Unearthed Arcana:船と海と(2018/11/12)

Unearthed Arcana: Of the Ships and the Sea

この文書はゲームで船を使用すること、船を航行するために必要な士官と乗組員を統率すること、そして船を所有することについての選択ルールを提供するものである。海は冒険を求めて果敢に波に乗り出す意志を持つ者たちに報酬と危険をもたらす。

船のデータ・ブロック/Ships Stat Blocks

船のデータ・ブロックは、船が戦闘や、その防御能力や攻撃能力が関わるようなその他の状況に関わるときに使用するゲーム上の詳細について提供するものである。このデータ・ブロックには大きく3つの部分から成る:基本データ、アクションの選択肢、そして船の構成要素である。
船はそれら自体では何らアクションを取ることはできない。その乗組員による何らかの活動がなければ、船は水の上を漂流するか、止まってしまうか、あるいは制御不能になって傾くかもしれない。

基本データ/Basic Statistics

サイズ分類/Size

大部分の船は大型、超大型、あるいは巨大サイズである。船のサイズ分類はその船体の長さか幅かどちらか長い方によって決定される。たとえば、長さ10フィートで幅20フィートの船は幅20フィートを持つものとしてサイズ分類を持つことになるため、その船は巨大サイズということになる。

占有空間/Space

船はそのデータ・ブロックに特記事項がない限り、正方形の占有区間は持つわけではない。たとえば、長さ20フィートで幅10フィートの船は20フィート×10フィートの占有空間を占める。
船は進入するには小さすぎる空間には移動することができない。もしそうしようと試みると、後述する「衝突」の項目で説明されているように衝突してしまう。

収容能力/Capacity

船のデータ・ブロックにはどれだけの数のクリーチャーや、どれだけの量の貨物を収容することができるかが示されている。クリーチャーにはその船舶を操船するために必要とされる乗組員の数と、乗船することが可能な乗客の数の両方が含まれる。乗客には接舷攻撃を撃退したり、モンスターや敵船を攻撃したりする水兵も含まれる。

旅のペース/Travel Pace

船の旅のペースはその船舶が1時間あたりと1日あたりにどれだけ移動することができるかで決定される。船の移動関連の構成要素(このデータ・ブロックで後述する)が、その船舶が毎ラウンドどれだけ移動できるかを決定する。

能力値/Ability Scores

船は6つの能力値(【筋力】、【敏捷力】、【耐久力】、【知力】、【判断力】、【魅力】)を持ち、それに対応した修正値を持つ。
船の【筋力】はそのサイズと重量を示している。【敏捷力】は船の操船性を示す。船の【耐久力】はその耐久性とその船体構造の質を示している。船は通常は【知力】、【判断力】、【魅力】については0である。
もし船が0の能力値を持つなら、その値を使うあらゆる能力判定とセーヴィング・スローに自動的に失敗する。

脆弱性、抵抗、完全耐性/Vulnerabilities, Resistances, and Immunities

船の脆弱性、抵抗、完全耐性は、データ・ブロックに特記事項がない限り、その構成要素のすべてに対して適用される。

典型的な船の完全耐性
もし君が自分自身の船を作り出そうとしているなら、通常それらは[毒]と[精神]ダメージに対して完全耐性を有する。金属や石から作られたものは一般的に[死霊]ダメージに対しても完全耐性を有する。これらは通常は下記の状態に対しても完全耐性を有する:盲目状態、魅了状態、聴覚喪失状態、消耗状態、恐怖状態、無力状態、麻痺状態、石化状態、毒状態、伏せ状態、朦朧状態、そして気絶状態。

構成要素/Components

船はさまざまに異なった構成要素から成る。
船殻/Hull。船の船殻はその基礎構造体であり、他の構成要素はその上に設置される。
制御装置/Control。制御装置は船を操縦するために使われる。
移動装置/Movement。移動装置は帆や櫂といった、船を移動させることができる構成要素である。
兵装/Weapon。戦闘で使うことができる船には1つかそれ以上の兵装があり、それぞれ個別に操作される。
船の構成要素にはそのデータ・ブロックで説明されているような特別ルールがあるかもしれない。

