Unearthed Arcana:サイオニックとミスティック、テイク1(2015/7/6)

Unearthed Arcana: Psionics and the Mystic

ようこそ『未知なる神秘』へ。これはD&DのR&D部門が、君のゲーム・テーブルで使用するために、新しく興味深いRPGデザインを発表している月刊記事である。
このシリーズで紹介されている素材については、第5版で最初に行なっていたプレイテスト版と同じように考えてもらって良い。これらのゲーム機能は下書きであり、君のキャンペーンで使用することができるが、プレイテストや反復設計による完全な調整はなされていない。これらは非常に流動的なものであり、変更される可能性がある;もし君がこれらを使用するなら、起こり得るあらゆる事態を裁定する準備をしておくこと。これらは鉛筆書きの記事であり、インクで書かれたものではない。
『未知なる神秘』で紹介されている素材は、我々がいつかサプリメントとして発表したいと思っている内容から、我々が共有したい我々のホーム・キャンペーン由来のハウス・ルールまでさまざまで、中核システムに対する選択肢から特定のキャンペーン設定用に作られた素材までさまざまである。いったん発表されたなら、それがどのように機能するか、それを向上させるのに我々にはどんな事ができるのかといったことを君たちと共にチェックしていくことが期待できる。

はじめに

今月の『未知なる神秘』では、D&D第5版におけるサイオニック・ルールの最初の下書きをちょっと見せてみようと思う。この記事ではサイオニックがどのように機能するのかの簡単な概略と、新しいクラス―ミスティック―を紹介する。クレリックが実に幅広い信仰魔法の使い手を表現しているのと同様に、ミスティックはサイオニック・パワーを振るうさまざまなキャラクターを包含している。
この記事で紹介する選択ルールを使用することで、君は5レベルまでのミスティックをプレイすることができ、2つあるサイオニック結社のうち1つに従い、その結社に特有の修練の訓練を積むことができる。覚醒の結社に従うことで、君は他のクリーチャーの精神や意識を操るミスティックを作りだすことができ、その人物は戦闘の内外両方で目に見えないサイオニック・パワーを引きだすことができる。不死の結社に従うことで、君は戦闘用のサイオニック・パワーに特化したミスティックを作りだすことができ、過去の版におけるバトルマインドやサイキック・ウォリアーに似たものとなる。ミスティックに関する他の選択肢はプレイテストが進み、プレイ中のこのクラスのメカニックに関する価値あるフィードバックを我々が得ると共に発表されることになるだろう。
通常、君は1ヶ月かそこらの内に、こうした下書きルールのフィードバックを招く査察を期待するだろう。その時点で、我々はこれらの選択ルールのすべてに結びつけるとは限らない。この努力は第5版におけるサイオニックをどこから始め、どんな種類のアプローチをするのが最善かを評価するための単なる最初の下書きである。理解して楽しんでください。

サイオニック

下記のルールはサイオニック・パワーの基本、その利用方法、そして魔法との関係を扱っている。

サイオニックとは何か?

サイオニックとはクリーチャーの精神の中に起因するパワーの源であり、その肉体能力を増幅したり、他のクリーチャーの精神に影響を与えたりできる。サイオニック能力は修練と呼ばれているが、これは、サイオニック・パワーを使用するための正しい考え方にクリーチャーを置くために、それぞれが特別で厳格なる精神鍛錬を必要とするためにそう呼ばれるのである。
サイオニック・パワーを使用するクリーチャーはその精神集中を1つの修練に持っていき、そうすることで、小さなサイオニック効果を発現する。いったんクリーチャーが1つの修練に集中したなら、より強大な効果を生み出すために内なるエネルギーの蓄積を活用することができる。修練の基本は常にミスティックの理解力の内にあるが、より強力な効果を生み出すのに必要とされるエネルギーは限られたパワーの蓄積を活用する。

