種族:ジェナシ

ジェナシ
Genasi
そもそも他の次元界について考える者はそれを遠く離れた遠方の世界と見なすが、次元界の影響はこの世界のあちこちで感じられる。ときにそれは、偶然の誕生を通じて血の中に次元界のパワーを伝える者が顕現する。ジェナシはそうした人々の1種であり、ジンニーと定命の者の子孫である。
元素界はしばしば物質界の原住民にとっては居住に適していない:押しつぶして来る土、焼けつく炎、無限の空、そして終わりなき海は、これらの次元界を訪問することを、ほんの短い間であっても危険たらしめている。しかしながら、強力なジンニーは、定命の者の世界に敢えて入り込む際にこうした厄介事に直面することはない。彼らは物質界の渾然とした元素にうまく適応し、ときに彼らが滞在することがある――彼ら自身の意志によるのか、あるいは魔法によって強制されてかに関わらず。一部のジンニーは定命の者の姿を取り、お忍びで旅をすることができる。
これらの訪問の間に、定命の者がジンニーの目にとまることがある。友情が芽生え、恋愛が花開き、ときに子供が生まれることがある。これらの子供たちがジェナシである:2つの世界を結ぶが、どちらの世界にも所属しない者たちである。一部のジェナシは定命の者とジンニーの結婚によって生まれ、別の者は2人のジェナシの両親から生まれ、また非常に稀なケースではジンニーが家系の遥か昔に存在しており、何世代も発現しなかったエレメンタルの血脈が突如発現したという者もいる。
ときに、内方次元界や次元収束からの噴出のような現象を通じて、ジェナシはエレメンタルのパワーの高まりに晒されることから生まれる。元素エネルギーはその場所にいるあらゆるクリーチャーに浸透しており、他の定命の者との子孫の性質を変更させるに十分であり、それらをジェナシとして誕生させる。


エレメンタル・パワーの後継者

ジェナシは彼らの二重性質の両方の側面から何がしかを受け継いでいる。彼らは人間に似ているが、普通とは異なった肌の色を持ち(赤、緑、青、あるいは灰色)、さらに何がしかの奇妙な点がある。彼らの血管を流れるエレメンタルの血はそれぞれのジェナシによって異なる形で発現し、しばしば魔法のパワーとして発現する。
シルエットだけ見ると、ジェナシは人間と言っても通じる。地と水の血を引く者たちはより体重が重く、その一方で風と火の子孫は軽い傾向がある。特定のジェナシは定命の親を思い出させる何らかの特徴を持つかもしれない(エルフからは尖った耳、ドワーフからはがっしりとした体格と濃い頭髪、ハーフリングからは小さな手足、ノームからは異常に大きな目といった具合だ)。
ジェナシがエレメンタルの親と接触することはほとんどない。ジンニーが彼らの定命の子孫に興味を抱くことはめったになく、彼らのことは単なる偶然の事故のようなものと見なしている。多くはジェナシの子供について何ひとつ気にもかけない。
一部のジェナシは追放者として生きており、その不安を誘う外見と奇妙な魔法が原因であったり、野蛮な人型生物と未開の土地の怪しげなカルトの指導者と見なされたりで追放されているのだ。他の者は、特にエレメンタルの存在に敬意が払われている場所において、大きな影響力を持つ地位を得ている。ごく少数のジェナシは、ジンニーの両親の家族の中に安全な場所を探すべく物質界を去る。


野蛮で大胆

ジェナシが大胆でないことはめったになく、彼らはその道に立ちふさがるほとんどありとあらゆる挑戦に自らは匹敵するものだと見なしている。これはあるジェナシにおいては優雅な自信となって発現するし、別の者には傲慢さとなって発現するだろう。こうした自己に対する自信はときにジェナシを危険に対して盲目にし、彼らの偉大な計画はしばしば彼らと他者を厄介事に巻き込むことになる。
あまりに多くの失敗を重ねれば、ジェナシの自信過剰ですら傷つくことはあるため、彼らは常に自己鍛錬を重ね、自らの才能を高め、彼らの作品を完璧なものにしようとしている。


