種族:ラカスタ(タバキシ)

Rakasta (Tabaxi)
我々はかつて、いくつか前の冬、頼りになるタバキシを得ていた。彼女は毎晩自分の物語で酒場を満席にしては、日がな一日中暖炉の前の椅子でまどろんでいた。我々は彼女は怠惰だと考えていたが、リニンがなくしたブローチを探しにやって来たとき、彼女は私が瞬きする前に扉を飛び出していった。
――トブレン・ストーンヒル、宿屋の主人

奇妙な遠方の土地出身の、放浪するタバキシたちは、興味深い芸術品を収集したり、噂や物語を集めたり、世界の驚異を目の当たりにしたりするという好奇心に駆りたてられている猫のような人型生物である。究極の旅人である、詮索好きなタバキシが一か所に長く留まることはめったにない。彼らの生来の性質のために、秘密を秘密のままに放っておいたり、宝物を放っておいたり、あるいは失われた伝説を放っておくことはできない。


さまよえる浮浪者

Wandering Outcasts
ほとんどのタバキシは遠方の故郷の土地に留まっており、小さく窮屈な氏族で居住することに甘んじている。これらのタバキシは食糧を狩り、道具を製作し、概ね自給自足している。
しかしながら、全てのタバキシがそうした人生に満足している訳ではない。タバキシの創造を行った神性である“猫の王”は彼の子供たちそれぞれに特別なネコ科の特徴を1つ授けた。こうした好奇心を授けられたタバキシたちは、遠く広く放浪しようという強迫観念を受け取る。彼らは物語、アーティファクト、そして伝承知識といったものを探し求める。この放浪癖の時期を生き延びた者たちは、年長者たちの待つ故郷へと帰還し、外の世界でのニュースを共有する。この方法で、タバキシは孤立してはいるが、決して彼らの故郷の外の世界について無知になることはないようにしている。


伝承知識を伝えあう者

Barterers of Lore
タバキシはどちらかと言えば、物質的な物よりも知識を大切にする。金貨が満載の箱は食糧やひと巻きのロープを購入するには役立つかもしれないが、本質的に興味深いものではない。タバキシの目には、富を集めることは長旅のために保存食を詰め込んでおくようなものである。それはこの世界で生き延びるには重要なことではあるが、大げさに騒ぐほど価値があることではない。
代わりに、タバキシは知識と新しい経験に価値を置く。賑やかな居酒屋では彼らの目はいきいきとし、食べ物、飲み物、そしてお金の提供と引き換えに物語をせがむ。タバキシは空っぽの財布を持って立ち去ることになるかもしれないが、彼らは小銭を数える守銭奴と同じように、彼らが集めた物語や噂話を思い巡らすことになる。
物質的な富はタバキシにとってあまり魅力的ではないが、彼らは古代のレリック、魔法のアイテム、そのほかの希少な物品を見つけ出し、調査することについて飽くことなき願望を持っている。そうしたアイテムが与えてくれるだろうパワーとは別に、タバキシはそれらの製作の背後にある物語や、それらの使用の歴史を明らかにすることに大きな喜びを感じる。


つかの間の気まぐれ

Fleeting Fancies
さまよえるタバキシは移り気なクリーチャーであり、1つのものに取りつかれているか、あるいは情熱を傾けているかと思えば、気まぐれに次のものに興味を移す。タバキシの願望は燃え上がるほどではあるが、いったんそれと出会ってしまえば新しい強迫観念と置き換わり、消え失せてしまう。興味を引き付け続けるのは、それらが秘密に保たれている限りの話である。
タバキシのローグはある貴族から奇妙な宝石を盗み出すための計画を練ることに喜んで何ヶ月も費やすことができるが、盗んだ後は1回の船旅や、1週間分の宿代とそれを交換してしまったりする。タバキシは手渡してしまう前に、その宝石の切り子面ひとつひとつを完璧に記録を取り、記憶するかもしれないが、いったんその秘密や性質が明らかになってしまえば、その宝石を保持しておくことにはそれ以上興味がなくなってしまう。