この世の物ならぬパワー

あらゆるD&D世界でサイオニック・パワーが同じ範囲の特徴となっている訳ではない。サイオニックは、既知の多元宇宙の境界外の次元界である“彼方の領域”を間接的な起源としている。“彼方の領域”はその世界独自の異質な物理法則と魔法法則を持っている。その影響力がこの世界まで伸びるとき、“彼方の領域”は常にそれ独自の法則に従うよう現実をねじ曲げた、恐るべきモンスターや狂気を生み出した。
現実法則がねじ曲げられる際、個人の精神は現実の形態と性質に命令を下す宇宙的支柱に気付くことができる。“彼方の領域”によって引き起こされる精神的動揺は本来であれば眠りについている精神を揺り動かし、目覚めさせることができるエコーを生み出す。そのようにして目覚めたクリーチャーは、二次元の世界を見下ろすことができる三次元世界に存在するクリーチャーと同じようにしてこの世界を見るようになる。現実を見る目がもっと制限されている者には不可解にしか見えないが、彼らは可能性、選択肢、そして関係性というものについて良く見える。
比較的安定しており、コア・ルールブックに紹介されている原型的なD&D設定に近い世界においては、サイオニックは珍しい存在である―あるいはもしかすると、全く存在しないかもしれない。そうした場所では、多元宇宙を定義する宇宙的拘束力が強固であり、サイオニックによって与えられる可能性を知覚できる個々の精神はあまりいないだろう。そうした世界におけるミスティックは、活動しているミスティックが他の生きたサイオニックの技の実践者に出会うことはまずありえない、といった程度の存在であるかもしれない。キャラクターたちは純粋に無作為な確率で彼らのサイオニックの潜在力に目覚めたのかもしれないし、古代の書物、日誌、その他のミスティックに関する説明書きだけを、この形態のパワーを磨きあげるための導きとしたのかもしれない。
標準的D&D設定からかけ離れて歪みねじ曲がった現実を含む世界では、サイオニックはもっと一般的である。ダーク・サン・キャンペーン設定のアサスはサイオニックが一般的な世界の典型例である。神々は不在であり、魔法は生態学上の負荷となるようにねじ曲がっており、多くのD&D世界を束ねている共通の糸がばらばらになっている。それとは対照的に、エベロン世界は現実世界の境界に試練が与えられているが、完全に崩壊はしていない。サイオニックはアサスほどエベロンに浸透している訳ではないが、ゾリアットの持つこの世のものならぬ影響力によってそれは知られており、学問的な技となっている。

修練

サイオニックの修練は厳格な一連の精神鍛錬である。ミスティックはそれを使用するために1つの修練への精神集中を行なわなければならない。サイオニックは精神集中するだけでもサイオニック効果を生み出すことができるほどに強力であるが、そうした効果はかすかなものであり限定的なものである。
ミスティックが修練を学んだなら、そのキャラクターは彼あるいは彼女がそれを忘れることを選択するまで修得した状態のままである。修練の使用を維持するには、徹底的な学習と継続的な実践練習が必要である。ミスティックは同時には少数の修練しか体得できない。
修練にレベルはない。代わりに、これらの効果はそれらに消費したサイオニック・エネルギーによって決定される。

サイ・ポイント

ミスティックは彼あるいは彼女が修得している修練に充てることができる内なるエネルギーの蓄積を持ち、これらの修練でより強力な効果を生み出すことができる。このエネルギーはサイ・ポイントとして表現される。それぞれの修練には、ミスティックがサイ・ポイントを消費することで修練を使って生み出すことができる追加の選択的効果が記載されている。
ミスティックのサイ・ポイントは0を下回ることはできない。ミスティックの際・ポイントの合計は、キャラクターが大休憩を取り終えた後にその最大値まで回復する。

サイオニックと魔法

サイオニックと魔法は2つのまったく別系統の力である。一般的に、呪文を改変したり、呪文に影響を与えたりする効果は、サイオニック効果には効果を持たない。このルールにはひとつ重要な例外が存在している。呪文を再現するサイオニック効果は魔法として扱うのだ。呪文を発動することをサイオニック・クリーチャーやキャラクターに許すとき、サイオニック効果は呪文を再現する。この場合、サイオニック・エネルギーは魔法につぎ込まれ、呪文を発動するためにそれが使われる。
たとえば、『Monster Manual』掲載のマインド・フレイヤーは「生来の呪文発動(サイオニック)」の特徴を持つ。この特徴はマインド・フレイヤーにサイオニック・エネルギーを使っていくつかの呪文を発動することを許している。これらの呪文はディスペル・マジックやそれに類する効果によって相殺されうる。

