし彼らがそれに躓いたなら、彼らは続いて起こるより危険な状況に対処しなければならなくなる。


単純な罠の例

Example Simple Traps
ここでは君の冒険に組み込むのに使ったり、君が独自の罠を作成する際のモデルとして使ったりできる単純な罠の例を紹介する。

大鎌の刃

Scything Blade
単純な罠(レベル5~10、危険な脅威)
この致命的な刃は部屋を通過して一掃するように薙ぎ払ってくる。木製のレバーを引くとこの罠が起動する。コボルドたちは自分たちより大きなクリーチャーを危険に陥れるため、特にこの様式の罠を好む。

起動条件

レバーを引くと、この罠が起動する。

効果

幅5フィート、長さ20フィートの範囲にいる中型サイズかそれより大きい各クリーチャーは、難易度15の【敏捷力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると14(4d6)[斬撃]ダメージを受け、成功すればその半分のダメージを受ける。

対応策

このレバーは隠されていない。難易度15の【知力】〈捜査〉判定で、罠の効果範囲に残された擦り傷と血痕があることに気付く。難易度15の盗賊道具の習熟を適用する【敏捷力】判定でこのレバーを無力化できる。

落とし穴

Pit Trap
単純な罠(レベル1~4、並の脅威)
この罠は深さ10フィートの落とし穴と、葉や土で覆われたぼろぼろの覆い布で構成されている。この種の罠はモンスターの巣穴の入り口をふさぐのに便利であり、通常はその脇に沿って狭く安全な出っ張りの通路がある。

起動条件

この覆い布に足を踏み入れたあらゆる者は落とし穴の中に落下するかもしれない。

効果

起動したクリーチャーは難易度10の【敏捷力】セーヴィング・スローを行なわなければならない。セーヴに成功すれば、そのクリーチャーは落とし穴の端を捕まえるか、直感的に後ずさりする。そうでなければ、落とし穴に落下したクリーチャーは落下によって3(1d6)[殴打]ダメージを受ける。

対応策

難易度10の【判断力】〈知覚〉判定でこの覆い布を発見できる。落とし穴の縁にある幅1フィートの出っ張りを使えば安全に通過できる。

クロスボウの罠

Crossbow Trap
単純な罠(レベル1~4、危険な脅威)
クロスボウの罠はコボルドや彼らの巣穴を守るのに罠に頼るクリーチャーたちが良く使う。廊下を横切って張った仕掛け線と注意深く隠されたヘヴィ・クロスボウで構成される。このクロスボウは仕掛け線を起動させた人物に向けて廊下を射撃するように狙いを定めてある。

起動条件

仕掛け線を通過したクリーチャーはこの罠を起動する。

効果

この罠は起動させたクリーチャーに対して2回の攻撃を行なう。それぞれの攻撃は+8の攻撃ボーナスを持ち、命中すると54(1d10)[刺突]ダメージを与える。この攻撃が“優位”や“不利”を得ることはない。

対応策

難易度15の【判断力】〈知覚〉判定でこの罠の仕掛け線を発見できる。難易度15の盗賊道具の習熟を適用する【敏捷力】判定で仕掛け線を解除できるが、判定に5以上の差で失敗するとこの罠を起動してしまう。

毒針

Poison Needle
単純な罠(レベル1~4、致命的な脅威)
錠前の中に隠されたごく小さな毒針は、盗人から宝物庫の略奪の意志をくじく完璧な手法である。そうした罠は通常は箱や、宝物室へ通じる扉の中に仕掛けられる。

起動条件

錠前を破ろうとしたり、開いたりしようと試みるあらゆる者がこの罠を起動する。

効果

起動させたクリーチャーは難易度20の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならない。セーヴに失敗すると、そのクリーチャーは14(4d6)[毒]ダメージを受け、10分間毒状態になる。このようにして毒状態である間、そのクリーチャーは麻痺状態である。セーヴに成功したなら、そのクリーチャーは半分のダメージを受けるだけで、毒状態ではない。

対応策

難易度20の【判断力】〈知覚〉判定で針を発見できるが、キャラクターがこの錠前を調査した場合に限る。難易度20の盗賊道具の習熟を適用する【敏捷力】判定でこの針を解除できるが、判定に10以上の差で失敗するとこの罠を起動してしまう。

長き眠り

Sleep of Ages
単純な罠(レベル11~16、致命的な脅威)
感圧板によって侵入者を深い眠りに陥れる可能性のある呪文を解放する。それからダンジョンの守護者は眠っている者たちを処理することができる。

起動条件

感圧板に足を踏み入れるとこの罠が起動する。

効果

起動したとき、この罠は感圧板を中心として9レベル呪文スロットを使ったスリープ呪文を発動する。

対応策

難易度20の【判断力】〈知覚〉判定で感圧板を発見できる。感圧板の5フィート以内で難易度20の【知力】〈捜査〉判定を行なうことでこの罠を解除できるが、判定に10以上の差で失敗するとこの罠を起動してしまう。ディスペル・マジック(難易度19)をこの感圧板に対して発動すればこの罠を破壊できる。

ネットの罠

Net Trap
単純な罠(レベル1~4、危険な脅威)
敵を奴隷化する傾向を持つゴブリンたちは、ゴブリンたちの鉱山やその他の場所で働かせるために、侵入者を無傷なままで捕えるための罠を好む。

起動条件

通路に張られた仕掛け線が大きなネットに繋がれている。もし仕掛け線が切られると、そのネットが侵入者の上に落下する。同時に仕掛け線に繋がれた鉄の鐘も鳴らされる。罠が起動すると鐘が鳴り、近くにいる衛兵に警報を発する。

効果

仕掛け線を中心とする10フィート×10フィートの範囲を覆うネットが床に落下すると共に鐘が鳴る。この範囲の内部に完全に収まっているあらゆるクリーチャーは難易度15の【敏捷力】セーヴィング・スローに成功しなければならず、失敗すると拘束状態になる。クリーチャーは自分自身か、ネットの中にいる別のクリーチャーを自由にしようとするための難易度10の【筋力】判定を行なうためにそのアクションを使うことができる。ネット(AC10)に5[斬撃]ダメージを与えることでも、クリーチャーに害を与えることなくクリーチャーを解放することができる。

対応策

難易度15の【判断力】〈知覚〉判定でこの罠の仕掛け線を発見できる。難易度15の盗賊道具の習熟を適用する【敏捷力】判定で、ネットを落下させたり、鐘を鳴らしたりすることなく、仕掛け線を解除できる。判定に失敗すると、この罠を起動してしまう。

火の爆発

Fiery Blast
単純な罠(レベル5~10、危険な脅威)
火の神パイレミアスの寺院は、彼らの神への貢物として神官たちによって集められたファイアー・オパールを盗み出そうとする盗人たちに悩まされている。内陣の聖域への入り口通路の床の上のモザイクが、侵入者を戒める火を解き放つ。

起動条件

このモザイクの上に足を踏み入れたあらゆる者はそれから噴出する火を引き起こす。パイレミアスの聖印を公然と着用している者はこの罠を起動しない。

効果

15フィートの火の円錐が放出され、その感圧板とその周辺を覆う。この円錐の内部にいる各クリーチャーは難易度15の【敏捷力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると24(7d6)[火]ダメージを受け、成功すればその半分のダメージを受ける。

