種族:フィルボルグ

Firbolg
我々はそのグリーン・ドラゴンの跡を追いかけるのに3ヶ月を費やし、その後、そいつが探し求めていた避難場所をこの森の中に発見した。この土地で過ごす2日目、目覚めると我々のヤンプのど真ん中にそのドラゴンの頭が置いてあった。ソヴリスが私に言ったことによれば、この森はフィルボルグのものであり、彼らはこの地でこれ以上我々があれこれしないように、という事を示したいのだろうという事だった。もしぐずぐずしていれば、その隣に我々の頭が並ぶことは間違いないと断言した。
――ギンブル、『宝探しの記録』

フィルボルグの部族は辺鄙な森の要塞に隠棲しており、毎日を森とともに静穏に過ごすことを好む。怒らせると、フィルボルグは武器とドルイド魔法の恐るべき技量を見せつけてくる。


控えめな守護者

Humble Guardians
フィルボルグは古い森の木々の中で平和な毎日を過ごすことを無上の喜びとしている。彼らは森を神聖な場所と見なしており、世界の中心と生命の永続性に対する記念碑としての意味を見出している。
世話人としての彼らの役割の中で、フィルボルグは大地の恵みを頼りに生き抜きつつ、自然のバランスを維持することに奮闘する。彼らの方法は良識と素晴らしく豊かな資源を反映したものである。豊かな夏の間、彼らは有り余る堅果、果実、漿果を蓄える。冬が到来すると、彼らは春が来るまで森の動物たちが生き延びることを手助けするために全てを消費する。
フィルボルグの目には、貪欲以上の過ちなど存在しない。フィルボルグは、それぞれのクリーチャーが必要とするものだけを取れば、世界は最も健康な状態を維持し続けることができると信じている。物質的な品物、特に希少な宝石や金などは、彼らにはほとんど魅力を感じさせない。冬がぐずぐずと長引き、食糧が枯渇してきたとき、そんな品物が何の役に立つというのか?


天性のドルイド

Natural Druids
フィルボルグはドルイド魔法についての才能を持つ。彼らの文化は自然に対する敬意を持っており、彼らの強固で洞察力に富んだ精神と組み合わさることで、本能的な成長の過程でそうした魔法を学ぶことになる。ほとんどあらゆるフィルボルグが少数の呪文、一般的には彼らの存在を隠蔽するのに使うことができるものを学んでおり、多くの者は自然の魔法を体得するようになる。
ドルイドになったフィルボルグは要塞の指導者としての役割を果たす。部族が取るあらゆる行動に関して、このドルイドたちはグループの必要だけではなく、それぞれの行動が森やその他の自然世界にもたらすだろう影響についても重きを置く。フィルボルグの部族は、飢饉のときに土地を乱伐するよりも飢えを耐え忍ぶ方を選ぶだろう。


秘密の羊飼い

Hidden Shepherds
大地の世話人であるフィルボルグは、去る者は日々に疎しという態度を維持することを好む。彼らは自然を支配しようとはせず、それがそれ自体の摂理に従って繁栄、生存することを確実にしようとする。
フィルボルグは彼らの存在を森の中の秘密の存在に保つための魔法を使う。この手法は彼らがエルフ、人間、そしてオークたちの政治や抗争を避けるのに役立っている。森に影響する出来事である場合にだけ、そうした出来事がフィルボルグに関心のある出来事になる。
たとえ干渉に直面しても、フィルボルグは彼らの領域に損傷を与えることを避ける巧妙で穏やかな手法を好む。彼らはその魔法を使い、一時的に活気を失わせ、獲物となる動物を追い払い、致命的な道具を盗み出し、そして狩猟部隊や樵たちが絶望的に道に迷うように小道を変化させることによって、探険するには魅力のない場所になるように森を変化させる。フィルボルグの存在は、あたかも森そのものが自分自身に注意が向けられることを避けたがっているかのように、動物がいないことと、不自然なまでの静けさによって示される。できるだけ早く旅人はそこから移動することにした方が良い。
もしこうした戦術がうまくいかないなら、フィルボルグはもっと直接的な行動に出る。入植者に対する彼らの観察によって、次に何が起こるかが決まる。そのよそ者が平和的に見えるなら、フィルボルグは彼らに近づいてきて立ち去るように穏やかにお願いをし、出発を手助けするために食糧やその他の物資の提供すら申し出る。自然を尊重し、必要なものだけを取り、森と調和して生きることを主張する者たちであれば、そのよそ者が森を保護するという誓いを立てている限り、フィルボルグたちは彼らと友情を結ぶ可能性を模索する。しかしながら、もし入植者が明らかに悪しき意図を示しているなら、フィルボルグたちは圧倒的な一撃を加えるために、彼らの力と魔法を武器として用いる。


