背景:遠隔地の旅人

Far Traveler
冒険心に富んだ貿易商人や海賊たちを除けば、ほとんどの一般の人々と、サザリン市、ジャクリー湾の沿岸地方、そしてアメディオ・ジャングルにおいて遭遇するであろう他の多くの人々には1つの共通点がある:彼らは生まれ育った場所から数マイル以上旅することなく生涯終えるということだ。
君はそうした民の1人ではない。
君は遥かな遠隔地からやって来た。そこはあまりに遠いため、“南方”に住む一般のほとんどの人々はそうした場所が存在することに気付いてもおらず、たとえ君が出会った一部の人々が君の故郷の噂を聞いたことがあったとしても、彼らが知っているのはその名前と2、3のひどいでたらめな噂話程度という可能性の方が高い。君は独自の何らかの理由によってフラネスのこの地域にまでやって来たのであり、その理由を人に伝えるかもしれないし、伝えないかもしれない。
確かに君はこの土地の流儀の一部が奇妙で戸惑うものであることに気付いたが、同時に君はその人々が与えてくれたもののいくつかは、これまで君が見たこともないような新しい驚きを与えてくれた。同じ理由で、良きにつけ悪しきにつけ、君は君が行く先々のほとんどすべての地で周囲の人々にとって興味を抱かせる人物である。

技能の習熟:〈看破〉、〈知覚〉
道具の習熟:君が選んだ楽器かゲーム道具1つ、おそらくは君の故郷の土着の もの
言語:君が選んだもの1つ
装備:旅人の服1着、君が習熟している楽器かゲーム道具から任意の1つ、君がフラネスで滞在している場所を描いた故郷から持ってきた出来の悪い地図、10gpの価値がある故郷の工芸様式の小さな宝飾品1つ、5gp入りのポーチ

なぜここにいるのか?

Why Are You Here?
遠隔地の旅人はいくつかの理由の1つによって旅に出ようとし、彼あるいは彼女の故郷からの出発は自発的なものかもしれないし、不本意なものであるかもしれない。故郷からこれほど遠くに来ることになった理由を決定するために、下記の表でロールするか、あるいは提示されている選択肢から選ぶかすること。可能性のある故郷を議論している下記の項には、それぞれの場所に適したいくつかの推奨の理由が含まれている。
なぜここにいるのか?
d6 理由 d6 理由
1 使者 4 巡礼
2 追放 5 観光
3 逃亡 6 放浪

どこから来たのか?

Where Are You From?
遠隔地の旅人の背景を作成する上で最も重要な決定は君の故郷を決定することである。この背景の使用を十分うまく機能させるために、ここで議論される場所はすべてサザリン市と“南方”からは十分に遠く離れた場所である。

アンダーダーク

君の故郷は、ここで議論している他の場所と比べれば物理的にはサザリン市にずっと近いが、不自然なまでにずっと遠い。君はアンダーダークにあるそれぞれが独自の習慣と法を持つ居住地の1つの出身である。もし君が巨大地底都市や居住地の1つの出身であるなら、君はおそらくはその地を占有している種族のメンバーであろう――しかし、君が子供の頃に捕まって地底に連れて来られた後、そこで育ったということもありうる。
もし君が本物のアンダーダークの原住民であるなら、君は種族の大使として地上世界へやって来たのかもしれないし、もしかすると(それが正当なものであるかどうかに関わらず)犯罪行為の告発から逃げ出して来たのかもしれない。もし君が原住民ではないなら、君が“故郷”を出た理由はひどい状況から逃げ出すために行なった事であるということもありうる。

アルヴァンドール

お伽噺に出てくる気高き緑の大地アルボレア。その3つある階層の1つアルヴァンドールは、コアロン・ラレシアンの君臨するエルフ神王室、神話に名高いセルダラインのしろしめす神話上のエルフ王国である。すべてのエルフはこのアルヴァンドールを起源としており、その多くの民が物質界へ下った後も、アルヴァンドールに残ったエルフたちは多数存在している。もし君がエルフなら、アルヴァンドールは君の故郷として筋の通った(しかし強制ではない)選択である。
アルヴァンドールから物質界へ移住した者のほとんどは、エルフの法に対して何らかの違反を犯したことによって強制的に追い出された追放者であるか、あるいはエルフの文化や社会に利益をもたらす目的でフラネスにやって来た使者であるかのどちらかである。アルヴァンドールに住まうエルフたちのクリーチャー種別はセレスチャルであるが、君は物質界に降臨するにあたって人型生物となっている。