対応策

難易度15の【知力】〈捜査〉判定でこの罠によって作り出される火の円錐の形状に灰とかすかな燃え痕があることに気付く。難易度15の【知力】〈宗教〉判定によって、クリーチャーはモザイクの中にあるキー・ルーンを損壊することでこの罠を破壊することができる;この判定に失敗すると、この罠を起動してしまう。ディスペル・マジック(難易度15)をルーンに対して発動すればこの罠を破壊できる。

ベア・トラップ

Bear Trap
単純な罠(レベル1~4、危険な脅威)
ベア・トラップは足を踏み入れたときにバネ仕掛けでばたんと閉まる1組の鉄の大あごに似た代物であり、クリーチャーの足を挟み込む。この罠は地面に大釘で打ち込み、犠牲者を移動できないようにする。

起動条件

クリーチャーがベア・トラップの上に足を踏み入れると起動する。

効果

罠は起動させたクリーチャーに対する攻撃を行なう。この攻撃は+8の攻撃ボーナスであり、命中すると5(1d10)[刺突]ダメージを与える。この攻撃が“優位”や“不利”を得ることはない。この罠の命中を受けたクリーチャーは移動速度が0になる。その者か罠に隣接する別のクリーチャーによって行なわれる【筋力】判定(難易度15)に成功して罠から抜け出すまで、その者は移動することはできない。

対応策

難易度10の【判断力】〈知覚〉判定でこの罠を発見できる。難易度10の盗賊道具の習熟を適用する【敏捷力】判定で解除できる。

落下する門

Falling Gate
単純な罠(レベル1~4、致命的な脅威)
新たな犠牲者を探し求める狂ったウィザードなど、ダンジョンを建造する一部の者は、訪問者が安全に脱出できるようにしようなどとは思ってもいない、この罠は感圧板からいくばくか離れた場所にある門を落下させるという巧妙な代物である。この門は何百フィートも離れた場所にあるダンジョンの入り口を閉ざすものであるかもしれない。冒険者たちは町に戻ろうと決意するまで罠に囚われていることに気付かない。

起動条件

感圧板に足を踏み入れたクリーチャーがこの罠を起動する。

効果

この罠は天井から鉄の門を落下させ、迷路からの出口を塞いでしまう。

対応策

難易度20の【判断力】〈知覚〉判定で感圧板を発見できる。難易度20の盗賊道具の習熟を適用する【敏捷力】判定でそれを解除できるが、判定に5以上の差で失敗するとこの罠を起動してしまう。


単純な罠の設計

Designing Simple Traps
君は下記の指針を使って単純な罠を作り出すことができる。また君は、その罠の目標となる相手のレベルや脅威に基づいて、難易度やダメージの値を修正することで罠の例を改変することができる。

目的

Purpose
君の罠の詳細に手を突っ込む前に、その目的について考えを巡らすこと。この罠を作った誰かはなぜこれを作ったのか? その目的は何なのか? この罠の作成者、作成者の目的、そして罠が守っている場所について考えを巡らすこと。罠にはこの世界における前後関係・背景というものがあり、その前後関係が罠の性質と効果を導きだす。
下記に示すのは罠が持っているだろういくつかの目的である。君の独自の罠を作り出す際にこれらを参考として使うこと。

警報

警報の罠はその場所の占有者に侵入者について警報を与えるために設計されている。それは音を発するために鐘を鳴らすのかもしれない。この種の罠がセーヴィング・スローを含むことは稀である。

遅延

これらの罠は侵入者の進みを遅れさせ、ダンジョンの住民に防衛や逃走の準備をする時間を与えるものである。隠された落とし穴がこの罠の古典的な一例である。深さ10フィートの落とし穴は通常はほんの少しのダメージしか与えず、脱出も容易であるが、侵入者の移動を遅らせる。他の例としては、崩落する壁、天井から落下してくる落とし格子、そして扉を閉めて施錠してしまう錠前機構などがある。これらの罠は、それらが直接的にキャラクターたちに脅威を与える場合には、通常は回避するために【敏捷力】セーヴィング・スローを要求する。

拘束

拘束する罠はその犠牲者をその場に留め、移動できないようにしようとするものである。これらの罠は標準的な衛兵の巡回と組み合わせた時に最も有効だが、古代のダンジョンでは衛兵がすでにいなくなってしまっているかもしれない。通常、これらの罠は回避するのに【筋力】セーヴィング・スローを要求されるが、中には全くセーヴを許可しないものもある。ダメージを与えることに加えて、同時にこれらはクリーチャーを移動できないようにする。その後続いて、【筋力】判定(セーヴィング・スローと同じ難易度を使う)に成功するか、あるいは罠にダメージを与えることでそれを破壊し、捕まっている状態を脱することができる。この例としてはベア・トラップ、天井から落下してくる檻、あるいはネットを投げつける装置などが含まれる。

殺害

これらの罠は侵入者を排除することを目的に設計されている。これらには錠前を不正にいじったときに跳び出してくる毒針、部屋に充満する火の爆発、毒ガスなどが含まれる。セーヴィング・スロー――通常は【敏捷力】か【耐久力】――によって罠の効果を回避したり、緩和したりできる。

レベルと致死性

Level and Lethality
罠の効果を作り出す前に、そのレベルと致死性について考慮すること。
罠は4つのレベル帯に分けられている。レベル1~4、レベル5~10、レベル11~16、レベル17~20だ。罠のレベル帯はその強力さに関する起点を与えてくれる。
罠の強さについてさらに深く計算するために、そのレベル帯においてそれが並であるか、危険であるか、あるいは致命的であるかを選ぶこと。並の罠はキャラクターを殺すことはないであろうし、最も弱い種類の罠である。危険な罠はその命中を受けたキャラクターに治癒を求めさせるに十分なだけのダメージを与える。致命的な罠は1回でクリーチャーを0ヒット・ポイントにまで減少させ、ほとんどのクリーチャーに小休憩か大休憩を必要とさせる。
罠の効果を最終的に決定する際に、下記の表を参考にすること。「表:罠のセーヴ難易度と攻撃ボーナス」は罠のセーヴ難易度、判定難易度、そして攻撃ボーナスに関する指針を提供する。この判定難易度は罠と関わるために使われるあらゆる判定難易度に用いられるデフォルトの数値である。
「表:レベルに応じたダメージの過酷度」は特定のキャラクター・レベルにおいて罠が与える典型的なダメージを一覧にしてある。一覧に示したダメージはその罠が1体のクリーチャーにダメージを与える場合を想定している。同時に複数体のキャラクターに影響を与えることができる罠については、ダメージ用にd10の代わりにd6を使用すること。
「表:レベルに応じた同等の呪文」には特定のキャラクター・レベル適切な呪文スロットのレベルと、その罠が持ちうる危険について一覧にしてある。その罠が呪文を模倣するにせよ(覗き込んだあらゆる者にチャーム・パースンを発動する鏡)、その効果を使用するにせよ(ファイアーボールのような爆発を起こす錬金術装置)、呪文は罠を設計するときに使うと大きな近道となる。17レベルを超えるキャラクター用の“致命的”の列には1つの効果に9レベルと5レベルの呪文を組み合わせることを示唆している。この場合、2つの呪文を選び出すか、あるいは9レベルと5レベルのスロットを使って発動した呪文の効果を組み合わせるかすること。
表:罠のセーヴ難易度と攻撃ボーナス
罠の危険 セーヴ/判定難易度 攻撃ボーナス
10 +5
危険 15 +8
致命的 20 +12

