Unearthed Arcana:未知なる神秘:クラス設計の選択ルール(2015/4/6)

Unearthed Arcana: Class Design Variants

ときにキャンペーンの中で、出版されている既存のルールにないアーキタイプやキャラクターの選択肢を特別に必要とする場合が出てくるかもしれない。もしこうした状況にあるなら、君はキャラクターの能力に特有のひねりを加えたがっているプレイヤーに選択肢を提供するために、このゲームにあるクラスの1つかそれ以上のものを調整したいと思うかもしれない。しかしながら、クラスの調整は無頓着になされるべきものではなく、その作業には、それが正当なものとなるためのいくばくかの努力と、プレイテストと、改訂作業を必要とする。クラスを調整するための2つの最善の方法は、いくつかのクラス特徴を他のものと入れ替えることであり、また既存のクラスに新しいものを加えることである。これらの方法によって、既存の方法をモデルとして使うことができ、その一方でインスピレーションを他のクラスの特徴から得ることができる。

新しいクラス選択肢の作成

それぞれのクラスには少なくとも1つの大きな決断点があり、ここではそれをクラス選択肢と呼称する。クレリックは信仰の領域を、ファイターは戦闘訓練アーキタイプを、ローグはローグのアーキタイプを、ウィザードが秘術の伝統を、といった具合に選択する。もし君がこうした大きな決断点の1つに別の選択肢(たとえば、バーバリアン用の新しい原初の道など)を作りたいのであれば、それらをどのように作り上げるかについて、既存の例をよく吟味すること。クラス設計のあらゆるものと同様、君のアイデアについてプレイテストを行なう準備をし、それからそれらが君が望んだ結果にならないようなら変更を行なうこと。
新しいクラス選択肢を作り出すときに最初に行なうことは、その選択肢に特有の要素について、そのクラスの基礎を成す物語と、その選択肢のキャンペーン世界における位置づけの両方の意味において、明確化することである。そのクラス選択肢の背景にある物語を明確化し、そしてそれを使って君のプレイヤーたちが作り出すことができるよう君が望むキャラクターの種類が何かということは、君にとっての道しるべとなるため、この過程における最も重要なステップである。
君のクラス選択肢についての特有のコンセプトを頭の中に確立したなら、デザインの過程に入るときである。そのクラスの既存の選択肢について良く確認し、それらが提供するものが何かを良く見て、それらを君のクラス選択肢が提供するだろう特徴についての、例として使ったり、建築素材として使ったりする。同じクラスの2つのクラス選択肢が何らかの仕組みを共有するというのは全く問題ないことだし、インスピレーションを得て引っ張ってくる仕組みとして他のクラスを調査することも適切なことである。この過程のすべてのステップにおいて、君は君の持っている元々のコンセプトと君がデザインしている物とを比較することができ、そしてもしデザインがそのコンセプトの輪郭をはっきりと示し、確立するのであれば、君は正しい道を辿っていると言える。その一方で、もし仕組みについてのデザインが新しいクラス選択肢のテーマを補強するということについてどういうものか助けになっていないようであれば、その仕組みについて再検討する必要があるかもしれない。
君の新しいクラス選択肢に含まれるクラス特徴を決定する際、下記の質問に答えること:
  • そのクラスの他の選択肢は同等のレベルでどんな種類の能力を与えてくれるのか?
  • その特徴がキャラクターの戦闘能力を直接的に向上させるのか、キャラクターが探険や対話をより良いものとするのか、あるいは純粋にパワーを向上させるのではない他の選択肢を与えるものであるのか?
  • ある特定のレベルで、その特徴がそのクラス選択肢の物語をどのように補強するか?
  • 既存の仕組みですでにその新しいクラス選択肢にも必要とされることを達成できるものが存在していないか?