宿なしの冒険者

Outcast Adventurers
森の守護者であるフィルボルグの中で、彼らの故郷を立ち去るとか、人間社会にとけ込もうと試みたりするとかいったことを考える者はごく少数である。追放されたフィルボルグ、あるいは自らの氏族が壊滅してしまった者は、嫌でもそうするしかなかったのかもしれない。ほとんどの冒険するフィルボルグはこの後者の分類に当てはまる。
宿なしのフィルボルグは決して故郷に帰ることはできない。彼らは何らかの許されざる行為、通常は森に火を放った、希少で美しい野生クリーチャーを殺害したといった、彼らの故郷を危険にさらすような行為を行ったのである。これらのフィルボルグは故郷と呼べるようなあたら悪しい土地を探し求めて世界をさまよう一匹狼である。
孤児になったフィルボルグはその氏族や故郷の土地が壊滅してしまっている者たちである。彼らは大自然の聖戦の闘士であり、彼らが喪失したものへの復讐と、これ以上の自然世界の破壊を阻止することを追い求めている。
氏族によって重要な任務を与えられ、故郷の外へと出てくるフィルボルグというのは、ごく少数の非常に稀な例である。これらのフィルボルグは不慣れな土地への巡礼者のような感覚で、通常は自らの任務を完遂して可能な限り速やかに故郷に帰ることだけを望んでいる。
「表:フィルボルグの冒険者」には、フィルボルグのキャラクターが故郷を去ることになった理由を決定するためのインスピレーションとして使うことができる。
表:フィルボルグの冒険者
d8 冒険をしている理由
1 殺人によって追放された
2 故郷の地に深刻な損傷を与えたことによって追放された
3 侵入してきた人型生物によって氏族が殺された
4 ドラゴンかデーモンによって氏族が殺された
5 部族から引き離されて道に迷った
6 自然災害によって故郷の土地が壊滅した
7 予兆によって定められた個人的な探索行に出た
8 部族の指導者によって探索行に派遣された

フィルボルグの名前

Firbolg Names
フィルボルグはよそ者とやりとりしなければならないときにはエルフ語の名前を借用するが、名前という概念が彼らにとっては奇妙なものという印象である。彼らは堅苦しい名前などなしに森の動植物について知っており、名前の代わりに、それらの行為、習慣、その他の行動によって森の子供たちを識別している。
同じ伝で、彼らの部族の名前も単に彼らの故郷を引き合いに出すだけのものである。他の種族と付き合うとき、フィルボルグは彼らの土地について、如才なさと歓待の意をもって周辺の種族が使っている名前なら何でも良いのでそれを使って言及するが、彼ら自身の仲間うちでは、それを単に「故郷」とだけ呼んでいる。
ときにフィルボルグは、名前を必要とする人々が、望むものを呼ぶのに使うことができるようにするために、よそ者が付けるニックネームや称号を借用する。


フィルボルグの種族特徴

Firbolg Traits
フィルボルグのキャラクターは下記の種族的特徴を有する。

能力値上昇

君の【判断力】の値は2上昇し、【筋力】の値は1上昇する。

年齢

フェイと関わりのある人型生物であるフィルボルグの寿命は長い。フィルボルグはおよそ30歳で成年に達し、最も長生きしている者は500年もの間生きることができる。

属性

自然の周期に従い、自らをその世話人と見なしているフィルボルグは、一般的に中立にして善である。悪のフィルボルグは稀であり、通常は同族の他の者たちの宿命的な敵である。

サイズ

フィルボルグの身長は7~8フィート、体重は240~300ポンドほどである。君のサイズは中型である。

移動速度

君の基本歩行移動速度は30フィートである。

フィルボルグの魔法/Firbolg Magic

君はこの特徴によってディテクト・マジックとディスガイズ・セルフを発動でき、それらに関する君の呪文発動能力は【判断力】である。いったんどちらかの呪文を発動したなら、小休憩か大休憩を取り終えるまでこの特徴を再び使用することはできない。この特徴のディスガイズ・セルフの方を使用するとき、君は最大で通常よりも3フィートまで背を低く見せることができ、それによって人間やエルフの中に容易にとけ込むことが可能である。

秘密の足取り/Hidden Step

ボーナス・アクションとして、君は君の次のターンの開始時か、あるいは君が攻撃を行う、ダメージを与える、あるいは誰かにセーヴィング・スローを強要するまで魔法的に不可視状態になることができる。いったんこの特徴を使用したなら、小休憩か大休憩を取り終えるまで再びこれを使用することはできない。

優れた体格/Powerful Build

君は運搬能力を決定する際や、押したり引いたり、持ち上げたりできる重量を決定する際に1段階サイズ分類が大きいものと見なされる。

野獣と木の葉との会話/Speech of Beast and Leaf

君は野獣および植物と限定的な仕方で意志疎通を図る能力を持つ。それらは君の言葉の意味を理解できるが、君は返答としてそれらが述べることを理解する特別な能力を持つ訳ではない。君はそれらに影響を与えるために行うすべての【魅力】判定に“優位”を得る。

言語

君は共通語、エルフ語、そして巨人語を話し、読み、書くことができる。

+ フィルボルグのクラス
フィルボルグのクラス
大部分のフィルボルグはドルイド、レンジャー、あるいはファイターである。彼らの仲間たちの間で、これらの職業は1つの世代から次の世代へと受け継がれてきたものである。また、フィルボルグの魔法的な伝統が別の形を取って表れてくることもある;バードになった者は氏族の伝承知識を保護し、フィルボルグのソーサラーは彼らの共同体を防衛する。フィルボルグのウィザードは氏族がエルフと友好な関係になったときに姿を現す。
フィルボルグのローグは一般的に近隣の民の意図を探るための偵察任務を与えられる斥候である。彼らは故郷が人間の居留地と接するフィルボルグたちの中で最も一般的である。
フィルボルグのバーバリアンは悪の人型生物や他の侵入者による脅威に常時曝されている氏族の中で希少な例外として存在している。
フィルボルグのクレリックとパラディンは通常は自然の神々に献身しており、神の意志の実行者と見なされている。
フィルボルグのウォーロックは稀だが、一部の氏族は強力なフェイたちと同盟を結び、契約を結んでいる。
フィルボルグのモンクはほぼ全くと言って良いほど聞いたことがないが、修道院が壊滅したフィルボルグ氏族の若き生き残りを引き取るということはあるかもしれない。

最終更新:2017年05月09日 22:18