表:レベルに応じたダメージの過酷度
キャラクター・レベル 危険 致命的
1~4 5(1d10) 11(2d10) 22(4d10)
5~10 11(2d10) 22(4d10) 55(10d10)
11~16 22(4d10) 55(10d10) 99(18d10)
17~20 55(10d10) 99(18d10) 132(24d10)

表:レベルに応じた同等の呪文
キャラクター・レベル 危険 致命的
1~4 初級魔法 1 2
5~10 1 3 6
11~16 3 6 9
17~20 6 9 9+5

起動条件

Triggers
起動条件は罠を起動するために生じる必要がある状況である。
どんな原因で罠が作動するのかを決定し、どうやってキャラクターが起動条件を発見することができるのかを決める。ここでは起動条件の一例をいくつか紹介する:
  • 感圧板が、その上に足を踏み入れたときに、罠を起動する。
  • 仕掛け線が切られたとき、通常は誰かがそこを横切って通過したときに罠が起動する。
  • ドアノブを誤った方法で回したときに罠が起動する。
  • ドアや箱が開かれたときに罠を起動する。
通常、起動条件は効果的にするために隠されている必要がある。そうでなければ、罠を回避することが簡単になることは自明のことである。
ただそれを見つけただけでその性質が明らかになるようなものであれば、起動条件には【判断力】〈知覚〉判定を要求する。もし落ち葉の間の隙間によって落とし穴を発見したなら、キャラクターたちは落ち葉で覆われたネットによって隠された落とし穴の罠を回避できる。仕掛け線も見つけさえすれば回避できるし、感圧板も同様である。
他に、気付くためには慎重な検査や推論を必要とする罠もある。ドアノブを左回しにしたときにはドアを開くが、右回しにしたときには罠を起動する。このような巧妙な罠は、気付くために【知力】〈捜査〉判定を必要とする。起動は明白である。その性質を理解することはそうではない。
判定の難易度は、その種別に関わらず、その罠を隠蔽するために取られた技量と慎重さに応じて決まる。ほとんどの罠は発見するために難易度20の判定を必要とするが、下手な作りであったり、急ごしらえであったりする罠は難易度15である。例外的なまでに狡猾に作られた罠は難易度25を持つであろう。
その後、君は判定に成功したことでキャラクターが知ることができるものについて少し考えを巡らさなければならない。ほとんどの場合、判定で罠が明らかになる。場合によっては、有益な手掛かりが明らかになるが、なおいくばくかの推論を必要とする場合もあるだろう。キャラクターは判定に成功したにも関わらず、彼らが知った内容について理解することに失敗すると、罠を起動させてしまうかもしれない。

+ 〈知覚〉と〈捜査〉
〈知覚〉と〈捜査〉
仕掛け線を明らかにする【判断力】〈知覚〉判定では、その仕掛け線を切った場合に何が起こるのかをプレイヤーに伝えることはない。彼らはうっかりそこに引っ掛かってしまう前にそれに気付くが、それでも次に何をするかを決定しなければならない。そのアイテムの性質は問題ではないが、君はそれを発見できないかもしれない。判定に成功すればそれが明らかになる。
【知力】〈捜査〉判定は、足を引きずった痕跡を明らかにしてくれたり、そのドアノブが左右両方に回すことができるが、ほとんどの場合は右回しに回されていることを示す摩耗のパターンであることを明らかにしてくれたりする。それでもプレイヤーはそのドアをどのように開くのか決定しなければならない。このアイテムは明白であるが、その真の性質は曖昧なままである。判定に成功すればそのアイテムの目的を指摘する手掛かりが明らかになる。

効果

Effects
罠の効果を設計することは明快な過程である。セーヴ難易度、攻撃ボーナス、ダメージなどは、ダメージを与える最も単純な罠についての考慮の開始点を与えてくれる。
もっと複雑な効果を持つ罠については、君にとっての最適な考慮の開始点は、君の罠が意図している効果に最も適したものを見つけるために「表:レベルに応じた同等の呪文」を使うことである。呪文は特定の効果を引き起こすゲーム・デザインについての凝縮された要素であるため、良い開始点となる。
いったんその罠が引き起こす効果を選択したなら、そのダメージ、攻撃ボーナス、そしてセーヴ難易度を選ぶこと。もし君は開始点として呪文を使用しているなら、罠の性質に合うようにその効果を微調整する必要があるかどうかを確認すること。たとえば、呪文が引き起こすダメージ種別を変更するとか、必要とされるセーヴィング・スローを変えることなどは容易にできるだろう。

単純な罠の解除

Disarming Simple Traps
単純な罠は解除するために1つの能力判定を要求する。その罠がどのように作用するのかを想像し、それからキャラクターはどのようにしたらそれを克服することができるかについて考えること。すべての罠が伝統的な手法で解除できるわけではない。隠された落とし穴の罠はキャラクターたちがそれに気付けば事実上解除されたも同然である。キャラクターたちは単にその周囲を巡って歩いたり、片側から壁面を降り、歩いて横切って、反対側の壁をよじ登るだけで事足りる。
いったん罠をどのように解除することができるかを決定したなら、キャラクターが使うことができる適切な能力と技能の組み合わせを選ぶこと。ほとんどの場合、盗賊道具を使った【敏捷力】判定、【筋力】〈運動〉判定、あるいは【知力】〈魔法学〉判定で罠を克服できる。
盗賊道具を使った【敏捷力】判定は機械的な要素を持つあらゆる罠に適用できる。盗賊道具は仕掛け線や感圧板を安全に解除したり、毒針の機構をばらばらに分解したり、あるいは部屋に毒ガスを流し込む弁を閉塞したりするのに使うことができる。
【筋力】判定は、暴力的な力を使って破壊したり、押し戻したりできるような罠に有益である。大鎌の刃は破壊することができるし、崩落する天井はその場で支えることができ、さらにネットはばらばらに引き裂くことができる。
魔法的な罠はそれらの動力として使われている魔法を毀損することができる者によって解除することができる。【知力】〈魔法学〉によって、キャラクターは、その罠の機能とその魔法をどのようにして作動不能にするかを理解することができる。魔法的な炎の噴出を吐き出す彫像は、そのガラスの眼の1つが砕かれたときに解除され、それに動力を与えている魔法が崩壊するのかもしれない。
最後に、もし罠の解除の試みに失敗したときに何らかの不利益が生じるかどうかを決定する。もしそうであれば、罠を起動させることになる判定結果との差異の閾値を決めるか、あるいはあらゆる失敗が罠を起動させるのかを決める。もし結果がその閾値と同じかそれよりも低いなら、罠は起動する。この選択肢は、たとえキャラクターたちがそれを発見したとしても、罠を依然として危険なものと感じさせるために役立つ小道具である。何の危険もなしに解除することができる罠は反撃することができないモンスターのようなものである。もちろん、君の決定を導くための道理というものを使うこと。この要素は罠を興味深いものとするが、君のゲームを非論理的で独断的なものにしてしまうことのないようにすべきである。たとえば、床の一画が開いてキャラクターを穴の底に転げ落とすような罠があったとする。もしこの落とし穴を解除しようと試みているローグがこの罠の隣に立っているなら、罠が起動したとしてもそのローグが落下するということはありえないだろう。もちろん、その機構に手を伸ばして解除するには、キャラクターが罠に向かって体を傾けるか、あるいはその上に足を踏み込まなければならないと明示することによって、この問題を矯正することができる。