アーマー・クラス/Armor Class

構成要素にはアーマー・クラスがある。ACはそのサイズ、それを構成する素材、そしてその頑丈さを増強するために使われている防御厚板や装甲によって影響を受ける。

ヒット・ポイント/Hit Points

船の構成要素は0ヒット・ポイントまで減少するときに破壊され、使用不能になる。船殻が破壊されると、船は難破する。
船の構成要素はヒット・ダイスを持たない。

ダメージ閾値/Damage Threshold

もし船の構成要素がダメージ閾値を有するなら、その閾値はヒット・ポイントの後に示される。そのダメージ閾値と等しいかそれを超える量でないなら、船の構成要素はすべてのダメージに対して完全耐性を有し、等しいかそれを超える量の場合は通常通りにダメージを受ける。ダメージ閾値以上を出すことがなかったあらゆるダメージは浅すぎたものとみなされ、構成要素のヒット・ポイントを減らさない。

アクション/Actions

データ・ブロックのこの部分は船がそのターンに取ることができる事柄を特記しており、クリーチャーによって使われるアクションではなく、船の特殊なアクションを用いる。それは移動についてさえもそのアクションに依存する;そうでなければそれは移動を持たない。

データ・ブロックの例/Sample Stat Blocks

ここには船のデータ・ブロックの例を示す。
+ 飛空艇/Airship

飛空艇/Airship

巨大サイズの乗り物(80フィート×20フィート)
クリーチャー収容能力 乗組員20人、乗客10人
貨物収容能力 1トン
旅のペース 毎時9マイル(216マイル/日)
【筋】14(+2)【敏】14(+2)【耐】12(+1)
【知】0 【判】0 【魅】0
ダメージに対する完全耐性 [精神]、[毒]
状態に対する完全耐性 気絶、恐怖、消耗、石化、聴覚喪失、毒、伏せ、麻痺、魅了、無力、盲目、朦朧
船殻
アーマー・クラス 13
ヒット・ポイント 300
制御装置:舵
アーマー・クラス 16
ヒット・ポイント 50
そのエレメンタル機関の移動速度まで移動し、その間に1回の90度の方向転換をすることができる。もし舵が破壊されたなら、飛空艇は方向転換ができなくなる。
移動装置:エレメンタル機関
アーマー・クラス 18
ヒット・ポイント 100;25ダメージ毎に-20フィート
駆動力(風) エレメンタルの力、移動速度80フィート。もし機関が破壊されたなら、船は即座に衝突する。
兵装:バリスタ(4基)
アーマー・クラス 15
ヒット・ポイント 各50
遠隔武器攻撃:命中+6、射程120フィート/480フィート、目標1体。命中時:16(3d10)[刺突]ダメージ。
アクション
そのターンに、飛空艇はその舵を使ってエレメンタル機関を使った移動を行うことができる。またそのバリスタを発射することができる。もし乗組員が半分以下になっているなら、バリスタの内2基だけしか発射できない。
+ ガレー船/Galley

ガレー船/Galley

巨大サイズの乗り物(130フィート×20フィート)
クリーチャー収容能力 乗組員80人、乗客40人
貨物収容能力 150トン
旅のペース 毎時4マイル(96マイル/日)
【筋】24(+7)【敏】4(-3)【耐】20(+5)
【知】0【判】0【魅】0
ダメージに対する完全耐性 [精神]、[毒]
状態に対する完全耐性 気絶、恐怖、消耗、石化、聴覚喪失、毒、伏せ、麻痺、魅了、無力、盲目、朦朧
船殻
アーマー・クラス 15
ヒット・ポイント 500(ダメージ閾値20)
制御装置:舵
アーマー・クラス 16
ヒット・ポイント 50
その移動装置の1つの移動速度まで移動し、その間に1回の90度の方向転換をすることができる。もし舵が破壊されたなら、ガレー船は方向転換ができなくなる。
移動装置:帆
アーマー・クラス 12
ヒット・ポイント 100;25ダメージ毎に-10フィート
駆動力(水) 帆、移動速度35フィート;風上に向かうなら15フィート;風下に向かうなら50フィート。
移動装置:櫂
アーマー・クラス 12
ヒット・ポイント 100;25ダメージ毎に-5フィート
駆動力(水) 櫂、移動速度30フィート。
兵装:バリスタ(4基)
アーマー・クラス 15
ヒット・ポイント 各50
遠隔武器攻撃:命中+6、射程120フィート/480フィート、目標1体。命中時:16(3d10)[刺突]ダメージ。
兵装:マンゴネル(2基)
アーマー・クラス 15
ヒット・ポイント 各100
遠隔武器攻撃:命中+5、射程200フィート/800フィート、(60フィート以内の目標には命中させることができない)目標1体。命中時:27(5d10)[殴打]ダメージ。
兵装:衝角
アーマー・クラス 20
ヒット・ポイント 100(ダメージ閾値10)
ガレー船はクリーチャーや物品に対して衝突を行ったときに衝突に関連するすべてのセーヴィング・スローに“優位”を得、衝突から被るあらゆるダメージは代わりに衝角に対して適用される。これらの利益は乗り物がこのガレー船に対して衝突してきたときには適用されない。
アクション
そのターンに、ガレー船はその舵を使って移動することができる。またそのバリスタとマンゴネルを発射することができる。もし乗組員が半分以下になっているなら、移動速度は半減し、その兵装の半分だけしか発射できない。
+ キールボート/Keelboat