ニッポン

ニッポン島はフラネスの遥か南西、真珠海の西方海上に浮かぶ島であり、フラネスの民には珍しい習慣を持つ人々の故郷である。もし君がニッポン出身なら、たとえそれが君の本当の地位を示していないとしても、フラネスの人々は君のことをサムライと見なすであろう。なぜならそれは、彼らが君の血統を共有するすべての人々を包括的に指し示す単語であるためだ。
ニッポンの人々が公式にフラネスにやって来ることは皆無といってよい。彼らの国は鎖国政策を取っており、フラネスの国々と公式の国交を持っていないのだ。しかし、突発的な事故(漁船の遭難など)や、ニッポン国内での政変による亡命によってときおりフラネスにニッポン人が姿を見せることがある。君はそのようにしてフラネスへやって来て帰国することが叶わずに異国の地に留まることになった人々の1人であるかもしれない。

エリプト

この場所について知っているフラネスの者はほとんどいないが、知っている者たちの間では「エリプトは砂の国だ。あらゆる所に砂が入り込み、毎日のように砂が降り積もり、砂に支配されている」と言われている。もちろん、これはかなり誇張した表現ではあるが、君の出生地をある程度うまく言い表した表現でもある。エリプトは砂漠を越え、海を越え、また砂漠を越えてようやく辿り着く長い道のりである。交易目的でフラネスの最辺境を訪れるエリプト人は珍しくもないが、君ほどに故郷から遠く離れた場所までさまよい出てくる者はごく稀である。
君は故郷の砂漠と剣のような山脈の外で見つけられる驚異はどんなものかを知るために旅しているのかもしれないし、もしかすると、他の者たちが崇拝する神々を理解し、それによって君自身の神々をより高く評価することができるようになるための巡礼であるかもしれない。

ハイパーボリア

君の故郷のことを聞いた事がある者はほとんどいないが、多くの者は君のことを見てそれについて質問してくる。ハイパーボリア出身の人間は雪から作られたように見え、雪花石膏のような肌と真っ白の髪の毛を持ち、一般的に白い衣類を着用している。
ハイパーボリアは遥か北に存在しており、北は果てしなき氷が続き、その他の方位は何百マイルも続く“大氷河”と“大氷海”によって囲まれている。君の国からやって来る者で、納得のいく理由もなしにこれほどに巨大な障壁を横断するような奮闘を行なう者などいない。君は何がしかの真実恐るべきものに恐怖を抱いているか、信じがたいほどに重大な何かを探し求めているかであるに違いない。

アイウーズ帝国

邪悪な半神アイウーズが、本来支配していたのはワイエスティル湖の北側だけだったが、彼はその支配の手を、ヴェスヴェ森林の西側部分と、フラネス北中央部のほとんどすべての地域に広げてきた。そして現在は、紛争地域であるテンまでその手を伸ばしている。この地域のほとんどは荒野であり、ところどころに、かつて人間の町だった廃墟や、現在活動しているオークの住処が点在している。この邪神に支配される国について、その存在を知らぬ者はフラネスにはいないが、その内実について詳しく知る者はほとんどいない。多くの民はグレイホーク戦争の成り行きを知っており、この邪悪な帝国の首都ドラカーがアビスの中心と繋がっていて、街中にデーモンが闊歩しているという噂を聞いたことがある。
アイウーズ帝国の民が南方にまで来ているということは、通常は難民であるかスパイであるかのどちらかである。アイウーズはその臣民に過酷な支配を及ぼしており、他のほとんどの国からは敵国認定を受けている。