単純な罠の配置

Placing Simple Traps
背景状況は万事が罠と関係している。キャラクターを脇に向かって打ち付ける丸太の罠は典型的な森の小道では使いにくい。それはそそり立つ崖面の脇にしがみつくような狭い小道でこそ致命的な危険となりかねない。
ダンジョン内の重要な場所に続く検問所や狭い通路は罠を仕掛けるのに良い場所であり、特に警報や拘束をもたらす罠にとってはそうである。これらの罠は侵入者たちが重要な場所に到達することができるようになる前に彼らを阻止し、ダンジョンの住民に防衛の準備をする機会を与える。
宝箱、地下貯蔵庫へ通じる扉、そして価値ある宝物を納めてあるその他のあらゆる障壁や容器は殺害用の罠を仕掛ける理想的な場所である。この場合、罠は盗人や侵入者を排除することができる採集防衛線ということになる。
警報の罠は、直接的な肉体的な脅威を持たないために、ダンジョンの居住者によって使われている場所にとって理想的である。もしもし躓いたゴブリンが警報の罠を起動してしまったとしても、何一つ本当に危険なことは起こらない。警報が鳴り響き、衛兵たちが駆け付け、そのおっちょこちょいのゴブリンを叱りつけた後、彼らはその罠を再セットするだけである。もちろん、頻繁に事故で起動してしまう警報の罠は防衛者たちの素早い反応を引き起こすことがなくなってしまうかもしれない。
何にもまして、罠は論理的に配置し、それらを設置するのに必要とされる時間と労力について考慮すること。もし冒険者たちがあまりに数多くの罠に遭遇するようだと、プレイヤーたちはダンジョンの中を1平方インチ単位で隈なく仕掛け線や感圧板を探し回るようになり、ゲームの進行をどんどん遅くしてしまうだろう。
もしプレイヤーたちが正確に罠の存在を推論するようであれば、それこそ全く正しいのだ。それは君の罠が論理的な場所に配置されており、プレイヤーたちがゲームにしっかりと参加していることを意味しているのだ。


複雑な罠

Complex Traps
複雑な罠は冒険者たちに多様な危険をもたらす。いったん複雑な罠が起動したなら、それはキャラクターたちがそれを回避するか、それを無力化するまで、毎ラウンド毎ラウンド危険をもたらし続ける。一部の複雑な罠は、パワーを集めたり、スピードを獲得したりして、時間の経過と共にどんどん危険になっていく。
また複雑な罠は単純なものよりもそれを無力化することがずっと難しい。それを無力化するためには1回の判定だけでは不十分である。代わりに、各要素を徐々に無力化するために一連の判定が必要とされる。罠はキャラクターたちが最終的にそれを停止させるまで、判定ごとに劣化していく。
ほとんどの複雑な罠は、君が罠の効果の危険にさらされる意志がある場合にだけ無力化することができるように設計されている。たとえば、大鎌の刃がいっぱいになっている廊下において、それらを統御している機構が入り口とは反対側の端にある場合や、一帯を死霊術エネルギーに包みこんでいる彫像が、それが放出しているエネルギーの場の中に立っている間にしか解除できないような場合などだ。

複雑な罠の説明

Describing a Complex Trap
複雑な罠は単純な罠を構成する4つの要素で構成され、さらにその罠をより動的なものに変える要素が加わっている。

レベルと脅威

複雑な罠は単純な罠で使ったのと同じレベル帯と脅威の分類を用いる。

起動条件

単純な罠と全く同じように、複雑な罠にも起動条件がある。一部の複雑な罠には複数の起動条件がある。

イニシアチブ

複雑な罠はクリーチャーがそうするのと同じようにターンを取る。複雑な罠は遅い(イニシアチブ順10)、速い(イニシアチブ順20)、あるいは非常に速い(イニシアチブ順20と10)のいずれかである。

能動要素

罠のターンにおいて、それはその説明文に記述されているような特定の効果を起動する。罠は複数の能動要素を持っていたり、ランダムにその効果を決定するためにロールする表を持っていたり、あるいは君が選ぶことができる選択肢を持っていたりするかもしれない。

動的要素

多くの複雑な罠は変化し続ける脅威を特徴とする。罠の説明文には時間経過と共に罠がどのように変化するかが記述されている。通常、これらの変化はそのターンの終了時か、キャラクターたちのアクションに対応して効果を及ぼす。

定常要素

複雑な罠はそのターンではないときですら、脅威を持っている。定常要素は罠の機能のこうした要素がどんなものであるかを記述している。ほとんどはそのターンを特定の範囲で終了したクリーチャーに対して攻撃を行なうか、セーヴィング・スローを強いるものである。

対応策

罠はさまざまな方法で克服することができる。罠の説明文はそれを探知、解除することができる判定や呪文について詳述している。同時に、もし何かあるなら、それを解除しようという試みに失敗したときに何が起こるかについても指定している。
複雑な罠の解除は単純な罠の解除に似ているが、複雑な罠は複数の判定を要求する。典型的なものでは、複雑な罠の要素の1つを解除するために3回の判定に成功する必要がある。これらの罠の多くは複数の要素を持ち、罠のそれぞれの要素を抑止するためにかなりの労力を要する。通常、判定に成功することでそれを無力化しないにしても、罠の要素の効力を減ずることができる。

複雑な罠の取り扱い

Running a Complex Trap
ゲーム・プレイ内では、複雑な罠は伝説級のモンスターのように機能する。起動したとき、罠の能動要素はイニシアチブ順20か10(あるいは非常に速い罠ではその両方)で作動する。そのイニシアチブ順においては、同じイニシアチブを持つクリーチャー全てが行動を行なった後で、その罠の特性が作動する。罠の説明文に詳述されている効果を適用すること。
罠の能動要素の効果を解決した後、罠に何か変化が起こったかどうか、その動的要素を確認すること。多くの複雑な罠は遭遇の進展具合と共にさまざまに変化する効果を持つ。魔法的なオーラは起動している時間が長くなればなるほどより大きなダメージを与えるようになるかもしれないし、振り子のように揺れる刃はそれが攻撃する部屋の範囲を変えて行くかもしれない。
罠の定常要素は、罠のターンではないときに効果を持つことを許す。各クリーチャーのターンの終了時に、その罠の定常要素がその効果のいずれかを起動したかどうか確認すること。


複雑な罠の例

Example Complex Traps
ここでは君自身の作成の参考となる複雑な罠の例を紹介する。

刃の道

Path of Blades
複雑な罠(レベル1~4、危険な脅威)
失われし都市シニディセアの場所を示す埋もれたピラミッドの内部に隠されているのはアレクサンダー王とゼノビア女王の墓である。彼らの墓への入り口は、巧妙に隠された秘密の扉によってのみ入ることができる、罠でいっぱいの長い廊下である。この廊下は幅20フィート、長さ160フィートである。そこはほとんどがきれいに片付いている。80フィート進んだ後、床は崩れてひび割れており、130フィート目の地点まで移動困難地形である。