キールボート/Keelboat

巨大サイズの乗り物(60フィート×20フィート)
クリーチャー収容能力 乗組員3人、乗客4人
貨物収容能力 0.5トン
旅のペース 毎時3マイル(72マイル/日)
【筋】16(+3)【敏】7(-2)【耐】13(+1)
【知】0【判】0【魅】0
ダメージに対する完全耐性 [精神]、[毒]
状態に対する完全耐性 気絶、恐怖、消耗、石化、聴覚喪失、毒、伏せ、麻痺、魅了、無力、盲目、朦朧
船殻
アーマー・クラス 15
ヒット・ポイント 100(ダメージ閾値10)
制御装置:舵
アーマー・クラス 12
ヒット・ポイント 50
その移動装置の1つの移動速度まで移動し、その間に1回の90度の方向転換をすることができる。もし舵が破壊されたなら、キールボートは方向転換ができなくなる。
移動装置:帆
アーマー・クラス 12
ヒット・ポイント 100;20ダメージ毎に-5フィート
駆動力(水) 帆、移動速度25フィート;風上に向かうなら15フィート;風下に向かうなら35フィート。
移動装置:櫂
アーマー・クラス 12
ヒット・ポイント 100;25ダメージ毎に-5フィート
駆動力(水) 櫂、移動速度20フィート。
兵装:バリスタ
アーマー・クラス 15
ヒット・ポイント 50
遠隔武器攻撃:命中+6、射程120フィート/480フィート、目標1体。命中時:16(3d10)[刺突]ダメージ。
キールボートには、一般的に戦闘用に武装された場合にだけ1基のバリスタが含まれる。
アクション
そのターンに、キールボートはその舵を使って移動することができる。またバリスタの兵装が施されている場合にだけそれを発射することができる。もし乗組員が半分以下になっているなら、移動速度は半減し、バリスタを発射できない。
+ ロングシップ/Longship

ロングシップ/Longship

巨大サイズの乗り物(70フィート×20フィート)
クリーチャー収容能力 乗組員40人、乗客100人
貨物収容能力 10トン
旅のペース 毎時5マイル(120マイル/日)
【筋】20(+5)【敏】6(-2)【耐】17(+3)
【知】0【判】0【魅】0
ダメージに対する完全耐性 [精神]、[毒]
状態に対する完全耐性 気絶、恐怖、消耗、石化、聴覚喪失、毒、伏せ、麻痺、魅了、無力、盲目、朦朧
船殻
アーマー・クラス 15
ヒット・ポイント 300(ダメージ閾値15)
制御装置:舵
アーマー・クラス 16
ヒット・ポイント 50
その移動装置の1つの移動速度まで移動し、その間に1回の90度の方向転換をすることができる。もし舵が破壊されたなら、キールボートは方向転換ができなくなる。
移動装置:帆
アーマー・クラス 12
ヒット・ポイント 100;25ダメージ毎に-10フィート
駆動力(水) 帆、移動速度45フィート;風上に向かうなら15フィート;風下に向かうなら60フィート。
移動装置:櫂
アーマー・クラス 12
ヒット・ポイント 100;25ダメージ毎に-5フィート
駆動力(水) 櫂、移動速度20フィート。
アクション
そのターンに、ロングシップはその舵を使って移動することができる。もし乗組員が半分以下になっているなら、移動速度は半減する。
+ 漕ぎ船/Rowboat

漕ぎ船/Rowboat

大型サイズの乗り物(10フィート×5フィート)
クリーチャー収容能力 乗組員2人、乗客2人
貨物収容能力 0.25トン
旅のペース 毎時3マイル(24マイル/日)
【筋】11(+0)【敏】8(-1)【耐】11(+0)
【知】0【判】0【魅】0
ダメージに対する完全耐性 [精神]、[毒]
状態に対する完全耐性 気絶、恐怖、消耗、石化、聴覚喪失、毒、伏せ、麻痺、魅了、無力、盲目、朦朧
船殻
アーマー・クラス 11
ヒット・ポイント 50
制御装置および移動装置:櫂
アーマー・クラス 12
ヒット・ポイント 25
駆動力(水) 櫂、移動速度15フィート。
その移動速度まで移動し、その間に1回の90度の方向転換をすることができる。もし櫂が破壊されたなら、移動速度は0になる。
アクション
そのターンに、漕ぎ船は櫂を使って移動することができる。
+ 帆船/Sailing Ship