ジェナシの土地

希少な存在であるジェナシは同族とは全く遭遇することなく人生を終えるかもしれない。大いなるジェナシの都市だとか、帝国だとかは存在しない。ジェナシが彼ら独自の共同体を持つことはめったになく、一般的に彼らが生まれた場所の文化や社会に適応して生きている。より見慣れない外見をしていればいるほど、より困難な場面に直面することになる。多くのジェナシは
多くのジェナシは、さまざまに異なる人々に慣れていて、彼らの示唆的な外見にいちいち驚かないような、人でごった返す都市に紛れこむ。
しかし、開拓地で暮らす者たちは、より大きな困難にでくわす。そうした土地の人々は相違をなかなか受け入れようとしない傾向がある。ジェナシが望むべく最善の待遇ですら、冷遇と疑いの眼差しということがある;もっと後進的な地域では、彼らをフィーンドと勘違いした人々から村八分や暴力を受けるということもありうる。困難な生い立ちに直面してきたこれらのジェナシは荒野での孤立した生活を追い求め、山地や森の中、湖の知覚、あるいは地底に家を作る。
レルムにおける大部分のエアとファイアー・ジェナシは、かつてカリムシャンを支配したジンとイフリートの子孫である。これらの支配者が打倒されたとき、彼らのプレインタッチトの子供たちも散り散りになった。何千年も経過して、これらジェナシの血筋は他の土地にも広がった。一般的とは言うには程遠いものの、エアとファイアー・ジェナシはフェイルーンの西方地域、カリムシャンから海岸沿いに北上してソード・コースト、さらには西部ハートランズから東方までの範囲でより多く見かけられる。一部は彼らの古代の故郷に留まっている。
それと比べて、ウォーターとアース・ジェナシは共通する歴史を持たない。個人個人が辿るも困難な血脈を持ち、その血筋はときに1世代や2世代ほど飛んでいたりする。多くのアース・ジェナシは“北方”を起源としており、そこから各地に拡散した。ウォーター・ジェナシは海岸地域出身で、最大の集中地は落星海周辺地域である。
ザカーラの辺境地方はフェイルーンの大部分の住民にとって単なる伝説である。そこでは、ジンニーと呪文の使い手が契約を結び、そうした契約からジェナシが生み出されている。これらのジェナシはこの土地の歴史における大いなる栄光と悲劇の源となった。

+ アサスにおけるジェナシ
アサスにおけるジェナシ
1つ以上の元素界が含まれるあらゆる世界でジェナシを登場させることができるが、『Dark Sun』キャンペーン設定の世界であるアサスでは、エレメンタルの力というのは、他の世界におけるよりもずっと強力な影響力を持つ。エレメンタルのパワーに触れた人々であるジェナシは、占い師、預言者、そして選ばれし者と見なされている。ジェナシの誕生は、それが奴隷であるか、貴族であるか、あるいは砂漠の部族の一員としてであるかに関わらず、吉兆と見なされている。大部分のアサスの住民は、そのジェナシは何らかの偉大な行為―もしくは恥ずべき悪行―を成す運命を持つと信じている。

+ ジェナシの背景
ジェナシの背景
それぞれのジェナシの亜種族は独自の気質を持ち、ある種の背景が他のものよりも適しているかもしれない。
エア・ジェナシは自らの出自を誇りに思っており、ときに傲慢と言えるほどである。彼らは華麗で人目を引き、観客を得たがっている。彼らが一箇所に長く留まることはめったになく、いつも目に見て、呼吸するべき新しい空を探している。都市に住んでいないエア・ジェナシは平原、砂漠、そして高い山脈といった開けた土地を好む。適している背景としては、いかさま師、貴族、そして芸能者が含まれる。
アース・ジェナシはいっそう孤立しており、彼らの土との繋がりは彼らが大部分の都市で快適に暮らすことを妨げている。彼らの普通ではない大きさと力の強さは、彼らを天性の兵士とするが、彼らの禁欲的な態度によって、彼らは他者を勇気付け、偉大なリーダーたらしめる。多くのアース・ジェナシは地下で生活する。そこは彼らが好む元素の中で生活できるためだ。彼らがその洞窟から出てくるとき、彼らは丘陵と山脈をさまよい、古い遺跡に対する権利を主張する。アース・ジェナシに適切な背景としては、隠者、兵士、そしてよそ者が含まれる。
ファイアー・ジェナシはしばしばその火のような癇癪で自分自身を困難な状況に陥れる。従兄弟たるエア・ジェナシと同様に、彼らはときに自分たちは一般的な種族を超越しているとうぬぼれている。しかし同時に、彼らは自分たちの高尚な意見を他者と共有したいとも思っており、常に自分たちの名声を高める術を探っている。ファイアー・ジェナシにふさわしい背景としては、貴族、犯罪者、そして民衆の英雄が含まれる。
ウォーター・ジェナシのほとんど全員が航海船舶に乗ったり、それに関連する何らかの経験を積んでいる。彼らは素晴らしい水夫や漁夫になる。しかし、アース・ジェナシと同様に、ウォーター・ジェナシは平穏と孤独を好む;広大な海岸が彼らの天然の故郷である。彼らは望む場所であればどこにでも行き、望むことは何でも実行し、何かに束縛されているように感じることはめったにない。ウォーター・ジェナシにとって良い背景としては、隠者と兵士が含まれる。