クラス特有の指針

『Dungeon Master’s Guide』に記載されているように、新しいクラス特徴や代替クラス特徴を完璧にデザインするために使うことができる公式というものは存在しないが、いくつかの指針が、11あるクラスそれぞれに適用できる。この助言は決して包括的なものを意図していないが、じっくり考えるべき少数のポイントを提供するであろうし、クラスの特徴がお互いにどのように作用するべきかを君が考える点を与えるだろう。
しばしば、君が見ることになるように、最善の助言は、それをそのままに残しておくこと、である。どのように呪文を受け取り発動するかなど、多くのクラスには深く根付いた性質というものがあり、間に合わせで下手にいろいろ改変すべきではない。たとえクラスの説明の一部に私たちの目的にとって禁止事項だと記載があったとしても、各クラスの内部には代替特徴を開発するための豊富な機会が存在している。

ウィザード

  • ウィザードは完全な呪文発動能力の成長過程を有する;“呪文発動”の特徴に対する変更は、いかなるものであれ、このクラスに重大な影響を与えるものとなるだろう。
  • ウィザードは非常にたくさんの呪文が含まれる呪文リストを持ち、毎日選択する呪文も呪文書のおかげで最も幅広い。この点の汎用性をこれ以上に広げるような事柄はどんなものであれ、慎重を期して取りかかるべきである。
  • “秘術の伝統”には3つの目的があり、新しいものを作成する際にはその点を考慮するべきである:特定種類の呪文の発動を促すこと、特定種類の魔法の専門家に特有の、呪文の中には見つけられない便利さを提供すること、そして基本的にクラスの主旨を呪文発動という点から引き離さずにウィザードのプレイ・スタイルを微妙に変化させることにある。

ウォーロック

  • ウォーロックは独特な呪文発動の方法を持ち、ほとんどの場合、より少ない数の呪文を発動することに頼っている。ウォーロックは彼あるいは彼女が発動する呪文の呪文スロット・レベルを自動的に上昇させる点を忘れないこと。これはウォーロックが発動する場合は低レベル呪文であっても強力なものとなることを意味している。
  • ウォーロックの呪文リストは卓上であまり頻繁に発動されるとイライラさせられるような呪文は含まれないように慎重に決定されている。もし君がウォーロックに新しい呪文を利用できるようにしたいが、頻繁に発動されるとゲームを破壊される可能性があると憂慮しているなら、より限定された原理(たとえば、再使用には休憩が必要など)で同じ魔法の効果を使用できる妖術を作成することを考慮すること。
  • ウォーロックはエルドリッチ・ブラストの初級魔法に戦闘力の多くを負っており、その頼みの綱を向上させる妖術の選択肢を既にたくさん持っている。エルドリッチ・ブラストをより強力にする新しい妖術を作成する際には注意を払うこと。

クレリック

  • クレリックは完全な呪文発動能力の成長過程を有する;“呪文発動”の特徴に対する変更は、いかなるものであれ、このクラスに重大な影響を与えるものとなるだろう。
  • クレリックの領域は強力で、そのキャラクターのプレイの仕方に根本的な影響を与える。領域の1レベル特徴は、それが君が作り出したものであるか、修正したものであるかに関わらず、そのクレリックがその領域を選択しているとはっきり目立たせることができるようなものであるべきである。
  • 領域呪文は一般的にクレリックの選択肢を拡張するために選択されるが、クレリックの基本の呪文リストは比較的少ないものである。新しい領域に加える呪文を探すときには他の“クラス”の呪文リストを見てみること。たとえば、“光”の領域はクレリック呪文リストには載っていない呪文をいくつか提供している。

ソーサラー

  • ソーサラーは完全な呪文発動能力の成長過程を有する;“呪文発動”の特徴に対する変更は、いかなるものであれ、このクラスに重大な影響を与えるものとなるだろう。
  • バードと同様に、ソーサラーは選択できる呪文数に制限がかかっており、これはこのクラスの主たる制限である。
  • ソーサラーはあまり多くの呪文修正の選択肢を獲得しない。君が新しい呪文修正の選択肢を作りだすなら、それを十分に役立つものとし、彼あるいは彼女の黄長な選択のひとつを公正に使うことができるようにすること。
  • “魔術ポイント”と“柔軟な発動”は、より高いレベルの呪文を発動するために呪文スロットを魔術ポイントに変換してばかりいるソーサラーが、全体としては出力の犠牲が大きくなるように故意に設定されている。このバランスを変更する際には十分注意を払うこと。

ドルイド

  • ドルイドは完全な呪文発動能力の成長過程を有する;“呪文発動”の特徴に対する変更は、いかなるものであれ、このクラスに重大な影響を与えるものとなるだろう。
  • “自然の化身”は“大地のサークル”のドルイドには多くの場合、探険目的に使用される。“月のサークル”のドルイドにとっては、“自然の化身”は重要な防御的な利点であり、そのようなキャラクターを非常に持続力あるものとする。
  • クレリックの領域呪文と同様、“大地のサークル”のドルイドサークル呪文はこれらのキャラクターの汎用性を高めるため、他のクラスの呪文リストから引っ張ってきているものが多数ある。