修練の使用

ミスティックが修練を使用するとき、ミスティックのレベルや修練の効果に関わらず、同じ基本ルールに従う。

起動と精神集中

ミスティックは1つの修練をボーナス・アクションで起動する。いったん修練を起動したなら、それはミスティックがそれに対して精神集中を維持している間ずっと持続する。
修練に対して精神集中することは、呪文に対して精神集中する事と同じルールを用いる。他にもいろいろあるが、これはミスティックが同時には1つの修練に対してしか精神集中を維持できず、ミスティックに精神集中を失わせるようなあらゆる効果は、修練をも終了させることを意味する。修練への精神集中を終了させると、修練の説明文に特記事項がない限り、即座に修練の効果のすべてが終了する。
いったん修練を起動したなら、それはミスティックがその修練に対して精神集中を維持することができる限りずっと維持される。いくつかの修練は戦闘開始前に発揮できる効果を持っているため、そうした修練を事前に起動しておくことは重要である。

サイ・ポイントの消費

それぞれの修練は、ミスティックが指定された数値のサイ・ポイントを消費したなら、追加の効果を生み出すことができるという選択肢が重要な役割を担っている。(それに対して消費しなければならないと指定されたサイ・ポイントの数値にアスタリスクが付されている修練の選択肢は、サイ・ポイントをさまざまな数値で使用することができ、それはその選択肢の本文中に示されている。)それぞれの選択肢には、その効果に関する特別な情報が言及されており、それを使用するために必要とされるアクション(もしあれば)、その距離、その他の詳細が含まれる。もし選択肢にアクション、ボーナス・アクション、リアクションのいずれとして使うとも言及されていないのであれば、それの使用にアクションは必要としない。
ミスティックが1つの修練の選択肢に対して消費することができるサイ・ポイントの最大値は、クラス・レベルによって決められる。ミスティックの技能は、キャラクターが利用できるエネルギーの総量と、同時に操ることができるパワーがどれくらいかという点の両方が向上していく。その結果、低レベル・ミスティックは特定の修練に関して選択肢のすべてを使用できるわけではないということになるかもしれない。

構成要素

修練には、多くの呪文が必要とするような構成要素は必要とされない。修練の使用に口に出す言葉、ジェスチャー、あるいは物質要素は必要ないのである。サイオニックのパワーは完全に精神の内側に由来しているのである。

持続時間

修練のそれぞれの選択肢にはその効果がどれくらい持続するのかが指定されている。もし選択肢に持続時間が指定されていないのであれば、その効果はミスティックがその修練に対する精神集中を止めるまで持続する。

目標と効果範囲

サイオニックの修練は、目標と効果範囲の決定については魔法の呪文と同じルールを用いる。『Player’s Handbook』の第10章「呪文発動」参照。

セーヴィング・スローと攻撃ロール

もし修練にセーヴィング・スローが要求されるのであれば、セーヴの種類とセーヴィング・スローの成否の結果について記載されている。いくつかの修練は、修練の効果が意図した目標に命中したかどうか決定するためにミスティックに攻撃ロールを要求する。より詳細な情報については、下記の「サイオニック能力」参照。

サイオニック効果の組み合わせ

異なるサイオニック修練の効果はそれらの修練の持続時間が重複している間、合算される。同様に、ひとつのサイオニック修練に由来する異なる選択肢は、同時に起動されたのであれば、組み合わされる。しかしながら、1つのサイオニック修練に由来する特定の選択肢は、その選択肢が複数回使用されてもそれ自体と効果が重ね合うことはない。代わりに、その効果の持続時間が重複している間、最も強力な効果―通常はその効果を生み出すのにどれだけのサイ・ポイントが使われたかによって決定される―が適用される。
サイオニックと魔法は別々の効果であり、そのため、それらの利益も障害も累積する。呪文を再現するサイオニック効果はこのルールの例外である(上述の「サイオニックと魔法」と、『Player’s Handbook』の第10章「呪文発動」にある「魔法効果を組み合わせる」参照)。


ミスティック



サイオニック結社

サイオニックはほとんどのゲーム世界において神秘的なパワーの形態である。秘密結社がその起源と応用方法を研究している一方で、常にサイオニックが達成できる事柄の境界線を押し広げている。
それぞれのサイオニック結社はサイオニック・パワーに関して特定の目標を追求している。この目標は結社のメンバーがサイオニックをどのように理解するかを形作り、彼らが体得する修練を決定する。

覚醒者の結社

不滅者の結社


最終更新:2017年05月21日 11:43