起動条件

この罠はアンデッドではないクリーチャーが廊下に入るや否やすぐに起動し、1人でもアンデッドではないクリーチャーがその内部にいる間は起動した状態のままである。

イニシアチブ

この罠はイニシアチブ順20と10で作動する。

能動要素

刃の道には、この罠の最初の80フィート沿いの振り子のように揺れる刃、次の50フィートの部分の天井を支えていた、天井から床に打ち倒された砕けた柱、そして最後の30フィートにある恐怖のルーンから成る。
振り子の刃(イニシアチブ20)
この刃はこの廊下の最初の80フィートにいる各クリーチャーを攻撃し、攻撃ロールには+5のボーナスを、命中したときには11(2d10)[斬撃]ダメージを与える。
崩れる柱(イニシアチブ10)
この廊下の81~130フィート進んだ場所にいる各クリーチャーは難易度15の【敏捷力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると11(2d10)[殴打]ダメージを受け、打ち倒されて伏せ状態になり、成功すれば半分のダメージを受ける。
恐怖のルーン(イニシアチブ10)
この通廊の死あごの30フィートにいる各クリーチャーは難易度15の【判断力】セーヴィング・スローを行なわなければならない。セーヴィング・スローに失敗すると、そのクリーチャーはこのルーンに対する恐怖状態に陥り、そのクリーチャーは即座に自らのリアクションを使ってこの廊下の終端から遠ざかるように自らの移動速度分だけ移動しなければならない。恐怖状態のクリーチャーはアクションを使って難易度15の【判断力】セーヴィング・スローに成功してこの恐怖状態を終了させるまで、この廊下の終端部へ向かって近づく移動を行なうことができない。

動的要素―刃の攻撃の失敗

刃はどんどんその動くスピードを増していき、目標に命中したときにだけ減速する。刃が攻撃を失敗する毎に、それらのダメージは3(1d6)、攻撃ボーナスは+2上昇する。これらの利益は刃が1体の目標に攻撃を命中させるまで続く。

動的要素―ルーンの防御

恐怖のルーンに作動不良を引き起こそうと不正に干渉すると、この罠のパワーを増大させる。判定に成功する毎に、刃のダメージと崩れる柱のダメージは5(1d10)上昇し、ルーンのセーヴ難易度は1上昇する。

定常要素

振り子の刃と恐怖のルーンはその要素の効果範囲内でターンを終えたクリーチャーに影響を及ぼす。
振り子の刃
刃の効果範囲内でターンを終えたあらゆるクリーチャーは攻撃の目標となる:命中+5;命中時5(1d10)[斬撃]ダメージ。
恐怖のルーン
廊下の終端から30フィート以内でそのターンを終えたあらゆるクリーチャーは恐怖のルーンの効果に対するセーヴィング・スローを行なわなければならない。

対応策

この罠の能動要素それぞれには有効であるかもしれない対応策がある。
振り子の刃
キャラクターは刃を強打したり、これらの部品にダメージを与えたり、あるいはそれらのパターンを読み取ったりして回避することができる;もしこれらの合計攻撃ボーナスが、攻撃やそれらに障害を与えようという試みから-8にまで陥れられたなら、刃は作動不能に陥る。
【知力】〈捜査〉判定、難易度15
この判定は刃のパターンを明らかにする。アクションとして、刃を見ることができるクリーチャーはこの判定を試みることができる。成功すると無力状態ではないならそのクリーチャーに対する刃の攻撃には“不利”が課される。
攻撃
この範囲にいるクリーチャーは刃を打ち払うために攻撃を準備することができる。刃はそのクリーチャーに対する攻撃に“優位”を得る。その後クリーチャーは攻撃を行なう。刃はAC15と15ヒット・ポイントを持つ。刃1つを破壊するとその攻撃ボーナスは2減少する。
盗賊道具を用いた【敏捷力】判定、難易度15
刃によって攻撃を受ける範囲において、クリーチャーは盗賊道具を使い、それらの機械仕掛けを動作不良に陥らせることができる。判定に成功すると、刃の攻撃ボーナスは2減少する。
崩れる柱
この柱に対する効果的な対応策はない。
恐怖のルーン
このルーンは難易度15の【知力】〈魔法学〉判定を3回成功させることで、そのルーンを崩壊させることができ、動作不良に陥らせることができる。判定それぞれにアクションを必要とする。この判定を試みるためには、クリーチャーはこの廊下の終端にいなければならず、一度にこの作業に当たることができるのは1体のクリーチャーだけである。いったんあるクリーチャーがこの判定を試みたなら、そのクリーチャーの次のターンの終了時までは他のクリーチャーが同じ判定を行なうことはできない。もうひとつの方法として、ルーンを目標とするディスペル・マジック(難易度13)の発動に3回成功すれば、このルーンを動作不能にできる。

殺到する破滅の球体

Sphere of Crushing Doom
複雑な罠(レベル5~10、致命的な脅威)
その宮廷道化師は、彼の魔法の道化帽を盗み出そうとする連中を阻止するべく、致命的な罠を発案した。この道化師の墓は幅10フィート、長さ150フィートの南北に走る急斜面の廊下の終端に位置している。この墓の入り口は廊下の南橋にある斜面の底にある扉である。東の壁にある扉からこの墓に入ることができる。

起動条件

この罠は道化師の棺の蓋が開かれるや否や起動する。廊下の北端に魔法の転移門が開き、巨大な鋼鉄の球体が吐き出され、斜面を転がり落ちてくる。それが斜面の底に到達するとき、第二の転移門が短時間だけ出現して球体を斜面の頂上に戻し、再びこの過程が繰り返される。

イニシアチブ

この罠はイニシアチブ順10で作動する(ただし、下記の動的要素について確認すること)。

能動要素――殺到する破滅の球体

殺到する破滅の球体はほとんどこの通路いっぱいを閉める球形の丸石である。この廊下にいる各クリーチャーは球体が起動したときに難易度20の【筋力】セーヴィング・スローを行なわなければならない。セーヴに失敗すると、クリーチャーは22(4d10)[殴打]ダメージを受け、打ち倒されて伏せ状態になる。セーヴに成功すると、クリーチャーはその半分のダメージを受け、伏せ状態にはならない。招来された壁など、この球体を妨げる物品は衝撃から最大のダメージを受ける。

動的要素――加速

そのターンの後、この丸石はスピードを増し、そのダメージが11(2d10)上昇するという形でそれは表現される。そのダメージが55(10d10)以上である間、それはイニシアチブ20と10の両方で作動する。

対応策

この罠を解除することができる方法はごく少ない。
球体を止める
球体を止めるのがこの罠を阻止する最も簡単な方法である。ウォール・オヴ・フォースはそれを容易に止めることができ、破壊されることなく球体から受けるダメージを吸収することができるほどに十分なヒット・ポイントを持つあらゆる物体はそれを止めることができる。
転移門を崩壊させる
どちらの転移門も難易度20の【知力】〈魔法学〉判定に3回成功することで無効化することができるが、転移門を無効化するためにそれを解析するこの過程には時間を要する。この廊下の両端の天井と床にあるかすかなルーンがこの転移門を開いている。クリーチャーは、最初にこのルーンのセットを調査するためにアクションを使わなければならず、それからそれらを破壊しようと試みるために続けてアクションを使う。判定に成功する毎に、妨害された球体が消えかけの門を通過するためにスピードを失うため、球体のダメージは11(2d10)減少する。
もうひとつの方法として、セットになったルーンのいずれかを目標とするディスペル・マジック(難易度19)の発動に3回成功すれば、このルーンのセットを動作不能にできる。
もし南側の転移門が破壊されたなら、球体は壁にぶつかってそこで停止する。それは墓へ通じる扉を閉塞するが、キャラクターたちは脱出できる。


