Unearthed Arcana:レンジャー(2015/9/9)

Unearthed Arcana: Ranger

レンジャーはほとんどその最初期から『Dungeons & Dragons』の一部を担ってきており、このゲームにおいて最も人気のあるクラスの1つであり続けている。しかしながら、D&D第5版のフィードバックでは、パワーやプレイヤーの満足度といった面で他のクラスに劣るということが示されている。
レンジャーの歴史を眺めてみると、このクラスはゲームの中核になる仕組みが変化する毎に大きな犠牲に晒されてきている。初め、レンジャーはファイターの基本骨格を持って始まり、他のクラスの要素を付加し、そしてそれ独自の仕組みを組み込まれていった。しかし時が経つに従い、ゲームのコア・ルールはより大きく包括的で柔軟性のあるものに成長してきた。そしてルールがそうなるに従い、レンジャーを固有の存在としていた重要な要素のいくつか―二刀流戦闘、追跡、隠密行動といったものが含まれる―はあらゆるキャラクターが行なうことができるものとなっていった。
こうした変化によって、レンジャーはいくつかの限定的な独自能力、特に特定の種別の敵に対してのみキャラクターが一連の利益を受けるといったものに依存するだけになった。そうした能力はそのキャラクター・クラスが元々強力な基礎を持っていて、それを増強するような場合にはうまく機能する。たとえばクレリックのアンデッド退散の能力などだ。しかしながら、こうした種類の利益は、そのクラスの目玉となる能力として扱うにはあまりにも限定的に過ぎる。
このゲームの以前の版では、レンジャーは動物の相棒を持つこともその特徴であったが、結果として2番目のキャラクターをプレイに持ちこむ事はプレイヤーに許すことになり、満足いく方法でバランスを取る事は非常に困難である。我々が受け取ったフィードバックでは、多くのプレイヤーが“野獣使い”のレンジャーの相棒はあまりに制限がきつ過ぎると感じていることが示された。レンジャーが能動的に命令を下さない限り、相棒はただじっとしているだけというのは論理的ではないし、不満だと感じているとのことであった。
下記に示すレンジャーの改訂版はこのクラスの独自の特性に基づいて組み立てられており、1~5レベルの新しい一連のクラスの特徴を作ってある。これらの特徴は、レンジャーを明確で興味深いものとしながらも、ゲーム内での個性が維持されるようにデザインされている。詳細について述べる前に、ここではデザインの方向性について一緒にいくつか記述しておく。

デザイン・ノート

Design Notes
ここに紹介するレンジャーは、このクラスを定義付けする少数のコンセプトに基づいて組み立てられた。これらのコンセプトはこのクラスを明確なものとするのに役立ち、世界におけるレンジャーの立ち位置についての確固たる感覚を生み出すのに役立つ。

散兵

Skirmishers
レンジャーは散兵である。彼らは直接対決を避け、突然たる致命的な攻撃を仕掛けて、敵に効果的な反撃を行なうチャンスを与えずに立ち去ることを好む。
鍵となる仕組み:待ち伏せ、戦闘スタイル、散兵の隠密。これらの仕組みはレンジャーにファイターのような感覚を与えるが、不意討ち、機動性、そして狙撃といった特定の戦術に焦点を当てている。

放浪者

Wanderers
レンジャーは究極の生存者である。彼らは荒れ果てた荒野をたったひとりで何ヶ月も放浪し、見つけたものだけに頼って生き抜くことができる。レンジャーを伴うグループは荒野での生存が著しく容易になる。
鍵となる仕組み:自然探険家、2d6ヒット・ダイス。『Player’s Handbook』に記載されている“自然探険家”の仕組みはレンジャーを屋外の冒険に伴うのに最適のキャラクターたらしめている。アップグレードされたヒット・ダイスによってレンジャーはバーバリアン並の耐久性を備えるようになり、さらにバーバリアンのd12よりも安定したヒット・ポイントを得ることにもなる。加えて、ヒット・ダイスの合計数がより多くなることで、小休憩での治癒についてヒット・ダイスを消費する際にどれだけの治癒を行なうかの狙いをより正確に定めることができるようになり、治癒の能率が上がることになる。

