Unearthed Arcana:遭遇構築(2016/10/10)

Unearthed Arcana: Encounter Building
『未知なる神秘』の今号では、D&D用の遭遇構築の代替案を紹介する。このアプローチは『Dungeon Master’s Guide』で紹介されている遭遇システムの根底にある同じ基本計算を使用しているが、より柔軟なシステムを提供する計算を提示するように若干の調整を施している。
この遭遇構築システムは、ダンジョン・マスターである君が、モンスターの集団によってもたらされる脅威について明確な理解を持ちたいと思っているという前提に基づいている。これは彼らのゲームにおける戦闘を強調したがっているあらゆるDM、特定のキャラクターのグループにとってあまりに致命的ではない敵を確保したいDM、そしてキャラクターのレベルとモンスターの脅威度の間の関係性を理解したいDMの興味をかきたてるだろう。
これらの新しいガイドラインを使った遭遇の構築は
単純な一連のステップに分割できる。

ステップ1:キャラクターの査定

Step 1: Assess the Characters
このシステムを使って遭遇を構築する際、最初にプレイヤー・キャラクターたちについて評価を行う。戦いをあまりに困難にしたり、簡単にしたりしないで彼らにぶつけるクリーチャーの出現数と脅威度を決定するために、このシステムではキャラクターのレベルを使用する。しかしキャラクター・レベルは重要ではあるが、同時に君は各キャラクターのヒット・ポイント最大値とセーヴィング・スロー修正値にも、また最も強力な戦闘員と呪文の使い手が1回の攻撃で与えることができるダメージの量にも関心を払うべきである。たとえキャラクター・レベルと脅威度が遭遇の困難さを定めるのに便利なツールであるとはいえ、これらは全ての事情を考慮したものではなく、ステップ4で遭遇用にモンスターを選択するときにこれら追加のキャラクターのデータを使用する。

ステップ2:遭遇の大きさ

Step 2: Encounter Size
君が1体の伝説級のクリーチャーをキャラクターたちにぶつけたいのか、あるいは複数のモンスターを使用したいのかを決定する。1体のモンスターを使用したいのであれば、その全てがグループにとって興味深いものとなるよう具体的にデザインされている伝説級モンスター1体を使用するのが一般的には最適である。