ジェナシの名前

ジェナシは彼らが育った土地の人々の名づけの慣習を使う。彼らは後になると、フレイム(炎)、エンバー(燃えさし)、ウェイヴ(波)、オニクス(瑪瑙)といった、彼らの伝統を取りこんだ示唆的な名前を使う。


ジェナシの種族特徴

君のジェナシのキャラクターは他のすべてのジェナシに共通するいくつかの特性を持つ。

能力値上昇

君の【耐久力】の値は2上昇する。

年齢

ジェナシはほぼ人間と同じ割合で成長し、十代後半で成人に達する。彼らは人間よりも若干長生きし、120歳まで生きる。

属性

独立独歩のジェナシは、中立属性に偏る傾向がある。

サイズ

ジェナシはその定命の親たちと同じくらいさまざまであるが、おおよそ人間のような体格であり、ざっと身長5~6フィートほどである。君のサイズは中型サイズである。

移動速度

君の基本歩行移動速度は30フィートである。

言語

君は共通語と始原語を話し、読み、書くことができる。始原語は喉声の言語であり、ざらざらした音節や硬い子音でいっぱいである。

亜種族

D&Dの世界では、ジェナシについて4つの主要な亜種族が見られる:アース、ウォーター、エア、そしてファイアー・ジェナシである。これらの亜種族の1つを選択すること。


アース・ジェナシ

Earth Genasi
アース・ジェナシである君は非情にして貪欲なダオの子孫であるが、君が悪である必要はない。君は大地を多少なりと支配する能力を受け継いでおり、また超常的な力と断固たるパワーを示す。君は早急な決定を避け、行動に移す前にじっくりと選択肢を検討する時間を取る傾向がある。
地のエレメンタルの性質は1人1人異なる形で発現する。一部のアース・ジェナシはその体からいつも塵が落ちており、泥が衣類にまとわりついて、どんなに入浴してもすっかり綺麗に洗い落とすということはできない。他の者はまるで宝石のように輝き、磨き抜かれており、深い褐色や黒色の色調の肌と、瑪瑙のような輝く目を持つ。またアース・ジェナシは滑らかで金属的な体であったり、点々と錆が浮く鈍い鉄のような肌であったり、小石と粗い厚皮で覆われていたり、あるいは小さな結晶質がびっしり埋め込まれていたりするかもしれない。最も人目を惹く特徴はその肉にできた裂け目であり、そこからかすかな光が見える。

能力値上昇

君の【筋力】の値は1上昇する。

土歩き/Earth Walk

君は土や石でできた移動困難地形を、追加の移動コストを払うことなく移動することができる。

石への融合/Merge with Stone

君はこの特徴によって1回、物質要素を必要とせずにパス・ウィズアウト・トレース呪文を発動することができ、大休憩を取り終えるとこの方法でそれを発動する能力を回復する。この呪文に関しての君の呪文発動能力は【耐久力】である。