毒の大嵐

Poisoned Tempest
複雑な罠(レベル11~16、致命的な脅威)
この悪魔のごとき罠はあるユアンティの寺院に忍び入る侵入者たちを抹殺するために建造された。この罠は60フィート四方で、それぞれの壁の真ん中に幅5フィートの石の扉がついた部屋である。この部屋のそれぞれの角には、とぐろを巻き、今まさに攻撃せんと準備万端の大きな蛇を象った高さ10フィートの彫像が立っている。それぞれの彫像の目は1つにつき200gp相当の価値があるルビーである。

起動条件

この罠は彫像の1つからルビーをこじり取られたときに起動する。それぞれの彫像のクリーチャーがスライドして開き、その喉まで下っている幅1フィートのパイプが姿を現す。

イニシアチブ

この罠はイニシアチブ順20と10で作動する(ただし、下記の動的要素も確認すること)。

能動要素

毒の大嵐は毒とその他の致命的な効果で部屋を満たす。
扉を施錠する(イニシアチブ20)
この部屋にある4枚の扉は叩きつけるように閉まり、魔法で施錠される。この効果は一度だけ、この罠が起動した最初のときにだけ起動する。
毒ガス(イニシアチブ20)
毒ガスが部屋にあふれ出す。中にいる各クリーチャーは難易度20の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると33(6d10)[毒]ダメージを受け、成功すればその半分のダメージを受ける。
大嵐(イニシアチブ10)
空気とガスの混合物がこの罠から湧き上がる。d6をロールし、「表:大嵐の効果」を確認すること。
表:大嵐の効果
d6 効果
1 幻覚を引き起こすガスが精神と感覚をかき乱す。再び大嵐の要素が起動するまで、この部屋の中で行なう全ての【知力】と【判断力】判定には“不利”が課される。
2 この場所に爆発性のガスが充満する。誰かが裸火を有しているなら、爆発を起こし、部屋の中にいる全員が22(4d10)[火]ダメージを受ける(難易度20の【敏捷力】セーヴによってダメージを半減)。その後、その裸火は消火する。
3 部屋に弱体化を引き起こすガスが充満する。再び大嵐の要素が起動するまで、この部屋の中で行なう全ての【筋力】と【敏捷力】判定には“不利”が課される。
4 翻弄する風が部屋にいる全員に打ち付け、難易度20の【筋力】セーヴィング・スローを成功させなければ打ち倒されて伏せ状態に陥る。
5 部屋に煙が充満する。次の大嵐の要素が起動するまで、視認性は1フィートにまで減少する。
6 追加の毒ガスが部屋にあふれ出す。毒ガスの要素と同様。

動的要素――過酷度強化

毒ガスから受けるダメージは起動後11(2d10)ずつ上昇し、最大で55d(10d10)にまでなる。

対応策

この罠を克服することができる少数の方法がある。
扉を開く
扉を開くのがこの罠から脱出する最も早い方法であるが、これらは魔法によって守護されている。この扉を開くには、キャラクターは最初に錠前機構を発見するために難易度20の【判断力】〈知覚〉判定を行なわなければならない。難易度20の【知力】〈魔法学〉判定でこの錠前を取り巻いている力場の球体を動作不能にする(ディスペル・マジックはこれに対しては無効である)。最後に、難易度20の盗賊道具を用いた【敏捷力】判定によってこの錠前をこじ開けることができる。最後に、この扉を開くために押すには、難易度20の【筋力】〈運動〉判定が必要とされる。各判定にはアクションを要する。
彫像を無力化する
彫像はその口からのガスの流れを遮蔽することによって無力化できる。彫像を破壊することはまずい考えであり、ガスの弁を開きっぱなしにする結果になる。難易度20の【筋力】判定か、彫像に20を超えるダメージを与える攻撃はそれをひび割れさせ、毒ガスのダメージを5(1d19)上昇させる。難易度20の盗賊道具を用いた【敏捷力】判定か、マントかそれに類する物体で彫像をふさぐために難易度15の【筋力】判定を行なうことで、[毒]ダメージは5(1d10)減少する。いったんキャラクターがこの判定に成功したなら、それをふさぎ続けるために誰かが彫像の隣に居続けなければならない。4つの彫像すべてがこの方法でふさがれたなら、この罠は作動不能に陥る。


複雑な罠の設計

Designing Complex Traps
複雑な罠の作成は単純な罠の組み立てるよりも多くの作業を要するが、いくつかの実践によって、君はその過程を学び、それを素早く動かすことができる。
複雑な罠に関するこれらの指針に沿って進める前に、単純な罠の設計に関する指針について、良く理解しておくこと。

目的

Purpose
複雑な罠は一般的に侵入者を殺害するか障害を与えることでその場所を守護するように設計されている。誰がこの罠を仕掛けたのか、その罠の目的な何なのか、そしてその望んでいる結果は何なのかについて考えるために時間を費やすことには価値がある。この罠は宝物を守護しているのか? それは特定の侵入者だけを目標とするのか? 開始点として単純な罠について与えられている助言を用いること。

レベルと致死性

Level and Lethality
複雑な罠は単純な罠と同じレベル帯と致死性を使用する。レベルと致死性が複雑な罠のセーヴと判定の難易度、攻撃ボーナス、そしてその他の数値的な要素を決定するにあたってどのように助けになるかについての論考についての項に戻って参照すること。

地図

Map
複雑な罠には複数の構成要素を持ち、一般的に、その効果のいくつかを解決するにはキャラクターの位置に依存し、各ラウンドに複数の効果をもたらすことができる。その罠が“複雑な”と呼ばれる由縁である! より簡単に設計するために、方眼紙に1マス5フィートの縮尺を使って、この罠による影響を受ける範囲の地図を描くこと。このくらいの詳細さによって、君はその罠が何をでき、その要素のそれぞれがどのように作用するのかについて明らかにすることができる。君の地図は罠の設計過程の残りの部分の開始点であり、背景情報となる。
君自身をひとつの殻に閉じ込めてはらない罠の周辺の通路や部屋を見て、それらが果たしうる役割について考えを巡らすこと。罠は扉に施錠し、門を落として脱出を妨げるかもしれない。ある場所の壁からダーツを発射することで、キャラクターたちを別の装置のある部屋へ入らせ、それを起動させて彼らに脅威を与えることもできるだろう。
地形や備品類が罠の危険性にどのように付け加えることができるかを検討してみること。裂け目や落とし穴は距離を作り出すことができ、それによって、魔法の矢を送り込む罠に、パーティがそれを停止させるためにルーンを損壊させるべくそこまで到達することを困難にさせたり、場合によっては不可能にしたりすることができる。
君の地図を台本のように考えること。キャラクターが行きたいのはどこであるのか? その罠が守っているものは何なのか? キャラクターたちはどのようにしてそこに至ることができるのか? 彼らが取りそうな脱出ルートはどんなものか? これらの問いに答えることで、その罠のさまざまな要素をどこに配置すべきかが分かるだろう。