帆船/Sailing Ship

巨大サイズの乗り物(80フィート×20フィート)
クリーチャー収容能力 乗組員30人、乗客20人
貨物収容能力 100トン
旅のペース 毎時5マイル(120マイル/日)
【筋】20(+5)【敏】7(-2)【耐】17(+3)
【知】0【判】0【魅】0
ダメージに対する完全耐性 [精神]、[毒]
状態に対する完全耐性 気絶、恐怖、消耗、石化、聴覚喪失、毒、伏せ、麻痺、魅了、無力、盲目、朦朧
船殻
アーマー・クラス 15
ヒット・ポイント 300(ダメージ閾値15)
制御装置:舵
アーマー・クラス 18
ヒット・ポイント 50
その帆の移動速度まで移動し、その間に1回の90度の方向転換をすることができる。もし舵が破壊されたなら、この船は方向転換ができなくなる。
移動装置:帆
アーマー・クラス 12
ヒット・ポイント 100;25ダメージ毎に-5フィート
駆動力(水) 帆、移動速度45フィート;風上に向かうなら15フィート;風下に向かうなら60フィート。
兵装:バリスタ
アーマー・クラス 15
ヒット・ポイント 50
遠隔武器攻撃:命中+6、射程120フィート/480フィート、目標1体。命中時:16(3d10)[刺突]ダメージ。
兵装:マンゴネル
アーマー・クラス 15
ヒット・ポイント 100
遠隔武器攻撃:命中+5、射程200フィート/800フィート、(60フィート以内の目標には命中させることができない)目標1体。命中時:27(5d10)[殴打]ダメージ。
アクション
そのターンに、帆船はその舵を使って移動することができる。またそのバリスタとマンゴネルを発射することができる。もし乗組員が半分以下になっているなら、移動速度は半減し、バリスタかマンゴネルのどちらかしか発射できない。
+ 軍船/Warship

軍船/Warship

巨大サイズの乗り物(100フィート×20フィート)
クリーチャー収容能力 乗組員40人、乗客60人
貨物収容能力 200トン
旅のペース 毎時4マイル(96マイル/日)
【筋】20(+5)【敏】4(-3)【耐】20(+5)
【知】0【判】0【魅】0
ダメージに対する完全耐性 [精神]、[毒]
状態に対する完全耐性 気絶、恐怖、消耗、石化、聴覚喪失、毒、伏せ、麻痺、魅了、無力、盲目、朦朧
船殻
アーマー・クラス 15
ヒット・ポイント 500(ダメージ閾値20)
制御装置:舵
アーマー・クラス 18
ヒット・ポイント 50
その移動装置の1つの移動速度まで移動し、その間に1回の90度の方向転換をすることができる。もし舵が破壊されたなら、ガレー船は方向転換ができなくなる。
移動装置:帆
アーマー・クラス 12
ヒット・ポイント 100;25ダメージ毎に-10フィート
駆動力(水) 帆、移動速度35フィート;風上に向かうなら15フィート;風下に向かうなら50フィート。
移動装置:櫂
アーマー・クラス 12
ヒット・ポイント 100;25ダメージ毎に-5フィート
駆動力(水) 櫂、80人以上の漕ぎ手がいるなら移動速度20フィート、40人以上の漕ぎ手なら10フィート、20人以下なら5フィート。
兵装:バリスタ(2基)
アーマー・クラス 15
ヒット・ポイント 各50
遠隔武器攻撃:命中+6、射程120フィート/480フィート、目標1体。命中時:16(3d10)[刺突]ダメージ。
兵装:マンゴネル(2基)
アーマー・クラス 15
ヒット・ポイント 各100
遠隔武器攻撃:命中+5、射程200フィート/800フィート、(60フィート以内の目標には命中させることができない)目標1体。命中時:27(5d10)[殴打]ダメージ。
兵装:衝角
アーマー・クラス 20
ヒット・ポイント 100(ダメージ閾値10)
軍船はクリーチャーや物品に対して衝突を行ったときに衝突に関連するすべてのセーヴィング・スローに“優位”を得、衝突から被るあらゆるダメージは代わりに衝角に対して適用される。これらの利益は乗り物がこの軍船に対して衝突してきたときには適用されない。
アクション
そのターンに、軍船はその舵を使って移動することができる。またそのバリスタとマンゴネルを発射することができる。もし乗組員が半分以下になっているなら、移動速度は半減し、その兵装の半分だけしか発射できない。