守護者

Guardians
レンジャーは自然世界のチャンピオンである。彼らは一般的に善属性であり、自然との絆によって彼らには超常的な能力が与えられる。彼らは森におけるパラディンである。
鍵となる仕組み:精霊の道。“精霊の道”のクラスの特徴は動物の相棒というコンセプトにレンジャーの伝統的な呪文発動を組み合わせたものである。このレンジャーはそのキャラクターと彼あるいは彼女の仲間に魔法効果を送り込むことができる精霊の相棒を持つ。この精霊の相棒は野生動物の姿で顕現し、短時間の間レンジャーを支援する―1つの戦いにおいて大きなインパクトを与えるに十分なものではあるが、すべての戦闘できら星の如くに活躍する訳ではない。
相棒はD&Dではバランスを取るに慎重を要するものである。もしそれらが弱ければ、苦労の割に報いが少ないと感じるだろう。しかしながら、ほどほどの強さの相棒であっても、長い目で見るとキャラクターに大き過ぎる優位性を与えることにもなりうる。このデザインでは非常に強力な相棒を与えることにしたが、それは1日に1回だけしか出現しないようにした。

プレイテストとPlayer’s Handbook

このプレイテストは我々が『Player’s Handbook』収載のレンジャーを変更するつもりで行なうのか? ノー。全くノー。これは単にレンジャーの重要な定義に戻ることにどれくらい興味があるかを評価しようとするものであり、それによって少しばかりより明確化されたクラスに移行させようとしている。たとえこの選択ルールが圧倒的な人気を博したとしても、我々は『Player’s Handbook』のレンジャーを正典クラスとして開扱い、このバージョンについてはちょっと違ったものを望むプレイヤーとDM用の選択肢という位置づけを維持するつもりである。もし君たちが現在のレンジャー・キャラクターに満足しているのなら、そのままプレイを続けてくれたまえ!
『Player’s Handbook』に変更を加えることを考慮する前に、代替レンジャーを1レベルから20レベルを通じてプレイテストを実施する必要があるだろう。その後、君たち―我々のプレイヤーとDMたち―がレンジャー・キャラクター・クラスを置き換えたいと思っているという決定的なフィードバックを目にする必要があるだろう。その場合であっても、我々は単にこの選択肢をD&D Adventurers Leagueのプレイにおける有効な選択とするだけで、ホーム・キャンペーン用の新しい選択肢として将来の拡張として提示するだけであろう。我々は現在のキャラクターを無効にしたり、それらを楽しんでいる人々から選択肢を取り上げることは意図していない。

クラスの特徴

Class Features
レンジャーとして、君は下記のクラスの特徴を得る。

ヒット・ポイント

ヒット・ダイス:レンジャー・レベル毎に2d6
1レベル時のヒット・ポイント:12+【耐久力】修正値
より高いレベルの時のヒット・ポイント:2レベル以降のレンジャー・レベル毎に2d6(あるいは7)+【耐久力】修正値

習熟

防具:軽装鎧、盾
武器:全ての単純武器、軍用武器
道具:薬草学キット

セーヴィグ・スロー:【敏捷力】、【判断力】
技能:〈運動能力〉、〈隠密〉、〈自然〉、〈生存〉、〈知覚〉、〈調査〉、〈洞察〉、〈動物使い〉から3つ選ぶ

装備

君は下記の装備に、背景によって与えられる装備を加えたものを持ってゲームを開始する。
  • レザー・アーマー
  • (a)ショートソード2本、あるいは(b)軍用近接武器2つ、あるいは(c)軍用武器1つとシールド1つ
  • (a)ダンジョン探索者セット、あるいは(b)探険家セット
  • (a)ロングボウとアロー20本入りの矢筒、あるいは(b)軍用武器1つ
表:レンジャー
レベル 習熟ボーナス 特徴
1 +2 待ち伏せ、自然探険家
2 +2 戦闘スタイル、散兵の隠密
3 +2 始原の意識、精霊の道
4 +2 能力値上昇
5 +3 追加攻撃回数