能動要素

Active Elements
複雑な罠の能動要素は単純な罠の効果と同じように機能するが、複雑な罠は毎ラウンド起動する点が異なる。それ以外、セーヴ難易度、攻撃ボーナス、そしてダメージの選択に関する指針は同じである。君の罠を論理的に組み立てるために、君が設計する要素を確実に各ラウンド起動できるようにすること。たとえば、キャラクターに向かって射撃を行なうように装備されているクロスボウはそれらを再装填する機構を必要とする。
致死性という用語において、1つの罠には1つの致命的なものを与えるよりも、複数の危険な効果を持たせる方が良い。大雑把なやり方として、君の罠に2つの危険な罠の要素と1つの並の危険を持たせて作り上げること。
複数の能動要素を作り、それぞれに異なる範囲を罠の影響下におくようにするのは便利である。また、さまざまな効果を使用するというのも良いアイデアである。罠のいくつかの要素はダメージを引き起こし、別のものはキャラクターを動けなくしたり、彼らをパーティの他のメンバーから孤立させたりするかもしれない。その要素が相互にどのように作用し合うのかについて考えを巡らせること。叩きつけてくるレバーは炎の奔流に飲み込まれているエリアにキャラクターを打ち込んで叩きこむかもしれない。

定常要素

Constant Elements
複雑な罠が取る能動的なステップに加えて、同時に継続的な危険を提供するべきである。しばしば、能動効果と定常効果は同じものである。旋回するのこぎりの刃がいっぱいの廊下を想像して欲しい。罠のターンには、この刃は通路内にいる誰かを攻撃する。加えて、この廊下に長く留まり過ぎた者は彼らのターンの終了時にダメージを受け、これはこの刃が有する定常的な脅威を表現している。
定常要素はその要素の効果範囲でターンを終了したあらゆるキャラクターにその効果を適用するべきである。もし能動要素がそのターンではないときにも脅威を提供するなら、定常要素としてそれが有する脅威を決定すること。大雑把なやり方として、セーヴィング・スロー難易度や攻撃ボーナスは同じ値を維持するが、ダメージは半分に減少させること。
遭遇エリア全域を定常要素で覆い尽くすことは避けること。複雑な罠の謎解きの一部は、どのエリアが安全であるかを探り当てることにある。短時間の猶予期間を与えることは、複雑な罠に一定のペース配分の要素を追加し、キャラクターたちに彼らが定常的な脅威にさらされているわけではないという感覚を与える。たとえば、互いに叩きつけ合う壁は叩きつけの間に再セットする必要があり、それらのターンではないときには害を受けることなく立ち去ることができる。

動的要素

Dynamic Elements
後のラウンドになって、モンスターがその戦術を変更したり、新たな能力を露わにしたりすると戦闘がよりおもしろいものになるのと同じように、複雑な罠の性質が少しでも変化すれば、それをより興味深いものとしてくれる。宝箱を守護する旋回する刃は、スピードを増していくに従って与えるダメージが毎ラウンド大きくなる。部屋の中の毒ガスはそれがよりたくさん部屋に溢れて行くことによってどんどん濃密になっていき、より大きなダメージを与え、視界を遮っていく。デモゴルゴンの偶像の周囲に垂れ込める死霊術オーラはその能動効果が起動する毎にランダムな効果を生み出す。水が部屋に溢れだすに従い、キャラクターたちは1~2ラウンド前までは歩いて行き来できていたエリアを泳がなければならなくなる。
複雑な罠は複数ラウンドに渡って作動状態を維持するため、これらは侵入者に対して継続的な脅威を与えることができる。しかしながら、もしこの脅威が予測可能なものになれば、その犠牲者がその裏をかくチャンスはより大きくなるであろう。複雑な罠は、それらが多様な脅威を侵入者に提供すれば最善であり、それらは毎ラウンド変化させることができる。この変化には罠がどのようにキャラクターを目標とするか(攻撃や、セーヴィング・スローの種別ですら)、それが与えるダメージや効果、それが覆う効果範囲などだ。一部の罠は各ラウンドにランダムな効果を持つかもしれないし、別の罠は侵入者を挫折させたり、殺害したりするように設計した、慎重にプログラムされた攻撃配列に従ってくるかもしれない。
動的要素はスケジュールに則って発生させることができる。洪水を引き起こす部屋において、君は各ラウンドにそのエリアに影響を与える水位上昇がどれほどなのかを計画できる。水は最初のラウンドの終了時には足首の深さであり、次のラウンドには膝まで、といった具合であるかもしれない。水は溺れの危険をもたらすだけではなく、同時にそのエリアを横切って移動する事を困難にさせる;しかしながら、上昇する水位は、床からでは手が届かなかった部屋の上の方へ泳いでいくことを可能にしてもくれるだろう。
また動的要素はキャラクターたちの行動に対する反応をプレイにもたらしてくれる。罠の要素の1つを解除することで、他の者をもっと危険に晒すことになるかもしれない。火を吐く彫像を作動させているルーンを作動不良にすると、その中の魔法が暴走するために彫像の爆発を引き起こすかもしれない。もしその部屋でクリーチャーが死ぬと、ネラル神に捧げられた偶像がその魂を吸い取り、新たなパワーを手に入れるかもしれない。
また罠の動的要素は分かりやすい時限装置ともなる。たとえば、部屋の中の毒ガスによって与えられるダメージは最初11であるが、罠がそのターンを取る毎に2倍になって行くかもしれない。賢いプレイヤーは変えらが逃げるか死の危険を冒さなければならなくなる前に罠を克服するには、ほんの数ラウンドしかないと見て取るだろう。
ランダムな動的要素は楽しいものとなる。なぜなら、それらはプレイヤーたちに気を張り詰めさせておき、それを阻止するために練ったあらゆる計画をダイス運に頼ったものとさせる。この場合、君は表を作り、罠がどのように変化するかを確認するためにその表でロールする。プレイヤーは次に何が起こるか確実に知ることはできない。大雑把なやり方として、複雑な罠におけるランダムな要素は1つに制限することが良い。あまりたくさんのランダム要素を持つ罠は独断的でイライラさせるものと感じられてしまう。君は計画を立てにくくしたいのであって、克服困難にしたいわけではないだろう。
動的要素は罠のターンの後で変化するべきである。水位は罠の能動要素がそのターンを取った後で上昇する。刃は、それらがキャラクターを攻撃することに失敗する毎にスピードを増し、ダメージに追加のダイスを加えていき、攻撃に成功した衝撃でそれらの動きは遅くなり、その後その開始時の状態に戻る。