バード

  • バードは完全な呪文発動能力の成長過程を有する;“呪文発動”の特徴に対する変更は、いかなるものであれ、このクラスに重大な影響を与えるものとなるだろう。
  • バードの修得呪文は限られており、それは彼らの汎用性に制限を加えているものであるため、このクラスに変更を加えるときは慎重に修正を施すべきである。“伝承知識の学会”のバードは全体としてのクラス特徴の修得呪文数の拡張を受け取る。
  • 5レベル時に獲得する“霊感の泉”は、“バードの霊感”をよりよく使用できるようにするため、バードに少なくとも5レベルまではこのクラスの道を辿らせ続けるよう仕向ける助けとなっている。他のクラスに同様の仕組みをもたらす事には慎重を期すこと。なぜなら、数値的な結果を(“優位”や“不利”ではなく)実際に上昇させる手段を持つ特徴は稀少なものであるべきだからである。

バーバリアン

  • バーバリアンの“激怒”のクラス特徴は防御の力を著しく上昇させるものであり、他のクラス特徴がそのキャラクターの攻撃能力を増幅させるにあたって“激怒”とどのように相互作用するかについて意識すること。たとえば、“無謀な攻撃”の主たる欠点は“激怒”によって与えられるダメージに対する抵抗によって大部分が相殺され、また狂戦士の“狂乱”の特徴はバーバリアンに少なくとも1回の戦闘において数多くの攻撃パワーを与える。
  • “高速移動”は3つの重要な目的がある点に注意すること:戦闘においてバーバリアンを速やかに前線に送り込むこと、近くに敵がいないという理由でバーバリアンの“激怒”が終了してしまうことを防ぐこと、そしてバーバリアンが重装鎧を着用しないようにさせ続けること、である。
  • どちらの“始原の道”の10レベルの特徴とも、ゲームの柱のうち、戦闘ではなく対話に重点を置いたものとなっている;これらを戦闘能力を増大させるものと置き換えることについては慎重を期すこと。
  • “トーテム戦士の道”の6レベルの利益は、一般的にはゲームの柱のうち探険に重点を置いたものとなっているため、上記の場合と同様、変更する前に良く良く検討すること。

パラディン

  • パラディンは通常の成長の半分の成長速度で呪文発動能力を成長させる。“呪文発動”の特徴をちょこちょこっといじくり回すことはできるが、それでもこれはこのクラスができることの重要な一部として必要である。
  • パラディンはその戦闘能力の大部分を“信仰の一撃”のクラスの特徴から得ている。パラディンはその攻撃が命中したかどうか(あるいはクリティカル・ヒットになったかどうか)確定するまで一撃を使用するかどうか決定を待つことができるため、そのキャラクターは強烈なダメージ量の増幅を行なう事ができる。この特徴をいじくり回す際は慎重に行なうこと。なぜなら、これはパラディンの戦闘における力の基礎を成すものであるためだ。
  • パラディンのクラスの特徴の多くは本質的に防御的なものであり、パラディンと彼あるいは彼女の仲間を危害から守護するものである。防御的なクラスの特徴を攻撃的なものと置き換えることはパラディンの与える印象を変える端緒となり、もしかすると君が予期していなかったような形で印象を変えるかもしれない。

ファイター

  • ファイターは彼らの戦闘技術の大部分をこのクラスの3つの特性から獲得する:ラウンドあたり最大で4回の攻撃を行なう能力;戦闘力を瞬間的に爆発させる“怒涛のアクション”の使用;“能力値上昇”の特徴を最もたくさん有していること、それによってファイターは彼らの攻撃とセーヴィング・スローを強化することができ、またDMが許可するなら特技を選択することができる。
  • ファイターのアーキタイプはこの基本クラスの異なる風味付けとなるものであり、ファイターの戦闘における強さの大部分を占めている。“勇者”は若干の汎用性とクリティカル・ヒットをよりたくさん出す可能性を得る。“戦の達人”は他のファイターではできないマニューバーに専門化している。“魔道騎士”の呪文を発動する能力は、このアーキタイプを他からかけ離れたものとしているが、それでもなおそのキャラクターをファイターと感じさせるものとなるだけの制限をかけてある。
  • “勇者”と“戦の達人”の7レベルの特徴はこのゲームにおける柱である探険と対話において大きな役割を果たすものを学ぶ;“魔道騎士”は呪文を獲得し、それは探険と対話という柱におけるファイターの能力に寄与するため、その7レベルの特徴は呪文と攻撃を組み合わせるためのものになっている。