士官/Officers

もし君が船を航行させたいのであれば、その操船を監督する士官を必要とする――6つの異なる役割を果たす士官たちだ。1人の人物は同時には1つの役割しか果たすことができないが、複数の人物を1つの役割に指名しておくことはできる。船上でのいくつかの役割は、乗組員の取り組みを指示するために訓練を受けた専門家を必要とすることを反映している。別の者は乗組員の健康と規律維持に集中する。
それぞれの役割は下記に説明されており、それと共にキャラクターがそれを実行するのに助けとなる(が、必要条件ではない)能力値と習熟も示されている。

船長/Captain。船長は命令を発する。最善の船長は高い【知力】と【魅力】の値を持ち、乗り物(水上)と〈威圧〉と〈説得〉技能にも習熟している。
一等航海士/First Mate。この専門家はすぐ近くで監督、督励、そして指導を行うことによって乗組員の士気を維持する。一等航海士は高い【魅力】の値から利益を得るとともに、〈威圧〉と〈説得〉技能への習熟からも利益を得る。
甲板長/Bosun。甲板長は千兆と乗組員に技術的な助言を与え、また修理や保守管理の仕事を指導する。良い甲板長は高い【筋力】の値を持ち、また大工道具と〈運動〉技能の習熟を持つ。
操舵長/Quartermaster。操舵長は海図の知識と天候と海の状態の観察から船の航路の水先案内をする。信頼のおける操舵長は高い【判断力】の値と、航海道具と〈自然〉技能への習熟を持つ傾向がある。
船医/Surgeon。船医は傷の手当てをし、船に病気が蔓延しないように食い止め、衛生状態の監督をする。有能な船医は高い【知力】の値と、調薬道具と〈医術〉技能への習熟から利益を受ける。
料理人/Cook。船の料理人は船内にある限られた材料から食事を作る仕事を行う。熟練の料理人は乗組員の士気を高い状態に維持するが、まずい料理人は乗組員全体の仕事の効率を下げてしまう。才覚ある料理人は高い【耐久力】の値を持つと共に、醸造用品と調理用具の習熟を持つ。


乗組員/Crew

船にはそのデータ・ブロックに示されている人数の健康な船乗りが乗り組む必要がある。乗組員の技能、経験、士気、そして健康はその練度値によって決定される。乗組員は練度値+4で開始し、この数値は時間の経過と共に最低で-10、最高で+10までの範囲で増減する。乗組員が負傷したり、困難な状況に陥ったり、あるいは健康状態が悪化したりすると減少する。乗組員が高い士気を持ったり、良好な健康管理を受けたり、明快で公正な指導者に巡り会ったりすると上昇する。
典型的な乗組員は『Monster Manual』に掲載されているコモナーのデータを使用する。

反乱/Mutiny

へたくそな指揮を受けたり、不当な扱いを受けたりした乗組員は、士官たちに反抗的になるかもしれない。1日に1回、乗組員の練度値が0以下であるなら、その船長は乗組員の練度値を修正値として加えた【魅力】〈威圧〉あるいは〈説得〉判定を行わなければならない。
もし判定の合計値が1~9の間なら、乗組員の練度値は1減少する。
もし判定の合計が0以下なら、乗組員は反乱に立ち上がる。彼らは士官に対して敵対的となり、彼らを殺害、幽閉、あるいは船外へ放り出そうとするかもしれない。乗組員は暴力、戦闘、あるいは宝物や他の報酬の申し出によって服従するように脅しつけることができる。
DMが反乱を終了させるとき、乗組員の練度値は1d4上昇する。

上陸許可/Shore Leave

船上での生活は乗組員にとっては絶え間ない消耗の連続である。港で過ごすことによって、乗組員はリラックスし、落ち着きを取り戻すことができる。
もし乗組員の練度値が3以下になら、乗組員が港か陸上で1日過ごす毎に練度値は1上昇する。


海の旅/Travel at Sea

ここでは海の旅、特に1時間あるいはそれ以上の時間をかけた旅を裁定する手助けとなるルールを示す。この記事は『Player's Handbook』と『Dungeon Master's Guide』の旅のルールに組み込むものである。