起動条件

Triggers
単純な罠のために与えられた起動条件に関する助言は、複雑な罠にも適用できるが、ひとつの例外がある。複雑な罠には複数の起動条件があることが特徴であり、あるいは起動条件を回避することが侵入者が罠が守っているエリアに到達することを妨げるように設計されている。別の複雑な罠は特定の合図に対して活性化する魔法の起動条件を使っている。たとえば、扉が開くとか、誰かが正しい記章、アミュレット、あるいはローブを着用することなくそのエリアに入ってきたときなどだ。
君の地図を見て、君がいつその罠を作動させたいのかについて考慮すること。複雑な罠は、キャラクターたちがそのエリアの探検に従事することにした後に起動するようにするのが最善である。単純な罠はキャラクターが扉を開いたときに起動するかもしれない。早期に起動した複雑な罠は、PCたちが罠の仕掛けられた部屋を見て、おそらくは扉を閉じて移動することを選択するだろう。単純な罠は侵入者を近づけないことを目的としている。複雑な罠は彼らを中に誘い込もうとしており、そのため、それが起動したときに、侵入者は脱出するべくそれに対処しなければならない。
一般に、複雑な罠に関する起動条件は君がそれを作ることができるくらいに誰にでも扱えるものであるべきである。複雑な罠は大量の尽力と魔法のパワーの支出を要する。だれも容易に回避できるようなものを作ったりはしない。【判断力】〈知覚〉と【知力】〈捜査〉判定では起動条件を発見することはできないし、魔法の罠では特にそうだろう。しかし、彼らはそれが起動する前に罠の手掛かりを得ることはできる。血痕、灰、床に刻まれた溝などは、その罠の効果を示すであろうし、警告を与えてくれるだろう。

イニシアチブ

Initiative
複雑な罠は繰り返し作動し、君はそのイニシアチブを記録しておく必要がある。キャラクターたちやモンスターとは異なり、罠はイニシアチブをロールしない。機械装置や魔法装置であるこれらは、予測可能な形で機能する。複雑な罠を設計する際、君は最初にそれがどのくらいの頻度で起動するのかを決定しなければならない。複雑な罠は3つの分類のいずれかに振り分けられる:遅い、速い、非常に速い。
遅い。こうした罠は効果を立ちアが得るために時間を要する。これらの能動要素はイニシアチブ順10の位置を取る。この選択肢はモンスターや他の守護者と一緒になって作動する罠に適している。起動する前に守護者にはその能動動効果の範囲の外に移動したり、キャラクターたちをその範囲に押し込めたりするチャンスを与えてくれるためだ。
速い。これらの罠は侵入者を不意討ちし、彼らが反応できるよりも前に攻撃を命中させるように設計されている。こうした罠はイニシアチブ順20で作動する。この設定は複雑な罠に最善の選択肢である。これがデフォルトのアプローチと考えること。より遅いキャラクターを不意討ちするに十分なほどに速く、ローグ、レンジャー、そしてモンクのような速いキャラクターにはそれが起動する前に罠の範囲から移動する最善のチャンスが与えられる。
非常に速い。こうした罠は動きがかすむくらいに速く作動し、対抗措置を取らねばほんの短い時間で侵入者を排除する。これらはイニシアチブ順20と10の両方で作動する。こうした罠は複数の能動要素を持つことを特徴とするべきであり、異なるイニシアチブ順では異なる要素が作動するべきである。調和して作動するような要素を有することによって利益を得ることができる罠に対して、この選択肢を使うこと。たとえば、イニシアチブ順20では、宝物庫を横切るように刃が振り下され、キャラクターたちを廊下の方に退かせる。イニシアチブ順10において、廊下にある彫像から魔法のダーツが発射される一方で、門が落ちてきてキャラクターたちを閉じ込める。

複雑な罠の克服

Defeating Complex Traps
複雑な罠が1回の判定で克服されることは決してない。その代りに、判定に成功する毎に罠の一部を停止したり、その性能を低下させたりする。罠全体を停止させるには、罠の各要素を個別に克服しなければならない。
始めるにあたって、君の地図を確認し、罠の一部を停止させることができるアクションを試みるために、キャラクターたちがどの場所にいるべきであるかを検討すること。ほとんどの罠の設計者は罠そのものを守護するように罠を計算する。ファイターは旋回する刃を破壊することができるかもしれないが、それを攻撃できるほどに近くまで移動することは、その刃の方に攻撃のチャンスを与える必要がある。
その罠をどのように克服することができるかを検討すること。明らかな候補は、単純な罠を克服するために使われるのと同じような種類の判定であるが、他の選択肢をも広げ続けるために、罠の設計に関する理解を用いること。部屋に毒ガスを放出する弁は閉めることができる。致命的なオーラを放出している彫像は押し倒して砕くことができる。攻撃、呪文、そして特殊能力はすべて罠を損なうための役割を担うことができる。
即興用の余地を残しておくこと。もし君が罠がどのように機能しているかという点で隠されている機構を理解していれば、プレイヤーたちのアイデアをどのように処理すればよいのかはずっと楽になるだろう。少数の解決法だけを作っておいて、プレイヤーたちが厳密に正確なあ手法を提案するのを待つようなことをしてはならない。D&Dのあらゆるものと同様に、能力を選びとり、成否の確率を見積もり、それからロールするよう求めること。
罠の1つの要素を機能停止させるために3回の判定かアクションに成功することを求めるというのが落とし所だ。最初の判定に成功することで罠の構成要素のセーヴ難易度か攻撃ボーナスは4減少するかもしれない。第2の成功でそのダメージは半減するかもしれない。最後の判定に成功すると、それは機能停止するかもしれない。
攻撃を行なわない罠の構成要素については、各判定によってその要素の有効性を3分の1だけ減少させることができる。錠前の難易度は減少し、門は小型サイズのキャラクターであればくぐり抜けられる程度に開く。毒ガスを部屋に送り込む機械仕掛けはその送気量を減らし、ガスのダメージはゆっくりとしか上昇しなくなるか、あるいは全く上昇しなくなる。
罠に対して作業を行なうには時間を要する。3人のキャラクターが順番に連なって判定を行なうことで、6秒でそれを解除するということはできない。彼らはお互いに足を引っ張り合うことになり、その努力を無駄にしてしまうだろう。いったんキャラクターが判定に成功したなら、他のキャラクターは、成功したキャラクターの次のターンの終了時までは罠の同じ要素を解除するための同じ判定を行なうことはできない。
そのキャラクターの選択肢のすべてを罠の阻止に集中させなければならないわけではない。キャラクターは罠の効果を軽減したり回避したりするため何ができるかを考えること。この手法は罠の解除には不向きであるかもしれないキャラクターに、役に立つと感じさせるのに良い方法である。【知力】〈捜査〉判定は振幅している刃が従っているパターンを明らかにできるかもしれず、そのキャラクターの次のターンの開始時まで、その攻撃ロールに“不利”を課す。盾を持っているキャラクターはダーツの罠の正面に立ち、他のキャラクターがそれを起動する毎に自らがその目標となることができる。

+ 複雑な罠と伝説級モンスター
複雑な罠と伝説級モンスター
複雑な罠はある意味では伝説級のモンスターのようなものである。それはそのターンに使用することができる複数の手段を有している。それはそのターンだけではなく、ラウンドの間ずっと脅威を与え続ける。その罠の能動要素は伝説級クリーチャーの通常のアクションのようなものであり、定常要素は伝説級アクションに相当する(それらが罠の仕掛けられた空間の特定のエリアにだけ結びついている点が異なる)。
伝説級クリーチャーが移動したり、即興のアクションを取ったりなどができるのに対して、罠は特定の筋書きが設定されており、複雑な罠も陳腐化する可能性を持っている。そこで動的要素が登場する。これらはプレイヤーたちの気を張り詰めさせておくことができ、複雑な罠への対処を挑戦的で発展していく状況のように感じさせるだろう。


最終更新:2017年05月09日 21:15