モンク

  • モンクは最も複雑なクラスの1つであり、独特なクラスの特徴を最も数多く有している。このクラスは元々たくさんの能力を持っているため、1つの特徴を1つよりも多くの新しい特徴と置き換える場合は慎重に検討すること。
  • モンクのマーシャルアーツの特徴は予期せぬ組み合わせを防ぐべく慎重に言葉を選ばれている;この理由からこそ、この特徴が素手攻撃を“妙技”武器として扱わないのであり、将来出されるであろう“妙技”武器に関するルール、すなわちレイピアにこそ相応しいものであり、素手攻撃には相応しいものではないルールについて、予期せぬ不測の結果を招くようなことがないようにしているのである。
  • “気”ポイントにはそれらをどのように消費するかについての明示されていないガイドラインが存在する;1“気”ポイントを消費する特徴は、通常ユーティリティに特化したものか、あるいは1回の素手攻撃に相当するものである。2“気”ポイントを消費する特徴は1レベル呪文に相当するものであり、3“気”ポイント消費する特徴は2レベル呪文に相当するものであるべきである。“気”ポイントが呪文レベルとどのように合致しているかについてのさらなる例については、“四元素の道”のモンクの“元素の使途”を良く見てみること。

レンジャー

  • レンジャーは通常の成長の半分の成長速度で呪文発動能力を成長させる。“呪文発動”の特徴をちょこちょこっといじくり回すことはできるが、それでもこれはこのクラスができることの重要な一部として必要である。
  • レンジャーの戦闘における追加能力の多くはハンターズ・マークのような呪文と、レンジャーのアーキタイプによって与えられるクラスの特徴に由来している。通常、各アーキタイプの3レベルの特徴は、戦闘能力の底上げを提供するか、あるいはレンジャーに戦闘における大きな汎用性を与えるかするものである。
  • “得意な敵”が戦闘にボーナスを与えないのは意図的なものである。なぜなら、戦闘におけるレンジャーの強さはダンジョン・マスターの思慮分別や、冒険の状況だけに依存するべきものではないためだ。“狩人”のアーキタイプの3レベルの能力は戦う敵の性質にいくぶんか依存してはいるが、“得意な敵”は一般的にゲーム内の柱のうち対話と探険の部分で役立つものである。

ローグ

  • ローグはこのクラスの与える印象と戦闘における強さの両方について、主として2つの特徴に依存している:“急所攻撃”と“狡猾なアクション”である。これらはローグにとっての基礎を成しており、5レベルで得られる“直感回避”もこのクラスにとってほとんど同じくらいに重要な意味を持っている。これらの特徴を何がしか変更するべき強力な理由がない限り、これらについては現状のまま残しておくこと。
  • ローグのアーキタイプによって3レベル時に与えられるクラスの特徴は、このクラスの演じる方向性を根本的に変えるものであるべきであり、それはクレリックの“信仰の領域”の特徴がそうであるのと全く同じである。
  • ローグは技能の達人であり、このクラスはすでにゲーム・バランスという意味において我々(と我々のプレイテスターたち)が許容可能だと思える限界まで押し進めてある。これ以上に技能に対する能力を与えることは、ローグをこの限界から突破させることになる。