待ち伏せ

Ambuscade
レンジャーは最初に攻撃し、強力な一撃を見舞う。君がイニシアチブをロールするとき、君は他のクリーチャーが行動できる前に取ることができる特別なターンを得る。このターンには、君は“攻撃”アクションか“隠れ身”アクションのどちらかを執るためにアクションを使用できる。
もし遭遇においてこの特徴を持つクリーチャーが複数いるのであれば、彼ら全員がイニシアチブの順番に従って行動し、その後、通常のイニシアチブ順が開始される。
もし君が通常であれば遭遇の開始時に不意討ちされるような場合には、君は不意討ちはされないが、この追加のターンを得ることもない。

自然探険家

Natural Explorer
『Player’s Handbook』のレンジャーのクラスの特徴を参照。

戦闘スタイル

Fighting Style
『Player’s Handbook』のレンジャーのクラスの特徴を参照。

散兵の隠密

Skirmisher's Stealth
2レベル以降、君は戦闘中にスピードと隠密を組み合わせ、自分自身を捕捉されることを困難にすることができる。君はたとえ攻撃を行なったり、通常であれば居場所が明らかになってしまうような他のアクションを取ったとしても、探知されにくくなる。
君のターンの開始時に、君が隠れようとしている相手のクリーチャー1体を選ぶ。君は自分のターンの間、君のアクションや他のクリーチャーのアクションに関わらず、そのクリーチャーから隠れ続ける。君のターンの終了時にボーナス・アクションとして、君は隠れるために必要な状況を満足しているなら、再び隠れるための【敏捷力】〈隠密〉判定を行なうことができる。そうしなければ、クリーチャーは君のターンの終了時に君のことに気付く。

始原の意識

Primeval Awareness
『Player’s Handbook』のレンジャーのクラスの特徴を参照。

精霊の道

Spirit Path
3レベル時、君は1つの自然の精霊―荒野との君の繋がりによって関係が築かれた相棒―と絆を結ぶ。精霊の相棒は君が旅しているときは君を守護し、戦いの中では君の背中を見張る。君はレンジャーの道を選び、それによって精霊の相棒とその魔法が形作られる:守護者、探索者、追跡者のいずれかである。君の選択によって、君には3レベル、7レベル、11レベル、そして15レベル時に特徴が与えられる。

精霊の相棒

Spirit Companion
すべてのレンジャーは1体の精霊の相棒を獲得し、その魔法のパワーを呼び起こす能力を得る。(君の精霊の相棒は、改変版レンジャーのこのプレイテスト版では、君が呼び出すことができる利益1つを与えてくれ、より高いレベルになればより多くの利益を与える。)小休憩か大休憩を取り終えたときに、君はこのようにして精霊の相棒を呼び出す能力を回復する。
1日1回、ボーナス・アクションとして、君は自らの相棒に対して、君が選択したレンジャーの道によって決定される生きたクリーチャーの姿で物質化することを命令できる。君の精霊の相棒は1分間か、君の精神集中が破れるまで(呪文に対する精神集中と同様)、動物として物質化する。また君はボーナス・アクションでそれを消し去ることもできる。
顕現したクリーチャーは攻撃ロールとセーヴィング・スローに君の【判断力】修正値に等しいボーナスを得る。それはその動物のデータにあるヒット・ポイントか君のヒット・ポイント最大値の半分か、どちらか高い方のヒット・ポイントを使う。
顕現したクリーチャーは君のイニシアチブ順にそのターンを取り、君の後すぐに行動する。君はたとえ気絶状態や、その他行動を取ることができない場合であってすら、そのアクションを制御する。