旅のペース/Travel Pace

船はデータ・ブロックに示されている移動速度で旅をする。陸上の旅と異なり、プレイヤーはもっと早いペースでの移動を選択することはできないが、もっと遅いペースで行くことは選択できる。
もし船の移動手段が損傷を受けたなら、移動速度は減少するかもしれない。移動速度が10フィート減少する毎に、船の旅のペースは1時間あたり1マイル、1日あたり24マイルだけ減少する。

旅をしながらの活動/Activity While Traveling

船の乗組員と乗客が可能な活動は、地上を旅しているグループに可能な選択肢とは多少異なる。下記に説明されている項目のいくつかに関するより詳細な情報については、『Player's Handbook』第8章の「旅をしている間の活動」を参照すること。
活動のいくつかについては、DMが異なる裁定を下さない限り、特定の士官にしか実行できない。たとえば、バードは甲板上でなまめかしい歌を演奏することによって乗組員の気持ちを盛り上げ、士気を上げる活動を実行できるかもしれない。
パーティの旅のペースは船によrて旅をしている間に従事することができる活動には影響を及ぼさない。

地図作成/Draw a Map

しばしば船の船長がこの活動に従事し、船の進路を記録し、万一迷った場合に航路を元に戻す手助けとなる地図を作る。能力判定は必要としない。

食料採集/Forage

キャラクターは釣り糸を垂らし、食料の供給源に目を見張り、DMが求めたときに【判断力】〈生存〉判定を行う。

士気昂進(一等航海士に限定)/Raise Morale (First Mate Only)

一等航海士は乗組員の時間を管理し、長期療養を与えたり、指図を与えたり、士気を向上させたりすることができる。1日1回、乗組員の練度値が3以下なら、一等航海士は難易度15の【魅力】〈説得〉判定を行うことができる。判定に成功すると、乗組員の練度値は1上昇する。

道案内(操舵長に限定)/Navigate (Quartermaster Only)

操舵長はグループが道に迷わないように、DMが宣言したときに【判断力】〈生存〉判定を行うことができる。(『Dungeon Master's Guide』第5章の「道に迷う」参照)。

脅威の探知/Noticing Threats

船上の誰かが隠れた脅威に気付くかどうかを決定するために、キャラクターか乗組員の受動【判断力】〈知覚〉値を用いる。乗組員は10+乗組員の練度値に等しい受動【判断力】〈知覚〉値を持つ。DMは船の特別なエリアにいるキャラクターにだけ脅威に気付くことができるものと裁定することができる。たとえば、下甲板にいるキャラクターだけが船内に隠れているクリーチャーの物音を聞いたり、姿を見つけたりできるチャンスを持つかもしれない。

修理(甲板長に限定)/Repair (Bosun Only)

船の甲板長がこの活動に従事できる。1日の最後に、甲板長は大工道具を用いた【筋力】判定を行うことができる。15以上なら、ダメージを受けている各構成要素は1d6+乗組員の練度値に等しいヒット・ポイント(最低でも1ヒット・ポイント)を回復する。船殻以外の0ヒット・ポイントの構成要素はその機能を再び回復する。

隠密(船長に限定)/Stealth (Captain Only)

重度の霧などの視覚を制限する天候状況の場合にだけ、船の船長はこの活動を取ることができる。船が隠れることができたかどうか決定するために、船の乗組員の練度値に等しいボーナスを得て【敏捷力】判定を行うことができる。