鋳掛屋と吟遊詩人

Tinkers and Minstrels
好奇心こそが、故郷の外で出会うタバキシの大部分を駆り立てているが、彼らの全員が冒険者になる訳ではない。彼らの強迫観念を満足させるもっと安全な道を探し求めるタバキシは、放浪の鋳掛屋と吟遊詩人になる。
こうしたタバキシは小さな一座で活動し、通常は1人の長老と最大で4人までの若者たちで構成され、より経験豊富な長老が、世界で自分の道を学んでいる若者たちを指導している。彼らは小さく色彩豊かな四輪馬車で旅をし、居留地から居留地へと移動し続ける。到着すると、彼らは公共の広場に小さなステージを設置し、そこで歌い、楽器を演奏し、物語をかたり、そして異国風の品々を提供して、彼らの好奇心を刺激する品物と交易する。タバキシは金についてはしぶしぶ受け取るが、興味をかき立てる物品や伝承知識の断片などで支払いを受ける方をずっと好ましく思っている。
これらの放浪者たちは文明世界から外れないようにして、彼らの好奇心を満たすためにもっと危険な手法を追い求めるよりも、交易で手に入れることを好む。しかしながら、所有者がそれを売買することを拒否した場合、特に興味のある品物を手に入れるに際し、余り慎重とは言えない盗みを働くこともやりかねない。

+ “猫の王”
“猫の王”
タバキシの神は、猫たちのパトロンにふさわしく、移り気な存在である。タバキシは“猫の王”は世界をさまよっており、彼らを見守りつつ、必要に応じて彼らの問題に干渉してくると信じている。“猫の王”のクレリックは稀であり、一般的に“欺き”の領域を利用する。


タバキシの名前

Tabaxi Names
それぞれのタバキシは1つの名前を持ち、それは占星術、予言、氏族の歴史、そしてその他の難解な要素を必要とする複雑な公式に基づいて氏族によって決定される。タバキシの名前は男女両方に適用することができ、ほとんどは彼らのフルネームから派生するか、あるいはそれに喚起されて付けられたニックネームを用いる。
氏族の名前は通常は氏族の縄張りの中やその近辺に位置している地理学的な特徴に基づいている。
下記のタバキシの名前の例のリストには括弧内にニックネームを示している。
タバキシの名前:クラウド・オン・ザ・マウンテンテップ(クラウド)、ジェイド・シュー(ジェイド)、スカート・オヴ・スネークス(スネーク)、スモーキング・ミラー(スモーク)、セヴン・サンダークラウド(サンダー)、ファイヴ・ティンバー(ティンバー)、レフトハンディッド・ハミングバード(バード)
タバキシの氏族:スノアリング・マウンテン、ディスタント・レイン、ブライト・クリフス、マウンテン・ツリー、ランブリング・リヴァー


タバキシの個性

Tabaxi Personality
タバキシは同様の背景を持つドワーフやエルフとは大きく異なった動機と変わった癖を持つかもしれない。君は人格的特徴、尊ぶもの、関わり深いもの、弱味に加えて、君のキャラクターをカスタマイズするために下記の表を使うことができる。
「表:タバキシの強迫観念」によって、君のキャラクターの目標に磨きをかけることができる。特別な楽しみとして、君の移り変わり続ける好奇心を反映するために、キャンペーンにおいて数日が経過する毎に新しい結果をロールすること。
表:タバキシの強迫観念
d8 私の好奇心は現在こんなものに取りつかれている・・・
1 ある神や異次元の存在
2 あるモンスター
3 ある失われた文明
4 あるウィザードの秘密
5 ある普通のアイテム
6 ある魔法のアイテム
7 ある場所
8 ある伝説や物語

表:タバキシの奇癖
d10 奇癖
1 君は熱帯の故郷が恋しく、夏でも凍えるような天候に絶えず不平不満をもらす。
2 絶対にそうしなければならないのでない限り、君は二度と同じ服は着ない。
3 君はごく些細な水に対する恐怖症を持っており、濡れるのを嫌う。
4 君の尾はいつも君の内なる考えを裏切って内面を曝してしまう。
5 君は幸せを感じるとゴロゴロと喉を鳴らす。
6 君はいつも手の中に小さな毛糸玉を持っており、それを絶えずそわそわと弄り回している。
7 贅沢なパーティや友だちへの贈り物に金を使ってしまうため、君はいつも借金を抱えている。
8 君が取りつかれている物について話をしているとき、君は早口でまくし立て、句切りを入れないため、聞いている相手は君が言っていることを理解できない。
9 君は発見してきた伝承知識や物語から手当たり次第の雑学知識の宝庫である。
10 君は目の前にある興味をひかれる物品をポケットに突っこまずにはいられない。