能力値上昇

Ability Score Improvement
『Player’s Handbook』のレンジャーのクラスの特徴を参照。

追加攻撃

Extra Attack
『Player’s Handbook』のレンジャーのクラスの特徴を参照。


レンジャーの道

Ranger Paths
自然と荒野との超常的な繋がりは、君を3つの異なるレンジャーの道の1つに結びつかせる:守護者、探索者、追跡者である。


守護者

Guardian
守護者の道に従うことで、君は生き残るために自然の恩恵に頼って生きる庶民と交戦してでも、自然世界を略奪するクリーチャーから自然世界を守護する。君は荒野のあちこちの道を巡回し、山賊や凶暴なモンスターたちを掃討し続け、文明世界がどのように未開の地と関わってくるのかを慎重に見張り続けている。正当な分け前以上を取る者たち―森林皆伐をしたり、生きるためでなく娯楽のための狩りをしたりする者―は君の怒りを招く恐れがある。
精霊の相棒が顕現するとき、それはブラウン・ベアの形態を取る。

守護者の衣

Guardian’s Shroud
君の相棒の精霊は君と君の近くにいるクリーチャーを守護するべく手助けしてくれる。ボーナス・アクションとして、君は精霊の相棒を呼び起こし、君自身か君が見ることができる味方1人を選ぶ。選ばれたクリーチャーは2d6+君の【判断力】ボーナスに等しい一時的ヒット・ポイントを得る。


探索者

Seeker
“探索者”の道を取ることで、君は失われた宝物、忘れ去られた悪、そして始原の魔法の場所を捜索するべく、文明から遠く離れた見知らぬ荒野に引き付けられる。君は道なき荒野が多くの秘密を隠すことができる事を理解している。こうした秘密のいくつか―砂漠世界に水をもたらす人里離れたオアシスなど―は守護されなければならない。他のもの―それを作成したデーモン崇拝者たちの邪悪な魔法を封入された古代の偶像など―はそれらの邪悪な魔法が再び目覚める前に破壊されなければならない。
精霊の相棒が顕現するとき、それはジャイアント・イーグルの形態を取る。

探索者の目

Seeker’s Eye
君の相棒の精霊は君か君の仲間にその鋭い戦闘の感覚を付与してくれる。ボーナス・アクションとして、君は精霊の相棒を呼び起こし、君が見ることができるクリーチャー1体を選ぶ。君の次のターンの終了時まで、選ばれたクリーチャーが行なうあらゆる攻撃には“優位”が与えられる。


追跡者

Stalker
“追跡者”の道のレンジャーである君は自然世界に破滅をもたらす前に殺害しなければならない異形、フィーンド、その他のモンスターを捜索して荒野を徘徊する。君は顕現した自然の復讐のパワーであり、自然に脅威をもたらすあらゆる物が君の獲物である。ドラゴンなどの強力なクリーチャーが地域の脅威となるとき、“追跡者”のレンジャーはそれを倒すべく狩りの先頭に立つ。同種の他の者たちと同様、追跡目標が死に、自然世界が平和になるまでは君は休むことはない。
精霊の相棒が顕現するとき、それはダイア・ウルフの形態を取る。

追跡者の牙

Stalker’s Fangs
君の相棒の精霊は君か君の仲間の1人にその危険な噛みつきの強さを与えてくれる。ボーナス・アクションとして、君は精霊の相棒を呼び起こし、君自身か君が見ることができるクリーチャー1体を選ぶ。選ばれたクリーチャーが次に武器攻撃を命中させたとき、その攻撃の目標は2d6+君の【判断力】修正値に等しい追加[斬撃]ダメージを受ける。


最終更新:2017年05月14日 23:34