危険/Hazards

危険には2つの基本的な種類がある:嵐や荒れ狂う水域などの環境的な危険と、船内での火事や疫病の発生といったその他の出来事である。

環境的な危険/Environmental Hazards

霧深い海には氷山がいっぱいに詰まっている。風とそびえるような波が船を転覆させんと襲い掛かる。吹雪は厳冬の時季に北へと向かう船を打ち付ける。これらはすべて環境的な危険の一例であり、幾日もの間続き、乗組員の集中力を要求する。
船が危険に関わっている間の毎日、「表:危険の判定」に示されているように、士官たちはそれぞれ特殊な能力判定を行うことが必要となる。この判定は士官たちが実行する可能性のあるその他の活動に代わるものであり、船を浮かばせ続けるために士官たちが行う努力を表している。
表:危険の判定
士官 判定
船長 【知力】乗り物(水上)
一等航海士 【魅力】〈威圧〉
甲板長 【筋力】大工道具
操舵長 【判断力】〈自然〉
船医 【知力】〈医術〉
料理人 【耐久力】調理用具
もし誰も判定を行うことができないなら、その結果は0として扱われる。
最後に、乗組員のためにd20をロールし、その練度値をこのロールへの修正値として用いる。これらの判定結果すべてを合算し、その後「表:危険の判定の結果」を参照すること。この表は船が災厄に見舞われたか、それともその危険な一日を生き延びることができたかを示す。
表:危険の判定の結果
判定値の合計 結果
140以上 大成功。乗組員の練度値は1d4日の間1上昇する。
105~139 成功。船は無傷で生き延びる。
70~104 部分的な災厄。各構成要素は4d10[殴打]ダメージを受ける。乗組員の練度値は1減少する。船は悪戦苦闘して航行し、その日は半分の移動速度だけ移動する。
0~69 災厄。船の構成要素はそれぞれ10d10[殴打]ダメージを受ける。乗組員の練度値は2減少し、乗組員の内の何人かが船外に押し流されて行方不明になる。船は航路から吹き流され、その相対的位置を把握することに悪戦苦闘し、その日は一切進路を進めることができない。
もし君がさまざまな危険を付け加えたいと思うなら、いくつかのおもしろそうな難題を加えることを考慮すること。たとえば、災厄の結果においては大渦巻が船を水の元素界へと引きずり込むことにし、それ以外の結果では船がその渦を回避できたことにしてもよい。
また君は危険の度合いを反映して「表:危険の判定の結果」の成否の境界線を増減させることもできる。もしそうすることに決めたなら、成否の境界線を35増減させること。

その他の出来事/Other Events

荒れた海や手ごわい天候に加えて、船は他にもいくつもの危険と直面しうる。
下記の示す危険は船を悪い状況に引きずり込むことができる事例の一例である。それぞれ、異なる士官が他の活動に取り組む代わりにその日1日を危険に対処することに時間を費やす必要がある。おおざっぱに言うと、毎日10%の確率で下記の出来事の1つが発生する。
緊急回避行動。その乗組員は突然の脅威を回避するために素早い反応をしなければならない。クラーケンが船の下を通過し、その航跡によって船が転覆する危険があるとか、船が海図に載っていない暗礁地帯に衝突するとかだ。船長は難易度15の【知力】乗り物(水上)の判定を行わなければならない。判定に失敗すると、その衝突事故によって船の船殻は8d10[殴打]ダメージを受ける。判定に成功すると、船長は素早く船の進路を変えることによって、危害をまぬかれることができる。
抗争。海上の生活は単調さ、勤勉さ、そして突然の恐怖の瞬間が入り混じった生活である。頑健無比なる船乗りにもストレスが降り掛かる可能性がある。ときにそうしたストレスが乗組員お間での抗争に発展することがある。もし不和が乗組員の間に広がったなら、一等航海士のその日の活動は、乗組員を統御するための難易度15の【魅力】〈威圧〉判定を行うために使わなければならない。判定に失敗すると、乗組員の練度値は1d4減少する。
火事。海における火事は船を機能不全に陥らせかねない。ランダムに構成要素1つを選ぶこと。甲板長が難易度15の大工道具を用いた【筋力】判定に成功しなければ、4d10[火]ダメージを受ける。
疫病。乗員の中に疾病が蔓延する。おそらくは同乗しているネズミか虫によって発生したのであろう。船医は難易度15の【判断力】〈医術〉判定を行わなければならない。判定に失敗すると、乗組員の練度値は1d6日の間5減少する。
大量発生。昆虫、ネズミ、その他の害獣が船内に発生し、食料備蓄に脅威を与える。料理人は可能な限り食べ物を節約するために難易度15の醸造用品を用いた【耐久力】判定を行わなければならない。判定に失敗すると、船が食料補給できるチャンスを得るまで、乗組員はその陣営値が関わるあらゆる判定に“不利”を受ける。


戦闘における船/Ships in Combat

この項では戦闘で船を使用するための手引きを示す。

船とイニシアチブ/Ships and Initiative

船はその【敏捷力】を使ってイニシアチブをロールし、乗組員の練度値を修正値としてロール結果に適用する。
船のターンに、船長は使用する船のアクションをどれにするかを決定する。

特殊な士官アクション/Special Officer Actions

遭遇の間、船長、一等航海士、そして甲板長はそれぞれ、下記に説明されている2つの特殊なアクションの選択肢を利用することができる:“全速前進”と“撃ちまくれ”である。

全速前進/Full Speed Ahead

甲板にいる間のアクションとして、船長、一等航海士、あるいは甲板長は乗組員に対してもっと頑張って船を前進させるよう督励することができる。d6をロールし、結果に5を掛ける。合計値をその船の次のターンの終了時までの船の移動速度へのボーナスとして適用する。もし船がすでに通常よりも速い移動速度で移動しているときにこのボーナスが適用されたなら、より高い結果を使用すること。2つのボーナスを互いに合算してはならない。