恐怖の島のラカスタ

『Volo’s Guide to Monsters』で紹介されているタバキシについては、Savage Tideキャンペーンにおいては“ラカスタ”として導入される。
ラカスタは“恐怖の島”を出身地とする種族であり、フラネス世界ではその存在は知られていない。タナクラン帝国の絶頂期に、いくつかのオーマン人部族が自然の中でのより伝統的な生活習慣を求めて、都会生活の快適さを放棄した。こうした集団のいくつかは、古代の習慣を受け入れて、自発的にライカンスロープと化した、シャーマニズム的カルト集団であった。タナクランがサヴェッジ・タイドによって打ちのめされたとき、これらのカルトはその大惨事から逃れ、何世代も生き延びることに成功した。やがて、こうした人々も、島の新たな支配者となった獰猛で危険な捕食動物たちの餌食となっていったが、こうした中で唯一、ジャガーのカルトだけが生き延びた。生き延びたワージャガーたちはジャングルの奥深くでさらに世代を重ねて進化を果たし、ついにラカスタとして知られる全く新しい種族になったのである。
現在、この種族は絶滅の危機に瀕している。“恐怖の島”は全く油断を許さない場所であり、中央高地からの新たな侵略者たちによってラカスタたちは圧迫されているのである。すでにこの新たな敵によっていくつもの部族が壊滅している。皮肉なことにこの新たな敵もまた、かつてのジャガーのカルトの末裔たちであった。1,000年以上前のサヴェッジ・タイドによって悪魔的な変身を遂げ、ラカスタたちとは全く別の進化の系統を辿って再び低地へと侵略を行なってきているのである。

タバキシの種族的特徴

Tabaxi Traits
タバキシのキャラクターは下記の種族的特徴を有する。

能力値上昇

君の【敏捷力】の値は2、【魅力】の値は1上昇する。

年齢

タバキシの寿命は人間と同じくらいである。

属性

タバキシは混沌属性に偏っており、それが彼らの衝動性や決定への気まぐれさとなっている。彼らが悪であることは稀であり、彼らのほとんどは貪欲や他の暗い衝動によってではなく、好奇心によって駆り立てられる。

サイズ

タバキシは平均すると人間よりも背が高く、比較的すらっとしている。君のサイズは中型である。

移動速度

君の基本歩行移動速度は30フィートである。

暗視/Darkvision

君は猫の鋭敏な知覚力を有しており、特に暗闇の中で優れている。君は60フィート以内の薄暗い光を、あたかも明るい光であるかのおように見ることができ、暗闇の中をそこが薄暗い光の中であるかのように見ることができる。君は暗闇の中で色を見分けることはできず、灰色の濃淡しか識別できない。

猫の身のこなし/Feline Agility

反射神経とすばしこさによって、君は爆発的な速度で移動することができる。君が戦闘における自分のターンで移動するとき、そのターンの終了時まで移動速度を2倍にすることができる。いったんこの特徴を使用したなら、君は自分のターンの1回に0フィートしか移動しない(訳注:つまり移動しない)時を得るまで、再びこれを使用することはできない。

猫の爪/Cat's Claws

爪を持つため、君は20フィートの登攀移動速度を持つ。加えて、君の爪は肉体武器であり、それを君は素手攻撃を行うために使用することができる。もし君がそれらを命中させたなら、通常の素手攻撃が[殴打]ダメージを与えるのとは異なり、1d4+君の【筋力】修正値に等しい[斬撃]ダメージを与える。

猫の才覚/Cat's Talent

君は〈知覚〉と〈隠密〉技能に習熟している。

言語

君は共通語と他に君が選んだ1つの言語を話し、読み、書くことができる。


最終更新:2017年07月13日 21:38
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