ジンディア

その地形から建築様式、さらにはこれらの土地を支配するカリフや数多くの藩王たちまで、ジンディアに関するほとんどあらゆるものがフラネスの人々には異質である。君の方も故郷を後にしてフラネスの不慣れな土地に旅をしてきたときに同じ種類のカルチャー・ショックを経験したであろう。
さまざまな理由から、別の人生を手に入れるためにジンディアの厳格で人生そのものを規定するカースト制度とその制度を利用して累代の支配を確立しているカリフや藩王から人々が逃げてきた。君は単にこのカーストが存在しない土地が提供する自由というものに憧れてフラネスにやって来たのかもしれないし、あるいは故郷のカースト社会にあまりに多くの敵を作ってしまったことが原因で出奔してきたのかもしれない。

特徴:みんなの注目の的

Feature: All Eyes on You
君の訛り、振る舞い方、話し方、そしてもしかすると君の外見そのものですら、すべてが君が外国人だと全員にはっきりと示す。君が行くところどこででも君に対して好奇心に満ちた目が突き刺さり、それは迷惑なものとなりうるが、同時に君は学者たちや遠隔の地に陰謀を企てる他の者たちの友好的な好奇心を獲得し、君の故郷の物語を聞きたがる人々を毎日迎えることになるのは間違いない。
君はこの注目を利用して、君と君の旅の仲間たちにとって、別の方法では得られないような人々や場所への接近を計ることができる。高貴な君主、学者、そして商業王たち、これでもその少数を示したに過ぎないが、それらは君の遠方の故郷とその人々について聞くことに興味を抱くかもしれない。

推奨する人格的特徴

Suggested Characteristics
d6 人格的特徴
1 私は個人空間に関して周囲の人々とは異なった感覚を有しており、知らぬまま軽率に他人
の空間を侵害したり、私自身への無神経な侵害に反抗したりする。
2 それが食糧であるかそうでないかという事について私は独自の見解を有しており、周囲の
人々の食習慣が魅惑的であったり、困惑させるものであったり、あるいは反感を感じたり
するものであることに気付いた。
3 私は他者には理解できない強烈な行動規範や礼儀作法を有している。
4 他者には良く分からない方法で愛情や軽蔑を表明する。
5 私はこの土地では異質な風習で神々に敬意を示す。
6 私は1日の始まり、あるいは終わりに、周囲の者には珍しいちょっとした伝統的な儀式を
行なう。

d6 尊ぶもの
1 率直。私の行く道沿いで出会う親切な人々からは多くの事を学ぶ。(善)
2 控え目。こうした奇妙な土地に不慣れであるため、私は付き合いについて用心深く、丁寧
にする。(秩序)
3 冒険的。私は故郷を遠く離れており、あらゆることが奇妙で素晴らしいものだ!(混沌)
4 狡猾。私は彼らのやり方を知らないかもしれないが、彼らの方も私のやり方を知らない。
これは私にとって有利になりうる。(悪)
5 詮索好き。すべてが新しく、私は知ることを渇望している。(中立)
6 疑り深い。ここでは敵から味方を見出す術を持たないのだから、私は慎重でなければなら
ない。(すべて)

d6 関わり深いもの
1 故郷から持ってきたこの形見の品がある限り、私はこの異郷の地においてどんな逆境にも
立ち向かうことができる。
2 我が民の神々は故郷から遠く離れた私を慰め励ましてくれる。
3 我が民への奉仕よりも大切な大義など私は持たない。
4 自由こそ私の持つ最も貴重な持ち物だ。絶対に何ものであれ、再び私からそれを奪い取ら
せたりはさせない。
5 私はこの新たな土地の美しさと驚異に魅惑されている。
6 選択の余地はなかったとは言え、愛するものを後に残して去ったことは後悔している。い
つの日か再びそれらと再開したいと願っている。

d6 弱味
1 私は秘かに(あるいはそれほど隠すこともなく)私自身の文化がこの異国の地のものより
も優れていると確信している。
2 交流などしない方がいいと思うような交流を避けるためなら、この地域の言語が理解でき
ないふりをする。
3 私はこの土地の新しい酔わせるものやその他の楽しみという弱点を持つ。
4 私はこの土地の人々の行動や、行動動機のいくつかを快く受け入れることができない。こ
うした人々が私とはあまりに違っているためだ。
5 私は他の神々の追随者たちが良く言えば無辜なる人々、悪く言えば無知な馬鹿どもを惑わ
していると見なしている。
6 私はこれらの土地の人々の異国風の美しさにうっとりとしている。


最終更新:2017年03月06日 21:21
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