撃ちまくれ/Fire at Will

アクションとして、船長、一等航海士、あるいは甲板長は船の兵装の1つの照準を行う乗組員を援護する。その士官の10フィート以内にある兵装の1つを選ぶこと。船の次のターンの終了時よりも前にそれによって行われる次の攻撃ロールには“優位”が与えられる。


衝突/Crashing

もし船がクリーチャーや物品によって占有されている空間に移動したなら、それは衝突するかもしれない。そのクリーチャーや物品が最低でも2段階は小さいのであれば、船は衝突を回避する。
船が衝突したなら、即座に難易度10の【耐久力】セーヴィング・スローを行う。セーヴに失敗したなら、それが衝突した相手クリーチャーか物品のサイズ分類に基づき、「表:衝突ダメージ」に示されているように船殻にダメージを受ける。また、もしその物品やクリーチャーがその船のサイズ分類よりも1段階小さいかそれ以上のサイズであるなら、移動は止められる。そうでなければ、船は移動を続け、そのクリーチャーや物品は船の進路ではない何ものにも占有されていない最も近い空間へと移動する。DMの判断次第では、無理やり移動させられたが空間に収まり切らない物品は代わりに破壊される。
表:衝突ダメージ
サイズ分類 [殴打]ダメージ
小型 1d6
中型 1d10
大型 4d10
超大型 8d10
巨大 16d10
ぶつかったクリーチャーは10+船の【筋力】修正値に等しい難易度の【敏捷力】セーヴィング・スローを行わなければならず、セーヴに失敗すると、(「表:衝突ダメージ」に示されているような)船のサイズ分類に基づいたダメージを受け、成功すればその半分のダメージを受ける。


船の所有/Owning a Ship

もし君が船を購入したなら、君は冒険のためのエキサイティングな新しい舞台の鍵を開くことになり、兵站管理という山のような挑戦の数々に署名することになる。船を機能させ続けるためには、とてつもない量の仕事が必要とされる。
このルールでは休息時間の活動――船の運営――を用いて船を機能させ続け、その補給物資の蓄積、そして乗組員への支払いに必要とされる活動を抽象的に表現する。
休息時間の活動に関する詳細な情報については、『Dungeon Master's Guide』と『Xanathar's Guide to Everything』を参照のこと。

休息時間の活動:船の運営/Downtime: Managing a Ship

有能な船長と乗組員を雇い入れ、彼らに貨物を運搬させたり、そのほかのサービスを提供させたりすることによって、君は船に適切な修理を施して維持し、冒険の合間に利益を生み出すことすら可能になる。
船の運営は、士官と乗組員を雇い入れるために時間と努力を必要とする休息時間の活動である。その船は必要とされるときに利用することができる。そうでなければ、その船は船を維持し、乗組員に支払いを行うためのコストを賄うために乗客や貨物を運搬する。

資産/Resources

乗組員を雇うためには1週間を要し、人員補充と補給物資のコストを賄うために100+4d6gpを要する。これらのコストを支払ったなら、君は船を維持するための1人の船長と乗組員を得る。

儲け/Resolution

いったん船を稼働させたなら、毎月少量の利益を生み出す。4週間経過する毎に、君は5d20gpを得る。

難題/Complications

船主は悪天候、悪い取引、あるいは反乱といったリスクを冒す。利益を決定するためのロールを行うとき、d20ロールのいずれかで1の出目を出したなら、「表:船の所有に関する難題」でロールすること(あるいはDMが適切な難題を作り出す事もできる)。
表:船の所有に関する難題
d6 難題
1 乗組員は悪い契約を結んだ。この月は何の利益も得ない。
2 船と乗組員は1d4ヶ月の間海賊狩りのための軍務に駆り出される。
3 海や交易と関わりのある寺院が君の乗組員が神々に対して敬意を表していないと非難しており、誰も君の船や乗組員と取引をしようとしない。君は1d6ヶ月か、寺院が態度を軟化させるまで、毎月5d20gpを失う。
4 君の船と乗組員は行方不明になってしまい、彼らを捕らえている者から救出しなければならない。
5 乗組員は反乱を起こし、君から逃亡してしまう。
6 乗組員は違法な品の密輸の罪で逮捕されてしまう。彼らは収監され、君の船は押収されてしまう。


最終更新:2019年01月23日 23:31