地理:貴族地区(サザリン市)

NOBLE DISTRICT
貴族地区は、たとえテラクニアン城が実際にはこの地区の一部ではないにも関わらず、伝統的にこの都市の支配者階級の地区であると考えられている。サザリン市の支配者への信頼はいまだに揺らいでいるが(下記、サザリン市の歴史参照)、この地区ではそうした信頼の喪失がはっきりと分かるようなものはどこにも見当たらない。今日、貴族地区の市民は、闘士地区の市民との口論に明け暮れており、彼らの地区を自給自足社会に組織しようと試みている。貴族地区のバーでは、サザリン市と関わりのない雑談が交わされることが多い。他の地区では、貴族地区は退廃と虚栄の地であるという見方がますます強まっており、やがてはこの地区はそれ自身の節度のなさによって失墜する運命にあると考えられている。
貴族地区を代表する貴族はリドゥ家である。100年以上前のテラクニアン家の終焉によって、リドゥ家はこの都市の最古の貴族となった。家長のウォリン・リドゥは、思いやりのある貴族である。サザリン市における大貴族としては、あまりに育ちが良く寛大でありすぎるかもしれない。彼の今日の最大の関心事は、ウィー・ジャス教会とコード教会の調停のように思われる。

サザリン市の歴史

サザリン市の歴史について、貴族地区の市民ほどに見識の深い地区は他にない。この都市は700年以上前のCY-124年、北方からやってきた巡礼者によって設立された。この一団の指導者はサザリンという名前のウィー・ジャスに仕える予言者クレリックであり、現在、先祖の島として知られる島において、ゼルカルーンという名前のブラック・ドラゴンから巡礼者たちを守るために英雄的な役割を果たして死んだ。サザリンの恋人はテラクニアンという名前の男性であり、彼は彼女のためにこの都市を設立した。それからの数世紀、サザリン市はテラクニアンの子孫がウィー・ジャスとコードの教会の助言を受けながら支配を続け、この都市は驚くべき大発展を経験した。CY480年には、オレン・テラクニアン市長がこの都市を統治していた――その支配の間、誰ひとり灰色の翳りが漂っている事を考慮に入れていなかった。その世紀に初めて、ウィー・ジャス教会は、悪魔崇拝の証拠をでっち上げられてその権力が奪い取られ、その信者は逮捕、投獄、そして処刑までされた。オレンの支配は耐え難いものと化し、大いなる船団が到着した――北方のシー・プリンス国の支配者の代理である。オレンの残酷な支配を終わらせることを約束し、この侵略者たちの攻撃の際には、反乱に立ち上がった市民たちによる都市内部からの援助を受けた。オレン・テラクニアンは打倒され、シー・プリンス国がサザリン市の支配権を確立した。それからの1世紀以上、サザリン市の財政は荒れ果てた。シー・プリンス国は、侵略者たちからこの価値ある港を隠しておきたいと考えていたため、彼らが見つけることができたこの都市に関するあらゆる資料を破棄しつくす事によって、世界の他の地域からサザリン市の存在を隠し続けた。世界中の製図職人ギルドや図書館にスパイを侵入させ、魔法によって地図や海図を書き換えた。この都市への航路を知っている船長は金銭で篭絡させられるか、殺害されるかした。サザリン市はこの100年間苦難のときを過ごしたが、その市民たちの心のうちに秘められた魂が死んだわけではなかった。緋色団がシー・プリンスの貴族のほとんど全てを暗殺したCY584年、彼らの祈りはついに1つの答えを見出した。この騒動の結果、サザリン市は混沌とした状況に投げ込まれた。故国の援助を受けることがないまま、2週間でこの都市のリーダーたちは打倒された。自由を取り戻してからの10年間、サザリン市の人々は驚異的な成功を収めて彼らの都市を再建した。

都市警備隊

貴族地区警備隊は狡猾である。この地区の市民は、公共の場で守衛を目にすることに嫌悪感を露わにするため、ここの警備隊は公然とは貴族地区を巡回しない。その結果、貴族地区警備隊は、事件で必要な場合に、旅人、芸人、商人、そして下級の貴族さえも拘留することで、その仕事を秘密裏に実行している。犯罪を行なう場所を探しにサザリン市へとやって来た者は、この地区に守衛が存在しないように見える事に惹かれるかもしれないが、犯罪が発生した場合に、貴族地区警備隊が犯罪捜査のための時間を無駄にしている訳ではない。近くにいる誰もが警察になりうるという事実と共に、貴族地区がサザリン市で最も安全な地区である原因となっている。