ステップ3:出現数と脅威度の決定

Step 3: Determine Numbers and Challenge Ratings
単純な伝説級モンスターだけに特化した戦闘の構築過程は単純である。下記の表では4人から6人のキャラクターから成るパーティと戦う伝説級クリーチャーについて、それが満足がいくが困難な戦闘となるように使用する脅威度が示されている。たとえば、9レベル・キャラクター5人のパーティにとって、脅威度12の伝説級クリーチャーは適切な遭遇となる。
致命的な戦闘としては、最適な場合よりも1か2高い脅威度の伝説級クリーチャーとキャラクターたちを戦わせること。まずまず簡単な戦いについては、最適な遭遇の脅威度よりも3以上低い脅威度の伝説級クリーチャーを用いること。
|表:1~20レベル(単独のモンスター)
キャラクター・レベル キャラクター キャラクター キャラクター
6人 5人 4人
1 2 2 1
2 4 3 2
3 5 4 3
4 6 5 4
5 9 8 7
6 10 9 8
7 11 10 9
8 12 11 10
9 13 12 11
10 14 13 12
11 15 14 13
12 17 16 15
13 18 17 16
14 19 18 17
15 20 19 18
16 21 20 19
17 22 21 20
18 22 21 20
19 23 22 21
20 24 23 22
もし遭遇が複数のクリーチャーを登場させるものであるなら、そのバランスを取るために若干の作業を要する。最初に、パーティが対面するクリーチャーの数と共に、各クリーチャーの脅威度を決定する必要がある。下記の表はレベル幅ごとに分割してあり、1~5レベルのキャラクター用、6~10レベルのキャラクター用、11~15レベルのキャラクター用、そして16~20レベルのキャラクター用に遭遇のバランスをどのように取るのかの情報を提供している。
遭遇を作るにあたり、適切な表で各キャラクターのレベルを探すこと。各表には与えられたレベルの1体のキャラクターが脅威度でどれだけに相当するのかが示されている――その脅威度のモンスター1体と何人のキャラクターが対応するのかの割合を示した値である。
最初の数字は与えられたレベルのキャラクターの人数を示す。2番目の数字は示されている脅威度のモンスターがどれだけの数がいればそのキャラクターに匹敵するかを示している。
「表:1~5レベル」から1レベル・キャラクターの行を見てみると、1人の1レベル・キャラクターは、脅威度1/8のモンスター2体か、脅威度1/4のモンスター1体に匹敵することが示されている。より高い脅威度ではこの割合は逆転し、脅威度1/2かそれ以上のクリーチャーは1人の1レベル・キャラクターよりも強力になっている。3人の1レベル・キャラクターは脅威度1/2のクリーチャー1体に匹敵し、脅威度1の敵には5人で匹敵する。
4人の3レベル・キャラクターのパーティについてはどうだろう。この表を用いると、1体の脅威度2の敵がこのパーティ全体にとって最適であることが読み取れるが、このキャラクターたちが脅威度3のクリーチャーに対処するのは困難になるだろうことが分かる。
同じガイドラインを使って、君は4人の3レベル・キャラクターに匹敵するクリーチャーのグループを作るために脅威度を組み合わせて釣り合わせることができる。たとえば、君は脅威度1のクリーチャー1体を選ぶこともできる。これは2人の3レベル・キャラクターに相当し、君に2人分のキャラクターに相当するモンスターの割り当てが残される。それから君は2体の脅威度1/4のモンスターを加えて、もう1人のキャラクターの分として割り当て、さらに1体の脅威度1/2のモンスターが最後の1人のキャラクター分として割り当てることができる。合計で、その遭遇には1体の脅威度1、1体の脅威度1/2、そして2体の脅威度1/4のクリーチャーが参加する。
さまざまなレベルを持つグループに関して、君には2つの選択肢がある。君は同じレベルのキャラクター同士を全員互いにグループにまとめて、それらをモンスターと比較し、その後、すべてのクリーチャーをまとめて1つの遭遇にすることができる。あるいは、グループのレベルを平均して、各キャラクターをそのレベルであるものとして扱うことにもできる。
上記のガイドラインはパーティにとって挑戦的なものではあるが、それでも勝利できる戦いを作り出すために設計されている。もしキャラクターたちにとってほとんど敗北の危険性のない挑戦としての遭遇を作り出したいなら、パーティをおよそ3分の2の人数しかいないかのように扱うこと。たとえば、5人のキャラクターから成るパーティは3人のキャラクターのために設計された遭遇をやすやすとこなす。同様に、死の危険性があるが、それでも自動的に敗北するわけではない戦闘を構築するには、最大で50%だけパーティの人数が多いものとして扱うことができる。4人のキャラクターから成るパーティが6人のキャラクターのために設計された遭遇に直面することはこれに該当する。
弱いモンスターと高レベル・キャラクター。表のスペースを省き、単純化しておくために、高レベルの表からは低い脅威度のもののいくつかは除外してある。低い脅威度についてはこの表に掲載しておらず、1:12の割合と見なしており、特定のレベルのキャラクター1人に対し、その脅威度のクリーチャー12体が相当することを意味している。
表:1~5レベル(複数のモンスター)
キャラクター・レベル 脅威度
1/8 1/4 1/2 1 2 3 4 5 6
1 1:2 1:1 3:1 5:1
2 1:3 1:2 1:1 3:1 6:1
3 1:5 1:2 1:1 2:1 4:1 6:1
4 1:8 1:4 1:2 1:1 2:1 4:1 6:1
5 1:12 1:8 1:4 1:2 1:1 2:1 3:1 5:1 6:1

表:6~10レベル(複数のモンスター)
キャラクター・レベル 脅威度
1/8 1/4 1/2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
6 1:12 1:9 1:5 1:2 1:1 2:1 2:1 4:1 5:1 6:1
7 1:12 1:12 1:6 1:3 1:1 1:1 2:1 3:1 4:1 5:1
8 1:12 1:12 1:7 1:4 1:2 1:1 2:1 3:1 3:1 4:1 6:1
9 1:12 1:12 1:8 1:4 1:2 1:1 1:1 2:1 3:1 4:1 5:1 6:1
10 1:12 1:12 1:10 1:5 1:2 1:1 1:1 2:1 2:1 3:1 4:1 5:1 6:1