ウォーター・ジェナシ

Water Genasi
折り重なる波、風に泡立つ海の飛沫、深淵な海――これらの全てが君の心を呼び起こす。君は自由に放浪し、独立不羈なることに誇りを持っているが、他者は君のことを利己的と見なすかもしれない。
ほとんどのウォーター・ジェナシは風呂上がり直後で、肌と髪に水滴がたまっているような外見をしている。彼らからは爽やかな雨と清浄な水の匂いがする。青色や碧色の肌が一般的であり、ほとんどは大き過ぎる目を持ち、その色は濃紺色である。ウォーター・ジェナシの髪の毛は、あたかも水中にいるかのように、自在に漂い、揺れ、波打っている。一部はクジラの歌声や、ちょろちょろと流れる小川を思い出させる低音の声を持つ。

能力値上昇

君の【判断力】は1上昇する。

[酸]に対する抵抗/Acid Resistance

君は[酸]に対する抵抗を持つ。

水陸両生/Amphibious

君は空気中と水中の両方で呼吸することができる。

水泳/Swim

君は30フィートの水泳移動速度を持つ。

波の呼び声/Call to the Wave

君はシェイプ・ウォーターの初級魔法(第2章参照)を修得している。3レベルに達すると、君はこの特徴によって1回、2レベル呪文としてクリエイト・オア・デストロイ・ウォーター呪文を発動することができ、大休憩と取り終えるとこの方法でこれを発動する能力を回復する。これらの呪文に関する君の呪文発動能力は【耐久力】である。


エア・ジェナシ

Air Genasi
エア・ジェナシである君はジンの子孫である。天候と同じように移ろいやすい君のむら気は、平穏な状態から荒れた状態へ移ったり、ほんのちょっとした予兆だけで暴力的な状態に移ったりするが、こうした嵐の状態が長く持続することはあまりない。
エア・ジェナシは一般的に青い肌、髪、そして目を持つ。かすかだが絶え間ないそよ風が彼らの周囲を取り巻いており、髪を乱れさせ、衣類をはためかせている。一部のエア・ジェナシはかすれ声で、かすかに木霊する声で喋る。少数の者は体に奇妙な模様を示しており、頭部に結晶質が輝いている。

能力値上昇

君の【敏捷力】の値は1上昇する。

果てしなき呼吸/Unending Breath

君は無力状態ではない間は、無期限に息を止めていることができる。

風との一体化/Mingle with the Wind

君はこの特徴によって1回、物質要素を必要とせずにレヴィテート呪文を発動することができ、大休憩を取り終えるとこの方法でそれを発動する能力を回復する。この呪文に関する呪文発動能力は【耐久力】である。


ファイアー・ジェナシ

Fire Genasi
ファイアー・ジェナシである君は、イフリートの持つ気性の激しさと鋭い精神を受け継いでいる。君は短気で即断即決したがる。その特徴ある外見を隠すよりも、それを誇らし気にする。
ほとんどすべてのファイアー・ジェナシはその内部が燃え上がっているかのように熱狂的であり、燃えるような赤、石炭のような黒、そして灰白色の肌の色合いによって強調される。より人間に近い姿の者は、過激な感情を隠して捻じれ合う火のような赤い髪の毛を持つが、よりエキゾチックな種では、頭部に本物の炎が生じているかもしれない。ファイアー・ジェナシの声はパチパチ爆ぜる炎のようであり、彼らの目は怒りを覚えたときに燃え上がる。一部はかすかな硫黄の臭いを伴っている。

能力値上昇

君の【知力】の値は1上昇する。

暗視/Darkvision

君は薄暗い光の中では60フィートまでの範囲を明るい光の下にいるかのように、暗闇の中では薄暗い光の下にいるかのように物を見ることができる。火の元素界との無ズビ付きによって、君の暗視は普通とちょっと違う:君が暗視で見る物はすべて赤い影の中にあるように見える。

[火]に対する抵抗/Fire Resistance

君は[火]ダメージに対する抵抗を持つ。

輝きへの到達/Reach to the Blaze

君はプロデュース・フレイムの初級魔法を修得している。3レベルに達すると、君はこの特徴によって1回バーニング・ハンズ呪文を1レベル呪文として発動することができ、大休憩を取り終えることでこのようにしてこれを発動する能力を回復する。これらの呪文に関して君の呪文発動能力は【耐久力】である。

最終更新:2017年05月09日 22:36