市民

もし君が貴族地区出身なら、君は必ずしも小貴族のメンバーである訳ではないが、たとえそうでなくとも、おそらくはそうした貴族の友人や仲間を持っていることだろう。君は中流階級出身であるかもしれず、その場合、君の家族は何らかの形で貴族家の1つに仕えているであろう。あるいは君の家族は秘術の世界に関わっているかもしれず、その場合は、君は魔法のことをよく知っているであろう。最後に、君は竜の家で学んだ学生であるかもしれず、最近、高等教育過程を卒業したのかもしれない(あるいは悪いことに、退学したのかもしれない)。貴族地区の市民は清潔で、文化的であり、肉体労働を避け、困難な仕事は、人夫を雇うか魔法を使うかすることを好む。君はおそらくウィー・ジャス神を信仰しているであろう。もし君がコード神を信仰しているなら、君はその信仰を秘密にしているだろう。もし君がウィザードであるなら、おそらく君の専門分野としては、召喚術、心術、幻術、あるいは死霊術のいずれかを選択しているであろう。他の専門家ウィザードの事を聞かないわけではないが、力術士、変成術士としての専門系統を選択した者たちは、しばしばその実力を認めてもらうために、ほらを吹いていると考えられている。

重要なNPC

アンナ・テラナキ(女性の人間)

アンナは執拗で年をとった、ウィー・ジャス寺院の高位の尼僧である。コールドロン市に住む、彼女の弟子であるエンブリル・アロースティナイが関わった最近のスキャンダルによって、この寺院の評判は傷つけられた。

キヴァ・ウィロートップ(女性のハーフリング)

キヴァは製図職人ギルドの女性ギルド長である。

ラクス・シオーニ(女性の人間)

ラクスは魔女看守団の神秘的な(そして多少、恐れられている)女性ギルド長である。

ニラリア・アブサリー(女性の人間)

サザリン・オペラ・ハウスの支配人ニラリアは、異国風の服装と髪型を誇示するのに、その豊かな体格を最大限利用している大柄な女性である。彼女は、たとえその感覚がいつも相互的なものでないとしても、何となく彼女自身をみんなの友人であると考えている。

ウォリン・リドゥ(男性の人間)

リドゥ邸の家長にして暁の評議会における貴族地区代議員であり、多くの者が、ウォリンはその年齢を重ねるにつれて、有能なリーダーとしては優しくなりすぎたと心配している。

ジービュラ・メラヴァンチ(男性の人間)

ジービュラは小貴族であり、その家族の財閥は、退廃的で極端な結末を持つ娯楽を運営している。

貴族地区の主要な場所

1: ハイウォールの家(賢者――地理に関する専門知識)
2: リーアの社(詩歌と美術の女神)
3: 魔女看守団の塔(秘術使いギルド)
4: レンダーの社(時間と学問の神格)
5: 俳優ギルドホール
6: ミーリスの社(愛の女神)
7: 高級市場(日常品、異国風の衣類、宝飾品、魔法)
8: 真珠と鸚鵡亭(居酒屋/宿屋)
9: インプの愚行亭(居酒屋/賭博場)
10: 音楽家ギルドホール
11: サザリン・オペラ・ハウス
12: 棺桶作りギルドホール
13: メラヴァンチ邸(小貴族)
14: 君主会館(賢者――貴族家に関する各種記録〉
15: リディアの社(音楽の女神)
16: 高級娼婦ギルドホール
17: 竜の家(学校と図書館)
18: リドゥ邸(地区の代議員)
19: 楽器製作ギルドホール
20: 製図職人ギルドホール
21: でばがめキメラ(本屋)
22: テナラー学院(花嫁教室)
23: クラウドクリスタル学院(花嫁教室)
24: ボカブの社
25: 貴族地区都市警備隊詰所
26: キャリストの針(刺青の店と賢者――他の次元界についての専門知識)
27: ブレナクのバザール(魔法の店と賢者――魔法についての専門知識)
28: ウィー・ジャスの教会
29: 水晶の囁きの店(骨董品店)
30: 祖先の休息亭(宿屋)
31: 風に囁く者(占い師)
32: サザリン火葬場
33: 緋色の尖塔(都市の始祖サザリンの墓所)

最終更新:2017年02月25日 21:42
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