表:11~15レベル(複数のモンスター)
キャラクター・レベル 脅威度
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
11 1:6 1:3 1:2 1:1 2:1 2:1 2:1 3:1 4:1 5:1 6:1
12 1:8 1:3 1:2 1:1 1:1 2:1 2:1 3:1 3:1 4:1 5:1 6:1
13 1:9 1:4 1:2 1:2 1:1 1:1 2:1 2:1 3:1 3:1 4:1 5:1 6:1
14 1:10 1:4 1:3 1:2 1:1 1:1 2:1 2:1 3:1 3:1 4:1 4:1 5:1 6:1
15 1:12 1:5 1:3 1:2 1:1 1:1 1:1 2:1 2:1 3:1 3:1 4:1 5:1 5:1 6:1

表:16~20レベル(複数のモンスター)
キャラクター・レベル 脅威度
2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
16 1:5 1:3 1:2 1:1 1:1 1:1 2:1 2:1 2:1 3:1 4:1 4:1 5:1 5:1 6:1
17 1:7 1:4 1:3 1:2 1:1 1:1 1:1 2:1 2:1 2:1 3:1 3:1 4:1 4:1 5:1 6:1
18 1:7 1:5 1:3 1:2 1:1 1:1 1:1 2:1 2:1 2:1 3:1 3:1 4:1 4:1 5:1 6:1 6:1
19 1:8 1:5 1:3 1:2 1:2 1:1 1:1 1:1 2:1 2:1 2:1 3:1 3:1 4:1 4:1 5:1 6:1 6:1
20 1:9 1:6 1:4 1:2 1:2 1:1 1:1 1:1 1:1 2:1 2:1 2:1 3:1 3:1 4:1 4:1 5:1 5:1 6:1

ステップ4:モンスターの選択

Step 4: Select Monsters
遭遇のモンスターの脅威を決定するために上記の表の使ったことで、君は個々のモンスターを選び出す準備が整ったことになる。ただし、この過程は科学というよりも芸術である。
脅威度によってモンスターを評価することに加えて、特定のモンスターが君のグループとどの程度匹敵するかを見ることは重要である。ヒット・ポイント、攻撃、そしてセーヴィング・スローはすべて便利な指標である。モンスターが与えることができるダメージを各キャラクターのヒット・ポイント最大値と比較すること。1回の攻撃でキャラクターを倒す事が可能なあらゆるモンスターには、君が致命的な戦いを意図しているのでない限り、注意を払うこと。
同様に、パーティで最強の戦闘員と呪文の使い手のダメージ出力と比較してモンスターのヒット・ポイントを考慮すること。戦闘の第1ラウンドで著しい数の敵が倒されてしまうことは、遭遇をあまりに容易にしてしまう。同じく、あるモンスターの最高の攻撃が。パーティのメンバーの大部分が弱点としているセーヴィング・スローに対して行われるものであるかどうかを確認し、同様にキャラクターの攻撃をそのモンスターのセーヴィング・スローと比較すること。
君が望む脅威度から選ぶことができる唯一のクリーチャーがキャラクターたちのデータに最適でない場合、ステップ3に戻ることも躊躇する必要はない。目標とする脅威度を変更し、遭遇に登場するクリーチャーの数を調整することによって、君は遭遇構築にあたっての別の選択肢に思い至ることができる。

ステップ5:複雑さの追加

Step 5: Add Complications
多くのD&Dグループが戦闘の問題について単純に遭遇を見るだけで満足している一方で、現実にはあらゆる状況が問題解決とロールプレイの潜在性を提供する。D&Dの楽しみはプレイヤーたちが次に何をしようとするか君には全く分からないという点にある。もし君がキャラクターたちがモンスターに話しかけようとする可能性について考慮しているなら、君はより興味深いゲームに向かっているところである。