呪文なしレンジャー

クラスの特徴の置換作業がどのように行なわれるのかの一例として、レンジャー・クラスから呪文発動を除去してみることにする。たとえば君のキャンペーンにおいて、レンジャーにはもうちょっと『指輪物語』における馳夫のような存在になり、そもそもあまり公然と魔法を使って欲しくないとする。
“呪文発動”のクラスの特徴はレンジャー・クラスにとって大きなインパクトがあるため、これは小さなプロジェクトでは済まない。“呪文発動”のクラスの特徴がこのクラスにどのような貢献を果たしているのかを評価することから始める。一般的に、レンジャーはどちらかというと限定的な呪文リストを持ち(そして比較的少数の呪文だけを修得し)、パラディンと同様の半分のスピードでの呪文発動成長を辿る。レンジャーの呪文を眺めてみると、“呪文発動”のクラスの特徴がこのクラスにどんな貢献をしているかについて、下記のような結論が得られるかもしれない:
  • ディテクト・ポイズン・アンド・ディジーズ、ビースト・センス、コンジュア・アニマルズなど、レンジャーはその呪文の中に数多くの探険用ユーティリティを持っている。
  • レンジャーは呪文、特にハンターズ・マークから彼らの戦闘能力の多くを得ている。
  • レンジャーはキュア・ウーンズ、レッサー・レストレーション、そしてプロテクション・フロム・ポイズンといった呪文からいくばくかの治癒や回復能力を得ており、それらは屋外を探険している間に冒険者が被るかもしれない損害を食い止める。
  • レンジャーはエンスネアリング・ストライク、スパイク・グロウス、そしてコンジュア・バレッジといった呪文からいくばくかの戦場をコントロールする効果を得ており、それらは全てレンジャーに戦闘における魔法的利点を与えている。
  • レンジャーが新しい呪文レベルを利用できるようになるレベルのいくつかでは、そのことだけがそのキャラクターが受け取ることができる唯一のクラスの特徴になっている。そのため、ヒット・ポイントが上昇すること以外にはレンジャーが何も受け取ることができないという事態を避けるために、これらのレベルには追加のクラスの特徴を必要とするだろう。

キュア・ウーンズ呪文の便利さを与え、また低レベル帯においては大いに治癒の必要性が高いということから、レンジャーが薬草の湿布を作り、それを貼るという治癒のクラスの特徴を作成してみよう―最初はポーションを飲むのと同じ程度だが、レンジャーがレベルを上昇させるに従って増大していく。

加えて、通常であれば呪文が提供してくれるような追加の戦闘用のユーティリティを必要とするであろうため、“戦の達人”ファイターから“卓越した戦闘能力”のクラスの特徴に手を加えたものを加えてみる。“卓越した戦闘能力”が与えるマニューバーは戦闘能力を素晴らしく増幅することになり、戦場のコントロールという面では特に優れる。ファイターのクラスを見ることで、“戦の達人”ファイターの“卓越した戦闘能力”が“魔道騎士”の呪文発動の成長と同じような場所に配されていることが分かる。レンジャーが“戦の達人”ファイターよりも優れるような事になって欲しくはないので、レンジャーのマニューバーをより少ない数から開始し、レンジャーがレベルを上昇させるに従って増やすようにするつもりである。半分の呪文発動成長と置き換えるつもりであるため、このレンジャーを標準のものに匹敵させるために、他の特徴をもう少し加える必要があることになる。
9レベルと13レベルは、何らかの探険用の仕組みに置き換えることができる空白である。最初のひとつはプロテクション・フロム・ポイズン呪文をひな形にとり、また“湿布作成”のクラスの特徴に強化版の効果を与えるものにしてみる。第2のものは、コンジュア・アニマルズ呪文をひな形にし、探険場面でも戦闘場面でも両方で役立つものにしてみる。
17レベルもさらなる空白であり、“卓越した戦闘能力”の成長で埋めることができる。幸いなことに、“戦の達人”はこのレンジャーのコンセプトにうまく当て嵌まるクラスの特徴を持っているので、“無尽蔵の力”と入れ替えることで、たとえ冒険日の後半であっても、常にこのレンジャーは、少なくともいくばくかの戦場コントロール能力を持つことができるようにできる。
最後に、これらの変更が他のクラスの特徴に及ぼす影響についても考慮し、必要に応じた調整をしなければならない。たとえば、レンジャーの“野獣使い”のアーキタイプは、15レベル時に“呪文共有”のクラスの特徴を持つが、これは“呪文発動”の特徴を持たなければもはや機能しない。もし君の呪文なしレンジャーがが“野獣使い”を演じることにしたなら、“呪文共有”の代替クラス特徴をも作成する必要が出てくるだろう。おそらくそれは、レンジャーの獣の相棒をより長生きさせるのに役立つものであるだろう。加えて、“始原の意識”はこのクラスの特徴を起動するためにレンジャーが呪文スロットを消費する必要があるため、この特徴をレンジャーが1回使用することができ、いったん使用したなら小休憩ないし大休憩を取り終えると使用回数を回復するというように修正することができる。
呪文なしレンジャーに関する新しいクラスの特徴についての完全な説明文をここに示す:

呪文なしレンジャー


神の申し子

新しいクラス選択肢がどのように機能するかを見るための例として、第3版用サプリメント『信仰大全』から、完全に独立したクラスであった“神の申し子”(フェイヴァード・ソウル)のデザインを試してみようと思う。神々が世界に対して大きな影響力を及ぼし、こうした神々に選ばれし者たち(神々の神力の断片を付与された個人)がキャンペーンの中心的役割を果たすようなゲームを運営するのであれば、これは魅力的なアーキタイプとなるかもしれない。この雰囲気を反映するために、ソーサラー・クラスにとっての新しい起源として“神の申し子”を作成してみようと思う。この決定は、そのキャラクターが彼あるいは彼女の神の接触によって根源的な変化を受け、強力な魔法能力に目覚めた存在であるという考え方を表現している。
既存のソーサラーの起源を見てみると、1レベル時、起源はそのソーサラーの力の源について説明するだけでなく、そのキャラクターのプレイ方法における見せ場をも提供するものであることが分かる。このソーサラーは信仰のパワーを付与されたことによってその魔法を獲得していくことになるため、“神の申し子”には通常であればクレリックが獲得するような呪文のいくつかを利用できるようにしてみる。ソーサラーが修得する呪文数の制限はこのクラスをどのようにプレイするかという点に大きなインパクトを与えるものであるため、ソーサラーの修得呪文を拡張することは、常に他のソーサラーの起源を見劣りさせる危険に繋がり得る。このことは、このソーサラーの様相はすでにかなりの増強がなされているため、その他のクラスの特徴はおそらくソーサラーの呪文発動に密接に結びつくべきではないことを示している。過去の版の姿では、“神の申し子”には若干の戦闘的な要素があったため、もう少し良い鎧と単純武器を利用できるようにして、“竜の血筋”のソーサラーが1レベル時に与えられる防御ボーナスと似たようなものとすることにした。
6レベル時、他のソーサラーの起源はそのキャラクターの戦闘能力に影響を与える特徴を提供している。バード・クラスを見てみると、“武勇の学会”が同じレベルで“追加攻撃”のクラスの特徴を与えていることを見て取ることができるため、その戦闘的な傾向を強化するために“神の申し子”にそれを与えることにする。
14レベル時、ソーサラーの起源は、呪文発動や戦闘脳直に直接的な影響は少ないものの、便利ではある何らかの能力を与えている。ここでは、同じレベルの“竜の血筋”の特徴にならって“神の申し子”の特徴を設計することを選択し、神性に関連する典型的な心象表現によって信仰の接触を受けていることを反映させた:翼である。
18レベル時、ソーサラーの起源は、その起源の中心的テーマと強力かつはっきりとした結びつきを持つ選択肢を提供する。このレベルになるとソーサラーはより高いレベルの呪文を利用できるようになっており、また1レベル時に与えているいくつかのクレリック呪文を提供する特徴はそれほど影響を与えるものではなくなっているだろうため、このクラスの特徴をこれらのクレリック呪文に結びつけることにし、これらの呪文を継続的に仕えるよう刺激を与えるとともに、高レベルの脅威と直面する際に“神の申し子”が多少なりと強靱になれるものを与えることにした。
初期のデザインを終えたいま、“神の申し子”のソーサラーの起源をここに示す:

神の申し子

ようやくにして、“神の申し子”のソーサラーの能力は、はるか昔から姿を現した呪文を任意発動するフェイヴァード・ソウル・クラスと非常に似通ったものになった!


著者について

ロドニー・トンプソンは『Dungeons & Dragons』ゲームのシニア・デザイナーである。D&D第5版のデザイナーを務めると共に、彼は『ウォーターディープの支配者たち』ボード・ゲームとその拡張セットの共同デザイナーでもある。ロドニーはシドニー大学を卒業して、2007年以降Wizards of the Coast社で働くようになり、入社したときには『Star Wars Roleplaying Game Saga Edition』のリード・デザイナーに就任した。


最終更新:2017年05月21日 12:07