モンスターの個性

Monster Personality
もし君に時間があるなら、遭遇に関わるモンスターの数体に名前と個性を与えてみること。君は『Dungeon Master’s Guide』の第4章「ノンプレイヤー・キャラクターの作成」の表を使用することもできるし、下記の即席表を使うこともできるし、あるいはクリーチャーの『Monster Manual』の記事に基づいて自分自身で2、3のポイントを書き綴ることもできる。戦闘の間、君は個々のモンスターと彼らのアクションをどのように表現するかを特徴づけるためにこれらのアイデアを使うことができる。物事を単純化するために、群衆が全体としてどのように行動するかを捕えておくために、モンスターのグループに対して特徴を割り当てることもできる。たとえば、ある山賊団は自慢屋の乱暴者の群衆であるかもしれないし、別の集団は常に不安で、危険の最初の兆候が見えるやすぐにバラバラになるかもしれない。
表:モンスターの個性
d8 特徴
1 臆病;降伏したがる
2 強欲;宝物を欲しがる
3 自慢屋;勇気を示したがるが危険に際しては逃げる
4 狂信的;死ぬまで戦う覚悟がある
5 烏合の衆;訓練不足ですぐに騒ぐ
6 勇敢;一歩も引かない
7 冗談屋;敵を嘲る
8 いじめ屋;負ける可能性を考えない

モンスターの関係性

Monster Relationships
遭遇においてモンスターたちの間に競争関係、憎悪、あるいは友情は存在するのか? たとえキャラクターたちが彼らの敵と会話しようとしないとしても、君は戦闘中のモンスターたちのアクションやリアクションについて情報を伝える際にそうした関係性を使用することができる。大きな尊敬を払われているリーダーの死はその支持者たちを狂乱に陥れるかもしれない。敵意に満ちたライバルは敵を倒すやいなやさっさと逃げ出すかもしれないし、虐待を受けていたごますりのおべっか使いは降伏したがっているかもしれないし、その主人への背信行為を行うことすらあるかもしれない。
表:モンスターの関係性
d6 特徴
1 競争;ランダムに決めた1体の味方が苦しむ事を望む
2 虐待;尻込みし、機会あれば裏切る
3 崇拝;他の者はその者のために死ねる
4 村八分;他の者はその者を無視する
5 報酬目当て;自分のことしか面倒を見ない
6 いじめっ子;味方はその者がやっつけられて欲しい

地形と罠

Terrain and Traps
戦場を興味深いものに変える少数の要素は、その遭遇を忘れ難いものとするのに大きな価値がある。大雑把で有益な目安としては、戦場の範囲を、そこで発生する戦いなしであってすら挑戦的なものとするように準備してみること。どんな事柄がキャラクターたちの注意を引くであろうか? なぜモンスターはここを徘徊しているのか? 興味深い場所の特徴は即興を促し、新鮮さを保つのに役立つだろう。
遭遇のエリアにランダムに細部を加えるために、部屋とエリアの特徴、潜在的な危険、障害、罠などを決定するために『Dungeon Master’s Guide』の附録A「ランダム・ダンジョン」の表を参照すること。

ランダムな出来事

Random Events
もしキャラクターたちがそこに入らなかったなら、遭遇エリアで一体何が発生するについて考えること。衛兵たちがシフトに従って交代するのか? 何らかの他のキャラクターやモンスターが訪問するであろうか? クリーチャーたちが食事やおしゃべりをしにそこに集まってきたりするのか? 強風、大地の震動、あるいはスコールといったそのエリアで時折起こる何らかの自然現象はあるのか? 遭遇に予想外の要素を付加するため、ランダムな出来事は楽しい。戦闘の結果が明白に思えるようなときこそ、予期せぬ出来事は物事をより楽しいものに変えてくれる。
『Dungeon Master’s Guide』のいくつかの表は、遭遇組み立ての性質に応じて、場所に付け加えるランダム出来事を連想させるものである。『Dungeon Master’s Guide』の第5章「冒険の環境」にある遭遇の場所、怪しげな場所、そして荒野の天候について使われる表は、屋外の遭遇について考える良い出発点である。附録A「ランダム・ダンジョン」の表は屋内と屋外の遭遇に有益なものとなりうる――特に障害物、罠、トリックに関する表は役立つ。

最終更新:2017年05月14日 22:34